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少年期[628]目的の物を手に入れてから
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「ところでゼルート、明日何をするのか決まってるの?」
「別に特に何も……どうせ明後日にはダンジョンに潜るんだ」
歓楽街に行ってギャンブルを楽しむのもあり、と一瞬だけ思った。
だが、夢中になってしまったら宿に帰るのが遅くなってしまうかもしれない。
カジノの営業時間は長い。
この街で営業しているカジノの店内では飲食店もあり、五・六時間滞在しても疲れることはない。
勿論、これはそれなりのお金を持っているのが大前提の話だ。
しかしゼルートの懐にはそこら辺の貴族が裸足で逃げだす様な財産がある。
爵位の高い貴族であっても、個人で自由に使えるお金は人によってバラバラだ。
(久しぶりにカジノに行くのもありだけど……時間を忘れて居れそうだからな。そんなに遊び続けてたら次の日の朝、予定通りに起きれなくなるかもしれない)
パーティーで稼いだお金は基本的に、リーダーであるゼルートが管理している。
武器や道具の心配はいらない。
既にダンジョンの宝箱の中から大量に手に入れている。
品質はまばらだが、それでも上等な物もいくつか入っていた。
宿屋代に関しても、今泊っている宿のランクなら一年以上止まっていても懐の心配をする必要はない。
そしてそれらの経費を除いた金額を自由に使えると考えれば……その財力は伯爵や侯爵に負けていない。
「……もしかして、カジノに行きたいの?」
「なんでバレた」
「特に理由は無いわね。ただの勘よ」
本当に理由は無い。
表情にカジノに行きたいという思いが溢れている訳でもなく、いつも通りの表情。
鋭い女の勘が働いたりもしていない。
あてずっぽうで言ったら当たってしまったのだ。
「ちょっと行ってみたいなとは思ったけど、翌日にダンジョン探索を再開するって考えると、あんまり夜遅くまで遊ぶのはよろしくないだろ」
「まぁ……そうね」
ゼルートは朝早く起きようと思えば起きられる。
だが、普段は満足するまで爆睡している。
睡眠欲を完全に満たしてからダンジョンに潜るには、ある程度夜になればベッドに入って寝ておかなければならない。
「別に出発する時間をずらせば良いんじゃないのか? 昼過ぎから出発しても問題はないと思うが」
「そうかもしれないけど……まだ目的を達成してないんだし、やめておく」
「そうね。カジノとかで遊ぶのは聖魔石を手に入れたからにした方が良いでしょうね」
六十階層のボスを倒せば手に入るかもしれない、特殊な鉱石。
ただ、宝箱の中に確実に入ってはいない。
寧ろ確率は低い。
修羅場を乗り越えてやっとボスの魔物を倒せたとしても、確実に聖魔石が手に入る訳ではない。
聖魔石が目的でボスに挑んだ冒険者たちからすれば、そんな状況ほど奈落の底に突き落とされるものはない。
しかしゼルートにはとっておきの策がある。
(他の聖魔石を狙っている冒険者達には悪いが、俺たちは確実に聖魔石をいただく)
まだそういった状況で試したことはないが、自分が考え付いた方法は絶対に上手くいくという確信があった。
(もし一回目が失敗したら……空間魔法で転移するか?)
