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少年期[581]方法はある
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「にしても、街中で歩いている時に結構視線を感じたな」
「……もしかして狙っているというか、観察されてる感じの視線か?」
「そうだな。ゲスな男共が向けてくるような視線ではなかった」
ゼルートも街中で馬鹿共以外から種類の違う視線を感じていた。
それはルウナだけではなく、アレナも同じだった。
「私にも似た様な視線を向けられていたわ」
「アレナにもか……いったいどんな奴らが向けてたんだろうな」
視線を向けられているということは解っていた。
だが、実際にどんな奴が自分達に視線を向けていたのかは確認していない。
「もしかしてだけど、クランの連中が私達を観察していたのかもしれないわね」
「へぇ~~、クランか。それなら納得出来るな」
大型ダンジョンであるホーリーパレス。
それを効率攻略しようと考えれば一つのパーティーだけで攻略しようとするのは基本的に不可能だと解る。
なので多くの冒険者がクランに入り、徐々に下層を攻略していく。
「確か破滅の竜槍、金色の拳、王者の咆哮、とかが有名どころのクランかしら」
(……なんか、クラン名というよりは二つ名やスキルの名前って感じだな)
王者の咆哮というスキルは確かに実在する。
ただ、そのクランは王者の咆哮を実際に持っている者がトップに立っているので、おかしくはない……と言える。
「なら、そこに在籍してる連中が俺らの事を見てたって訳か」
「多分ね。もしかしたら他のクランの人かもしれないけど」
ゼルートが悪獣をソロで倒したという話が事実であれば、是非とも自身のクランに入って欲しいと願う。
そしてトップを走っている三つのクランを追い抜けるかもしれない、そう考えているクランは少なくない。
「クラン、ねぇ……基本的に興味無いというか、誰かに縛られるつもりはないからな」
「基本的に自由にしていても良いと言われてもか?」
「俺が基本的に自由にしていたら色んなところをウロチョロしてるからまともに連絡取れないだろ」
離れていても連絡が取れるマジックアイテムを使えば問題無いが、遠距離でも会話が出来るマジックアイテムはおそろしく値段が高い。
ゼルートなら迷いなく出せる値段かもしれないが、他の冒険者ならそうもいかない。
「つか、もしかしたら俺達に絡んでくる可能性があるってことか」
「そういうことね。ダンジョンを攻略している最中はあまり喧嘩とかしたくない存在ね」
破滅の竜槍、金色の拳、王者の咆哮。この三つとは特に喧嘩したくないとアレナは思っている。
ゼルートがそこのトップと戦って負けるとは思っていない。だが、仲が悪くなると今後のダンジョン探索に影響するのは間違いない。
(悪獣をソロで倒すゼルートに勝てる奴はいない……筈よね? あっ、でもこの街ではなくダンジョンそのものにしか用は無いんだし、ずっとダンジョンの中に籠っていれば問題はないかもしれないわね)
ずっとダンジョンの中で生活する。
そんな事、基本的には無理な話だ。物理的に出来たとしても、まずは先に精神が限界を迎える。
だが、ゼルートが持っている特性テントや食材の量を考えれば飢えて死ぬ心配もない。
なので目的を達成するまでダンジョンで生活し続けることは可能。
それを考えれば大手のクランと揉め事を起こしても大した障害にはならない。
「……どうしたんだアレナ、急に難しい顔をして」
「いえ、ちょっと色々考えてしまっただけよ」
「クランとの衝突についてか? 俺からは仕掛けるつもりはないからな」
「解ってるよ。でも、向こうから喧嘩を売ってきたら買うつもりでしょ」
「そりゃ当然、買うに決まってるだろ」
相手から売られた喧嘩であれば必ず買い、しっかりと潰す。
その辺りの考えは全く変わっていない。
「でしょうね。普通なら大問題に発展してもおかしくないのだけど、今回は大丈夫そうだなと思ったのよ」
「……そうなのか? まっ、欲しい物手に入れたらこの街から離れるから喧嘩しても大丈夫だろ」
いやいや、普通に問題ありで大丈夫では無い。
