冒険がしたい創造スキル持ちの転生者

連載

少年期［３４９］安定しているが

「・・・・・・ドーウルスの街では結構、というかかなり腕の良い鍛冶師と知り合う事が出来たので、それも冒険者としては立派な繋がりかもしれませんね」

「おう、それは冒険者が作るべき繋がりだな。素手で戦う奴や魔法をメインに戦う奴らを覗いた冒険者や兵士に騎士にとっては自分の命を預けるのが武器だからな。こいつなら俺を裏切る事は無い、そう思える武器があるだけで心の持ちようは変わって来る。そんで、ゼルートがかなり腕の良い鍛冶師って言うんだから本当に腕が良いんだろ」

「だと俺は思いますよ。ちなみにこれがその鍛冶師が造った武器です」

マグラスがゼルート達に造った武器は紫電の刃なのだが、それを見せると色々と面倒な事を訊かれそうだと思ったゼルートは出さなかった。

代わりに出した武器は効果付きのロングソード。

「・・・・・・本当にかなりの腕を持つ鍛冶師なんだな。鑑定系のスキルは持っていないが冒険者としての経験から武器を造った鍛冶師の腕は多少なりとも解るつもりだ」

ボウドは感心しながらロングソードを見つめ、持っていいかとゼルートに尋ねる。
特に問題ないのでゼルートは持っても良いですよと促す。

「良いなぁ・・・・・・これいくらぐらいしたんだ？」

ボウドとしては元の価格以上の値段を払っても買う価値はあると思っていた。
まとめて武器を飼ったので正確な値段をゼルートは覚えていなかったが、過去の記憶を辿ってなんとか思い出す。

「・・・・・・金貨数十枚ってところか？」

「だ、だよなぁ・・・・・・はぁーーーーーー」

学校の教師として働いてから安定して給料が入るようになった。寝床も学校が用意してくれているので冒険者時代と比べて金の減りはかなり抑えられている。

それでも金貨数十枚という値段はやはり高価で中々手が出せない事に変わりは無かった。

「まぁ、色々とまとめて買ったので正確な値段は覚えていないですけどね」

「まとめてって、ゼルート。お前の家って結構金持ちなのか？」

色々という言葉の数に明確なものはないが、それでも金貨数十枚ほどの武器を色々と聞いたデックには少なくとも十数は買ったのではと思った。

「別に俺の家は男爵家だからそこまで・・・・・・まぁ、過去にあった一件で懐が潤ったのは確かだけど、多数の武器を買えたのは俺の運が良かっただけだ」

言葉の中に一つも嘘が無いので、ゼルートは言葉をつっかえさせる事無く答える。

「ですが、そこまで呼びの武器を買っても邪魔では無いですか？　あっ、ゼルート君にはアイテムバッグがあるのでは邪魔にはなりませんね。でも、メインに使っている武器が壊れたとかそういう事は無いんですよね」

ミルシェはゼルートがゴブリンとオークの大群と戦う時に身に付けていたロングソードを知っているので、何故そこまで多くの武器を買うのか不思議に思う。

ゼルートが自身の力で造った頑丈さを重視したロングソードは未だ健在。

「別に壊れてないですよ。切り札の一つである武器の方も問題ありません」

「ならどうしてそこまで多くの武器を買うの？　魔法使いが錬金術によって造られた武器を複数持っているのとでは話が違うし」

発動する呪文によって杖、短杖を使い分ける魔法使いは珍しくない。
だがフーリアはゼルートならメインで扱う武器以外の物も扱えて可笑しくは無いと思っているが、そこまで多くの武器が必要とも思えない。

「・・・・・・俺には普通の冒険者より失って欲しくないと思っている命が多いんですよ」

「それはどういう・・・・・・・・・・・・あぁ、なるほどそういう事か」

ボウド達教師達はゼルートの言葉の意味を完全に理解した。
自分達は立場は違えど、守りたいと思う命が多いという点は似ている。

「過激な行動に反して優しいじゃねぇかゼルート」

「別に・・・・・・俺はただ心配なだけですよ」

ボウドの褒め言葉に教師陣がウンウンと頷くの見て照れたゼルートは飲み物を煽りながらそっぽを向く。