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少年期[360]お前だから意味があった。

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「いやぁ~~~~、カッコ良かったぜゼルート!!! ちょーー男らしかった!! いや、冒険者らしかったと言った方が良いかもな」

「ソン、酔うのがちょっと早くないか?」

エールを一気に煽り、自分を褒めるソンにソウスケはいきなり酔ったかと思ったが、ソンはまだまだシラフ。
心の底から思った言葉だった。

「酔ってねぇーーよ。まだ一杯目だしな。あの場面をみりゃ、どっちが冒険者として先輩なのか解らなくなるってもんだ」

「俺もソンに同意だ。冒険者として・・・・・・誰かを守る依頼を受けてる者として正しい言葉だ。ダンの奴も早めにそれを歳が近い奴から言われて良かっただろう。教師の方々には悪いが、俺はあいつが問題行動を起こしたのが今回の依頼中で良かったと思っている。トップレベルの冒険者と従魔が護衛にいたからな」

最近のダンを見ていたデックは近いうちに何か失敗をやらかうだろうと思っていた。
そして今回、ダンの傍にはランク不相応の実力を持つ獣人とリザードマンの希少種が傍にいる。

冒険者の先輩としていずれ後輩になる者に正しい姿を見せなければいけないのにもかかわらず、醜態を晒してしまう。
最後に自身がライバル視していた後輩の冒険者から正論をぶつけられた。

結果論だけで言えば被害は出ず、失敗してしまった内容に正論をぶつけた者の事を考えれば一番ダンが心に圧し掛かる内容だと言える。

「俺ら教師の立場を考えるとダンに説教してギルドに報告しなきゃなんねぇんだが・・・・・・ゼルートの怒りっぷりを見るとなぁ?」

「おう。別に俺らが何かを言う必要はねぇんじゃないかと思えるぜ。ゼルートが怒鳴っている時は思わずブルッてチビってしまいそうだったぜ」

チビってしまいそうだったというのは冗談だが、それでも男性教員はゼルートの怒鳴る迫力に体が震えたのは事実であり、後退りしそうになった。

「それにあのダンってこの親は二人共Aランクなのでしょう。内容が内容なだけに説教は数時間ぐらいあるんじゃないかしら?」

子から親になったからこそ子を失う怖さが解る。
だが、もしその子が他人の子を危険に晒してしまうような事をすれば比喩でも無く本気で鬼の様な形相で説教が始まるだろうとフーリアは勝手ながら予想していた。

(まぁ、ダンとミルシェの性格からしてセットで魔導の戦斧とまで言われるようになった二人が自分達の面子の事を考えて怒鳴るようなことはないでしょうけど・・・・・・そういう事も教えるでしょうね)

「結局ミルシェは来なかったし・・・・・・まぁ、ダンが来れない状況でミルシェだけ来るってのはあり得ないし当然と言えば当然か。それと、私もデックと同じ意見だから、そんな落ち込む必要はないっしょゼルート」

「・・・・・・やっぱりそう見えるか?」

「明らかに夕食を食べるペースが遅いし」

全く食べていないという訳では無いが、それでも普段のペーストと比べると明らかに遅い。
他の面子も同意するように頷く。

「ゼルートは・・・・・・あれか? 自分みたいな冒険者に成り立てのルーキーがあんな偉そうな事言うんじゃなかったって後悔してるんだろ。それは違うぞ。お前に言われたからこそ、ここに来る物があるんだ」

そう言いながらボウドは自身の胸をドンっ!! と叩く。
冒険者として当たり前になっていた事に意識が薄れ、本来の役割を忘れてしまう。
ルーキーを卒業しかける冒険者にはよくある事。

だが良くある事で済まされる事で終わらない事があるのも事実。

「だからお前が落ち込む必要は無い!!!」

「・・・・・・うっす。分りました」

「そうか、だったら飲め!!!」

「それは遠慮します」

ゼルートとボウドのやり取りに周囲はドッと笑い、雰囲気は何時もと変わらない明るいものになった。
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