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少年期[536]やっぱり来た

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「……まぁ、来るかなとは思ってたけど」

「良い感じの獲物に見えるんでしょうね」

「そう見えてしまうという事は、相手の視る目が無いということだろう」

ホーリーパレスという名のダンジョンが存在する街、クリーワイトに向かうゼルート達一行。
そしてゲイル達は気分転換という事で人の姿のまま移動している。
なので外からは美女、美少女が三人。そして男の子が二人にいかつい面をした男が一人というパーティーに見える。

ぱっと見て実力が高そうなのはゲイルのみ。
しかしゼルート達三人はキッチリと武装している。
だが、それでも盗賊達には美味しい獲物に見えてしまった。

「人を見た目で判断するな・・・・・・なんて教わって無いか」

「ひっ!!!!」

仲間は全て殺され、一人だけ生き残った盗賊。
面倒なのはいかつい面をした男一人だけ、そいつだけなんとかしてしまえば問題無い。後で美味しい思いが出来ると思って気が緩んでいた。

ただ、狙った獲物と自分達との実力差があまりに開き過ぎていた。
良いカモだと思っていたら実は自分達を蹴散らす程の力を有していた。

しかし、男がそれを認識するには少々遅すぎた。

ゼルートに目を向けられた男はその瞳から発せられる威圧感に怯える。
怯えて怯えて後ろに下がり続け、気に激突する。

「なっ、あっ、お、襲ったことは謝「あ~~~、お前の謝罪とかどうでも良いから、喋るな。銅貨一枚の価値も無いから」ッ!!!???」

男の言葉を遮り、ゼルートは腰を落として男との目線を合わせる。
それが更に男に恐怖心を与える。

(あ、あり得ないだろ!! な、ななな何なんだよこのガキは!!!???)

今まで自分達が襲ってきた子供達からは全く感じたことが無い威圧感、まるで幾千もの戦いを超えてきた強者の雰囲気。

しかしそれは事実であり、文字通りゼルートは幾千の戦いを超えてきた実力者。
己の才に驕らずに上を向いている。

「だから、お前の記憶を見させてもらうな」

「あが、が……」

「・・・・・・はいはいはい、なるほどね」

闇魔法を使い、男からアジトまでの道のりが分ったゼルートは魔法を解除する。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁっ!!!」

脳を、意識を掴まれて中身を見られていた男は言葉では言い表せない様な不快感から解放される。
ただ……その解放から待っていたのは自由では無かった。

「そんじゃ、お疲れさん」

腕から伸ばされた魔力の刃で首を一閃。
首は綺麗に切断され、体が前に倒れると同時に首も崩れ落ちた。

「さて……誰が来る?」

「私は今回パスで」

「私は行くぞ」

「僕も行こうかな」

「……アレナさんとラームが行くなら大丈夫ですね」

「そうだな。自分はここで待っているとしよう」

ルウナとラームはゼルートと一緒に参加。アレナとラルとゲイル不参加に決定。

「そんじゃ、サクッと終わらせてくる」

自分達を襲ってきた盗賊のレベルを考えれば、アジトにいる盗賊達も大した実力は持っていない。
そう考えてアジトに突っ込んだゼルートだが……その読みは的中し、盗賊団は見事に壊滅した。

「お、お前ら! 俺達にな、なんの恨みが「お前らは盗賊で俺達は冒険者」

盗賊団の頭が言い終わる前にゼルートは事実を淡々と述べる。

「俺がお前達を殺せばおそらく賞金が手に入るだろう。そしてお前達が消えれば助かる人達がいる……俺達冒険者がお前達盗賊団を殺す理由はそれで十分だろ」

普段より一段階低い声で殺す理由を伝え、問答無用でその首を跳ねる。
盗賊の頭は下っ端の盗賊と比べれば多少なりとも強かったが、それでもゼルート達の相手にはならない。

(盗賊団全体を考えれば大したことは無かったな。でも、頭はBランクに近いCランクの冒険者って感じの実力だったか)

それだけの実力があったとしても、全く遠慮する必要が無いと解かったゼルートに抵抗できる訳も無く、呆気なく終了。

ただ、盗賊団を壊滅させたことでゼルートの仕事が一つ増えてしまった。
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