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少年期[641]横からパンチが

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「絶好調だな、ルウナ」

「ホーリーリビングナイトはそれなりに強い魔物だった。本気を出さなければいけない程ではないが、十分に楽しめる存在に変わりはない」

ルウナは自分に殺意を持って殺しに来る魔物との戦いを好むが、相手の力が低すぎれば萎える。
ホーリーリビングナイトはCランクのモンスターではあるが、レベルが三十後半と高い。

そしてパワーだけではなく、テクニックも併せ持つ魔物。
戦いを楽しむ相手としては、申し分ない実力を持っている。

「……やっぱり人型の魔物が持っている剣はそれなりに良い物ね」

「ホーリーリビングナイトのロングソードか……確かに使えるな」

光属性の効果が付与されており、光属性の適性がなくとも光の斬撃や刺突を飛ばすことが出来る。

「……どうせなら、早速は使わせてもらおうかな」

「今持ってる武器は特に壊れてないでしょ。なのに使うの?」

「あぁ。なんか、偶にはちょっと違う武器を使うのもありかと思ってさ」

ロングソードではあるが、ゼルートの体格を考えればツーハンデットソードぐらいの大きさになる。
だが、見た目通りの筋力ではなく……巨人族ばりの力があるので、使いこなすのに全く問題はない。

「でも、次の遭遇で戦うのはアレナの番だったな」

「別に私はゼルートに譲っても良いのだけど」

「いいや、こういうのはしっかりと守らないと駄目だ。なっ!」

ゼルートの声にアレナを除く全員が頷いた。
その辺りをしっかりと守らなければ、後々強いモンスターと遭遇した時に誰が戦うかで問題が発生する可能性がある。

(……本当に皆脳筋というか、バトル脳よね)

魔物と戦う気力が有り余っているのが悪いとは思わない。
ダンジョン内ではどうしてもモンスターと遭遇してしまう。

なので、パーティーメンバーの士気が下がっているよりも、常に上がっている方が喜ばしい。

(次に遭遇する魔物はどんな個体かしら。できれば面倒なモンスターには遭遇したくないわね)

時折良い意味で冒険者らしい顔を見せるアレナだが、基本的には面倒な状況を好まない。
なので倒し辛い魔物とは遭遇したくないと願いながら階段へと進んで行くと、お待ちかねの魔物と遭遇。

「おっ、なるほど。こいつも光属性になってるのか」

「……こいつなら戦っても良いわね」

目の前に現れた魔物はゴーレム。
だが、当然ただのゴーレムではなく光属性が付与されている。

「さて、暴れてもらうわよ」

闇槍に魔力を込めることで、闇の魔力が刃から漏れ出す。
そして身体強化のスキルを発動し、バトルスタート。

「シッ!!!」

槍ゼルートよりも練度が低いが、それでも様になった動きでライトゴーレムの体に傷を増やしていく。
一つ、二つ……五つ六つ。ライトゴーレムも攻撃を防御しようと動くが、速さで完璧に負けている。

防ぐのが無理なら直接叩き潰そうとするが、全てが空振りに終わってしまう。

ライトゴーレの拳が振り下ろされる度に、綺麗な遺跡にクレーターが生まれていく。
そのクレーターの影響で動き辛い足場になったが、アレナの足が躓くことはない。

(やっぱりゴーレム系の魔物は固いわね。でも、属性の相性はこちらが有利。思ったよりダメージも通ってるみたいだし、楽勝ね)

常に距離を変えずに戦っており、ライトゴーレムは直接攻撃で攻めるしかない。
しかしスピードでアレナに敵わず、遂には片腕は斬り落とされた。

(これで攻撃の数は半減。次は片足でも斬り落として……それが終われば魔石を取り除くのに集中しても良さそうね)

この勝負の勝ちはもう決まった。ここから逆転されることはない。
その考えが好きを生み、飛んで来る攻撃に気付くのが少々遅れた。

「ッ!!!!」

アレナとライトゴーレムが戦っている間に、もう一体のライトゴーレムが乱入し、ライトロケットパンチが放たれた。

しかし寸でのところで反応し、下からかち上げて防いだ。

「面倒ね」

僅かな隙を狙って片腕を失ったライトゴーレムが全力パンチが迫るが、既にアレナの足は地面に付いていた。
そしてイラついた拍子に無意識で脚力強化を使用し、背後を取った。

「ふっ!!!」

二発目のロケットパンチが届く前に魔石が埋まっている部分をくり抜き、活動停止に追い込む。
イラついたアレナの仕事は早く、闇槍の力によってダークチェーンを使って残りの一体を足止めして頭部を破壊。

数秒ほど活動が鈍くなった瞬間に魔石が埋まっている部分を抉り、魔石を抜き取った。

「イラついても魔石を大事に扱う丁寧さは忘れない……さすがアレナだな」

後ろで観戦していたゼルートたちは丁寧で……そして最後は荒々しく動いたアレナの戦いに賞賛を送った。
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