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少年期[691]ちょっと比べにくい

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「ホーリーミノタウロスとミノタウロスの亜種か……どっちだろうな」

ルウナの問いに対し、直ぐには答えが出なかった。

「ど、どちらも同じぐらい、というわけか」

「いや、ほら……そもそもな話さ、ホーリーミノタウロスに関しては俺たち全員で倒しただろ」

「……そういえば確かにそうだったな」

六十層のボスとして現れたホーリーミノタウロスはゼルートたちが次々に自慢の攻撃を浴びせ、一分も掛からずに戦闘を終わらせた。

それに対し、ミノタウロス亜種はゼルートが一人でじっくりと戦って倒した。

「だからさ、あんまり細かい強さが分からなかったんだよな。勿論、ボス部屋にいたモンスターなんだから当たり前のように強いと思うんだけどさ」

「なるほどね。ゼルートの言いたい事は分かった。ミノタウロス亜種の方は一人で戦ったから、その強さは身に染みて解かった。だからどっちが強かったか、上手く優劣を付けられない。そういうことでしょ」

「そう、そういうことだ。ミノタウロス亜種は本当に強かったよ。さっきも言ったけど、タイタンスレイヤー……あの一撃は本当にヤバかった」

プロのタンクであっても、豆腐の様に斬り裂いてしまう豪斬。
戦っている相手がBランクのパーティーであれば、その一撃で壊滅してしまう可能性もある。

「モーションが大きいから、その隙に攻撃を与えることはできると思うけど、それなりに頭が回る個体だったからな……よっぽど知能が低い状態で生まれてなきゃ、一手二手三手ぐらいアクションを起こしてから、上手い感じで繰り出すと思う」

さすがAランクの魔物。思わずそう口に出してしまうほど、ミノタウロス亜種の実力は高い。
ただ、そんなミノタウロス亜種もゼルートの手に掛かれば楽しい実戦相手になってしまうのが現実だった。

「ミノタウロス亜種が放つタイタンスレイヤー、ねぇ……考えたくないわね」

「そんなに恐ろしいのか? 斧が振り下ろされる前に、なんとか攻撃して妨害してしまえば良いようなだけに思えるが」

決してルウナはミノタウロス亜種を馬鹿にしてはいない。
ただ、ステータス的に速さ寄りのルウナでは、食らう前に躱せ。

もしくは妨害してしまえという考えが強い。

「普通は……そうね、ルウナならなんとか出来てしまうかもしれないわね。ただ、ミノタウロス亜種クラスの魔物が大技を繰り出そうとすれば、技を放つ最中に妨害しようとしてもあまり意味をなさない場合があるな」

「ちょっとやそっとの攻撃では怯まないということか」

「そうよ。直ぐに逃げようとしても直撃ぐらいは免れるかもしれないけど、衝撃波や攻撃が地面に直撃した際に飛んでくる物によって多少なりともダメージは受ける」

放つ技によっては、衝撃波であって馬鹿に出来ないものがある。
ミノタウロス亜種が放った巨人殺し、タイタンスレイヤーもそのうちの一つ。

「まっ、凄い個人的な感想だし、ホーリーミノタウロスとはしっかり戦ってないから不公平な評価かもしれないけど、俺は亜種の方が強いかもしれないって感じたな」

「そうなるでしょうね……でも、聖属性を持つホーリーミノタウロスなら、回復する方法があってもおかしくないと思うのだけど」

光と聖は基本的に回復や防御に優れている属性魔法。
故に、魔法のスキルレベルが高くなくとも、その特徴は他の形として発現することもある。

「……つまり、ホーリーミノタウロスは再生のスキルを持っていたかもしれないってことか」

「その可能性は十分にあると思うの。聖魔法で回復できるかもしれないけど、種族的に魔法が得意とは思えないから……無詠唱や詠唱破棄で唱えることは多分無理」

「確かに物理特化のミノタウロスだもんな……再生のスキル持ちだと、ホーリーミノタウロスの方が総合的には強いか」

再生のスキルを持つ魔物と戦ったことがある冒険者はその厄介さは身に染みて解っており、ゼルートの言葉に対して何度も頷いていた。
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