438 / 1,043
連載
少年期[594]適材適所
しおりを挟む
「そろそろ俺達の番だな」
ゼルート達が夕食を食べ始めてから二時間が、並んでいるパーティーはゼルート達が一番先頭になっていた。
後ろに数組のパーティーが並んでいるがゼルートの見た目を侮り、ルウナとアレナの魅力に眼が眩んで絡んでくる冒険者はいなかった。
その理由はいたって単純であり、Bランク冒険者である韋駄天のベーザルがギルド内でぶっ飛ばされるのを見ていたので、ゼルートに絡むような命知らずな行動はしない。
「どれぐらいが抜けたと思う?」
「……ここまで来るとマジで解らん。全員それなりの強さを持っていた。持っているマジックアイテムによって攻略出来るかどうか変わってくる」
本当にゼルートも自分達の前に並んでいた冒険者達が何組抜けたのか予測出来ない。
「とりあえず俺達が負けることはない。それで良いだろ」
自分達より先に並んでいた冒険者達の中で、ゼルートの知り合いはいない。
強いて言うならば、自分達から料理を買った冒険者達は生きてればいいなと思うぐらいだった。
「そうね。それで、次は誰が戦うの?」
四十階層のボスはメタルゴーレムの上位種となるメタルゴーレムナイト、メタルゴーレムタンク、メタルゴーレムファイター、そして上空から攻撃を行うメタルバードの四体。
上位種のナイトとファイターは上位種とは思えないほど速く動き、メタルバードが放つ羽は鋭く敵に刺さる。
タンクは通常のゴーレム系と同じく動きは遅いが、堅い。そして仲間を守ることに特化している。
魔法を使う魔物はいないが、それでも全員が防御力に優れている。
倒すためには通常の戦闘よりも長い時間が必要になる。
「今度は私が出ましょう」
「それでは自分も参加します……ラーム、お前も一緒にどうだ? 三十層のボス戦ではあまり満足出来なかっただろ」
「う~~ん……そうだな。僕も参加するよ!!! ルウナも一緒にやろうよ」
「……そうだな。数は丁度四対四になる」
一人が一体を相手する。
そんな作戦を聞いた他の冒険者達はバカなのかと思ってしまう。
パーティーの力を全て出し切って倒す相手。それがボスだ。
他のボス戦街の冒険者達は四十階層のボスとどっこいどっこいの実力なので、全力で潰しに行くべき相手。
しかしゼルート達は一人で一体を相手にしようとしている。
ただ、ゼルートの実力を思い出した者は仲間の実力も相当なのだろうと予測し、心配するのを止めた。
「ゼルート、入れるようになったみたいだぞ」
「よし、行くか」
戦う前に気合を入れることはなく、祈ることもなくゼルート達はボス部屋の中に入って行く。
中に入るとそこには無傷のメタルゴーレムの上位種が三体とメタルバードが飛んでいた。
「血の匂いは多少残っているが、そこまで濃くはない。前のパーティーはどうやら倒したみたいだな」
「そうか。それじゃ……自由に倒しちゃってくれ」
ゼルートの言葉が戦闘開始の合図となり、ゲイル達は一斉に自分の獲物に向かって突っ込む。
ラルはメタルバードに挑む、ゲイルはメタルゴーレムナイトに斬り掛かる。
ラームは無数の触手パンチでメタルゴーレムタンクを殴り始め、ルウナも自慢の拳でメタルゴーレムファイターに接近戦を仕掛ける。
「……大体は適材適所なのだけど、ラームだけ色々とおかしいわよね」
「まぁ、ちょっとな。でも……レベル差と手数もあって有利なのは断然ラームだけどな」
スライムとメタルゴーレムタンク。
その二体を比べるとまず体の大きさが違い過ぎる。
メタルゴーレムタンクが足で踏んでしまえばそれだけでプチっと潰れてしまう。
しかし普通のスライムではないラームは無数の触手を拳の形に変え、殴って殴って殴りまくる。
一発では倒せないのは当然。だが、全体的に攻撃しているのでメタルゴーレムタンクも中々前に出ることが出来ない。
(……あれだな、ゴ〇ゴ〇の〇ト〇ン〇だな。一発で貫くことはなくても凹んではいるし、タンクだから動きも遅いから避けられない……お互いの能力を考えれば適材適所だったかもな)
殴っているラームは今のところ体に痛みはないので、終わりが着実に近づいてきていた。
本日、冒険したい創造スキル持ちの転生者、二巻が発売されました。
今回もみことあけみさんのお陰でルウナとアレナがカラーで登場します!!
是非単行本でお楽しみください!!!
