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少年期[487]道を逸れてる気がするが
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「この調子なら、余裕で着きそうだな」
「余裕なのはそうでしょうけど・・・・・・雨の中、こんな快適に進めるなんてやっぱり器用ね」
「別にそこまでいつもと違う事をしてる訳じゃ無いぞ」
シーリアスからゴージャルまでの簡単な地図を受け取ったゼルート達は、その後ゆっくりと休息を取ってから翌日の朝に出発した。
生憎と天気は雨だったが、ゼルートはいつも土魔法で作っている簡易的なトラックのタイヤを少々変え、そして前だけは見えるようにして屋根をしっかりと装備して進み続ける。
「確かに単純作業だからそこまで魔力は消費しないのでしょうけど、それでもどこかで休憩するものよ」
「ちゃんと昼休憩はしただろ。昼飯だって食べたじゃないか」
「えぇ、そうね。いつも通り街から街へ移動中とは思えない程豪華な昼ご飯を食べたわ」
もう、アレナはゼルートが出す料理に驚くことは無いが、それでも街から街への移動最中に、野営中に食べるにはあまりにも豪華であるという事を忘れていない。
(こんな雨の中でも、ゼルートなら簡易的なシェルターを造れるでしょうし……まぁ、それは珍しくないけど何から何まで出来過ぎなのよね)
確かな目標を持ち、その技術を磨き続けた。
魔法の技術向上はゼルートにとって努力の様で娯楽でもあった。
一流と呼ばれるレベルまで成長することを目標にしている者からすれば、青筋を立てながら怒り出すのだが、ゼルートは魔法の訓練や技術向上において一度も辛いと思ったことは無い。
それは武器や体術、錬金術に関しても同じような事が言える。
「ゼルートって、いろんな部門の人に喧嘩売れそうよね」
「おいおい、売られた喧嘩はしっかりと買うけど、基本的には自分から売ったりしないぞ」
「基本的には、でしょ」
武器で言えばゼルートはメインで使っている長剣以外にも短剣、刀、槍、斧、ハンマー等も一通り扱うことが出来る。
それはもはや器用貧乏のラインを大きく超えた技量。
それを考えればよっぽどその手の一流や超一流でなければゼルート自ら喧嘩を売っても、確実に勝利することが出来る。
「私もゼルートの様に多くの武器を扱えた方が良いか……興味はあるしな」
「重い武器に関してはルウナのレベルを考えれば問題無いだろうし、ある程度強い敵とその武器を使って戦ってれば自然と扱い方が解って来る筈だ」
「私としてはルウナは速さ重視の戦闘スタイルなんだから、わざわざ槍やハンマーを扱えるようになる必要は無いと思うけど・・・・・・まっ、どんな訓練をするのかは本人が決める事だから止はしない」
あまり多くの手段に手を出さない方が良いと告げるアレナだが、実は最近槍やバトルアックスの訓練を少々行っている。
(アレナだって本当は少しずつ色んな方向に手を伸ばしてるくせに……まっ、ルウナが速さ重視の戦闘スタイルっての確かだから普通に考えれば良くない道に逸れてるんだろうな)
獣人族で鈍器系の武器を扱う事はそこまで珍しくは無いが、狼人族は種族の性質上、殆どの者が鈍器系の武器を扱うことが無い。
現にルウナも主に体術と火の魔力を混ぜた戦闘スタイルをメインに、サブで長剣や短剣を扱う程度。
鈍器系の武器等扱ったことが無い。
「とっさに違う武器を扱えるってのはちょっとした奇襲になるだろうからな。俺がいきなりハンマーを二つ持って敵に襲い掛かったら違和感しかないだろ」
「・・・・・・ふふふっ、そうね。違和感しかないわ」
着実に成長しているとはいえ、ゼルートの身長は冒険者の中でもまだまだ低い。
そんなゼルートが自分の身長と同程度かそれ以上の長さを持つ得物を二つも装備して敵に襲い掛かる。
