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少年期[590]自分ならどうするか
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ダイブとシーラと別れたゼルート達はそのまま四十階層まで降り、四十階層のセーフティーポイントで一夜を明かすことにした。
道中、特に問題無く進むことが出来た。
しかしゼルートの口数が明らかに少なくなっていた。
それに全員が気付いていたが、敢えて尋ねなかった。
そこで夕食が終わり、テントの中に入ったところでルウナとアレナが軽くテンションが下がっている理由を尋ねた。
「ゼルート、少し元気がないが何かあったか?」
「ルウナの言う通りよ。お腹が痛いとかそういう理由じゃないわよね」
病気という線も疑ったが、ゼルートは病気に罹るような生活を送っていないので可能性は低い。
ルーキーなら初めて人を殺した夜などは中々眠れなくなるが、ゼルートが人を殺したのは今回が初めてではない。
そもそも今回殺したのは間接的にゼルートが主導で行っただけで、ゼルートが自らの手で殺したわけではない。
「あぁ、大丈夫だ。体に異常はない」
「そう、それは良かったわ。でも……元気がないのには理由があるんでしょ」
「……そう、だな」
自分の中で溜まっている感情を説明しようか迷った。
だが、二人に話しても大丈夫だろうと思ったゼルートはゆっくりと口を開いた。
「俺はさ……プイーレがやったことは勿論許されないことだと思ってる。でも、敵わない恋をどうにかして手に入れる為にルールを……法を破って相手の気持ちを踏みにじってしまったあいつの気持ちは……解らなくもないんだ。ほら、俺の前世は軽く説明したろ」
ゼルートは既に自分の前世がどのようなものだったのかを説明していた。
特に取り柄が無い普通の学生……そして彼女が一人もいたことが無い。
好きな人が出来ても、彼女は一度もいなかったのだ。
(俺には神様から貰った力と元々この体に才能があったから誰かに嫉妬することなく人生を過ごせてきたし、今のところ惚れた女性が手の届かない人物だった、なんて経験も無い)
プイーレはお世辞にもイケメンと呼べる容姿では無い。
それに比べてダイブはナイスガイなイケメンであり、ある程度モテる男だろうと殆どの者が思う。
二人にどれだけの実力差があるかはゼルートも知らないが、女性がどちらに惚れるかと訊かれたら絶対にダイブだと答える。
「だからその……モテない、もしくは自分が惚れた相手が絶対に手に入らないって気持ちが良く解るんだよ。気持ちを自分に向けるにしても、もう少しやり方はあっただろって思うけどな」
「そうねぇ……男子二人と女子一人のパーティーだとそういうトラブルが偶に起きるって聞くわ」
「恋愛トラブル、か。やはり人間関係を上手く続けるのは大変なのだな」
アレナとルウナはゼルートの考えを聞いて特に引くことはなかった。
そもそもゼルートはそういった気持ちを持っていても、プイーレのように道を逸れることはないと解っている。
なのでゼルートがプイーレの気持ちが解かると言っても、女には解らない部分があるのだろうと思うだけだった。
「……二人共反応が薄いな」
「だってゼルートが恋愛事情で法を犯すとは思えないしねぇ~~……ちなみにゼルートならそういった状況であれば、どうやって気持ちを振り向かせるのかしら」
「えっと、そうだなぁ……やっぱり気持ちが揺れ動く時ってのは助けられた時だと思うんだよ。だから自分が惚れている女の子を華麗に助けるっていうシチュエーションを造る。その為に結構金が掛かると思うけどな」
普段は異性としての好意を持っておらずとも、そういったシチュエーションになれば必然と傍にいる相手が男だと意識せざるを得ない。
「簡単なのは自分達が倒せる確率が低いモンスターを倒すってのが一番効果的かな。まずは二人でそういった場所に移る方法を考えないといけないけど」
「なるほどなるほど。流石ゼルート、策士ね。そして大量の金はそのモンスターを倒すために必要な資金というわけね」
「そういう事だ。なるべく使い捨ての道具が好ましい。それと速攻で倒してしまうのは良くない。ある程度……二分から三分くらいは戦って三割から四割程度ダメージを与えて、最後に一撃をぶちかまして倒すってのが良いかなって思う」
「……確かに一撃倒してしまうとこう……あまり危機的状況ではなかったと思ってしまうかもしれないわね」
「ゼルートは良くそんな難しい事を考えるな。惚れている相手に好いている異性がいるなら、そいつに決闘を挑んで奪うのが一番手っ取り早い気がするがな」
獣人らしい考え方だと二人は思ったが、流石に人族の間ではもう少し相手の心に配慮しなければならない。
(まっ、完全になしではないよな。それこそしっかりとシチュエーションをつくれば良いだけだし)
