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少年期[543]崩れること無い、その表情
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「……君は、君の我儘で仲間を殺す気かい?」
「そんな訳無いだろ。悪いが、俺の仲間はお前が思っているような雑魚じゃ無く、強者だ」
そんなゼルートの言葉を誇らしく思うようにアレナ以外が胸を張って嬉しそうな表情になる。
(……なんでこういう展開になるのかしらね。この人達が言っている事は間違っていないのだけど……でも、正直邪魔ではあるわね)
アレナもゼルートの仲間になってからレベルが上がり、実力が確実に上がっていた。
それにゼルート達強者との模擬戦を何回も行う事で実戦で直感も鋭くなっている。
「だから……退け、三下」
第三者から見ればゼルートの方が三下に思える状況なのだが、そのゼルートから相手に向かって三下呼ばわりされたBランクの冒険者達。
そんな状況に周囲の冒険者達は思わず吹き出してしまい、笑い声が自然と大きくなる。
「ブハッハッハッハッ!!!!! おい、ベーザル。ルーキーに完全に嘗められてるぜ」
「ハッハッハ、中々にバチバチしてるルーキーじゃねぇーか。こりゃ一勝負起きそうじゃねぇか?」
「あり得そうだな。でも、あの坊主じゃなぁ……後ろの綺麗な姉ちゃんか厳つい面した男ならもしかしたら勝っちまうかもな」
「それは十分にあり得そうだな……賭けるか?」
「とりあえず戦わないと始まらないけどなぁ・・・・・・ただ、普段は優男なベーザルにも面子がある。このまま引き下がりはしないだろうな」
冒険者は嘗められたら終わりだ、そう思う者は多い。
なので初対面の相手には嘗められない様に強気な態度で対応する事が多い。
そういう事情を考えれば、ゼルートのベーザルに対する態度は間違ってはいないだろう。
ただ、明らかに自分より歳下のルーキーにここまでデカい態度を取られて黙っていられる程、心は広くない。
「……ふぅーーーー、冒険者は生意気な態度ぐらいが丁度良いなんて言われている。それは間違っていないと思うよ、でもね・・・・・・君の場合は少し調子に乗り過ぎかな」
言い終えたその一瞬、ベーザルから全力の戦意と少々の敵意が溢れ出す。
一般的なルーキーがその圧を受ければ失神……失禁してもおかしく無い。
事実といて、ギルド内にいるルーキー達はその圧を向けられていないのに、息苦しく感じている者がいる。
だが……その圧はゼルートにとってそよ風に等しい。
(はぁーーーー……Bランクにしては、そこそこって感じなんだろうな。でも、父さん達みたいなAランクの圧力は感じない。というか・・・・・・悪獣の敵意や殺意に比べれば超しょぼい)
激戦、激闘を乗り越えてきたゼルートはベーザルの圧を受けても一切表情は変わらない。
それにベーザル達は少々疑問を抱いた。
何故Bランクである冒険者の圧を受けてルーキーが全く引かないのか。
理由は浮かばなくも無いが、それでも納得出来るものでは無い。
「ハッ、しょぼい圧だな。俺の父さんの方がよっぽどおっかないね。というか、言っても解からない様だし・・・・・・直接体に教えてやらないと解らない感じか? それなら最初に言ってくれよ。ちゃんと教えてやるからよ」
初めから同じ、全くゼルートは引かない。
そんなゼルートの姿勢に好感を持つ冒険者達も現れだす。
「おいおいベーザル、ルーキーが折角誘ってるんだから乗ってやれよ」
「そうだそうだ、韋駄天の名が泣くぜ!」
韋駄天、その二つ名を聞いてゼルートは直ぐにベーザルがどの様な戦闘スタイルなのか解った。
(韋駄天……よっぽど脚の速さには自信があるみたいだな。でも、それは俺も一緒なんだよな)
韋駄天という速さを象徴するような二つ名を持っているだけあって、確かにベーザルは速い。
ただ、その速さはゼルートより上なのか……それは実際に戦ってみたいなと解らない。
