上 下
285 / 1,026
連載

少年期[445]群れのボス

しおりを挟む
死者がゼロというわけではない。
しかしそれでも過去に起こった魔物の大群の討伐と比べれば被害は圧倒的に少ない。

以外にも多くのAランクの冒険者が集まったことも一つの要因だが、圧倒的な殲滅力とスタミナを持つゼルート達が現場にいたことが大きな要因だと言える。

主力級の魔物を倒し終えたゼルート達は一休みすることもなく延々と魔物を狩り続けた。
そのお陰で瀕死の危機に追い込まれていた冒険者や兵士に騎士騎士達も命を拾うことに成功。

戦いは冒険者や騎士に兵士達の勝利がすぐそこまで見えていた。

だが、まだ誰も今回の群れの大群と遭遇していない。

魔物の数が減ったことでアレナ達の元から離れ、ゼルートとの元へと向かっていた。

(今回の群れのボスは何を考えているのでしょうか? ゼルート様を含めた強者たちが集まるのを待ってから侵攻を開始。結局は私達がいたことで冒険者側に被害はあまり出ずに済んでいる)

結果を見れば冒険者側の勝利に思える。
思えるのだが、群れのボスであろう魔物は退却しておらず、ゆっくりと街に向かって歩を進めている。

『ゼルート様』

「おう、ラル。こっちはほとんど終わったが、そっちも終わったか?」

『はい、こちらも後は問題なく終わるかと。それで、群れのボスの件なんですが』

「ゆっくりと街の方に向かって歩いてるよな。マジで何考えてるんだろうな? 強いのは解るけど、勝てない相手じゃない」

ライオネルやアシュラコングよりも高いステータスと知能を持つ魔物。

(ラルも同じことを考えてるだろうけど、マジで謎だ。知能がある魔物なら自分の軍隊が負けた時点で逃げるのが普通だと思うんだが・・・・・・とりあえず他の冒険者達が遭遇する前に俺達で何とかした方がしないとな)

自分たち以外の冒険者とぶつかれば、たとえAランクの冒険者であっても瀕死の重傷を負うか、殺される
確率が高い魔物。

(実力を考えればSランクに近いのかもしれないな)

そんな魔物を他の冒険者や街に近づける訳にはいない。
ゼルートは万が一に他にも強力な力を持つ魔物が潜んでいる可能性を考え、ラームはアレナ達の元へ戻るように
指示を出した。
それにルウナも付いて行き、ゼルートとラルとゲイルで群れのボスに向かって走り出した。

「あぁーーーー・・・・・・やっぱりか」

走って走ってたどり着いた先には人と獣の中間のような姿をした魔物がいた。
だがその見た目は人でも獣でもない、しいて言うならば悪魔に似ている。

(悪獣、やっぱしこいつが親玉だったか)

既に地上へ魔物の大群が上がりきっているのにも関わらず、街を責めない理由をゼルートはとりあえず一つ頭に浮かんだ。

これから自分達が街を襲えば後から強い者達がやって来ていちいち倒すのが面倒だから、一か所に集まるまでまつ。
それが本当に得策なのかどうかは解らないが、そういった内容を魔物が考えていても何らおかしい事ではない。

「お前が、冒険者どものリーダーか」

「随分と流暢な人語だな。いきなり質問して悪いが、お前の種族は悪獣でお前が魔物の大群を率いて街を襲おうとしたのか?」

「正解だ。俺がダンジョンの最下層のボスだった悪獣だ」

当たって欲しくない予感が当たり、ゼルートは小さく舌打ちをした。

(くっっっそっったれが!!!! やっぱりダンジョンから溢れ出てきた魔物か。悪獣なら魔物を統率するだけの実力や能力があっても不思議ではない。というか、マジで街に戻ったらギルドマスターと一回ちゃんと話をしないとな)

誰か、あの街の中に今回の騒動を引き起こした犯人がいる。

(見つけ出したら死なない程度に全力でぶん殴ってやる!!!!)

「おいおい、随分と殺気がむき出しになっているぞ。まぁ、今回の騒動の原因は俺だから当たり前か」

「いいや、原因はお前だけじゃない。お前よりも別に殺意を抱いてる奴がいるんだ。ただまぁ・・・・・・お前を殺す事に変わりは無いんだけどな」

「だと思っていたぞ。シンプルで分かりやすい戦意だ」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

外れスキル【建築】持ちの俺は実家を追放される。辺境で家作りをしていただけなのに、魔王城よりもすごい最強の帝国が出来上がってた

つくも
ファンタジー
「闘えもしない外れスキルを授かった貴様など必要ない! 出て行け! グラン!」 剣聖の家系に生まれた少年グランは15歳のスキル継承の儀の際に非戦闘用の外れスキルである【建築】(ビルド)を授かった。 対する義弟は当たりスキルである『剣神』を授かる。 グランは実父に用無しの無能として実家を追放される事になる。辺境に追いやられ、グランはそこで【建築】スキルを利用し、家作りを始める。家作りに没頭するグランは【建築】スキルが外れスキルなどではなく、とんでもない可能性を秘めている事に気づく。 【建築】スキルでどんどん辺境を開拓するグラン。 気づいたら魔王城よりもすごい、世界最強の帝国ができあがる。 そして、グランは家にいたまま、魔王を倒した英雄として、世界中にその名を轟かせる事となる。

