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少年期[594]適材適所

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「そろそろ俺達の番だな」

ゼルート達が夕食を食べ始めてから二時間が、並んでいるパーティーはゼルート達が一番先頭になっていた。
後ろに数組のパーティーが並んでいるがゼルートの見た目を侮り、ルウナとアレナの魅力に眼が眩んで絡んでくる冒険者はいなかった。

その理由はいたって単純であり、Bランク冒険者である韋駄天のベーザルがギルド内でぶっ飛ばされるのを見ていたので、ゼルートに絡むような命知らずな行動はしない。

「どれぐらいが抜けたと思う?」

「……ここまで来るとマジで解らん。全員それなりの強さを持っていた。持っているマジックアイテムによって攻略出来るかどうか変わってくる」

本当にゼルートも自分達の前に並んでいた冒険者達が何組抜けたのか予測出来ない。

「とりあえず俺達が負けることはない。それで良いだろ」

自分達より先に並んでいた冒険者達の中で、ゼルートの知り合いはいない。
強いて言うならば、自分達から料理を買った冒険者達は生きてればいいなと思うぐらいだった。

「そうね。それで、次は誰が戦うの?」

四十階層のボスはメタルゴーレムの上位種となるメタルゴーレムナイト、メタルゴーレムタンク、メタルゴーレムファイター、そして上空から攻撃を行うメタルバードの四体。

上位種のナイトとファイターは上位種とは思えないほど速く動き、メタルバードが放つ羽は鋭く敵に刺さる。
タンクは通常のゴーレム系と同じく動きは遅いが、堅い。そして仲間を守ることに特化している。

魔法を使う魔物はいないが、それでも全員が防御力に優れている。
倒すためには通常の戦闘よりも長い時間が必要になる。

「今度は私が出ましょう」

「それでは自分も参加します……ラーム、お前も一緒にどうだ? 三十層のボス戦ではあまり満足出来なかっただろ」

「う~~ん……そうだな。僕も参加するよ!!! ルウナも一緒にやろうよ」

「……そうだな。数は丁度四対四になる」

一人が一体を相手する。
そんな作戦を聞いた他の冒険者達はバカなのかと思ってしまう。

パーティーの力を全て出し切って倒す相手。それがボスだ。

他のボス戦街の冒険者達は四十階層のボスとどっこいどっこいの実力なので、全力で潰しに行くべき相手。
しかしゼルート達は一人で一体を相手にしようとしている。

ただ、ゼルートの実力を思い出した者は仲間の実力も相当なのだろうと予測し、心配するのを止めた。

「ゼルート、入れるようになったみたいだぞ」

「よし、行くか」

戦う前に気合を入れることはなく、祈ることもなくゼルート達はボス部屋の中に入って行く。

中に入るとそこには無傷のメタルゴーレムの上位種が三体とメタルバードが飛んでいた。

「血の匂いは多少残っているが、そこまで濃くはない。前のパーティーはどうやら倒したみたいだな」

「そうか。それじゃ……自由に倒しちゃってくれ」

ゼルートの言葉が戦闘開始の合図となり、ゲイル達は一斉に自分の獲物に向かって突っ込む。
ラルはメタルバードに挑む、ゲイルはメタルゴーレムナイトに斬り掛かる。
ラームは無数の触手パンチでメタルゴーレムタンクを殴り始め、ルウナも自慢の拳でメタルゴーレムファイターに接近戦を仕掛ける。

「……大体は適材適所なのだけど、ラームだけ色々とおかしいわよね」

「まぁ、ちょっとな。でも……レベル差と手数もあって有利なのは断然ラームだけどな」

スライムとメタルゴーレムタンク。
その二体を比べるとまず体の大きさが違い過ぎる。

メタルゴーレムタンクが足で踏んでしまえばそれだけでプチっと潰れてしまう。
しかし普通のスライムではないラームは無数の触手を拳の形に変え、殴って殴って殴りまくる。

一発では倒せないのは当然。だが、全体的に攻撃しているのでメタルゴーレムタンクも中々前に出ることが出来ない。

(……あれだな、ゴ〇ゴ〇の〇ト〇ン〇だな。一発で貫くことはなくても凹んではいるし、タンクだから動きも遅いから避けられない……お互いの能力を考えれば適材適所だったかもな)

殴っているラームは今のところ体に痛みはないので、終わりが着実に近づいてきていた。



本日、冒険したい創造スキル持ちの転生者、二巻が発売されました。
今回もみことあけみさんのお陰でルウナとアレナがカラーで登場します!!

是非単行本でお楽しみください!!!
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