今回の一件でゼルートは心から好きだと思える異性が現れた時は慎重に行動しようと思えた。
道中、特に問題無く進むことが出来た。
しかしゼルートの口数が明らかに少なくなっていた。
それに全員が気付いていたが、敢えて尋ねなかった。
そこで夕食が終わり、テントの中に入ったところでルウナとアレナが軽くテンションが下がっている理由を尋ねた。
「ゼルート、少し元気がないが何かあったか?」
「ルウナの言う通りよ。お腹が痛いとかそういう理由じゃないわよね」
病気という線も疑ったが、ゼルートは病気に罹るような生活を送っていないので可能性は低い。
ルーキーなら初めて人を殺した夜などは中々眠れなくなるが、ゼルートが人を殺したのは今回が初めてではない。
そもそも今回殺したのは間接的にゼルートが主導で行っただけで、ゼルートが自らの手で殺したわけではない。
「あぁ、大丈夫だ。体に異常はない」
「そう、それは良かったわ。でも……元気がないのには理由があるんでしょ」
「……そう、だな」
自分の中で溜まっている感情を説明しようか迷った。
だが、二人に話しても大丈夫だろうと思ったゼルートはゆっくりと口を開いた。
「俺はさ……プイーレがやったことは勿論許されないことだと思ってる。でも、敵わない恋をどうにかして手に入れる為にルールを……法を破って相手の気持ちを踏みにじってしまったあいつの気持ちは……解らなくもないんだ。ほら、俺の前世は軽く説明したろ」
ゼルートは既に自分の前世がどのようなものだったのかを説明していた。
特に取り柄が無い普通の学生……そして彼女が一人もいたことが無い。
好きな人が出来ても、彼女は一度もいなかったのだ。
(俺には神様から貰った力と元々この体に才能があったから誰かに嫉妬することなく人生を過ごせてきたし、今のところ惚れた女性が手の届かない人物だった、なんて経験も無い)
プイーレはお世辞にもイケメンと呼べる容姿では無い。
それに比べてダイブはナイスガイなイケメンであり、ある程度モテる男だろうと殆どの者が思う。
二人にどれだけの実力差があるかはゼルートも知らないが、女性がどちらに惚れるかと訊かれたら絶対にダイブだと答える。
「だからその……モテない、もしくは自分が惚れた相手が絶対に手に入らないって気持ちが良く解るんだよ。気持ちを自分に向けるにしても、もう少しやり方はあっただろって思うけどな」
「そうねぇ……男子二人と女子一人のパーティーだとそういうトラブルが偶に起きるって聞くわ」
「恋愛トラブル、か。やはり人間関係を上手く続けるのは大変なのだな」
アレナとルウナはゼルートの考えを聞いて特に引くことはなかった。
そもそもゼルートはそういった気持ちを持っていても、プイーレのように道を逸れることはないと解っている。
なのでゼルートがプイーレの気持ちが解かると言っても、女には解らない部分があるのだろうと思うだけだった。
「……二人共反応が薄いな」
「だってゼルートが恋愛事情で法を犯すとは思えないしねぇ~~……ちなみにゼルートならそういった状況であれば、どうやって気持ちを振り向かせるのかしら」
「えっと、そうだなぁ……やっぱり気持ちが揺れ動く時ってのは助けられた時だと思うんだよ。だから自分が惚れている女の子を華麗に助けるっていうシチュエーションを造る。その為に結構金が掛かると思うけどな」
普段は異性としての好意を持っておらずとも、そういったシチュエーションになれば必然と傍にいる相手が男だと意識せざるを得ない。
「簡単なのは自分達が倒せる確率が低いモンスターを倒すってのが一番効果的かな。まずは二人でそういった場所に移る方法を考えないといけないけど」
「なるほどなるほど。流石ゼルート、策士ね。そして大量の金はそのモンスターを倒すために必要な資金というわけね」
「そういう事だ。なるべく使い捨ての道具が好ましい。それと速攻で倒してしまうのは良くない。ある程度……二分から三分くらいは戦って三割から四割程度ダメージを与えて、最後に一撃をぶちかまして倒すってのが良いかなって思う」
「……確かに一撃倒してしまうとこう……あまり危機的状況ではなかったと思ってしまうかもしれないわね」
「ゼルートは良くそんな難しい事を考えるな。惚れている相手に好いている異性がいるなら、そいつに決闘を挑んで奪うのが一番手っ取り早い気がするがな」
獣人らしい考え方だと二人は思ったが、流石に人族の間ではもう少し相手の心に配慮しなければならない。
(まっ、完全になしではないよな。それこそしっかりとシチュエーションをつくれば良いだけだし)
今回の一件でゼルートは心から好きだと思える異性が現れた時は慎重に行動しようと思えた。
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