377 / 1,026
連載
少年期[533]素材はどこで手に入るのか
しおりを挟む
ギルドの中へと入ったゼルート達は直ぐに受付嬢に呼ばれ、バジル・ラーガスからの指名依頼が届いている事を伝えられる。
「報酬は白金貨二枚と金貨五十枚と破格ですが、その・・・・・・依頼内容が曖昧かと」
「あぁ……まぁ、確かに曖昧ですね」
バジル・ラーガスからの依頼内容は報酬額に見合う素材と記されており、どの様な素材が欲しいとは書かれていない。
(依頼内容がこれだと受付嬢も完全に受けた方が良いですよとは勧められないよな。白金貨二枚と金貨五十枚分に見合う素材ねぇ……ははっ、集め甲斐がありそうじゃん)
高ランクの冒険者であっても少々躊躇う依頼内容だが、ゼルートとしては寧ろテンションが上がる依頼内容。
ルウナもゼルートと同じく楽しそうな冒険が待っていると思い、ワクワクしている。
ただアレナだけ少々不安な気持ちがあった。
(あの学生の様子からしてゼルートが持ってきた素材に文句は言わなさそうだけど、白金貨三枚と五十枚を息子に渡す親なのだから伯爵ぐらいの地位はありそうだけど……いや、寧ろゼルートが子供の頃に起こした事件を知ってるでしょうし、下手に文句を付けてくるような真似はしないでしょう)
ゼルートだから問題は無い、最終的にそういう結論に至った。
「でも、向こうとは依頼が来る前に約束していたので大丈夫ですよ」
「そ、そうなのですか? それならこちらの指名依頼を受理しておきますね」
「お願いします」
手続きを終わらせたゼルート達はギルドから出ず、聖剣を造るのに必要な情報を集める。
(……重要なのは聖魔鋼とそれに見合う鉱石。おれとバジル・ラーガスは雷魔法のスキルを持っていたから、ある程度の強さを持つ雷属性の魔物の素材を集めれば大丈夫か)
その三つを集めればバジル・ラーガスが求める聖剣に見合う物が造れる。
そしてそれらの素材が手に入る可能性がある場所に関してはゴージャルからそこそこの距離がある。
ただ、ゼルート達の移動速を考えれば大して気にする必要は無い。
問題があるとすれば、聖魔鋼が比較的手に入りやすい場所だった。
「ダンジョン……ホーリーパレス」
「懐かしい名前ね。昔何度か潜ったことがあるわ」
元Aランク冒険者時代、アレナは聖魔鋼が比較的手に入りやすいホーリーパレスに挑んだことがある。
ただ、ダンジョンの中に生息する魔物の強さが他のダンジョンと比べて桁違いに高く、階層は今のところ六十五階層まで確認されているが、最下層は今のところ確認されていない。
「かなり難易度が高いダンジョンよ。確か六十階層の魔物を倒した時に聖魔鋼が宝箱に入ってるのよね」
「アレナは生で手に入れたことがあるのか?」
「一度だけね。でも、私が過去に所属したパーティーだけじゃ無くて他のパーティーと連合して倒したのよ。丁度今回みたいに貴族からの依頼だったかしら? 六十階層のボスは……光属性の魔物だった筈よ」
「光属性の魔物、か……Aランクだよな?」
「そうね。ただ、出現するボスが一定してないのよ。光属性の魔物がランダムで出現するの」
アレナの言葉に二人は驚き固まってしまう。
光属性を持つという特徴は変わらない。しかし魔物の種族は毎回異なる。
光属性を持つという事は、闇魔法で攻撃を行うか闇属性が付与されている武器で攻撃を行うという事で対抗出来るが、地上で戦う魔物なのか。それとも空中に飛んで戦う魔物なのか。もしくは接近戦が得意なのか遠距離戦が得意なのか。
魔物の形態や特徴によって攻略方法は変わる。
(なるほどな。アレナの様子からしてボスが変わる周期は一定じゃ無いだろう。一つのパーティーで相手をするには荷が重すぎるな)
魔物によっては複数の下位種を同時に相手しなければならない。
「まっ、俺達ならなんとかなるだろ。ただ、問題はそのボスを倒したとしても絶対に聖魔鋼が手に入る訳じゃ無いって事だよな」
「そういう事よ。依頼完了までの期間が長かったからなんとかなったけど……あれは本当に地獄だったわね」
死んだような目をしながら過去の記憶を思い出すアレナ。
だが、今自分が所属しているパーティーの戦力を思い出し、徐々に生気が戻って来きた。