「……あれだな、随分と舞台が出来上がってきたみたいだけど・・・・・・さぁ、どうする? 韋駄天のベーザル」
「そんな訳無いだろ。悪いが、俺の仲間はお前が思っているような雑魚じゃ無く、強者だ」
そんなゼルートの言葉を誇らしく思うようにアレナ以外が胸を張って嬉しそうな表情になる。
(……なんでこういう展開になるのかしらね。この人達が言っている事は間違っていないのだけど……でも、正直邪魔ではあるわね)
アレナもゼルートの仲間になってからレベルが上がり、実力が確実に上がっていた。
それにゼルート達強者との模擬戦を何回も行う事で実戦で直感も鋭くなっている。
「だから……退け、三下」
第三者から見ればゼルートの方が三下に思える状況なのだが、そのゼルートから相手に向かって三下呼ばわりされたBランクの冒険者達。
そんな状況に周囲の冒険者達は思わず吹き出してしまい、笑い声が自然と大きくなる。
「ブハッハッハッハッ!!!!! おい、ベーザル。ルーキーに完全に嘗められてるぜ」
「ハッハッハ、中々にバチバチしてるルーキーじゃねぇーか。こりゃ一勝負起きそうじゃねぇか?」
「あり得そうだな。でも、あの坊主じゃなぁ……後ろの綺麗な姉ちゃんか厳つい面した男ならもしかしたら勝っちまうかもな」
「それは十分にあり得そうだな……賭けるか?」
「とりあえず戦わないと始まらないけどなぁ・・・・・・ただ、普段は優男なベーザルにも面子がある。このまま引き下がりはしないだろうな」
冒険者は嘗められたら終わりだ、そう思う者は多い。
なので初対面の相手には嘗められない様に強気な態度で対応する事が多い。
そういう事情を考えれば、ゼルートのベーザルに対する態度は間違ってはいないだろう。
ただ、明らかに自分より歳下のルーキーにここまでデカい態度を取られて黙っていられる程、心は広くない。
「……ふぅーーーー、冒険者は生意気な態度ぐらいが丁度良いなんて言われている。それは間違っていないと思うよ、でもね・・・・・・君の場合は少し調子に乗り過ぎかな」
言い終えたその一瞬、ベーザルから全力の戦意と少々の敵意が溢れ出す。
一般的なルーキーがその圧を受ければ失神……失禁してもおかしく無い。
事実といて、ギルド内にいるルーキー達はその圧を向けられていないのに、息苦しく感じている者がいる。
だが……その圧はゼルートにとってそよ風に等しい。
(はぁーーーー……Bランクにしては、そこそこって感じなんだろうな。でも、父さん達みたいなAランクの圧力は感じない。というか・・・・・・悪獣の敵意や殺意に比べれば超しょぼい)
激戦、激闘を乗り越えてきたゼルートはベーザルの圧を受けても一切表情は変わらない。
それにベーザル達は少々疑問を抱いた。
何故Bランクである冒険者の圧を受けてルーキーが全く引かないのか。
理由は浮かばなくも無いが、それでも納得出来るものでは無い。
「ハッ、しょぼい圧だな。俺の父さんの方がよっぽどおっかないね。というか、言っても解からない様だし・・・・・・直接体に教えてやらないと解らない感じか? それなら最初に言ってくれよ。ちゃんと教えてやるからよ」
初めから同じ、全くゼルートは引かない。
そんなゼルートの姿勢に好感を持つ冒険者達も現れだす。
「おいおいベーザル、ルーキーが折角誘ってるんだから乗ってやれよ」
「そうだそうだ、韋駄天の名が泣くぜ!」
韋駄天、その二つ名を聞いてゼルートは直ぐにベーザルがどの様な戦闘スタイルなのか解った。
(韋駄天……よっぽど脚の速さには自信があるみたいだな。でも、それは俺も一緒なんだよな)
韋駄天という速さを象徴するような二つ名を持っているだけあって、確かにベーザルは速い。
ただ、その速さはゼルートより上なのか……それは実際に戦ってみたいなと解らない。
「……あれだな、随分と舞台が出来上がってきたみたいだけど・・・・・・さぁ、どうする? 韋駄天のベーザル」
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