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少年期[537]とりあえず届けよう
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「……なん、だこれ?」
盗賊達が貯め込んでいたお宝の中に他の物とは比べ物にならない程に高級感を醸し出す箱を発見した。
(……少し重いな)
他にはとある紋章が施されていた。
そしておそるおそるゼルートが箱の蓋を開けると……中に素人でも上等と解るほどの短剣が入っていた。
(綺麗な装飾だな。でも、それだけじゃないだろ)
高級感醸し出す箱をそっと置き、短剣の鞘を引き抜く。
姿を見せた刃は透き通るほどの透明さを持ちながらも確かな重さを解る者は解らせる。
(素材にはミスリルが使われている、よな……鑑定したくない)
一先ず誰かにとってはとてつもなく重要な者だという事は解ったゼルート。
「どうしたんだゼルート、そんな深刻そうな顔をして」
「……ルウナ、お前はこれをどう見る」
「随分と豪華な短剣だな。それに相当な業物だと……これは、紋章が入っているのか」
「そうだ。柄の部分に入っている紋章と同じのがこの蓋にも記されている。これは……ただ戦う者の為に造られた短剣じゃないよな」
「おそらくそうだろうな。直ぐに思い浮かぶのは……贈り物だな」
貴族から貴族への贈り物。
子息や令嬢が結婚した、昇格した、領地を得て領主となった。
交流がある貴族にはその度に何かを送る。
そこには自身の財力を示すといった感情は無く、単純に祝うための感情が籠った贈り物が多い。
(これが何のために作られたのかなんて知らない。でも、これを職人に造らせる家の爵位が低いとは思えない。ただ、面倒ごとに巻き込まれたく無いとはいえ、これを放っておくのはなぁ……)
敵対する相手には基本的に容赦なく叩き潰す、もしくは自身に牙を向いたことを後悔させならがら殺すゼルート。
そんな面もあるが、何かと困っている人を見捨てない面もある。
「ゼルート、これはどうするんだ?」
「どうするの?」
「・・・・・・はぁーーーーーー。とりあえずクリーワイトの街まで持っていかないとな」
面倒なことになるかもしれない。
しかしそれでもゼルートは短剣を持っていくと決めた。
ただ、その為にはやらなければいけない事があった。
アジトに残っていた盗賊を殺した場所まで戻り、転がっていた盗賊の頭をアイテムバッグの中に入れる。
「死体がないと俺がこの短剣を奪った思われるかもしれないからな」
「あんまり盗賊に掛けられている懸賞金を気にしないゼルートが珍しいなと思ったが、そういうことだったか」
「でも、鑑定で調べちゃえばその人の場所まで持って行けるじゃん。なんでそうしないの?」
「なんでって、おそらくこれは貴族の品だ。こんな物本人に持っていったら面倒なことになりそうだろ」
盗賊の死体があれば誤解される可能性は低い。
ただ、ゼルートはそういった悪い意味での面倒事は無いだろうと思っていた。
単純に必要以上に貴族とは関わらない決めているゼルートだからこそ、礼金等を貰えるとしても自ら関わろうとは思わない。
「でも、本人に届けばその人からお礼の手紙とか来て、一度会いたい的な事を言われるんじゃないの? もしそうなったらどうするの?」
「そうなったら……まっ、なるようになるだろ」
そうなったら仕方ない。
相手の立場を考えれば、ゼルートがそちらに向かわなければならない可能性もある。
(……食事ぐらいなら付き合わないとな)
親は現役当主。引退したとしても、兄が当主となる。
ゼルートが貴族と面倒事を起こせば、家族にしわ寄せがいくかもしれない。
(潰すと決めた相手以外はある程度普通に相手しないとな)
「ゼルート……ちょっと大人になったか?」
「急にどうしたんだよルウナ。俺はまだまだ子供だっての」
「いや、なんというか……今のお前には表情に余裕がある。少し前ならその短剣を近くの街に渡すにしても、面倒な気持ちが全面的に出ていた筈だ」
「そんなことは……あるか。まっ、多少は大人になったのかもな」
前世と含め、ゼルートの合計年齢はそろそろ三十となる。