「報酬は白金貨二枚と金貨五十枚と破格ですが、その・・・・・・依頼内容が曖昧かと」
「あぁ……まぁ、確かに曖昧ですね」
バジル・ラーガスからの依頼内容は報酬額に見合う素材と記されており、どの様な素材が欲しいとは書かれていない。
(依頼内容がこれだと受付嬢も完全に受けた方が良いですよとは勧められないよな。白金貨二枚と金貨五十枚分に見合う素材ねぇ……ははっ、集め甲斐がありそうじゃん)
高ランクの冒険者であっても少々躊躇う依頼内容だが、ゼルートとしては寧ろテンションが上がる依頼内容。
ルウナもゼルートと同じく楽しそうな冒険が待っていると思い、ワクワクしている。
ただアレナだけ少々不安な気持ちがあった。
(あの学生の様子からしてゼルートが持ってきた素材に文句は言わなさそうだけど、白金貨三枚と五十枚を息子に渡す親なのだから伯爵ぐらいの地位はありそうだけど……いや、寧ろゼルートが子供の頃に起こした事件を知ってるでしょうし、下手に文句を付けてくるような真似はしないでしょう)
ゼルートだから問題は無い、最終的にそういう結論に至った。
「でも、向こうとは依頼が来る前に約束していたので大丈夫ですよ」
「そ、そうなのですか? それならこちらの指名依頼を受理しておきますね」
「お願いします」
手続きを終わらせたゼルート達はギルドから出ず、聖剣を造るのに必要な情報を集める。
(……重要なのは聖魔鋼とそれに見合う鉱石。おれとバジル・ラーガスは雷魔法のスキルを持っていたから、ある程度の強さを持つ雷属性の魔物の素材を集めれば大丈夫か)
その三つを集めればバジル・ラーガスが求める聖剣に見合う物が造れる。
そしてそれらの素材が手に入る可能性がある場所に関してはゴージャルからそこそこの距離がある。
ただ、ゼルート達の移動速を考えれば大して気にする必要は無い。
問題があるとすれば、聖魔鋼が比較的手に入りやすい場所だった。
「ダンジョン……ホーリーパレス」
「懐かしい名前ね。昔何度か潜ったことがあるわ」
元Aランク冒険者時代、アレナは聖魔鋼が比較的手に入りやすいホーリーパレスに挑んだことがある。
ただ、ダンジョンの中に生息する魔物の強さが他のダンジョンと比べて桁違いに高く、階層は今のところ六十五階層まで確認されているが、最下層は今のところ確認されていない。
「かなり難易度が高いダンジョンよ。確か六十階層の魔物を倒した時に聖魔鋼が宝箱に入ってるのよね」
「アレナは生で手に入れたことがあるのか?」
「一度だけね。でも、私が過去に所属したパーティーだけじゃ無くて他のパーティーと連合して倒したのよ。丁度今回みたいに貴族からの依頼だったかしら? 六十階層のボスは……光属性の魔物だった筈よ」
「光属性の魔物、か……Aランクだよな?」
「そうね。ただ、出現するボスが一定してないのよ。光属性の魔物がランダムで出現するの」
アレナの言葉に二人は驚き固まってしまう。
光属性を持つという特徴は変わらない。しかし魔物の種族は毎回異なる。
光属性を持つという事は、闇魔法で攻撃を行うか闇属性が付与されている武器で攻撃を行うという事で対抗出来るが、地上で戦う魔物なのか。それとも空中に飛んで戦う魔物なのか。もしくは接近戦が得意なのか遠距離戦が得意なのか。
魔物の形態や特徴によって攻略方法は変わる。
(なるほどな。アレナの様子からしてボスが変わる周期は一定じゃ無いだろう。一つのパーティーで相手をするには荷が重すぎるな)
魔物によっては複数の下位種を同時に相手しなければならない。
「まっ、俺達ならなんとかなるだろ。ただ、問題はそのボスを倒したとしても絶対に聖魔鋼が手に入る訳じゃ無いって事だよな」
「そういう事よ。依頼完了までの期間が長かったからなんとかなったけど……あれは本当に地獄だったわね」
死んだような目をしながら過去の記憶を思い出すアレナ。
だが、今自分が所属しているパーティーの戦力を思い出し、徐々に生気が戻って来きた。
66
お気に入りに追加
9,025
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします
藤なごみ
ファンタジー
