543 / 1,043
連載
少年期[699]完璧でも不意を突かれれば……
しおりを挟む
「これはミスリルの棒、か?」
二つ目の宝箱に入っていた物はミスリル製の棒だった。
ただ、三人ともただの棒ではないことは解っている。
「武器、よね。でも、どうやって扱うのかしら? この長さじゃ武器としては不十分だし」
「どう考えても鉱石じゃなくて棒だから武器だとは思うが……まぁ、視てみないことには細かいことは解らないよな」
鑑定眼を使って調べると……これまた使いやすい武器だとゼルートは確信した。
ミスリルデフォルロッド ランク七
ミスリル製の棒。伸縮可能だが、両端の形状を持ち主の意思によって変形することが出来る。
万が一砕かれたとしても、魔力を注げば再生する。
魔力を纏えば火力が強化される。
棒状態であれば持ち主の身体能力を強化。
両端の形状を変形することによって、強化効果が変化。
「伸縮可能で両端を好きな形状に変形できる。刃が欠けたり砕けたとしても魔力を注げば再生可能。当然、身体能力を強化する効果が付与されている。加えて、両端の形状を変化させることによって強化の能力が変わる」
「なるほどね。まさに変幻自在のミスリル武器ってところね……ねぇ、それは盾にも変形できるのかしら」
「盾か……やってみるか」
正確なイメージをミスリルデフォルロッドに送る。
するとまずは持ち手が変形。そして両端が薄く広がり……半円に形を変えた。
結果的に隙間がなくなり、外見が完全に盾へと変わった。
「おぉ~~~、良い感じだな。うん、咄嗟のタイミングで盾にも変形出来るのは良いな」
「確かに優秀な武器ね。さて……これは誰が使うべきかしら」
「え、今すぐ決めるのか?」
「ランク七の武器よ。なるべく誰が使うか決めておいた方が良いじゃない。あっ、ちなみに私はミスリルのロングソードがあるから大丈夫よ」
「私は先程のアルバラスがある」
「……おいおいおい、ちょと待て。もしかして俺が使うのか? さっきの裂土豪災だって一応俺が使うんだぞ」
二人の視線がゼルートに向けられたが、本人は既にお腹一杯。
ミスリルデフォルロッドがどれだけ良い武器なのかは解っている。
だが、今のところ新しい武器は必要ない。
「ゼルート……あなた、普段使ってる武器はそんなに質が高い武器じゃないでしょ」
「うっ……ま、まぁ。そりゃそうだけどさ。でもほら、そこは俺のポリシー……じゃないけど、良い武器を使ったら直ぐに戦いが終わるかもしれないだろ」
「強い相手はあなたが本当の本気を出さない限り、そう簡単に壊れないから安心しなさい」
「アレナの言う通りだな。ゼルートが戦っていて楽しいと思う相手は、簡単に潰れるほど脆くない筈だ」
正論をぶつけられ、反撃する言葉がない。
(そ、そりゃそうかもしれないけどさ……俺としては、こういう武器をコレクションとして集めるだけでも、そんなに悪くないと思ってるんだけどな)
アレナと同じく、武器はやっぱり実戦で使わないと勿体ないという思いはある。
しかしゼルートには収集欲が少なからずあるので、レアリティが高い武器を集める……それだけで満足してる部分があった。
「別に俺はこの前の探索で使ってたダマスカス鋼の大剣とかでも満足してるし……」
「ダマスカス鋼の大剣が悪いと言わないわ。けど……いつ不意に強敵が現れるか分からないでしょ。ミスリルデフォルロッドを常に使えって言ってるんじゃないの。ただ、いつでも抜けるように携帯していたほうがゼルートの為なの」
ゼルートは強い。あり得ないほど……想像が付かないほどの強さを持っている。
それは一年以上傍にいたので、十分過ぎるほど解かっている。
しかし、そんなゼルートでも不意に強襲を食らうかもしれない。
そんな心配心から……アレナは是非ともミスリルデフォルロッドはゼルートに使って欲しいと思った。
確かにミスリルデフォルロッドはアルバラスと同じぐらい扱いやすい武器だが、その時々に合わせて両端を……もしくは全体を変形させる。
そのスタイルを完璧に使いこなせるのはパーティーの中でゼルートしかない。
それはアレナだけではなく、ルウナも同じ事を思っていた。
二つ目の宝箱に入っていた物はミスリル製の棒だった。
ただ、三人ともただの棒ではないことは解っている。
「武器、よね。でも、どうやって扱うのかしら? この長さじゃ武器としては不十分だし」
「どう考えても鉱石じゃなくて棒だから武器だとは思うが……まぁ、視てみないことには細かいことは解らないよな」
鑑定眼を使って調べると……これまた使いやすい武器だとゼルートは確信した。
ミスリルデフォルロッド ランク七
