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少年期[465]人の肉の味を覚えてしまった個体
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「全体的に、冬型の魔物に変わってるのか?」
自分達に襲ってきたスノウラビットをアイテムバッグの中にしまいながらゼルートはアレナに尋ねる。
「地域によってその辺りは変わってくるわ。一年を通してそこまで現れる魔物の種類が変わらないところもあるし、ドーウルスみたいに結構変わる場合もあるわ」
「そうか。俺が住んでいた場所はそこまで変わらない地域って事か」
ゼルートの実家周辺は秋から冬に変わるにつれて気温は徐々に下がっていくが、森の中に生息する魔物はそこまで変わらなかった。
(スノウラビットだって複数で襲ってくることは無かったからな。もしかしたら、今回冒険者が多数殺られてる原因である魔物は通常の個体に雪系統に変化……進化? した個体って事かもしれないな)
まだ完全に魔物と決まった訳では無いが、ゼルートが予想する内容は他の五人と同じだった。
「ねぇねぇ、今回の敵はどうやって倒すの?」
「そうだなぁ……相手が魔物でCランク以上なら全員で隙無く倒す。もし人ならまずは捕らえるのを優先だな。……仮に人ならラーム、お前の触手で捕縛して貰っても良いか?」
「うん! 任せてよ!!!」
相手を動けなくするという点ならゼルートでも出来るが、相手の実力が解らない以上はどの程度の攻撃を放てば良いのか迷う。
だがラームの触手ならば人装備している防具にもよるが、大抵の敵は拘束できる。
「っ! ちょっと待ってくれ」
「どうしたルウナ」
「今日中のという訳では無いが、ここ数日の間に流れたであろう血の匂いがする。それもかなりの量だ」
「……ルウナさんの言う通りですね。ちょっとこの量は……」
「あぁ、傷付けられた程度の血の量じゃない。腕か足を切断……いや、胴体が切断されたぐらいの血が流れている」
胴体が切断。それは冒険者として、人として完全な死を意味する。
「流れた血の量が多い……ゼルート、もしかしたらだけど今回の討伐対象は人の肉の味を覚えてしまっているかもしれない」
「人肉が好物になった個体って事か?」
「そういうこと。随分と面倒な魔物かもしれないわね」
魔物は食料として人を食べることはあるが、人肉を好物と認識している魔物は殆どいない。
しかし稀に人肉の味を覚えてしまい、率先して人を襲って殺した人間の肉を食べる魔物が現れる。
過去に高ランクの魔物が人肉の味を覚えて好物になり、千近い人々を殺してその肉を食ったという記録も残っている。
「放っておくと街に直接被害が出たかもしれないって訳か」
「……人の肉を好むようになった。だからといって何か戦力的に変わるのですか」
ゲイルの問いにアレナを首を横に振って答える。
「直接的な戦力は変わらないわ。でも、冒険者やその他の戦闘職の者達と戦うという事は、人の戦い方を他の魔物より多く学習しているということなの」
「なるほど、それは少々厄介かもしれない。だが、それは一般的な戦闘職の者達に限った話でしょう」
「……ふふ、ゲイルの言う通りね。ゼルート、全員で叩くのよね」
「おう、バラバラのタイミングで波状攻撃でいこうと思ってる。それなら問題無いっしょ」
ゼルートの拳が、アレナの一閃が、ルウナの炎狼が、ラームの自由自在な触手が、ラルの重く鋭く痺れる一撃が、ゲイルの剛斬があれば小さな不安も残らない。
(いつもなら誰かが一対一で戦う様な状況なんだろうけど、今回は無いとは思うが万が一街にその魔物が行ってしまったら超一大事だ)
なるべく日が暮れる前に見つけ出して討伐したいと思いながら探すこと三十分後、ルウナの耳に悲鳴が聞こえた。
「ゼルート!! 左斜め前の方向から悲鳴が聞こえた、どうする?」
「確証は無いが取り合えず向かうぞ!!!」
