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少年期[512]影響が出るのは、自分だけでない
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「・・・・・・視線が鬱陶しい」
「今日の一件があったからあなたがあのゼルートだって知ってる人が多いんじゃないの?」
一旦宿に戻り、それなりの服装に着替えたゼルート達はゲイル達も人の姿のままで高級レストランへと入り、食事を頼んだ。
「それに、ゲイル達がいったい誰なんだと予想している者もいるだろうな」
「……あぁ、そういえば人の姿に慣れるってのはギルドにも言って無かったからな」
強面なイケメンに幼い少年、そして少年と同じながら幼いが綺麗という言葉が当てはまる美少女。
そんな三人がいったい誰なのか、そしてゼルート達とどういった関係なのか気になる者が多い。
「それか、ゼルートに大乱戦の時の素材を売って貰おうと思ってる人がいたりして」
「ロウドみたいにか?」
「そういうこと。ゼルートはあまり解って無いかもしれないけど、Cランクの素材でもそこそこ貴重なの。でも、ロウドさんとの会話でゼルートがBランクの魔物の素材や魔石を売ることに対してそこまで躊躇いが無いと思った貴族や商人も多いでしょう」
「だから自分達も大金を払えば売ってくれるかもしれないって思ってる訳か」
確かにお金は重要だ。いや、確かとかでは無く絶対に重要と言える。
どんな職業に就いて生きていくにしても、よっぽどサバイバル技術に長けていなければお金なしには生きていけないだろう。
ゼルートは戦闘は当然でき、簡易的な家だって作ることが出来る。
そして料理を作る……手間を省けば創造のスキルで生み出すことも出来てしまう。
だが、裁縫の技術は無い。
なので結果的には素っ裸でサバイバルをすることに……なる訳が無く、創造のスキルは服をも生み出す。
よくよく考えればゼルートは数少ない、サバイバルで何不自由なく暮らせる人間だろう。
「ん~~~~……何度も思うけど、別にお金には困って無いんだよ」
「ええ、全くもってそう思うわね。まだDランクの冒険者が言う言葉では無いけど」
「いえ、養殖の冒険者だって同じ事を言ってるかもしれないだろ」
「そうね、忘れていたわ」
ゼルートの言う通り、有名どころのクランで家から金を渡して育てられている冒険者、通称養殖。
一般的な冒険者からは嫌われる傾向が高い彼らはゼルートと同じ事を思うかもしれない。
しかしその余裕のあるお金は自身で用意、稼いだものでは無く親が用意し、与えた物。
ゼルートとは根本的に色々と違う。
「それなら、話しかけて来た貴族や商人を基本的には無視しますか?」
「あ~~、それはよろしく無いだろうな。ロウドの話を受けた手前、あんまり良い選択では無い」
「そうね。もし他の人達からの提案を問答無用で突っぱねたらゼルートの立場は勿論のこと、ロウドさんの立場に影響が出るかもしれない。それはゼルートにとっても避けたいでしょう」
「そりゃ勿論だ」
折角自分が見込みアリと判断し、素材と魔石を売った相手の立場が悪くなり、騎士となる道に悪影響が出てしまう様な出来事はゼルートとしても避けたい。
「でも、言った通り金にはマジで困っていない。だから売るとしても、俺にとって利がある物を出せる相手じゃないと売らない。こっちだって売る相手を選ぶ権利はあるからな」
「それで良いんじゃないか? 売りたくもない売る必要は無いだろう。ゼルートがさっき話してくれたロウドという奴の様に目標のある奴に売るのは良いと思うが」
「私はルウナさんに賛成ですね。魔物素材や魔石はやはり本当の意味で欲している人に売るべきかと」
「ん~~~~、僕もルウナさんに賛成。ちょっと見てたけど良い人そうな感じだったし、ああいう人になら売っても良いんじゃないかな」
「自分もその考えに賛成だ」
「皆一致って訳だ」
これが普通の冒険者ならばそもそもギルドに売るのが一番手っ取り早いのでギルドに売る。
そして相場並みかそれ以上の買取金額を提示した相手にのみ売る。
それがセオリーだが、そのセオリーから外れたゼルートは自分達で得た素材は有効活用できるときまで取っておく。
「おっ、美味そうなディナーがやって来たぞ」
今日は六人で食べるという事で、ゼルート達のテーブルには大量の皿が置かれる。
そしてそれが全てでは無く、温度が丁度良い状態で食べるようにまだ料理はやってくる。
ゼルート、アレナ、ルウナは冒険者であり常人とは胃袋の大きさに少々差がある。
そしてゲイル、ラーム、ラルは元はモンスターなのでそもそも人より一食の量が多い。
こうして六人は楽しく雑談をしながら食を進め、会計を行う。
