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少年期[461]投擲と体術
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「これを、俺が投げるとあんな感じになる」
的に目がけてゼルートが投げた石は弓用の的を貫き、訓練場の壁まで届いた。
その光景のルーキー達の目が点になる。
弓用の的が石による投擲で貫かれた。それはルーキー達に衝撃を与えるには十分な内容だが、ゼルートや他の冒険者にとっては凄い内容ではあっても驚く内容では無い。
「レベルの高さによる身体能力の影響は勿論あるが、投擲のスキルを持ってればその威力は確実に上がる。それに投擲は弓と同じ遠距離攻撃だ。だから似たような攻撃も存在する」
もう一度石を手に持ち、今度は真っすぐ的を貫くような投擲では無く、右方向へとそれた投擲。
しかし放たれた石は進行方向を徐々に変えていき、先程と同じように別方向から的を貫いた。
「スキルレベルを上げればこんな事も出来る。投擲をメインの攻撃にしろって訳じゃない。ただ、お前達がこれから強くなってランクも上がったときに、これが出来ればわざわざ簡単に倒せる魔物に近づく必要もない。投げる物は出来れば小さな鉄球が良いんだが、今みたいにそこら辺に落ちている石ころでも構わない」
ゼルートの実演の影響もあり、ルーキー達の中に投擲を軽視する者はいなくなっていた。
「投擲が結構使えるスキルだってのは解ってくれたみたいだな。んじゃ、次は体術の説明というか重要性だな」
体術の重要性。この時点で前衛でないルーキー達は自分達は話を聞く意味が無いのではと思ってしまう。
「言っておくが、今お前達が持っている武器が戦いの最中に壊れない可能性はゼロじゃない。というか、戦う魔物によっては一撃で壊される場合もある」
元々の防御力やスキル等で強化された皮膚や鱗の硬さに武器が耐え切れずに刃が欠ける、折れる。
もしくは魔物によっては酸を吐く魔物もいるので、耐性の無い武器でそんな攻撃をもらってしまえば一発でダメになってしまう。
そして相手が持つ武器によっては稀な付与効果だが、武器破壊も存在する。
対人戦においても武器の使用不可という状況が起こる可能性は十分にある。
「そんな状況で体術が使えるのと使えないのでは状況が変わってくる。というか、お前らのランクが上がるにつれてちょっと重い内容かもしれないが、同じ人同士で殺し合う場合がある」
同じ人間同士で殺し合う。その内容にルーキー達は唾を飲み込んで話をさらに集中して聞く。
盗賊の討伐がギルドの依頼として存在するのは知っていた。
ただ、まだ冒険者に成りたてのルーキー達が受けられる内容では無い。
故に実際現場ではどのような状態になるのか想像出来ても実感することは出来ない。
「そんな状況でお前らと敵対する相手はお前たちは完全に殺す気で襲い掛かってくる。そういった戦況でお前らが手から武器を落とさないとも限らない。そんな状況で何も攻撃手段が無いと困るだろ。それに後衛の奴ら、いつでも前衛の奴らが守ってくれるとは限らないんだ」
ゼルートの忠告に後衛タイプのルーキーは小さく体が震える。
「戦っている最中に乱入者が現れないとも限らない。そこで一気に距離を詰められたらお前達はどうする? 予備の武器に短剣を持ってるとしても、それは実戦で使える程の腕前なのか? 仮に短剣を扱えるとしても、体術を覚えておいて損は無い」
地面に向かって拳を打ち込み、空中で止める。
拳を空中で止めたのにも関わらず、地面は大きく凹んでいた。
「体術のスキルレベルを上げていけばこういった攻撃も出来る。俺としては最後に頼れるのは自分の五体だと思っている。魔力が切れても、武器が壊れても自分の体は動くからな」
