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少年期[562]覚えのあるパーティー

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「はぁ~~~~……そろそろ日が暮れそうなタイミングでこれは、ちょっと運が悪いな」

「そうね、確かにタイミングが悪かったわね」

サイクロプスを倒し終えた後、二十七階層まで駆け下りたゼルート達はそれそろ野営を行おうと思っていたタイミングで魔物の大量発生に遭遇した。

しかもその場にはゼルート達だけではなく、他の冒険者達もいた。

ゼルート達には逃げるという選択肢は無く、殲滅を選ぶ。
二つのパーティーは出来れば逃げようと考えていたが、このままでは追いつかれて結局死ぬと思い、ゼルート達と協力して魔物の殲滅に参加する。

「ウィンドアロー」

『ウォーターアロー』

『サンダーアロー』

ゼルートとラーㇺとラルはそれぞれアロー系の魔法を使用し、無数の矢で魔物を討伐。
魔物の中には矢の側での反応する個体もいるが、自動追尾の性能を持つ矢からは逃げられずに急所を貫かれてしまう。

「ふっ!」

「はっ!!」

「ふんッ!!」

アレナとゲイルは多数の魔力の斬撃を放ち、ルウナは次々に魔物の体に拳や蹴りをぶち込んで貫通させていく。
そして五分ほどで魔物の大量発生は鎮圧された。

「……特に強いモンスターはいなかったし、こんなもんか」

「そうね、一番上はCランクの魔物。数はそこそこ多かったけど、束になったところでという話ね」

魔物の中には魔法や属性魔力を含んだ攻撃を行う個体もいたが、それらの攻撃がゼルート達に当たることは無かった。
それどころか、その攻撃で位置がバレてしまって速攻で反撃を食らってしまう。

「あんたらは大丈夫か?」

「あ、あぁ。お前達が一緒に戦ってくれたお陰でな」

「突然の出来事だったからな。成り行きだ」

「それでも助かったよ。君達がいなかったら僕達は今頃魔物達に殺され、餌にされていたかもしれない」

二つのパーティーのリーダーが代表してゼルート達に感謝の言葉を述べる。
戦いながらゼルート達の戦いぶりは見ており、自分達より遥かに短時間で魔物を倒していく様子は英雄の様に思えた。

(本当に、このパーティーが一緒に戦ってくれなかったら、絶対にあの世行だったぜ。にしても……リザードマンとドラゴンとスライムの従魔……どっかで聞いたことがある面子だな)

(見た目は子供だが、決して子供だと侮れない実力を持っている。それに他のパーティーメンバーもDランクやCランクの魔物を特に苦戦する事無く倒していた。それにしても特徴的な従魔達だ)

そこで二人のリーダーは同じ事を思った。
なので、まずは自己紹介から始める。

「俺はデラックだ。砂塵ってパーティーのリーダーだ」

「僕はオーラス。堅牢のリーダーを務めている」

二人から自己紹介を受けたので、流れでゼルートも自己紹介を行う。

「どうも、ゼルートだ、ランクはDでまだパーティーの名前は決めてない」

サラッと軽く自己紹介をしたゼルートだが、その名前を聞いた瞬間に八人の表情が驚きや納得の色に変わる。

「やっぱり、君が覇王戦鬼のゼルート君だったんだね」

「うっ、えっと……なんか、そんな感じで呼ばれてるらしい、な」

ゼルートとしてはまだその二つ名候補の呼ばれ方には慣れていないので、普通に恥ずかしさがある。

「二人共上に帰る途中だったのか?」

その二つ名で呼ばれるのには抵抗があるので、即座に話題を変える。

「あぁ、のんびりとニ十層に戻るつもりだったんだが突然、なぁ」

「僕達も一緒ですね」

「そうなのか。それで……これはどうする?」

ゼルート達の周囲には無数の魔物の死体が転がっている。
デラックもオーラスも魔物の素材や魔石が欲しいが、流石に数が多い。

二チームともベテランの域に達しているので解体スピードは速いが、それでもこの量を解体するのにはかなりの時間が必要になる。

そして解体をしている間に魔物が襲ってくるとも限らないので、基本的には放置するしかない。

「今回はそのまま放置だな。量が量だけにな」

「デラックの言う通りですね。本来なら魔石だけでも欲しいのですが」

「それなら、今ここで解体しようぜ」

サラッと提案するゼルート。だが、その提案を聞いた八人の目が点になった。

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