その時担当した従業員は料金を言うとき、少々震えていたがゼルートはなんてことない顔で料金を支払い、店を出た。
「今日の一件があったからあなたがあのゼルートだって知ってる人が多いんじゃないの?」
一旦宿に戻り、それなりの服装に着替えたゼルート達はゲイル達も人の姿のままで高級レストランへと入り、食事を頼んだ。
「それに、ゲイル達がいったい誰なんだと予想している者もいるだろうな」
「……あぁ、そういえば人の姿に慣れるってのはギルドにも言って無かったからな」
強面なイケメンに幼い少年、そして少年と同じながら幼いが綺麗という言葉が当てはまる美少女。
そんな三人がいったい誰なのか、そしてゼルート達とどういった関係なのか気になる者が多い。
「それか、ゼルートに大乱戦の時の素材を売って貰おうと思ってる人がいたりして」
「ロウドみたいにか?」
「そういうこと。ゼルートはあまり解って無いかもしれないけど、Cランクの素材でもそこそこ貴重なの。でも、ロウドさんとの会話でゼルートがBランクの魔物の素材や魔石を売ることに対してそこまで躊躇いが無いと思った貴族や商人も多いでしょう」
「だから自分達も大金を払えば売ってくれるかもしれないって思ってる訳か」
確かにお金は重要だ。いや、確かとかでは無く絶対に重要と言える。
どんな職業に就いて生きていくにしても、よっぽどサバイバル技術に長けていなければお金なしには生きていけないだろう。
ゼルートは戦闘は当然でき、簡易的な家だって作ることが出来る。
そして料理を作る……手間を省けば創造のスキルで生み出すことも出来てしまう。
だが、裁縫の技術は無い。
なので結果的には素っ裸でサバイバルをすることに……なる訳が無く、創造のスキルは服をも生み出す。
よくよく考えればゼルートは数少ない、サバイバルで何不自由なく暮らせる人間だろう。
「ん~~~~……何度も思うけど、別にお金には困って無いんだよ」
「ええ、全くもってそう思うわね。まだDランクの冒険者が言う言葉では無いけど」
「いえ、養殖の冒険者だって同じ事を言ってるかもしれないだろ」
「そうね、忘れていたわ」
ゼルートの言う通り、有名どころのクランで家から金を渡して育てられている冒険者、通称養殖。
一般的な冒険者からは嫌われる傾向が高い彼らはゼルートと同じ事を思うかもしれない。
しかしその余裕のあるお金は自身で用意、稼いだものでは無く親が用意し、与えた物。
ゼルートとは根本的に色々と違う。
「それなら、話しかけて来た貴族や商人を基本的には無視しますか?」
「あ~~、それはよろしく無いだろうな。ロウドの話を受けた手前、あんまり良い選択では無い」
「そうね。もし他の人達からの提案を問答無用で突っぱねたらゼルートの立場は勿論のこと、ロウドさんの立場に影響が出るかもしれない。それはゼルートにとっても避けたいでしょう」
「そりゃ勿論だ」
折角自分が見込みアリと判断し、素材と魔石を売った相手の立場が悪くなり、騎士となる道に悪影響が出てしまう様な出来事はゼルートとしても避けたい。
「でも、言った通り金にはマジで困っていない。だから売るとしても、俺にとって利がある物を出せる相手じゃないと売らない。こっちだって売る相手を選ぶ権利はあるからな」
「それで良いんじゃないか? 売りたくもない売る必要は無いだろう。ゼルートがさっき話してくれたロウドという奴の様に目標のある奴に売るのは良いと思うが」
「私はルウナさんに賛成ですね。魔物素材や魔石はやはり本当の意味で欲している人に売るべきかと」
「ん~~~~、僕もルウナさんに賛成。ちょっと見てたけど良い人そうな感じだったし、ああいう人になら売っても良いんじゃないかな」
「自分もその考えに賛成だ」
「皆一致って訳だ」
これが普通の冒険者ならばそもそもギルドに売るのが一番手っ取り早いのでギルドに売る。
そして相場並みかそれ以上の買取金額を提示した相手にのみ売る。
それがセオリーだが、そのセオリーから外れたゼルートは自分達で得た素材は有効活用できるときまで取っておく。
「おっ、美味そうなディナーがやって来たぞ」
今日は六人で食べるという事で、ゼルート達のテーブルには大量の皿が置かれる。
そしてそれが全てでは無く、温度が丁度良い状態で食べるようにまだ料理はやってくる。
ゼルート、アレナ、ルウナは冒険者であり常人とは胃袋の大きさに少々差がある。
そしてゲイル、ラーム、ラルは元はモンスターなのでそもそも人より一食の量が多い。
こうして六人は楽しく雑談をしながら食を進め、会計を行う。
その時担当した従業員は料金を言うとき、少々震えていたがゼルートはなんてことない顔で料金を支払い、店を出た。
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