392 / 1,043
連載
少年期[548]睨みで退かせる
しおりを挟む
韋駄天のベーザルと少々対立した夜、ゼルート達は金に余裕があるのでいつも通り少しランクの高い宿に泊まった。
そして夕食を美味い飯を腹一杯になるまで食べ、風呂に入って就寝。
その翌日、ゼルート達は朝食を食べると早速ダンジョンへと向かう。
「階層が深くなるにつれて光属性の魔物が増えてくるのだけど……ゼルートがいれば問題無さそうね」
「……いや、どうだろうな? 確かに俺は闇魔法を使えるけど、襲ってくる魔物の両次第では結構めんどくさいんじゃないか?」
「それもそうね。一応光属性を持つ魔物用の武器を買っておいた方が良いかも」
魔法の才に溢れるゼルートは問題無く闇魔法が使える。
普段は相手の精神を弄ったりする事にしか使っていないが、勿論攻撃魔法も放つ事が出来る。
だが、ゼルートの仲間であるアレナ達も魔法の才は一般人に比べればあるが、ラームを除いて闇魔法を使えない。
しかしそのラームも闇魔法のスキルレベルはそこまで高くない。
雑魚を消すには適しているが、強敵を倒すには少々威力に欠ける。
「まっ、初っ端の階層から光属性のモンスターが現れることは無いんだろ。それなら最初から用意する必要は無いだろ」
なるべく早く聖魔鋼を手に入れたいゼルート達だが、そこまで直ぐに手に入るとは思っていない。
いや、正確には一発で聖魔鋼が手に入る可能性が高い方法がある。
だが……流石にゼルートはそれを実行しようとは思わなかった。
「僕の力を使えばサラッと手に入るかもしれないのに」
「そりゃあなぁ……ラームの力を使えばサラッと手に入るかもしれないけど、流石にそれをああいう場所以外で使うのはな」
ゼルートとしてはカジノで他人から運を奪ってしまう事に抵抗は無い。
ただ、ダンジョンで探索している冒険者や街中の人から運を奪うのは気が引ける。
「……ねぇ、思ったのだけどそれは魔物相手にも通じるの?」
「どうなんだろ? 試したこと無いから分からないや。でも、多分出来るんじゃないかな?」
「可能性はあるかもな。でも、奪ったものがいつまで続くのか……そしていつ発動するのか、それは解らない。というか、ダンジョン内ではそれが作用する件がしょっちゅう起きるだろ。だから難しいと思うんだよ、結局」
「なるほどねぇ~~~。とりあえず、今回の探索では一旦考えるのを止めといて良いかもしれないわね」
「う~~~~ん……分かった!!!」
運はどういった場面で発動するのか、それは本当にゼルートも解らない。
ラームは運を奪うことは出来るが、運を操ることが出来る訳じゃ無い。
(ここばかりは何回もトライするしかないよな)
そしてダンジョンに入る為に並んでいる冒険者達の列にゼルートも並び、順番を待つ。
特に時間が掛かる訳では無いが、無駄にプライドが高い冒険者はここでイライラする者が多い。
ただ、ギルドとしてもダンジョンに潜っている冒険者の名前と目的は確認しておきたい。
その記録のお陰で救出された冒険者も極稀にだがいる。
列に並んだゼルート達だが、やはり周囲の冒険者達から視線が寄せられる。
異色の面子であり、大半が美女美少女で構成されている。
ゲイルは厳つい顔をしているが、それでもイケメンの部類に入る。
そしてゼルートとラームの子供組も容姿が高い部類。
なので全員が容姿を集める原因を持っている。
冒険者の中にはアレナやルウナをナンパしたいと考えている冒険者がやはりいるが、そんな輩に対してゲイルが厳しい視線を送る。
すると面白い程に下心がある冒険者達は顔を明後日の方向に向く。
「相変わらず二人は人気だな」
そんな視線にパーティーのリーダーであるゼルートも気が付いており、その視線が向けられている二人も気付いていた。
「若い頃は多少の優越感? みたいな感覚はあったけど、今は鬱陶しいだけね」
「アレナに同感だ。どうせ全て下心でしかないだろ」
「まぁ~~~……基本的にはそうだろうな」
まだまだ若い冒険者、ルーキー達には二人に恋心と憧れが混ざったような感情を持つ場合もある。
「でも、そろそろ俺達の番だ。その視線も感じなくなる」
そして夕食を美味い飯を腹一杯になるまで食べ、風呂に入って就寝。
その翌日、ゼルート達は朝食を食べると早速ダンジョンへと向かう。
「階層が深くなるにつれて光属性の魔物が増えてくるのだけど……ゼルートがいれば問題無さそうね」
「……いや、どうだろうな? 確かに俺は闇魔法を使えるけど、襲ってくる魔物の両次第では結構めんどくさいんじゃないか?」
「それもそうね。一応光属性を持つ魔物用の武器を買っておいた方が良いかも」
魔法の才に溢れるゼルートは問題無く闇魔法が使える。
普段は相手の精神を弄ったりする事にしか使っていないが、勿論攻撃魔法も放つ事が出来る。
だが、ゼルートの仲間であるアレナ達も魔法の才は一般人に比べればあるが、ラームを除いて闇魔法を使えない。
しかしそのラームも闇魔法のスキルレベルはそこまで高くない。
雑魚を消すには適しているが、強敵を倒すには少々威力に欠ける。
