542 / 1,026
連載
少年期[698]ゴーレムだけに
しおりを挟む
「なぁ、ゼルート。それは戦争の際に使わないのか?」
「……いや、似た様な理由でアウトじゃないか?」
戦争に参加すれば、大勢の者と戦うことになる。
しかし、普段の戦いとは違って一応味方の者が大勢るのだ。
誤って殺してしまったら、取り返しがつかない……こともない。
ゼルートの正真正銘の切り札、創造を使えばなんとか出来ないこともない。
だが、何とかしてしまう今後ゼルートに安息と言える日常が訪れなくなるので、誤って味方を殺してしまう様なミスはしたくない。
「だが、開戦したばかりはまだ混戦状態とは言えないはずだ。ゼルートの瞬足を活かして敵の中心部に入り込み、思う存分暴れ回る。それだけで敵国には大ダメージを与えられると思うが」
「そりゃあ、とんでもない大ダメージを与えられるだろうな」
裂土豪災は素人が持つにはかなり重いが、ゼルートの見た目からは分からない怪力があれば、容易に操れる。
そこにスキルや技による脚力強化が加われば、開戦直後に敵群の中心部に潜り込むことぐらい、朝飯前。
「でもさ、あんまりやり過ぎると敵国が直ぐに降参したりしないか?」
「それはないだろう。侵略戦争でないとはいえ、両国のプライドを懸けた戦い? なのだろう。であれば、そう簡単に降参は出来ないのが普通だ」
「アレナの言う通りね。相手側の冒険者に一人だけ強過ぎる猛者がいるからといって、それだけの理由で降参するのは無理よ」
「……確かに面子を考えれば、直ぐに白旗上げるのは無理な話か……」
絶対に自分たち側が勝つという前提で話しを進めているゼルートたちだが、相手側も自分たちが負けると分かりながら戦争を行う訳ではない。
「でもさ、俺らは一応開戦直後に大技をぶっ放すつもりだから、あんまり他の人の獲物を盗るのは良くないんじゃないか?」
「そういえばそんな話をしてたわね。他の人の獲物、ねぇ……貴族ならではの悩みというところね」
ゼルートを良く知らない人たちからは眼玉が飛び出るほど驚くことかもしれないが、一応貴族の令息なのだ。
前世という記憶もあるので、あまり自分だけが暴れ回ればどうなるか予想できる。
「しかしゼルート、大技をぶっ放した後……普通に敵陣に突っ込んで倒して倒して倒しまくるのだろ。なら、別に裂土豪災を使っても問題無いと思うが」
「……一応そういう予定だったな」
貴族にとっては勲章を貰う良い機会かもしれないが、戦争なんて基本的に起こらない方が民の為。
ゼルートはとりあえず自分の体力や魔力が尽きるまでどんどん敵を倒す、それは変わらない。
「確かにそんなこと言ってたわね。なら、今更考えても仕方ないじゃない」
「だな……でも、うっかり被害が与えそうだからもし、相手側が錬金術で造ったゴーレムを何体も出してきたりしたら、その時はこいつでささった潰してしまおう」
「良いわね。どんなに堅いゴーレムでも、人の手で造られたゴーレムであればこのハンマーで一撃でしょうね……って、ちょっと待って。ゼルート……もしかして今度の戦争で、あれを使うつもりなの?」
「あれって……もしかして錬金獣のことか?」
「そうよ、そのとんでもない兵器よ」
ゼルートが持てる知識や技術をフル活用したゴーレム、通称錬金獣。
他の錬金術師が造るゴーレムより多才の動きができ、身体能力も並ではない。
ゴーレムではあるが、まさに獣……そして人の様な動きをする。
「あれはさすがに使わないって。安心してくれ、いくら家族に知り合いが死んでほしくないからっていっても、ヤバさが半端じゃないあれを使ったりしないって。一応な」
今のところ、ゼルートに現在持っている錬金獣を戦力として使わなければいけないほど、相手側の戦力が高いという話は入ってきていない。
「んじゃ、次の宝箱にいくぞ」
さくっと話を切り上げたゼルート。
しかしアレナはどれだけ錬金獣がマジックアイテムとしてレア度……そして危険度が高いのかを知っているので、ゼルートが持っている手札の中でトップスリーぐらいに入るほど、他者には知られたくない物だった。
「……いや、似た様な理由でアウトじゃないか?」
戦争に参加すれば、大勢の者と戦うことになる。
しかし、普段の戦いとは違って一応味方の者が大勢るのだ。
誤って殺してしまったら、取り返しがつかない……こともない。
ゼルートの正真正銘の切り札、創造を使えばなんとか出来ないこともない。
だが、何とかしてしまう今後ゼルートに安息と言える日常が訪れなくなるので、誤って味方を殺してしまう様なミスはしたくない。
「だが、開戦したばかりはまだ混戦状態とは言えないはずだ。ゼルートの瞬足を活かして敵の中心部に入り込み、思う存分暴れ回る。それだけで敵国には大ダメージを与えられると思うが」
「そりゃあ、とんでもない大ダメージを与えられるだろうな」
裂土豪災は素人が持つにはかなり重いが、ゼルートの見た目からは分からない怪力があれば、容易に操れる。
そこにスキルや技による脚力強化が加われば、開戦直後に敵群の中心部に潜り込むことぐらい、朝飯前。
「でもさ、あんまりやり過ぎると敵国が直ぐに降参したりしないか?」
「それはないだろう。侵略戦争でないとはいえ、両国のプライドを懸けた戦い? なのだろう。であれば、そう簡単に降参は出来ないのが普通だ」
「アレナの言う通りね。相手側の冒険者に一人だけ強過ぎる猛者がいるからといって、それだけの理由で降参するのは無理よ」
「……確かに面子を考えれば、直ぐに白旗上げるのは無理な話か……」