※2024年10月下旬に、第2巻刊行予定です
2024年6月中旬に第一巻が発売されます
2024年6月16日出荷、19日販売となります
発売に伴い、題名を「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、元気いっぱいに無自覚チートで街の人を笑顔にします~」→「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします~」
中世ヨーロッパに似ているようで少し違う世界。
数少ないですが魔法使いがが存在し、様々な魔導具も生産され、人々の生活を支えています。
また、未開発の土地も多く、数多くの冒険者が活動しています
この世界のとある地域では、シェルフィード王国とタターランド帝国という二つの国が争いを続けています
戦争を行る理由は様ながら長年戦争をしては停戦を繰り返していて、今は辛うじて平和な時が訪れています
そんな世界の田舎で、男の子は産まれました
男の子の両親は浪費家で、親の資産を一気に食いつぶしてしまい、あろうことかお金を得るために両親は行商人に幼い男の子を売ってしまいました
男の子は行商人に連れていかれながら街道を進んでいくが、ここで行商人一行が盗賊に襲われます
そして盗賊により行商人一行が殺害される中、男の子にも命の危険が迫ります
絶体絶命の中、男の子の中に眠っていた力が目覚めて……
この物語は、男の子が各地を旅しながら自分というものを探すものです
各地で出会う人との繋がりを通じて、男の子は少しずつ成長していきます
そして、自分の中にある魔法の力と向かいながら、色々な事を覚えていきます
カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しております
とあるおっさんのVRMMO活動記
椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。
念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。
戦闘は生々しい表現も含みます。
のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。
また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり
一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が
お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。
また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や
無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が
テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという
事もございません。
また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。
ヘンリエッタの再婚約
桃井すもも
恋愛
ヘンリエッタは学園の卒業を半年後に控えたある日、縁談を打診される。
それは王国の第二王子殿下からの勧めであるらしく、文には王家の金色の封蝋が見えていた。
そんな事ってあるだろうか。ヘンリエッタは第二王子殿下が無理にこの婚約を推し進めるのであれば、一層修道院にでも駆け込んで、決して言うがままにはされるまいと思った。
それもその筈、婚約話しの相手とは元の婚約者であった。
元婚約者のハロルドとは、彼が他に愛を移した事から婚約を解消した過去がある。
あれ以来、ヘンリエッタはひと粒の涙も零す事が無くなった。涙は既に枯れてしまった。
❇短編から長編へ変更致しました。
❇R15短編→後半より長編R18へ変更となりました。
❇登場人物のお名前が他作品とダダ被りしておりますが、皆様別人でございます。
❇相変わらずの100%妄想の産物です。史実とは異なっております。