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない

一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。 クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。 さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。 両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。 ……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。 それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。 皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。 ※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

父の大事な家族は、再婚相手と異母妹のみで、私は元より家族ではなかったようです

珠宮さくら
恋愛
フィロマという国で、母の病を治そうとした1人の少女がいた。母のみならず、その病に苦しむ者は、年々増えていたが、治せる薬はなく、進行を遅らせる薬しかなかった。 その病を色んな本を読んで調べあげた彼女の名前は、ヴァリャ・チャンダ。だが、それで病に効く特効薬が出来上がることになったが、母を救うことは叶わなかった。 そんな彼女が、楽しみにしていたのは隣国のラジェスへの留学だったのだが、そのために必死に貯めていた資金も父に取り上げられ、義母と異母妹の散財のために金を稼げとまで言われてしまう。 そこにヴァリャにとって救世主のように現れた令嬢がいたことで、彼女の人生は一変していくのだが、彼女らしさが消えることはなかった。

『転生したら弱小領主の嫡男でした!!元アラフィフの戦国サバイバル~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~』

姜維信繁
ファンタジー
【祝!93,000累計pt ローマは1日にして成らず・千里の道も一歩から】 歴史好き、という以外にこれと言って取り柄のない、どこにでもいるサラリーマンの沢森武は、休暇中の地元で事故にあい戦国時代に転生してしまう。しかし、まったくのマイナー武将で、もちろん某歴史ゲームには登場しない。おそらく地元民で歴史好きですら??かもしれない、地方の国人領主のそのまた配下の長男として。ひょっとしてすでに詰んでる?ぶっちゃけ有名どころなら歴史的資料も多くて・・・よくあるタイムスリップ・転生ものでもなんとか役に立ちそうなもんだが、知らない。まじで知らない。超マイナー武将に転生した元アラフィフおっさんの生き残りをかけた第二の人生が始まる。 カクヨム様・小説家になろう様・アルファポリス様にて掲載中 ちなみにオフィシャルは https://www.kyouinobushige.online/ 途中から作ったので間が300話くらい開いているいびつなサイト;;w

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

森に捨てられた俺、転生特典【重力】で世界最強~森を出て自由に世界を旅しよう! 貴族とか王族とか絡んでくるけど暴力、脅しで解決です!~

WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
 事故で死んで異世界に転生した。 十年後に親によって俺、テオは奴隷商に売られた。  三年後、奴隷商で売れ残った俺は廃棄処分と称されて魔物がひしめく『魔の森』に捨てられてしまう。  強力な魔物が日夜縄張り争いをする中、俺も生き抜くために神様から貰った転生特典の【重力】を使って魔物を倒してレベルを上げる日々。  そして五年後、ラスボスらしき美女、エイシアスを仲間にして、レベルがカンスト俺たちは森を出ることに。  色々と不幸に遇った主人公が、自由気ままに世界を旅して貴族とか王族とか絡んでくるが暴力と脅しで解決してしまう! 「自由ってのは、力で手に入れるものだろ? だから俺は遠慮しない」  運命に裏切られた少年が、暴力と脅迫で世界をねじ伏せる! 不遇から始まる、最強無双の異世界冒険譚! ◇9/25 HOTランキング(男性向け)1位 ◇9/26 ファンタジー4位 ◇月間ファンタジー30位

公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)

音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。 魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。 だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。 見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。 「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。

転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

高木コン
ファンタジー
第一巻が発売されました! レンタル実装されました。 初めて読もうとしてくれている方、読み返そうとしてくれている方、大変お待たせ致しました。 書籍化にあたり、内容に一部齟齬が生じておりますことをご了承ください。 改題で〝で〟が取れたとお知らせしましたが、さらに改題となりました。 〝で〟は抜かれたまま、〝お詫びチートで〟と〝転生幼女は〟が入れ替わっております。 初期:【お詫びチートで転生幼女は異世界でごーいんぐまいうぇい】 ↓ 旧:【お詫びチートで転生幼女は異世界ごーいんぐまいうぇい】 ↓ 最新:【転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい】 読者の皆様、混乱させてしまい大変申し訳ありません。 ✂︎- - - - - - - -キリトリ- - - - - - - - - - - ――神様達の見栄の張り合いに巻き込まれて異世界へ  どっちが仕事出来るとかどうでもいい!  お詫びにいっぱいチートを貰ってオタクの夢溢れる異世界で楽しむことに。  グータラ三十路干物女から幼女へ転生。  だが目覚めた時状況がおかしい!。  神に会ったなんて記憶はないし、場所は……「森!?」  記憶を取り戻しチート使いつつ権力は拒否!(希望)  過保護な周りに見守られ、お世話されたりしてあげたり……  自ら面倒事に突っ込んでいったり、巻き込まれたり、流されたりといろいろやらかしつつも我が道をひた走る!  異世界で好きに生きていいと神様達から言質ももらい、冒険者を楽しみながらごーいんぐまいうぇい! ____________________ 1/6 hotに取り上げて頂きました! ありがとうございます! *お知らせは近況ボードにて。 *第一部完結済み。 異世界あるあるのよく有るチート物です。 携帯で書いていて、作者も携帯でヨコ読みで見ているため、改行など読みやすくするために頻繁に使っています。 逆に読みにくかったらごめんなさい。 ストーリーはゆっくりめです。 温かい目で見守っていただけると嬉しいです。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。