215 / 1,043
連載
少年期[376]入る事に興味は無い
しおりを挟む
(こいつら・・・・・・どうしてこんなところで声を掛けてくるんだよ。周囲の人間とアレナの反応を見る限り、王都の中ではそこそこ大きなクランなんだろう。そんな奴らがこんな大勢の人がいる場所で声を掛けてきたら否が応でも目立つだろ)
相手の都合を全く考えないデーバックの行動にゼルートは普通に腹が立っていた。
「クランへの勧誘ねぇ・・・・・・まずなんで俺らみたいなDランクの冒険者をクランに誘うんだ?」
「例えランクが低くても、才能や伸びしろがあると感じれば早い段階でスカウトするのは特に珍しくないよ。それで君達を勧誘した理由についてだね。少し前にドーウルスの街から少し離れたところでオークとゴブリンの大群が発見され、それに対して大規模の討伐が行われた」
王都からドーウルスまでにかなりの距離が離れているが、それぐらいの情報は出来事が起こってからの日数を考えればその情報が伝わっていても可笑しくない。
「その討伐での立役者がDランクの君達だ。なんでもオークキングを単独で倒したとか」
デーバックの発言に周囲の騒がしさが加速する。
そしてゼルートの眉間にますます皺が寄る。
「そんな君を放っておくクランはそうそういないと思うね」
ドーウルスでは全く勧誘された事が無いゼルートだが、それにはゼルートの容赦のなさなどが広まっているのでクラン内の揉め事を避ける為に誘うクランがいない状態になっていた。
「・・・・・・まぁ、仮にその情報が正しかったとしよう。ただ、俺があんたらのクランに入る理由にはならない。誘ってくれたことは光栄な事なんだろうが、断らせて貰う」
ゼルートとデーバックの会話を食事の手を止めて聞いていた客達はまさかの返答に驚きを隠せず、口をあんぐりと空けてフォークを落としてしまう者もいた。
だがアレナとルウナだけはその返答が当たり前とだと解っているため、特に表情に変化は無くウンウンと頷いている。
「そうか・・・・・・理由を聞いても良いかな?」
「上からあれこれ指示を受けたくない、おそらく同年代や年上の連中と仲良くできない。というか・・・・・・そもそもクランに興味は無い」
「大手のクランに入れば色々と場面場面で有利になる事があったとしても?」
ハッキリとクランには入らない、興味が無いと伝えたのにも関わらず、まだ勧誘を諦めないデーバックに対してゼルートは苛立ちを募らせながらもそれを敵意や殺気には変えずに我慢する。
「だから言っただろ。まだ冒険者になったばかりのルーキーだとしてもそんな事は知ってる。それを踏まえて興味が無いって言ったんだよ」
「興味が無い、か。ふぅーーーーー・・・・・・分った。これ以上勧誘するのは止めるよ」
「そうか。次狙うならもう少し欲がある奴を狙えよ。あと・・・・・・俺に権力が無いと勘違いするなよ」
威圧感を出し、最後だけ声量を小さくしてデーバックだけに聞こえる様に伝える。
自身だけに向けられた明確な威圧にデーバックは思わず体を震わせてしまう。
その瞬間に自分の物差しで測っていた目の前の少年が噂通り、ランクに当てはまらない規格外な冒険者なのだと認識させられる。
「んじゃ帰るぞアレナ、ルウナ」
席から立ち上がり、会計を済ませたゼルート達は何事も無かったような表情で店から出て行く。
ゼルートが店から出て行った後、デーバックの後ろにいたクランのメンバーが不満を隠さない表情のまま話しかける。
「なんて生意気なルーキーなんでしょうか!!! 私には態度だけがデカく、後ろの二人の力を良いように利用して自分まで強くなっているようにしか見えません!!!!」
「それは違うよ、フーラ」
「えっ、えっと・・・・・・私にはあの子供がオークキングを単独で倒せる様には、まっっったく見えませんでしたけど、そうでは無いという事ですか?」
フーラはクラン内で信頼でき、尊敬している先輩であるデーバックから自身の考えを否定され、その理由が全く解らなかった。
「そういう事だよ。最後に彼は僕だけに伝わる威圧感を出して帰った。狙った対象だけに威圧感や敵意に殺意を与える。それが出来るだけで彼の力量が解る。それに彼は思っていたよりも大人なようだ」
「見た目は子供っすけど態度がという大人っすか」
豹の獣人の青年はデーバック何を言っているのかちょっと解らなかった。
隣に未だ不満顔の人族のフーラも同様な考え。
「態度は・・・・・・ちょっと違うかもしれないね。ただ、彼は最後まで雰囲気を崩さなかった。多分、彼は僕に勧誘された事自体を鬱陶しく思っていたようだ。にも関わらず感じとれる者ならば感じ取れる威圧感を出そうとしなかった」
不快に思い、感じている事に対してある程度の強者ならば体から自然と魔力や不快感が混じった威圧が出てしまう。
それをゼルートは会話が終わるまで我慢し続けていた。
「個人的には、あの歳であの域に達するまでに潜った修羅場が気になるところだけど、あまり関わろうとすると余計な怒りを買うかもしれないから諦めよう」
既に食事を終えていたデーバック達も会計を済ませてから店を出た。
デーバックは面白い物を見つけた少年の様な顔をしていたが、フーラだけはゼルートのデーバックに対する態度に納得が出来ず、クランハウスに着いてからも不機嫌な表情が変わる事は無かった。
相手の都合を全く考えないデーバックの行動にゼルートは普通に腹が立っていた。
「クランへの勧誘ねぇ・・・・・・まずなんで俺らみたいなDランクの冒険者をクランに誘うんだ?」
「例えランクが低くても、才能や伸びしろがあると感じれば早い段階でスカウトするのは特に珍しくないよ。それで君達を勧誘した理由についてだね。少し前にドーウルスの街から少し離れたところでオークとゴブリンの大群が発見され、それに対して大規模の討伐が行われた」
王都からドーウルスまでにかなりの距離が離れているが、それぐらいの情報は出来事が起こってからの日数を考えればその情報が伝わっていても可笑しくない。
