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少年期[391]理由がすり替わる
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決闘日当日、ゼルート達は開始の三十分前に学園に到着していた。
「随分早い到着ね。やっぱりちょっと緊張してるの?」
「別に緊張はしてないよ。ただ、送れるよりは早く着いておいた方が良いでしょ」
前世では学生だったゼルートとしては待ち合わせや集合に関しては五分前には到着するのが習慣になっており、それは今も変わらない。
だが、今回に限っては学園に到着するまでに妨害が無いかを心配しての早めの到着だった。
「ゼルート、先に言っておくが観客席は超満員だ。立ち見しようとしている生徒も多い」
「そ、そんなにいるんだ。婚約者云々に関しての決闘事ってそんなに大きなイベントなの?」
「基本的にはそうだな。こういったイベントは生徒達にとって娯楽の一つだ。賭け試合でもあるからな。ちなみに僕はゼルートの勝ちに小遣い三か月分を賭けている」
「私も兄さんと同じで小遣い三か月分賭けてるわ。だから絶対に勝つのよ!!!」
(給料三か月分の婚約指輪、的なノリで言うなよ。というか姉さん、決闘に勝って欲しい理由が変わっていないか??)
元々の依頼内容は決闘の代理人として戦い、勝利する事。
それがゼルートの勝利に小遣いを三か月分を賭けているから。といった具合に見事すり替わっていた。
「姉さん・・・・・・俺が元々ここに来た理由忘れてない?」
「決闘の代理人として指名依頼した。それは忘れていないわよ。出来ればあのアホを殴り飛ばして欲しかったけど」
「代理人との決闘に不屈と感じてリングに上がってきたらその時はぶっ飛ばすよ」
良い笑顔で宣言するゼルート。
そんなゼルートにレイリア達も自然と笑顔になる。
決闘の開始時間まで談笑を楽しみ、少しのアップを済ませてからリングへと向かう。
「ゼルート、あまり相手の冒険者に大きな怪我を負わせないようにな」
「遠慮なくやっちゃって良いわ!!!!」
クライレットは相手の冒険者がゼルートにボコボコにされ過ぎて心が折れないか心配するが、レイリアはそんな事お構いなしにぶっ飛ばして構わないと親指を立てて宣言する。
「あまり虐めちゃだめよ」
「うむ、トラウマにならない様に倒すのがベストだぞ」
二人はゼルートの実力を良く知っているの。
なのでゼルートが相手にトラウマを残そうと戦おうと思えば、実行できると解っていた。
だが、ゼルートにその気が無くてもそういう展開になってしまうかもしれないので一応釘を刺した。
「無いとは思いますが、油断はしない様に」
「適当にちゃちゃっと終わらしてしまってください」
「終わったら美味しいご飯食べよう!!!」
ゲイルは万が一の事を考えてゼルートに念の為、油断しない様にと伝える。
ラルとラームに関しては何があってもゼルートが負けるとは思っていないので、今回の決闘に関してそもそも興味が無かった。
レイリア達から言葉を受け取ったゼルートは後ろに手を振りながらリングへと上がった。
すると大きな歓声が上がる。
レイリアとクライレットは学園の生徒殆どが知っている存在であり、その二人の弟が戦うとなれば生徒達のテンションが上がるのは必然。
周りを見渡す限り人、人、人だらけ。
殆どは生徒だが、授業が終わっているという事もあって教師も多くいる。
そして何故か一部に冒険者が密集しているところもあった。
(もしかしてこれからリングに上がって来る冒険者が所属しているクランの仲間か?)