ミスリル製の棒。伸縮可能だが、両端の形状を持ち主の意思によって変形することが出来る。
万が一砕かれたとしても、魔力を注げば再生する。
魔力を纏えば火力が強化される。
棒状態であれば持ち主の身体能力を強化。
両端の形状を変形することによって、強化効果が変化。
「伸縮可能で両端を好きな形状に変形できる。刃が欠けたり砕けたとしても魔力を注げば再生可能。当然、身体能力を強化する効果が付与されている。加えて、両端の形状を変化させることによって強化の能力が変わる」
「なるほどね。まさに変幻自在のミスリル武器ってところね……ねぇ、それは盾にも変形できるのかしら」
「盾か……やってみるか」
正確なイメージをミスリルデフォルロッドに送る。
するとまずは持ち手が変形。そして両端が薄く広がり……半円に形を変えた。
結果的に隙間がなくなり、外見が完全に盾へと変わった。
「おぉ~~~、良い感じだな。うん、咄嗟のタイミングで盾にも変形出来るのは良いな」
「確かに優秀な武器ね。さて……これは誰が使うべきかしら」
「え、今すぐ決めるのか?」
「ランク七の武器よ。なるべく誰が使うか決めておいた方が良いじゃない。あっ、ちなみに私はミスリルのロングソードがあるから大丈夫よ」
「私は先程のアルバラスがある」
「……おいおいおい、ちょと待て。もしかして俺が使うのか? さっきの裂土豪災だって一応俺が使うんだぞ」
二人の視線がゼルートに向けられたが、本人は既にお腹一杯。
ミスリルデフォルロッドがどれだけ良い武器なのかは解っている。
だが、今のところ新しい武器は必要ない。
「ゼルート……あなた、普段使ってる武器はそんなに質が高い武器じゃないでしょ」
「うっ……ま、まぁ。そりゃそうだけどさ。でもほら、そこは俺のポリシー……じゃないけど、良い武器を使ったら直ぐに戦いが終わるかもしれないだろ」
「強い相手はあなたが本当の本気を出さない限り、そう簡単に壊れないから安心しなさい」
「アレナの言う通りだな。ゼルートが戦っていて楽しいと思う相手は、簡単に潰れるほど脆くない筈だ」
正論をぶつけられ、反撃する言葉がない。
(そ、そりゃそうかもしれないけどさ……俺としては、こういう武器をコレクションとして集めるだけでも、そんなに悪くないと思ってるんだけどな)
アレナと同じく、武器はやっぱり実戦で使わないと勿体ないという思いはある。
しかしゼルートには収集欲が少なからずあるので、レアリティが高い武器を集める……それだけで満足してる部分があった。
「別に俺はこの前の探索で使ってたダマスカス鋼の大剣とかでも満足してるし……」
「ダマスカス鋼の大剣が悪いと言わないわ。けど……いつ不意に強敵が現れるか分からないでしょ。ミスリルデフォルロッドを常に使えって言ってるんじゃないの。ただ、いつでも抜けるように携帯していたほうがゼルートの為なの」
ゼルートは強い。あり得ないほど……想像が付かないほどの強さを持っている。
それは一年以上傍にいたので、十分過ぎるほど解かっている。
しかし、そんなゼルートでも不意に強襲を食らうかもしれない。
そんな心配心から……アレナは是非ともミスリルデフォルロッドはゼルートに使って欲しいと思った。
確かにミスリルデフォルロッドはアルバラスと同じぐらい扱いやすい武器だが、その時々に合わせて両端を……もしくは全体を変形させる。
そのスタイルを完璧に使いこなせるのはパーティーの中でゼルートしかない。
それはアレナだけではなく、ルウナも同じ事を思っていた。
61
お気に入りに追加
9,033
あなたにおすすめの小説
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?
Gai
ファンタジー
鉄柱が頭にぶつかって死んでしまった少年は神様からもう異世界へ転生させて貰う。
貴族の四男として生まれ変わった少年、ライルは属性魔法の適性が全くなかった。
貴族として生まれた子にとっては珍しいケースであり、ラガスは周りから憐みの目で見られる事が多かった。
ただ、ライルには属性魔法なんて比べものにならない魔法を持っていた。
「はぁーー・・・・・・属性魔法を持っている、それってそんなに凄い事なのか?」
基本気だるげなライルは基本目立ちたくはないが、売られた値段は良い値で買う男。
さてさて、プライドをへし折られる犠牲者はどれだけ出るのか・・・・・・
タイトルに書いてあるパートナーは序盤にはあまり出てきません。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。