❇外道要素を含みます。苦手な方はお逃げ下さい。
❇妄想遠泳の果てに波打ち際に打ち上げられた妄想スイマーによる寝物語です。
疲れたお心とお身体を妄想で癒やして頂けますと泳ぎ甲斐があります。
❇座右の銘は「知らないことは書けない」「嘘をつくなら最後まで」。
❇例の如く、鬼の誤字脱字を修復すべく公開後から激しい微修正が入ります。
「間を置いて二度美味しい」とご笑覧下さい。
転移したらダンジョンの下層だった
Gai
ファンタジー
交通事故で死んでしまった坂崎総助は本来なら自分が生きていた世界とは別世界の一般家庭に転生できるはずだったが神側の都合により異世界にあるダンジョンの下層に飛ばされることになった。
もちろん総助を転生させる転生神は出来る限りの援助をした。
そして総助は援助を受け取るとダンジョンの下層に転移してそこからとりあえずダンジョンを冒険して地上を目指すといった物語です。
もふもふ大好き家族が聖女召喚に巻き込まれる~時空神様からの気まぐれギフト・スキル『ルーム』で家族と愛犬守ります~
鐘ケ江 しのぶ
ファンタジー
第15回ファンタジー大賞、奨励賞頂きました。
投票していただいた皆さん、ありがとうございます。
励みになりましたので、感想欄は受け付けのままにします。基本的には返信しませんので、ご了承ください。
「あんたいいかげんにせんねっ」
異世界にある大国ディレナスの王子が聖女召喚を行った。呼ばれたのは聖女の称号をもつ華憐と、派手な母親と、華憐の弟と妹。テンプレートのように巻き込まれたのは、聖女華憐に散々迷惑をかけられてきた、水澤一家。
ディレナスの大臣の1人が申し訳ないからと、世話をしてくれるが、絶対にあの華憐が何かやらかすに決まっている。一番の被害者である水澤家長女優衣には、新種のスキルが異世界転移特典のようにあった。『ルーム』だ。
一緒に巻き込まれた両親と弟にもそれぞれスキルがあるが、優衣のスキルだけ異質に思えた。だが、当人はこれでどうにかして、家族と溺愛している愛犬花を守れないかと思う。
まずは、聖女となった華憐から逃げることだ。
聖女召喚に巻き込まれた4人家族+愛犬の、のんびりで、もふもふな生活のつもりが……………
ゆるっと設定、方言がちらほら出ますので、読みにくい解釈しにくい箇所があるかと思いますが、ご了承頂けたら幸いです。
継母の心得
トール
恋愛
【本編第一部完結済、2023/10〜第二部スタート ☆書籍化 11/22ノベル5巻、コミックス1巻刊行予定☆】
※継母というテーマですが、ドロドロではありません。ほっこり可愛いを中心に展開されるお話ですので、ドロドロが苦手の方にもお読みいただけます。
山崎 美咲(35)は、癌治療で子供の作れない身体となった。生涯独身だと諦めていたが、やはり子供は欲しかったとじわじわ後悔が募っていく。
治療の甲斐なくこの世を去った美咲が目を覚ますと、なんと生前読んでいたマンガの世界に転生していた。
不遇な幼少期を過ごした主人公が、ライバルである皇太子とヒロインを巡り争い、最後は見事ヒロインを射止めるというテンプレもののマンガ。その不遇な幼少期で主人公を虐待する悪辣な継母がまさかの私!?
前世の記憶を取り戻したのは、主人公の父親との結婚式前日だった!
突然3才児の母親になった主人公が、良い継母になれるよう子育てに奮闘していたら、いつの間にか父子に溺愛されて……。
オタクの知識を使って、子育て頑張ります!!
子育てに関する道具が揃っていない世界で、玩具や食器、子供用品を作り出していく、オタクが行う異世界育児ファンタジー開幕です!
番外編は10/7〜別ページに移動いたしました。
旦那様、愛人を作ってもいいですか?
ひろか
恋愛
私には前世の記憶があります。ニホンでの四六年という。
「君の役目は魔力を多く持つ子供を産むこと。その後で君も自由にすればいい」
これ、旦那様から、初夜での言葉です。
んん?美筋肉イケオジな愛人を持っても良いと?
’18/10/21…おまけ小話追加
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。