307 / 1,049
連載
少年期[467]過剰だが妥当
しおりを挟む
「次は僕だね」
アレナの雷を纏った蹴りにルウナの炎狼の拳をモロにくらってしまったスノウタイガーに対して攻撃はまだ止むことは無く、後方から拳に岩石を纏ったラームが思いっきりアッパーをかます。
そのアッパー自体は空を切ったのだが、拳に纏われていた岩石は途中ですっぽ抜け、スノウタイガー尻に向かって飛んだ。
この衝撃にスノウタイガーは先程までとは少し種類の異なる痛みを感じた。
「ッーーーーー!!!!????」
後方からの衝撃でスノウタイガーの体は頭が地面に、尻尾が上を向くような形になってしまった。
「今度は頭ですね」
少女の姿をしているラルの体からは想像できない程の蹴りを放つ。
特に属性魔力を纏っている訳では無く、身体強化しか使っていない。
にも拘わらず、その蹴りによってスノウタイガーの後頭部の骨は絶妙な威力の調整で砕かれてはいなかったが、波打つように罅が広がった。
「そろそろ終わりだ」
今度は逆に尻尾が地面で頭が上、その状態になった瞬間にゲイルの三連突きが縦に決まる。
本来なら体に激痛が駆け回る程の痛みなのだが、殆ど意識が飛んでいるスノウタイガーには体の痛む箇所が単に増えた。その程度の感覚しかない。
「じゃあーな」
そして最後の最後に背中からゼルートの回し蹴りをくらい、背骨が完全に折れたスノウタイガーはノックアウト。
「バイバーイ」
ラームのさっさと死なせてあげようという少しの慈悲により、頭を触手で貫かれてスノウタイガーの意識は途絶えた。
「・・・・・・流石にやり過ぎたかしら?」
「これぐらい妥当だろ。こいつが今まで食ってきた冒険者の数を考えればな」
「やはりそういうところがあるよなゼルートは」
自分と全く関係ない人物の考えての攻撃、アレナとルウナはその優しさに自然と頬が緩む。
それはゲイル達も同じであった。
「普通の事だろ。それに、俺達にはそれが出来る力があったんだし。討伐の安全性を考えてもさっきの攻め方は良かった。……こいつが成長してたら話は別だったけどな」
本来得ることは出来ない力を得た成長した魔物。
スノウタイガーレベルの魔物が成長したとなればそれこそ賞金が付けられてもおかしくない強さを持つ。
「それこそ、全力で叩いていたでしょ」
「そうだな。こいつが成長していたら、この辺りは季節関係無しに氷の世界になっていたかもしれない」
スノウタイガーが成長した結果、どのような力を得るのかゼルートには解らない。
しかし上位種であるブリザードタイガー並みの氷の能力を手に入れるのは確実。
「こいつの解体はギルドの場所を借りて行うか。んで、傷はもう大丈夫か?」
スノウタイガーの姿を隠蔽した状態からの攻撃によりほぼ全滅しかけていた冒険者達にゼルートは声を掛け、安否を確認する。
「は、はい。ゼルートさんから貰ったポーションのお陰で大丈夫です!!」
「ほ、本当に有難うございました!!!!」
パーティーのリーダーである男が綺麗に九十度に頭を下げ、それに続いて残りの三人も腰を九十度に曲げてゼルートに感謝の言葉を伝える。
それに対してゼルートを気にしなくて良いと返す。
「俺達がここに来たのはたまたまだ。ギルドに入ったらたまたま森に厄介な魔物がいるかもしれないって言われたからな。とりあえずその魔物の討伐も終わったんだし、とっとと戻ろうぜ」
助けた相手が後日死んでしまった、なんてことにはなってほしくないのでゼルートは四人と街まで一緒に戻り、解散した後はギルドに向かって直行。
そしてゼルートに声を掛けてきた冒険者は他の冒険者達と話し合っていた。
「さっきぶりだなおっちゃん」
「お、おおっ、え……もう帰って来たって事は、そういう事なのか?」
「ほら」
ゼルートはアイテムバッグの中から一つの牙を取り出す。
「これ、スノウタイガーの牙」
「なっ!? マジでか。そりゃ被害が大きくなる訳だ。とりあえず、報告が終わったらこっちにこいよ。一杯奢るからさ」
「まだ酒は飲めない。代わりに飯を頼むよ」
ゼルートとしては酒でも良いのだが、自身の健康を考えるとやはりまだ早いと決断。
アレナの雷を纏った蹴りにルウナの炎狼の拳をモロにくらってしまったスノウタイガーに対して攻撃はまだ止むことは無く、後方から拳に岩石を纏ったラームが思いっきりアッパーをかます。
そのアッパー自体は空を切ったのだが、拳に纏われていた岩石は途中ですっぽ抜け、スノウタイガー尻に向かって飛んだ。