ただ、アレナも良い感じに感覚が狂ってきているのでそう思ってしまっていた。
「……もしかして狙っているというか、観察されてる感じの視線か?」
「そうだな。ゲスな男共が向けてくるような視線ではなかった」
ゼルートも街中で馬鹿共以外から種類の違う視線を感じていた。
それはルウナだけではなく、アレナも同じだった。
「私にも似た様な視線を向けられていたわ」
「アレナにもか……いったいどんな奴らが向けてたんだろうな」
視線を向けられているということは解っていた。
だが、実際にどんな奴が自分達に視線を向けていたのかは確認していない。
「もしかしてだけど、クランの連中が私達を観察していたのかもしれないわね」
「へぇ~~、クランか。それなら納得出来るな」
大型ダンジョンであるホーリーパレス。
それを効率攻略しようと考えれば一つのパーティーだけで攻略しようとするのは基本的に不可能だと解る。
なので多くの冒険者がクランに入り、徐々に下層を攻略していく。
「確か破滅の竜槍、金色の拳、王者の咆哮、とかが有名どころのクランかしら」
(……なんか、クラン名というよりは二つ名やスキルの名前って感じだな)
王者の咆哮というスキルは確かに実在する。
ただ、そのクランは王者の咆哮を実際に持っている者がトップに立っているので、おかしくはない……と言える。
「なら、そこに在籍してる連中が俺らの事を見てたって訳か」
「多分ね。もしかしたら他のクランの人かもしれないけど」
ゼルートが悪獣をソロで倒したという話が事実であれば、是非とも自身のクランに入って欲しいと願う。
そしてトップを走っている三つのクランを追い抜けるかもしれない、そう考えているクランは少なくない。
「クラン、ねぇ……基本的に興味無いというか、誰かに縛られるつもりはないからな」
「基本的に自由にしていても良いと言われてもか?」
「俺が基本的に自由にしていたら色んなところをウロチョロしてるからまともに連絡取れないだろ」
離れていても連絡が取れるマジックアイテムを使えば問題無いが、遠距離でも会話が出来るマジックアイテムはおそろしく値段が高い。
ゼルートなら迷いなく出せる値段かもしれないが、他の冒険者ならそうもいかない。
「つか、もしかしたら俺達に絡んでくる可能性があるってことか」
「そういうことね。ダンジョンを攻略している最中はあまり喧嘩とかしたくない存在ね」
破滅の竜槍、金色の拳、王者の咆哮。この三つとは特に喧嘩したくないとアレナは思っている。
ゼルートがそこのトップと戦って負けるとは思っていない。だが、仲が悪くなると今後のダンジョン探索に影響するのは間違いない。
(悪獣をソロで倒すゼルートに勝てる奴はいない……筈よね? あっ、でもこの街ではなくダンジョンそのものにしか用は無いんだし、ずっとダンジョンの中に籠っていれば問題はないかもしれないわね)
ずっとダンジョンの中で生活する。
そんな事、基本的には無理な話だ。物理的に出来たとしても、まずは先に精神が限界を迎える。
だが、ゼルートが持っている特性テントや食材の量を考えれば飢えて死ぬ心配もない。
なので目的を達成するまでダンジョンで生活し続けることは可能。
それを考えれば大手のクランと揉め事を起こしても大した障害にはならない。
「……どうしたんだアレナ、急に難しい顔をして」
「いえ、ちょっと色々考えてしまっただけよ」
「クランとの衝突についてか? 俺からは仕掛けるつもりはないからな」
「解ってるよ。でも、向こうから喧嘩を売ってきたら買うつもりでしょ」
「そりゃ当然、買うに決まってるだろ」
相手から売られた喧嘩であれば必ず買い、しっかりと潰す。
その辺りの考えは全く変わっていない。
「でしょうね。普通なら大問題に発展してもおかしくないのだけど、今回は大丈夫そうだなと思ったのよ」
「……そうなのか? まっ、欲しい物手に入れたらこの街から離れるから喧嘩しても大丈夫だろ」
いやいや、普通に問題ありで大丈夫では無い。
ただ、アレナも良い感じに感覚が狂ってきているのでそう思ってしまっていた。
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