ただ、実際のところゼルートの精神年齢は高校生程と変わらなかった。
「さて、さっさと戻るぞ」
盗賊達が貯め込んでいたお宝の中に他の物とは比べ物にならない程に高級感を醸し出す箱を発見した。
(……少し重いな)
他にはとある紋章が施されていた。
そしておそるおそるゼルートが箱の蓋を開けると……中に素人でも上等と解るほどの短剣が入っていた。
(綺麗な装飾だな。でも、それだけじゃないだろ)
高級感醸し出す箱をそっと置き、短剣の鞘を引き抜く。
姿を見せた刃は透き通るほどの透明さを持ちながらも確かな重さを解る者は解らせる。
(素材にはミスリルが使われている、よな……鑑定したくない)
一先ず誰かにとってはとてつもなく重要な者だという事は解ったゼルート。
「どうしたんだゼルート、そんな深刻そうな顔をして」
「……ルウナ、お前はこれをどう見る」
「随分と豪華な短剣だな。それに相当な業物だと……これは、紋章が入っているのか」
「そうだ。柄の部分に入っている紋章と同じのがこの蓋にも記されている。これは……ただ戦う者の為に造られた短剣じゃないよな」
「おそらくそうだろうな。直ぐに思い浮かぶのは……贈り物だな」
貴族から貴族への贈り物。
子息や令嬢が結婚した、昇格した、領地を得て領主となった。
交流がある貴族にはその度に何かを送る。
そこには自身の財力を示すといった感情は無く、単純に祝うための感情が籠った贈り物が多い。
(これが何のために作られたのかなんて知らない。でも、これを職人に造らせる家の爵位が低いとは思えない。ただ、面倒ごとに巻き込まれたく無いとはいえ、これを放っておくのはなぁ……)
敵対する相手には基本的に容赦なく叩き潰す、もしくは自身に牙を向いたことを後悔させならがら殺すゼルート。
そんな面もあるが、何かと困っている人を見捨てない面もある。
「ゼルート、これはどうするんだ?」
「どうするの?」
「・・・・・・はぁーーーーーー。とりあえずクリーワイトの街まで持っていかないとな」
面倒なことになるかもしれない。
しかしそれでもゼルートは短剣を持っていくと決めた。
ただ、その為にはやらなければいけない事があった。
アジトに残っていた盗賊を殺した場所まで戻り、転がっていた盗賊の頭をアイテムバッグの中に入れる。
「死体がないと俺がこの短剣を奪った思われるかもしれないからな」
「あんまり盗賊に掛けられている懸賞金を気にしないゼルートが珍しいなと思ったが、そういうことだったか」
「でも、鑑定で調べちゃえばその人の場所まで持って行けるじゃん。なんでそうしないの?」
「なんでって、おそらくこれは貴族の品だ。こんな物本人に持っていったら面倒なことになりそうだろ」
盗賊の死体があれば誤解される可能性は低い。
ただ、ゼルートはそういった悪い意味での面倒事は無いだろうと思っていた。
単純に必要以上に貴族とは関わらない決めているゼルートだからこそ、礼金等を貰えるとしても自ら関わろうとは思わない。
「でも、本人に届けばその人からお礼の手紙とか来て、一度会いたい的な事を言われるんじゃないの? もしそうなったらどうするの?」
「そうなったら……まっ、なるようになるだろ」
そうなったら仕方ない。
相手の立場を考えれば、ゼルートがそちらに向かわなければならない可能性もある。
(……食事ぐらいなら付き合わないとな)
親は現役当主。引退したとしても、兄が当主となる。
ゼルートが貴族と面倒事を起こせば、家族にしわ寄せがいくかもしれない。
(潰すと決めた相手以外はある程度普通に相手しないとな)
「ゼルート……ちょっと大人になったか?」
「急にどうしたんだよルウナ。俺はまだまだ子供だっての」
「いや、なんというか……今のお前には表情に余裕がある。少し前ならその短剣を近くの街に渡すにしても、面倒な気持ちが全面的に出ていた筈だ」
「そんなことは……あるか。まっ、多少は大人になったのかもな」
前世と含め、ゼルートの合計年齢はそろそろ三十となる。
ただ、実際のところゼルートの精神年齢は高校生程と変わらなかった。
「さて、さっさと戻るぞ」
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