絶対に自分たち側が勝つという前提で話しを進めているゼルートたちだが、相手側も自分たちが負けると分かりながら戦争を行う訳ではない。
「でもさ、俺らは一応開戦直後に大技をぶっ放すつもりだから、あんまり他の人の獲物を盗るのは良くないんじゃないか?」
「そういえばそんな話をしてたわね。他の人の獲物、ねぇ……貴族ならではの悩みというところね」
ゼルートを良く知らない人たちからは眼玉が飛び出るほど驚くことかもしれないが、一応貴族の令息なのだ。
前世という記憶もあるので、あまり自分だけが暴れ回ればどうなるか予想できる。
「しかしゼルート、大技をぶっ放した後……普通に敵陣に突っ込んで倒して倒して倒しまくるのだろ。なら、別に裂土豪災を使っても問題無いと思うが」
「……一応そういう予定だったな」
貴族にとっては勲章を貰う良い機会かもしれないが、戦争なんて基本的に起こらない方が民の為。
ゼルートはとりあえず自分の体力や魔力が尽きるまでどんどん敵を倒す、それは変わらない。
「確かにそんなこと言ってたわね。なら、今更考えても仕方ないじゃない」
「だな……でも、うっかり被害が与えそうだからもし、相手側が錬金術で造ったゴーレムを何体も出してきたりしたら、その時はこいつでささった潰してしまおう」
「良いわね。どんなに堅いゴーレムでも、人の手で造られたゴーレムであればこのハンマーで一撃でしょうね……って、ちょっと待って。ゼルート……もしかして今度の戦争で、あれを使うつもりなの?」
「あれって……もしかして錬金獣のことか?」
「そうよ、そのとんでもない兵器よ」
ゼルートが持てる知識や技術をフル活用したゴーレム、通称錬金獣。
他の錬金術師が造るゴーレムより多才の動きができ、身体能力も並ではない。
ゴーレムではあるが、まさに獣……そして人の様な動きをする。
「あれはさすがに使わないって。安心してくれ、いくら家族に知り合いが死んでほしくないからっていっても、ヤバさが半端じゃないあれを使ったりしないって。一応な」
今のところ、ゼルートに現在持っている錬金獣を戦力として使わなければいけないほど、相手側の戦力が高いという話は入ってきていない。
「んじゃ、次の宝箱にいくぞ」
さくっと話を切り上げたゼルート。
しかしアレナはどれだけ錬金獣がマジックアイテムとしてレア度……そして危険度が高いのかを知っているので、ゼルートが持っている手札の中でトップスリーぐらいに入るほど、他者には知られたくない物だった。
64
お気に入りに追加
9,025
あなたにおすすめの小説
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
とある婚約破棄の顛末
瀬織董李
ファンタジー
男爵令嬢に入れあげ生徒会の仕事を疎かにした挙げ句、婚約者の公爵令嬢に婚約破棄を告げた王太子。
あっさりと受け入れられて拍子抜けするが、それには理由があった。
まあ、なおざりにされたら心は離れるよね。
公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)
音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。
魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。
だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。
見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。
「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。
魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます
ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう
どんどん更新していきます。
ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福論。〜飯作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜
西園寺若葉
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。
転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。
- 週間最高ランキング:総合297位
- ゲス要素があります。
- この話はフィクションです。
魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました
紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。
国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です
更新は1週間に1度くらいのペースになります。
何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。
自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。