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少年期[444]慢心している余裕が無い

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「あら、ちょっと面倒な魔物が出てきましたね」

「はっはっは、あんな奴どうってこと無いだろ!!!!」

「そうかもしれないですけど、体積が大きい事に変わりないですからね」

魔物の群れから現れたのは木の体を持つゴーレム、ウッドゴーレム。
それが三十近くいる。

「げっ、流石に数が多くて面倒だな」

「大丈夫そうですよ。ラルが何とかしてくれそうですから」

三十近いウッドゴーレムの数は、弱点を突かなければ非常に面倒な相手である。
火や風に雷の魔力が使用された攻撃ならば容易に体を破壊できるが、それ以外の攻撃では少々厳しい。
特に打撃には耐性があり、周囲に木々が存在すればそれを吸収して体を再生する能力を持つ。

上空に飛ぶ魔物を雷のブレスで一掃する。
そして両翼から魔力の刃を連続で放つ事で防御力はあってもスピードは無い。
ラルが放つ斬撃はそこまでの速さでは無いが、それでもウッドゴーレムの防御が間に合わない程度の速度はあった。

そして魔力の斬撃によって魔物にとって第二の心臓である魔石を完全に破壊されたウッドゴーレム達は為す術も無く切断されていく。

「・・・・・・遠慮無いのは当たり前だが、普通にエグイな」

「そうね。ウッドゴーレムだけじゃなくて、攻撃の余波で他の魔物まで倒されているなんて、相当な威力みたいね。私達も負けていられないわ」

やる気が溢れ出して来たコーネリアは光魔法、ホーリークロスバーストを発動し、光の十字架が魔物の種族や属性関係無しに大群を派手に吹き飛ばした。

「コーネリアさんも随分と豪快な攻撃をしますね」

「そりゃ俺の嫁だからな。ああいった攻撃も出来る。まっ、発動するには俺達みたいな前衛が守ってやらないといけないけどな」

流石に上級魔法を詠唱破棄で発動する事は不可能だったので、詠唱を唱えてから発動したホーリークロスバーストを発動したコーネリア。

しかし高速詠唱のスキルを習得しているため、発動までの時間は五秒程で済む。

「うし、俺もいっちょド派手にぶちかますか!!! 掻き消せ、ストームバニッシュ!!!!

魔大斧から放たれた風の一撃は攻撃の通り道に存在する魔物や地面までもを消した。
それがコーネリアのホーリークロスバーストの様に十字架で放たれ、魔物達の群れは壊滅的な状況に追い込まれた。

「ガラじゃないけど、私も派手にいきますか」

火の魔力をの中に風の魔力を仕込み、速度をマックスまで上げて残っている魔物達に襲い掛かり、体の一部に斬撃を加える。

そのどれもがダメージは与えても命を奪う事は無かった。

「炎刃爆破ってとこかしら」

アレナが元の位置に戻ると、魔物達の斬傷がいきなり爆破した。
その一撃が原因で命を落とす魔物もいれば、死にはせずとも重要な器官を破壊されて絶体絶命の状況に追い込まれた魔物もいた。

「おうおう、中々面白い技じゃないか。オリジナルか?」

「いいえ、ゼルートにアドバイスを貰って思い付いた技です。火と風の魔力は相性が良いから混ぜれば威力が増すぞって言われて」

「確かに風は火力を大きくするからな。まぁ、混ぜる比率によっちゃ意味無しになっちまうけどな」

グレイスの言う通り、ある程度比率がとれていなければ火は風に消され、風は火に飲み込まれてしまう。

アレナが繰り出した炎刃爆破はユニゾンマジックの簡易版の様なものだが、そう簡単に扱える技術では無い。

(ゼルート達と一緒に冒険するようになってから私も少しは強くなったみたいね)

以前の時分なら風力で火力を上げる程度のことしか出来なかったが、今では冒険者や騎士の中でも一握りの者しか扱う事の出来ない技術を実戦で使えるようになっている。

周りにいる仲間や冒険者の先輩たちは確かに化け物の様な強さを持つが、それでも出来なかったが事が出来るようになったことでアレナは自分の力に自信が持てるようになった。

(というか、普通にちょっとは自慢出来るほどの実力は持っていた筈よね? やっぱりゼルート達と出会ってからそこら辺の感覚がマヒしているのは確実ね)

自分に自信が無いのは良くないが、今の実力に満足して前に進むのを止めてしまうのも良くない。
というかアレナの才能を考えれば勿体無い。

その才能を無駄にすること無く発揮し終えたアレナは周囲に魔物がいなくなった事を確認し、グレイス達と共に他のメンバーの援護に向かう。
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