今のところ血以外の手掛かりを見つけていないゼルートとしては見逃せない反応。
全員が悲鳴が聞こえた方向に向かって駆け出す。
自分達に襲ってきたスノウラビットをアイテムバッグの中にしまいながらゼルートはアレナに尋ねる。
「地域によってその辺りは変わってくるわ。一年を通してそこまで現れる魔物の種類が変わらないところもあるし、ドーウルスみたいに結構変わる場合もあるわ」
「そうか。俺が住んでいた場所はそこまで変わらない地域って事か」
ゼルートの実家周辺は秋から冬に変わるにつれて気温は徐々に下がっていくが、森の中に生息する魔物はそこまで変わらなかった。
(スノウラビットだって複数で襲ってくることは無かったからな。もしかしたら、今回冒険者が多数殺られてる原因である魔物は通常の個体に雪系統に変化……進化? した個体って事かもしれないな)
まだ完全に魔物と決まった訳では無いが、ゼルートが予想する内容は他の五人と同じだった。
「ねぇねぇ、今回の敵はどうやって倒すの?」
「そうだなぁ……相手が魔物でCランク以上なら全員で隙無く倒す。もし人ならまずは捕らえるのを優先だな。……仮に人ならラーム、お前の触手で捕縛して貰っても良いか?」
「うん! 任せてよ!!!」
相手を動けなくするという点ならゼルートでも出来るが、相手の実力が解らない以上はどの程度の攻撃を放てば良いのか迷う。
だがラームの触手ならば人装備している防具にもよるが、大抵の敵は拘束できる。
「っ! ちょっと待ってくれ」
「どうしたルウナ」
「今日中のという訳では無いが、ここ数日の間に流れたであろう血の匂いがする。それもかなりの量だ」
「……ルウナさんの言う通りですね。ちょっとこの量は……」
「あぁ、傷付けられた程度の血の量じゃない。腕か足を切断……いや、胴体が切断されたぐらいの血が流れている」
胴体が切断。それは冒険者として、人として完全な死を意味する。
「流れた血の量が多い……ゼルート、もしかしたらだけど今回の討伐対象は人の肉の味を覚えてしまっているかもしれない」
「人肉が好物になった個体って事か?」
「そういうこと。随分と面倒な魔物かもしれないわね」
魔物は食料として人を食べることはあるが、人肉を好物と認識している魔物は殆どいない。
しかし稀に人肉の味を覚えてしまい、率先して人を襲って殺した人間の肉を食べる魔物が現れる。
過去に高ランクの魔物が人肉の味を覚えて好物になり、千近い人々を殺してその肉を食ったという記録も残っている。
「放っておくと街に直接被害が出たかもしれないって訳か」
「……人の肉を好むようになった。だからといって何か戦力的に変わるのですか」
ゲイルの問いにアレナを首を横に振って答える。
「直接的な戦力は変わらないわ。でも、冒険者やその他の戦闘職の者達と戦うという事は、人の戦い方を他の魔物より多く学習しているということなの」
「なるほど、それは少々厄介かもしれない。だが、それは一般的な戦闘職の者達に限った話でしょう」
「……ふふ、ゲイルの言う通りね。ゼルート、全員で叩くのよね」
「おう、バラバラのタイミングで波状攻撃でいこうと思ってる。それなら問題無いっしょ」
ゼルートの拳が、アレナの一閃が、ルウナの炎狼が、ラームの自由自在な触手が、ラルの重く鋭く痺れる一撃が、ゲイルの剛斬があれば小さな不安も残らない。
(いつもなら誰かが一対一で戦う様な状況なんだろうけど、今回は無いとは思うが万が一街にその魔物が行ってしまったら超一大事だ)
なるべく日が暮れる前に見つけ出して討伐したいと思いながら探すこと三十分後、ルウナの耳に悲鳴が聞こえた。
「ゼルート!! 左斜め前の方向から悲鳴が聞こえた、どうする?」
「確証は無いが取り合えず向かうぞ!!!」
今のところ血以外の手掛かりを見つけていないゼルートとしては見逃せない反応。
全員が悲鳴が聞こえた方向に向かって駆け出す。
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