確かに後ろから見ても前から見ても違和感しかなかった。
「余裕なのはそうでしょうけど・・・・・・雨の中、こんな快適に進めるなんてやっぱり器用ね」
「別にそこまでいつもと違う事をしてる訳じゃ無いぞ」
シーリアスからゴージャルまでの簡単な地図を受け取ったゼルート達は、その後ゆっくりと休息を取ってから翌日の朝に出発した。
生憎と天気は雨だったが、ゼルートはいつも土魔法で作っている簡易的なトラックのタイヤを少々変え、そして前だけは見えるようにして屋根をしっかりと装備して進み続ける。
「確かに単純作業だからそこまで魔力は消費しないのでしょうけど、それでもどこかで休憩するものよ」
「ちゃんと昼休憩はしただろ。昼飯だって食べたじゃないか」
「えぇ、そうね。いつも通り街から街へ移動中とは思えない程豪華な昼ご飯を食べたわ」
もう、アレナはゼルートが出す料理に驚くことは無いが、それでも街から街への移動最中に、野営中に食べるにはあまりにも豪華であるという事を忘れていない。
(こんな雨の中でも、ゼルートなら簡易的なシェルターを造れるでしょうし……まぁ、それは珍しくないけど何から何まで出来過ぎなのよね)
確かな目標を持ち、その技術を磨き続けた。
魔法の技術向上はゼルートにとって努力の様で娯楽でもあった。
一流と呼ばれるレベルまで成長することを目標にしている者からすれば、青筋を立てながら怒り出すのだが、ゼルートは魔法の訓練や技術向上において一度も辛いと思ったことは無い。
それは武器や体術、錬金術に関しても同じような事が言える。
「ゼルートって、いろんな部門の人に喧嘩売れそうよね」
「おいおい、売られた喧嘩はしっかりと買うけど、基本的には自分から売ったりしないぞ」
「基本的には、でしょ」
武器で言えばゼルートはメインで使っている長剣以外にも短剣、刀、槍、斧、ハンマー等も一通り扱うことが出来る。
それはもはや器用貧乏のラインを大きく超えた技量。
それを考えればよっぽどその手の一流や超一流でなければゼルート自ら喧嘩を売っても、確実に勝利することが出来る。
「私もゼルートの様に多くの武器を扱えた方が良いか……興味はあるしな」
「重い武器に関してはルウナのレベルを考えれば問題無いだろうし、ある程度強い敵とその武器を使って戦ってれば自然と扱い方が解って来る筈だ」
「私としてはルウナは速さ重視の戦闘スタイルなんだから、わざわざ槍やハンマーを扱えるようになる必要は無いと思うけど・・・・・・まっ、どんな訓練をするのかは本人が決める事だから止はしない」
あまり多くの手段に手を出さない方が良いと告げるアレナだが、実は最近槍やバトルアックスの訓練を少々行っている。
(アレナだって本当は少しずつ色んな方向に手を伸ばしてるくせに……まっ、ルウナが速さ重視の戦闘スタイルっての確かだから普通に考えれば良くない道に逸れてるんだろうな)
獣人族で鈍器系の武器を扱う事はそこまで珍しくは無いが、狼人族は種族の性質上、殆どの者が鈍器系の武器を扱うことが無い。
現にルウナも主に体術と火の魔力を混ぜた戦闘スタイルをメインに、サブで長剣や短剣を扱う程度。
鈍器系の武器等扱ったことが無い。
「とっさに違う武器を扱えるってのはちょっとした奇襲になるだろうからな。俺がいきなりハンマーを二つ持って敵に襲い掛かったら違和感しかないだろ」
「・・・・・・ふふふっ、そうね。違和感しかないわ」
着実に成長しているとはいえ、ゼルートの身長は冒険者の中でもまだまだ低い。
そんなゼルートが自分の身長と同程度かそれ以上の長さを持つ得物を二つも装備して敵に襲い掛かる。
確かに後ろから見ても前から見ても違和感しかなかった。
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