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少年期[695]眠らせておくのは勿体ない

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「かなり有能な武器ね。派手さはないけど、誰でも扱いやすい」

扱いやすいだけではなく、基本性能が高い。
六十層のボス部屋から手に入る武器として相応しいと言えるだろう。

「……ゼルート、あなたが使ったらどう?」

「俺? なんで俺なんだよ。今回六十層のボスと戦ったのはアレナたちだろ。なら、五人のうちの誰かが使うべきだろ」

アルバラスのランクは七。
ランク七の対刃剣をアイテムバッグやポーチの中に眠らせるのは良くない。

それはゼルートも解っているが、自分にはエースとなるフロストグレイブがある。
そして五歳の時に三対一という圧倒的に不利な状況で令息たちとの勝負に勝利し、国王から褒美として受け取った超奥の手がある。

正直なところ、新しい武器は必要ない。

「でも、私はあんまり短剣の二刀流なんてスタイルで戦わないし」

刃は短剣より長いが、それでもロングソードには届かない。
二刀流で戦うことが出来ないわけではないが、それはロングソードを使っての話。

アルバラスの様な対刃剣を使った試しはない。

「そうか……なら、ここはやっぱりルウナが使うべきだな」

「むっ、私か?」

適任はルウナしかいない。
ゼルートとアレナの考えは一致していた。

ボス戦にはゲイルたちも参加していたが、三人は基本的に武器を必要としない。
ゲイルはいつも一本だけ帯剣しているが……それ以外の武器は全く使わない。
ラルはアイテムポーチの中に装備が色々と揃っているので、その日の気分で使う物を変えている。
現状、特に不満は無い。

ラームは体を他の魔物に変形させたり、スライムボディを面白おかしくして戦うことに満足している。

「……嬉しいが、ランク七の武器なのだろう。やはりゼルートが使うべきではないか?」

「俺は今のところ特にいらないよ」

ルウナも先日のオークションにて、良さげな短剣をゼルートに競り落として貰ったので、既にそれで満足している。
だが、ランク七の対刃剣……アルバラスを貰えるのは嬉しいといえば嬉しい。

「そうか……これほどの武器を腐れておくのは勿体ないし、是非とも使わせてもらおうか」

「決まりだな」

ランク七の対刃剣……Dランクの冒険者が持つの高価過ぎる武器……ではあるが、ルウナほどの実力を持つのであれば全く問題はない。

「ふふ……この剣なら、今日戦ったグリフォンぐらい綺麗にスパッと斬れそうだな」

斬れそうではなく、実際に斬れてしまう。
グリフォンはBランクの魔物ではあるが、Bランクの中では比較的防御力が低い。

加えて、アルバラスが切れ味……切断力に特化しているということもあり、グリフォンの体であればスパッと斬れてしまう。

「さぁ、次はゼルートが手に入れた宝箱ね」

「そうだったな。アレナたちと同じくまだまだあるけど、とりあえずメインのやつから開けていくか」

十階層分降りれば、道中でダンジョンが生み出した宝箱を発見することは珍しくない。
寧ろ、それだけ探索していて見つからないのは不幸といえるだろう。

ゼルートが今回の探索で手に入れた宝箱の中でメインを張るのは、やはりコロシアム七回戦クリアの報酬として手に入れた四つと、五十層のボスであるエボルサーペントを倒した報酬として手に入れた宝箱。

計五つが今回のメイン宝箱。

「……なんか、こっちの四つは開ける前から既に当たりって解るオーラが出てるわね」

「だよな。というか、コロシアムで七回戦も戦って手に入れた宝箱の中が、全く使えない者が入ってるなんてことはあり得ないだろ」

今のところ、転移トラップであるコロシアムのクリア報酬として、手に入った宝箱の中からはそれ相応の品が入っている。
ボスを討伐した際に得られる宝箱の様に、超低い確率でしょぼい物が入っているという例はない。

「よし、開けるぞ」

手慣れて様子で錠を開けていき、蓋を開ける。
すると、更に高品質オーラの輝きが強くなった。
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