この衝撃にスノウタイガーは先程までとは少し種類の異なる痛みを感じた。
「ッーーーーー!!!!????」
後方からの衝撃でスノウタイガーの体は頭が地面に、尻尾が上を向くような形になってしまった。
「今度は頭ですね」
少女の姿をしているラルの体からは想像できない程の蹴りを放つ。
特に属性魔力を纏っている訳では無く、身体強化しか使っていない。
にも拘わらず、その蹴りによってスノウタイガーの後頭部の骨は絶妙な威力の調整で砕かれてはいなかったが、波打つように罅が広がった。
「そろそろ終わりだ」
今度は逆に尻尾が地面で頭が上、その状態になった瞬間にゲイルの三連突きが縦に決まる。
本来なら体に激痛が駆け回る程の痛みなのだが、殆ど意識が飛んでいるスノウタイガーには体の痛む箇所が単に増えた。その程度の感覚しかない。
「じゃあーな」
そして最後の最後に背中からゼルートの回し蹴りをくらい、背骨が完全に折れたスノウタイガーはノックアウト。
「バイバーイ」
ラームのさっさと死なせてあげようという少しの慈悲により、頭を触手で貫かれてスノウタイガーの意識は途絶えた。
「・・・・・・流石にやり過ぎたかしら?」
「これぐらい妥当だろ。こいつが今まで食ってきた冒険者の数を考えればな」
「やはりそういうところがあるよなゼルートは」
自分と全く関係ない人物の考えての攻撃、アレナとルウナはその優しさに自然と頬が緩む。
それはゲイル達も同じであった。
「普通の事だろ。それに、俺達にはそれが出来る力があったんだし。討伐の安全性を考えてもさっきの攻め方は良かった。……こいつが成長してたら話は別だったけどな」
本来得ることは出来ない力を得た成長した魔物。
スノウタイガーレベルの魔物が成長したとなればそれこそ賞金が付けられてもおかしくない強さを持つ。
「それこそ、全力で叩いていたでしょ」
「そうだな。こいつが成長していたら、この辺りは季節関係無しに氷の世界になっていたかもしれない」
スノウタイガーが成長した結果、どのような力を得るのかゼルートには解らない。
しかし上位種であるブリザードタイガー並みの氷の能力を手に入れるのは確実。
「こいつの解体はギルドの場所を借りて行うか。んで、傷はもう大丈夫か?」
スノウタイガーの姿を隠蔽した状態からの攻撃によりほぼ全滅しかけていた冒険者達にゼルートは声を掛け、安否を確認する。
「は、はい。ゼルートさんから貰ったポーションのお陰で大丈夫です!!」
「ほ、本当に有難うございました!!!!」
パーティーのリーダーである男が綺麗に九十度に頭を下げ、それに続いて残りの三人も腰を九十度に曲げてゼルートに感謝の言葉を伝える。
それに対してゼルートを気にしなくて良いと返す。
「俺達がここに来たのはたまたまだ。ギルドに入ったらたまたま森に厄介な魔物がいるかもしれないって言われたからな。とりあえずその魔物の討伐も終わったんだし、とっとと戻ろうぜ」
助けた相手が後日死んでしまった、なんてことにはなってほしくないのでゼルートは四人と街まで一緒に戻り、解散した後はギルドに向かって直行。
そしてゼルートに声を掛けてきた冒険者は他の冒険者達と話し合っていた。
「さっきぶりだなおっちゃん」
「お、おおっ、え……もう帰って来たって事は、そういう事なのか?」
「ほら」
ゼルートはアイテムバッグの中から一つの牙を取り出す。
「これ、スノウタイガーの牙」
「なっ!? マジでか。そりゃ被害が大きくなる訳だ。とりあえず、報告が終わったらこっちにこいよ。一杯奢るからさ」
「まだ酒は飲めない。代わりに飯を頼むよ」
ゼルートとしては酒でも良いのだが、自身の健康を考えるとやはりまだ早いと決断。
67
お気に入りに追加
9,024
あなたにおすすめの小説
世の中は意外と魔術で何とかなる
ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。
神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。
『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』
平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。
またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。
朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。
婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。
だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。
リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。
「なろう」「カクヨム」に投稿しています。
称号は神を土下座させた男。
春志乃
ファンタジー
「真尋くん! その人、そんなんだけど一応神様だよ! 偉い人なんだよ!」
「知るか。俺は常識を持ち合わせないクズにかける慈悲を持ち合わせてない。それにどうやら俺は死んだらしいのだから、刑務所も警察も法も無い。今ここでこいつを殺そうが生かそうが俺の自由だ。あいつが居ないなら地獄に落ちても同じだ。なあ、そうだろう? ティーンクトゥス」
「す、す、す、す、す、すみませんでしたあぁあああああああ!」
これは、馬鹿だけど憎み切れない神様ティーンクトゥスの為に剣と魔法、そして魔獣たちの息づくアーテル王国でチートが過ぎる男子高校生・水無月真尋が無自覚チートの親友・鈴木一路と共に神様の為と言いながら好き勝手に生きていく物語。
主人公は一途に幼馴染(女性)を想い続けます。話はゆっくり進んでいきます。
※教会、神父、などが出てきますが実在するものとは一切関係ありません。
※対応できない可能性がありますので、誤字脱字報告は不要です。
※無断転載は厳に禁じます
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~
樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。
無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。
そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。
そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。
色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。
※この作品はカクヨム様でも掲載しています。
殿下、恋はデスゲームの後でお願いします
真鳥カノ
ファンタジー
気付けば乙女ゲームの悪役令嬢「レア=ハイラ子爵令嬢」に転生していた!
いずれゲーム本編である王位継承権争いに巻き込まれ、破滅しかない未来へと突き進むことがわかっていたレア。
自らの持つ『祝福の手』によって人々に幸運を分け与え、どうにか破滅の未来を回避しようと奮闘していた。
そんな彼女の元ヘ、聞いたこともない名の王子がやってきて、求婚した――!!
王位継承権争いを勝ち抜くには、レアの『幸運』が必要だと言っていて……!?
短編なのでさらっと読んで頂けます!
いつか長編にリメイクします!
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
記憶喪失の転生幼女、ギルドで保護されたら最強冒険者に溺愛される
マー子
ファンタジー
ある日魔の森で異常が見られ、調査に来ていた冒険者ルーク。
そこで木の影で眠る幼女を見つけた。
自分の名前しか記憶がなく、両親やこの国の事も知らないというアイリは、冒険者ギルドで保護されることに。
実はある事情で記憶を失って転生した幼女だけど、異世界で最強冒険者に溺愛されて、第二の人生楽しんでいきます。
・初のファンタジー物です
・ある程度内容纏まってからの更新になる為、進みは遅めになると思います
・長編予定ですが、最後まで気力が持たない場合は短編になるかもしれません⋯
どうか温かく見守ってください♪
☆感謝☆
HOTランキング1位になりました。偏にご覧下さる皆様のお陰です。この場を借りて、感謝の気持ちを⋯
そしてなんと、人気ランキングの方にもちゃっかり載っておりました。
本当にありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。