ゼルート達が夕食を食べ始めてから二時間が、並んでいるパーティーはゼルート達が一番先頭になっていた。
後ろに数組のパーティーが並んでいるがゼルートの見た目を侮り、ルウナとアレナの魅力に眼が眩んで絡んでくる冒険者はいなかった。
その理由はいたって単純であり、Bランク冒険者である韋駄天のベーザルがギルド内でぶっ飛ばされるのを見ていたので、ゼルートに絡むような命知らずな行動はしない。
「どれぐらいが抜けたと思う?」
「……ここまで来るとマジで解らん。全員それなりの強さを持っていた。持っているマジックアイテムによって攻略出来るかどうか変わってくる」
本当にゼルートも自分達の前に並んでいた冒険者達が何組抜けたのか予測出来ない。
「とりあえず俺達が負けることはない。それで良いだろ」
自分達より先に並んでいた冒険者達の中で、ゼルートの知り合いはいない。
強いて言うならば、自分達から料理を買った冒険者達は生きてればいいなと思うぐらいだった。
「そうね。それで、次は誰が戦うの?」
四十階層のボスはメタルゴーレムの上位種となるメタルゴーレムナイト、メタルゴーレムタンク、メタルゴーレムファイター、そして上空から攻撃を行うメタルバードの四体。
上位種のナイトとファイターは上位種とは思えないほど速く動き、メタルバードが放つ羽は鋭く敵に刺さる。
タンクは通常のゴーレム系と同じく動きは遅いが、堅い。そして仲間を守ることに特化している。
魔法を使う魔物はいないが、それでも全員が防御力に優れている。
倒すためには通常の戦闘よりも長い時間が必要になる。
「今度は私が出ましょう」
「それでは自分も参加します……ラーム、お前も一緒にどうだ? 三十層のボス戦ではあまり満足出来なかっただろ」
「う~~ん……そうだな。僕も参加するよ!!! ルウナも一緒にやろうよ」
「……そうだな。数は丁度四対四になる」
一人が一体を相手する。
そんな作戦を聞いた他の冒険者達はバカなのかと思ってしまう。
パーティーの力を全て出し切って倒す相手。それがボスだ。
他のボス戦街の冒険者達は四十階層のボスとどっこいどっこいの実力なので、全力で潰しに行くべき相手。
しかしゼルート達は一人で一体を相手にしようとしている。
ただ、ゼルートの実力を思い出した者は仲間の実力も相当なのだろうと予測し、心配するのを止めた。
「ゼルート、入れるようになったみたいだぞ」
「よし、行くか」
戦う前に気合を入れることはなく、祈ることもなくゼルート達はボス部屋の中に入って行く。
中に入るとそこには無傷のメタルゴーレムの上位種が三体とメタルバードが飛んでいた。
「血の匂いは多少残っているが、そこまで濃くはない。前のパーティーはどうやら倒したみたいだな」
「そうか。それじゃ……自由に倒しちゃってくれ」
ゼルートの言葉が戦闘開始の合図となり、ゲイル達は一斉に自分の獲物に向かって突っ込む。
ラルはメタルバードに挑む、ゲイルはメタルゴーレムナイトに斬り掛かる。
ラームは無数の触手パンチでメタルゴーレムタンクを殴り始め、ルウナも自慢の拳でメタルゴーレムファイターに接近戦を仕掛ける。
「……大体は適材適所なのだけど、ラームだけ色々とおかしいわよね」
「まぁ、ちょっとな。でも……レベル差と手数もあって有利なのは断然ラームだけどな」
スライムとメタルゴーレムタンク。
その二体を比べるとまず体の大きさが違い過ぎる。
メタルゴーレムタンクが足で踏んでしまえばそれだけでプチっと潰れてしまう。
しかし普通のスライムではないラームは無数の触手を拳の形に変え、殴って殴って殴りまくる。
一発では倒せないのは当然。だが、全体的に攻撃しているのでメタルゴーレムタンクも中々前に出ることが出来ない。
(……あれだな、ゴ〇ゴ〇の〇ト〇ン〇だな。一発で貫くことはなくても凹んではいるし、タンクだから動きも遅いから避けられない……お互いの能力を考えれば適材適所だったかもな)
殴っているラームは今のところ体に痛みはないので、終わりが着実に近づいてきていた。
本日、冒険したい創造スキル持ちの転生者、二巻が発売されました。
今回もみことあけみさんのお陰でルウナとアレナがカラーで登場します!!
是非単行本でお楽しみください!!!
66
お気に入りに追加
9,033
あなたにおすすめの小説
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
婚約破棄され森に捨てられました。探さないで下さい。
拓海のり
ファンタジー
属性魔法が使えず、役に立たない『自然魔法』だとバカにされていたステラは、婚約者の王太子から婚約破棄された。そして身に覚えのない罪で断罪され、修道院に行く途中で襲われる。他サイトにも投稿しています。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!
明衣令央
ファンタジー
糸井織絵は、ある日、オブルリヒト王国が行った聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界ルリアルークへと飛ばされてしまう。
一緒に召喚された、若く美しい女が聖女――織絵は召喚の儀に巻き込まれた年増の豚女として不遇な扱いを受けたが、元スマホケースのハリネズミのぬいぐるみであるサーチートと共に、オブルリヒト王女ユリアナに保護され、聖女の力を開花させる。
だが、オブルリヒト王国の王子ジュニアスは、追い出した織絵にも聖女の可能性があるとして、織絵を連れ戻しに来た。
そして、異世界転移状態から正式に異世界転生した織絵は、若く美しい姿へと生まれ変わる。
この物語は、聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界転移後、新たに転生した一人の元おばさんの聖女が、相棒の元スマホケースのハリネズミと楽しく無双していく、恋と冒険の物語。
2022.9.7 話が少し進みましたので、内容紹介を変更しました。その都度変更していきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。