最後に頼れるのは自分の五体という言葉に、前衛タイプのルーキーは勿論のこと、後衛タイプのルーキー達にも自身の体を少しでも鍛えようという気持ちが芽生えた。
的に目がけてゼルートが投げた石は弓用の的を貫き、訓練場の壁まで届いた。
その光景のルーキー達の目が点になる。
弓用の的が石による投擲で貫かれた。それはルーキー達に衝撃を与えるには十分な内容だが、ゼルートや他の冒険者にとっては凄い内容ではあっても驚く内容では無い。
「レベルの高さによる身体能力の影響は勿論あるが、投擲のスキルを持ってればその威力は確実に上がる。それに投擲は弓と同じ遠距離攻撃だ。だから似たような攻撃も存在する」
もう一度石を手に持ち、今度は真っすぐ的を貫くような投擲では無く、右方向へとそれた投擲。
しかし放たれた石は進行方向を徐々に変えていき、先程と同じように別方向から的を貫いた。
「スキルレベルを上げればこんな事も出来る。投擲をメインの攻撃にしろって訳じゃない。ただ、お前達がこれから強くなってランクも上がったときに、これが出来ればわざわざ簡単に倒せる魔物に近づく必要もない。投げる物は出来れば小さな鉄球が良いんだが、今みたいにそこら辺に落ちている石ころでも構わない」
ゼルートの実演の影響もあり、ルーキー達の中に投擲を軽視する者はいなくなっていた。
「投擲が結構使えるスキルだってのは解ってくれたみたいだな。んじゃ、次は体術の説明というか重要性だな」
体術の重要性。この時点で前衛でないルーキー達は自分達は話を聞く意味が無いのではと思ってしまう。
「言っておくが、今お前達が持っている武器が戦いの最中に壊れない可能性はゼロじゃない。というか、戦う魔物によっては一撃で壊される場合もある」
元々の防御力やスキル等で強化された皮膚や鱗の硬さに武器が耐え切れずに刃が欠ける、折れる。
もしくは魔物によっては酸を吐く魔物もいるので、耐性の無い武器でそんな攻撃をもらってしまえば一発でダメになってしまう。
そして相手が持つ武器によっては稀な付与効果だが、武器破壊も存在する。
対人戦においても武器の使用不可という状況が起こる可能性は十分にある。
「そんな状況で体術が使えるのと使えないのでは状況が変わってくる。というか、お前らのランクが上がるにつれてちょっと重い内容かもしれないが、同じ人同士で殺し合う場合がある」
同じ人間同士で殺し合う。その内容にルーキー達は唾を飲み込んで話をさらに集中して聞く。
盗賊の討伐がギルドの依頼として存在するのは知っていた。
ただ、まだ冒険者に成りたてのルーキー達が受けられる内容では無い。
故に実際現場ではどのような状態になるのか想像出来ても実感することは出来ない。
「そんな状況でお前らと敵対する相手はお前たちは完全に殺す気で襲い掛かってくる。そういった戦況でお前らが手から武器を落とさないとも限らない。そんな状況で何も攻撃手段が無いと困るだろ。それに後衛の奴ら、いつでも前衛の奴らが守ってくれるとは限らないんだ」
ゼルートの忠告に後衛タイプのルーキーは小さく体が震える。
「戦っている最中に乱入者が現れないとも限らない。そこで一気に距離を詰められたらお前達はどうする? 予備の武器に短剣を持ってるとしても、それは実戦で使える程の腕前なのか? 仮に短剣を扱えるとしても、体術を覚えておいて損は無い」
地面に向かって拳を打ち込み、空中で止める。
拳を空中で止めたのにも関わらず、地面は大きく凹んでいた。
「体術のスキルレベルを上げていけばこういった攻撃も出来る。俺としては最後に頼れるのは自分の五体だと思っている。魔力が切れても、武器が壊れても自分の体は動くからな」
最後に頼れるのは自分の五体という言葉に、前衛タイプのルーキーは勿論のこと、後衛タイプのルーキー達にも自身の体を少しでも鍛えようという気持ちが芽生えた。
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