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少年期[357]ちゃちゃっと終わる

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『さてと、ちゃっちゃと片付けちゃうよ!!!』

ミルシェ達も護衛としての役目を果たそうと魔法の詠唱を開始し、短剣を構え、矢をセットする。
しかし自分に任せろとばかりラームは前に出る。

『コボルトとコボルトの上位種の群れか・・・・・・水だけで十分かな』

ラームは襲って来たコボルトと上位種の数分の触手を生み出し、狙いを定める。

『念には念をでいこっと。ウォーターショット、バースト!!』

通常の水の弾丸の速度を倍ほどに上げてからの攻撃にコボルトと上位種達は呆気なく重要な器官を貫かれ、地面に倒れ伏して動かなくなる。

「は、ははは。普通のスライムじゃないとは聞いていたけど、確かに普通じゃないわね。普通のスライムがコボルトとその上位種の群れを瞬殺出来る訳無いし」

「き、きっとゼルート君の戦いの教えたかが上手かったのでしょう」

水魔法を覚えたスライムがウォータショットを使ってスライムだと油断している冒険者に痛手を負わせる事はあるが、複数の触手を生やしてその先全てからウォーターショットを放つスライムがいたなどミルシェは聞いた事が無い。

「そう信じたいものだな。あのような攻撃が出来るスライムが多々いると思うと正直ゾッとする。だが、今はコボルトを殲滅してくれたラームに感謝しよう」

フーリアはラームのプルプルとした体を撫でながら礼を言う。

『むふふーーーー!!! どういたしまして!!!』

ラームは体をプルッと震わせながら答える。
そんなラームの動きが可愛く思えたミルシェとヒルナも礼を言いながらラームの体を撫で、今までスライムとはいえ一応モンスターなので少し近寄り難いと感じていた生徒達もラームに近づいて礼を言う。

その様子にラームはとてもご満悦だった。


「・・・・・・本当に面倒な鎌だな」

力はそこまで強い訳では無いが堅い。
そしてギリギリで攻撃方法を変えてくる鎌にゼルートはイライラしていた。

(見本になるような戦いをしようとは思っていてもそれがちょっとなぁ・・・・・・あっ、ラームの奴瞬殺で終わらせたな)

遠目からラームがコボルトと上位種の群れを全滅させたのを確認できた。

『ラーム、そっちにグリーンマンティスが吹っ飛ぶかもしれないから生徒達の前に立っといてくれ』

『了解!!』

ラームへ一応の警戒を伝え、両方向から迫り来るかまを二刀で止めたゼルートはその一瞬でグリーンマンティスの腹に前蹴りをぶち込んだ。
そしてグリーンマンティスが後方へと吹き飛ぶのと同時に二本のロングソードから斬撃を放つ。

(これで終わればいいんだろうけど、何となく終わりそうにない気がするんだよな)

二つの斬撃を放ったゼルートは即座にグリーンマンティスの右側に走る。

斬撃がグリーンマンティスにぶつかるが、寸でのところでグリーンマンティスは風の刃を放ちギリギリ総裁に成功する。
だがその瞬間、頭の左側から何かが貫いた感触をえる。

「良し!! 流石に上手くいったみたいだな」

ゼルートの腕力プラス、投擲のスキルの命中補正により見事に側頭部へ命中。
だがグリーンマンティスは完全に動く事が出来なかった訳では無かった。

「そういえば昆虫系の魔物は神経が太くて複雑? だから完全に殺さないとちょいちょい動くんだったな」

羽を使って逃げようとするグリーンマンティスの羽の根元を斬りつけ、ついでに首を完全に跳ね飛ばす。

「・・・・・・・・・・・・ようやく完全に動かなくなったか」

「お疲れ様ゼルート君。中々参考になる戦い方だったんじゃないかしら」

「だと良いんですけどね」

ある程度の動体視力、二つの長剣を操る器用さ。そして体術と投擲にスキル。
決して高レベルのそれらを求める訳では無いが、それでもある程度のレベルが必要になる。

「生徒達も卒業までにまだ半年程度はある。だから帰ってから必死に努力すればゼルート君レベルには勿論至らないでしょうけど、実戦で使えるレベルには達すると私は思う」

後ろをチラッと見たフーリアの視界にはギラギラと目を燃やし、やる気に満ち溢れている生徒達がいた。
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