「その討伐での立役者がDランクの君達だ。なんでもオークキングを単独で倒したとか」
デーバックの発言に周囲の騒がしさが加速する。
そしてゼルートの眉間にますます皺が寄る。
「そんな君を放っておくクランはそうそういないと思うね」
ドーウルスでは全く勧誘された事が無いゼルートだが、それにはゼルートの容赦のなさなどが広まっているのでクラン内の揉め事を避ける為に誘うクランがいない状態になっていた。
「・・・・・・まぁ、仮にその情報が正しかったとしよう。ただ、俺があんたらのクランに入る理由にはならない。誘ってくれたことは光栄な事なんだろうが、断らせて貰う」
ゼルートとデーバックの会話を食事の手を止めて聞いていた客達はまさかの返答に驚きを隠せず、口をあんぐりと空けてフォークを落としてしまう者もいた。
だがアレナとルウナだけはその返答が当たり前とだと解っているため、特に表情に変化は無くウンウンと頷いている。
「そうか・・・・・・理由を聞いても良いかな?」
「上からあれこれ指示を受けたくない、おそらく同年代や年上の連中と仲良くできない。というか・・・・・・そもそもクランに興味は無い」
「大手のクランに入れば色々と場面場面で有利になる事があったとしても?」
ハッキリとクランには入らない、興味が無いと伝えたのにも関わらず、まだ勧誘を諦めないデーバックに対してゼルートは苛立ちを募らせながらもそれを敵意や殺気には変えずに我慢する。
「だから言っただろ。まだ冒険者になったばかりのルーキーだとしてもそんな事は知ってる。それを踏まえて興味が無いって言ったんだよ」
「興味が無い、か。ふぅーーーーー・・・・・・分った。これ以上勧誘するのは止めるよ」
「そうか。次狙うならもう少し欲がある奴を狙えよ。あと・・・・・・俺に権力が無いと勘違いするなよ」
威圧感を出し、最後だけ声量を小さくしてデーバックだけに聞こえる様に伝える。
自身だけに向けられた明確な威圧にデーバックは思わず体を震わせてしまう。
その瞬間に自分の物差しで測っていた目の前の少年が噂通り、ランクに当てはまらない規格外な冒険者なのだと認識させられる。
「んじゃ帰るぞアレナ、ルウナ」
席から立ち上がり、会計を済ませたゼルート達は何事も無かったような表情で店から出て行く。
ゼルートが店から出て行った後、デーバックの後ろにいたクランのメンバーが不満を隠さない表情のまま話しかける。
「なんて生意気なルーキーなんでしょうか!!! 私には態度だけがデカく、後ろの二人の力を良いように利用して自分まで強くなっているようにしか見えません!!!!」
「それは違うよ、フーラ」
「えっ、えっと・・・・・・私にはあの子供がオークキングを単独で倒せる様には、まっっったく見えませんでしたけど、そうでは無いという事ですか?」
フーラはクラン内で信頼でき、尊敬している先輩であるデーバックから自身の考えを否定され、その理由が全く解らなかった。
「そういう事だよ。最後に彼は僕だけに伝わる威圧感を出して帰った。狙った対象だけに威圧感や敵意に殺意を与える。それが出来るだけで彼の力量が解る。それに彼は思っていたよりも大人なようだ」
「見た目は子供っすけど態度がという大人っすか」
豹の獣人の青年はデーバック何を言っているのかちょっと解らなかった。
隣に未だ不満顔の人族のフーラも同様な考え。
「態度は・・・・・・ちょっと違うかもしれないね。ただ、彼は最後まで雰囲気を崩さなかった。多分、彼は僕に勧誘された事自体を鬱陶しく思っていたようだ。にも関わらず感じとれる者ならば感じ取れる威圧感を出そうとしなかった」
不快に思い、感じている事に対してある程度の強者ならば体から自然と魔力や不快感が混じった威圧が出てしまう。
それをゼルートは会話が終わるまで我慢し続けていた。
「個人的には、あの歳であの域に達するまでに潜った修羅場が気になるところだけど、あまり関わろうとすると余計な怒りを買うかもしれないから諦めよう」
既に食事を終えていたデーバック達も会計を済ませてから店を出た。
デーバックは面白い物を見つけた少年の様な顔をしていたが、フーラだけはゼルートのデーバックに対する態度に納得が出来ず、クランハウスに着いてからも不機嫌な表情が変わる事は無かった。
82
お気に入りに追加
9,033
あなたにおすすめの小説
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件
フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。
だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!?
体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。
転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?
Gai
ファンタジー
鉄柱が頭にぶつかって死んでしまった少年は神様からもう異世界へ転生させて貰う。
貴族の四男として生まれ変わった少年、ライルは属性魔法の適性が全くなかった。
貴族として生まれた子にとっては珍しいケースであり、ラガスは周りから憐みの目で見られる事が多かった。
ただ、ライルには属性魔法なんて比べものにならない魔法を持っていた。
「はぁーー・・・・・・属性魔法を持っている、それってそんなに凄い事なのか?」
基本気だるげなライルは基本目立ちたくはないが、売られた値段は良い値で買う男。
さてさて、プライドをへし折られる犠牲者はどれだけ出るのか・・・・・・
タイトルに書いてあるパートナーは序盤にはあまり出てきません。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。