「まっ、初っ端の階層から光属性のモンスターが現れることは無いんだろ。それなら最初から用意する必要は無いだろ」
なるべく早く聖魔鋼を手に入れたいゼルート達だが、そこまで直ぐに手に入るとは思っていない。
いや、正確には一発で聖魔鋼が手に入る可能性が高い方法がある。
だが……流石にゼルートはそれを実行しようとは思わなかった。
「僕の力を使えばサラッと手に入るかもしれないのに」
「そりゃあなぁ……ラームの力を使えばサラッと手に入るかもしれないけど、流石にそれをああいう場所以外で使うのはな」
ゼルートとしてはカジノで他人から運を奪ってしまう事に抵抗は無い。
ただ、ダンジョンで探索している冒険者や街中の人から運を奪うのは気が引ける。
「……ねぇ、思ったのだけどそれは魔物相手にも通じるの?」
「どうなんだろ? 試したこと無いから分からないや。でも、多分出来るんじゃないかな?」
「可能性はあるかもな。でも、奪ったものがいつまで続くのか……そしていつ発動するのか、それは解らない。というか、ダンジョン内ではそれが作用する件がしょっちゅう起きるだろ。だから難しいと思うんだよ、結局」
「なるほどねぇ~~~。とりあえず、今回の探索では一旦考えるのを止めといて良いかもしれないわね」
「う~~~~ん……分かった!!!」
運はどういった場面で発動するのか、それは本当にゼルートも解らない。
ラームは運を奪うことは出来るが、運を操ることが出来る訳じゃ無い。
(ここばかりは何回もトライするしかないよな)
そしてダンジョンに入る為に並んでいる冒険者達の列にゼルートも並び、順番を待つ。
特に時間が掛かる訳では無いが、無駄にプライドが高い冒険者はここでイライラする者が多い。
ただ、ギルドとしてもダンジョンに潜っている冒険者の名前と目的は確認しておきたい。
その記録のお陰で救出された冒険者も極稀にだがいる。
列に並んだゼルート達だが、やはり周囲の冒険者達から視線が寄せられる。
異色の面子であり、大半が美女美少女で構成されている。
ゲイルは厳つい顔をしているが、それでもイケメンの部類に入る。
そしてゼルートとラームの子供組も容姿が高い部類。
なので全員が容姿を集める原因を持っている。
冒険者の中にはアレナやルウナをナンパしたいと考えている冒険者がやはりいるが、そんな輩に対してゲイルが厳しい視線を送る。
すると面白い程に下心がある冒険者達は顔を明後日の方向に向く。
「相変わらず二人は人気だな」
そんな視線にパーティーのリーダーであるゼルートも気が付いており、その視線が向けられている二人も気付いていた。
「若い頃は多少の優越感? みたいな感覚はあったけど、今は鬱陶しいだけね」
「アレナに同感だ。どうせ全て下心でしかないだろ」
「まぁ~~~……基本的にはそうだろうな」
まだまだ若い冒険者、ルーキー達には二人に恋心と憧れが混ざったような感情を持つ場合もある。
「でも、そろそろ俺達の番だ。その視線も感じなくなる」
67
お気に入りに追加
9,033
あなたにおすすめの小説
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
聖女のはじめてのおつかい~ちょっとくらいなら国が滅んだりしないよね?~
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女メリルは7つ。加護の権化である聖女は、ほんとうは国を離れてはいけない。
「メリル、あんたももう7つなんだから、お使いのひとつやふたつ、できるようにならなきゃね」
と、聖女の力をあまり信じていない母親により、ひとりでお使いに出されることになってしまった。
異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!
明衣令央
ファンタジー
糸井織絵は、ある日、オブルリヒト王国が行った聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界ルリアルークへと飛ばされてしまう。
一緒に召喚された、若く美しい女が聖女――織絵は召喚の儀に巻き込まれた年増の豚女として不遇な扱いを受けたが、元スマホケースのハリネズミのぬいぐるみであるサーチートと共に、オブルリヒト王女ユリアナに保護され、聖女の力を開花させる。
だが、オブルリヒト王国の王子ジュニアスは、追い出した織絵にも聖女の可能性があるとして、織絵を連れ戻しに来た。
そして、異世界転移状態から正式に異世界転生した織絵は、若く美しい姿へと生まれ変わる。
この物語は、聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界転移後、新たに転生した一人の元おばさんの聖女が、相棒の元スマホケースのハリネズミと楽しく無双していく、恋と冒険の物語。
2022.9.7 話が少し進みましたので、内容紹介を変更しました。その都度変更していきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。