ゼルートの考えは当たっており、クランに所属する冒険者達は様々な視線をゼルートに向けていた。
そして相手の冒険者がリングに上がるともう一度大きな歓声が上がる。
(当たり前だけど俺より年齢は上。歳は十七ぐらいか? そんで男・・・・・・では無く、女と来た。男子生徒の声援が大きいのはそういう事か。確かに結構美人だし、あり過ぎない程度に筋肉が付いてる。そんで得物は槍か)
ゼルートは対戦相手の眼を見る。
(あんまり油断はしてなさそうだが、俺の噂が本当なのか半信半疑ってところか)
まずは武器に対して武器で戦おうと思い、ゼルートは鞘から長剣を抜く。
「随分早い到着ね。やっぱりちょっと緊張してるの?」
「別に緊張はしてないよ。ただ、送れるよりは早く着いておいた方が良いでしょ」
前世では学生だったゼルートとしては待ち合わせや集合に関しては五分前には到着するのが習慣になっており、それは今も変わらない。
だが、今回に限っては学園に到着するまでに妨害が無いかを心配しての早めの到着だった。
「ゼルート、先に言っておくが観客席は超満員だ。立ち見しようとしている生徒も多い」
「そ、そんなにいるんだ。婚約者云々に関しての決闘事ってそんなに大きなイベントなの?」
「基本的にはそうだな。こういったイベントは生徒達にとって娯楽の一つだ。賭け試合でもあるからな。ちなみに僕はゼルートの勝ちに小遣い三か月分を賭けている」
「私も兄さんと同じで小遣い三か月分賭けてるわ。だから絶対に勝つのよ!!!」
(給料三か月分の婚約指輪、的なノリで言うなよ。というか姉さん、決闘に勝って欲しい理由が変わっていないか??)
元々の依頼内容は決闘の代理人として戦い、勝利する事。
それがゼルートの勝利に小遣いを三か月分を賭けているから。といった具合に見事すり替わっていた。
「姉さん・・・・・・俺が元々ここに来た理由忘れてない?」
「決闘の代理人として指名依頼した。それは忘れていないわよ。出来ればあのアホを殴り飛ばして欲しかったけど」
「代理人との決闘に不屈と感じてリングに上がってきたらその時はぶっ飛ばすよ」
良い笑顔で宣言するゼルート。
そんなゼルートにレイリア達も自然と笑顔になる。
決闘の開始時間まで談笑を楽しみ、少しのアップを済ませてからリングへと向かう。
「ゼルート、あまり相手の冒険者に大きな怪我を負わせないようにな」
「遠慮なくやっちゃって良いわ!!!!」
クライレットは相手の冒険者がゼルートにボコボコにされ過ぎて心が折れないか心配するが、レイリアはそんな事お構いなしにぶっ飛ばして構わないと親指を立てて宣言する。
「あまり虐めちゃだめよ」
「うむ、トラウマにならない様に倒すのがベストだぞ」
二人はゼルートの実力を良く知っているの。
なのでゼルートが相手にトラウマを残そうと戦おうと思えば、実行できると解っていた。
だが、ゼルートにその気が無くてもそういう展開になってしまうかもしれないので一応釘を刺した。
「無いとは思いますが、油断はしない様に」
「適当にちゃちゃっと終わらしてしまってください」
「終わったら美味しいご飯食べよう!!!」
ゲイルは万が一の事を考えてゼルートに念の為、油断しない様にと伝える。
ラルとラームに関しては何があってもゼルートが負けるとは思っていないので、今回の決闘に関してそもそも興味が無かった。
レイリア達から言葉を受け取ったゼルートは後ろに手を振りながらリングへと上がった。
すると大きな歓声が上がる。
レイリアとクライレットは学園の生徒殆どが知っている存在であり、その二人の弟が戦うとなれば生徒達のテンションが上がるのは必然。
周りを見渡す限り人、人、人だらけ。
殆どは生徒だが、授業が終わっているという事もあって教師も多くいる。
そして何故か一部に冒険者が密集しているところもあった。
(もしかしてこれからリングに上がって来る冒険者が所属しているクランの仲間か?)
ゼルートの考えは当たっており、クランに所属する冒険者達は様々な視線をゼルートに向けていた。
そして相手の冒険者がリングに上がるともう一度大きな歓声が上がる。
(当たり前だけど俺より年齢は上。歳は十七ぐらいか? そんで男・・・・・・では無く、女と来た。男子生徒の声援が大きいのはそういう事か。確かに結構美人だし、あり過ぎない程度に筋肉が付いてる。そんで得物は槍か)
ゼルートは対戦相手の眼を見る。
(あんまり油断はしてなさそうだが、俺の噂が本当なのか半信半疑ってところか)
まずは武器に対して武器で戦おうと思い、ゼルートは鞘から長剣を抜く。
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