五十一階層から六十階層への転移。
それは決して不可能な話ではない。
だが、問題が全く無い訳ではなく……転移した際に、他の冒険者に現場を見られる可能性がある。
(転移の罠に引っ掛かったって言えば押し通せるかもしれないけど、疑う人は疑うよな。でも、五十一階層から六十階層へ移動するとなれば、それなりに時間が必要になる)
スタミナが多いパーティーだが、五十一階層から六十階層に出現する魔物は今までと戦ってきた個体とは異なり、強さがワンステージ上がっている。
それでも、ゼルートたちが負けることはない。
負けることはないが……体調管理を怠った状態で探索をしていれば、不意を突かれてしまうかもしれない。
不安要素を考えれば、一日中探索を続けるというのは好ましくない。
「明日どうするかは、明日になってから考えるよ。今日はもう風呂に入ったら寝る」
満腹感で睡魔が襲ってきたので、直ぐにベッドで寝たくなってしまった。
「別に特に何も……どうせ明後日にはダンジョンに潜るんだ」
歓楽街に行ってギャンブルを楽しむのもあり、と一瞬だけ思った。
だが、夢中になってしまったら宿に帰るのが遅くなってしまうかもしれない。
カジノの営業時間は長い。
この街で営業しているカジノの店内では飲食店もあり、五・六時間滞在しても疲れることはない。
勿論、これはそれなりのお金を持っているのが大前提の話だ。
しかしゼルートの懐にはそこら辺の貴族が裸足で逃げだす様な財産がある。
爵位の高い貴族であっても、個人で自由に使えるお金は人によってバラバラだ。
(久しぶりにカジノに行くのもありだけど……時間を忘れて居れそうだからな。そんなに遊び続けてたら次の日の朝、予定通りに起きれなくなるかもしれない)
パーティーで稼いだお金は基本的に、リーダーであるゼルートが管理している。
武器や道具の心配はいらない。
既にダンジョンの宝箱の中から大量に手に入れている。
品質はまばらだが、それでも上等な物もいくつか入っていた。
宿屋代に関しても、今泊っている宿のランクなら一年以上止まっていても懐の心配をする必要はない。
そしてそれらの経費を除いた金額を自由に使えると考えれば……その財力は伯爵や侯爵に負けていない。
「……もしかして、カジノに行きたいの?」
「なんでバレた」
「特に理由は無いわね。ただの勘よ」
本当に理由は無い。
表情にカジノに行きたいという思いが溢れている訳でもなく、いつも通りの表情。
鋭い女の勘が働いたりもしていない。
あてずっぽうで言ったら当たってしまったのだ。
「ちょっと行ってみたいなとは思ったけど、翌日にダンジョン探索を再開するって考えると、あんまり夜遅くまで遊ぶのはよろしくないだろ」
「まぁ……そうね」
ゼルートは朝早く起きようと思えば起きられる。
だが、普段は満足するまで爆睡している。
睡眠欲を完全に満たしてからダンジョンに潜るには、ある程度夜になればベッドに入って寝ておかなければならない。
「別に出発する時間をずらせば良いんじゃないのか? 昼過ぎから出発しても問題はないと思うが」
「そうかもしれないけど……まだ目的を達成してないんだし、やめておく」
「そうね。カジノとかで遊ぶのは聖魔石を手に入れたからにした方が良いでしょうね」
六十階層のボスを倒せば手に入るかもしれない、特殊な鉱石。
ただ、宝箱の中に確実に入ってはいない。
寧ろ確率は低い。
修羅場を乗り越えてやっとボスの魔物を倒せたとしても、確実に聖魔石が手に入る訳ではない。
聖魔石が目的でボスに挑んだ冒険者たちからすれば、そんな状況ほど奈落の底に突き落とされるものはない。
しかしゼルートにはとっておきの策がある。
(他の聖魔石を狙っている冒険者達には悪いが、俺たちは確実に聖魔石をいただく)
まだそういった状況で試したことはないが、自分が考え付いた方法は絶対に上手くいくという確信があった。
(もし一回目が失敗したら……空間魔法で転移するか?)
五十一階層から六十階層への転移。
それは決して不可能な話ではない。
だが、問題が全く無い訳ではなく……転移した際に、他の冒険者に現場を見られる可能性がある。
(転移の罠に引っ掛かったって言えば押し通せるかもしれないけど、疑う人は疑うよな。でも、五十一階層から六十階層へ移動するとなれば、それなりに時間が必要になる)
スタミナが多いパーティーだが、五十一階層から六十階層に出現する魔物は今までと戦ってきた個体とは異なり、強さがワンステージ上がっている。
それでも、ゼルートたちが負けることはない。
負けることはないが……体調管理を怠った状態で探索をしていれば、不意を突かれてしまうかもしれない。
不安要素を考えれば、一日中探索を続けるというのは好ましくない。
「明日どうするかは、明日になってから考えるよ。今日はもう風呂に入ったら寝る」
満腹感で睡魔が襲ってきたので、直ぐにベッドで寝たくなってしまった。
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