171 / 1,026
連載
少年期[332]過去の自分を褒めたい
しおりを挟む
ゼルートがアイテムバッグの中から取り出した今回のメイン肉はオークキングの肉だった。
取り出された肉の種類を教えて貰ったデックとソンは今まで上がっていたテンションが一気にリセットされ、通常時に戻った。
「ちょ、ちょっと待てゼルート、流石にその肉は・・・・・・なぁ、ソン」
「あ、ああ。その肉は流石に金を払わずに食べようという気にはならない」
勿論二人の心の中にはオークキングの肉を食べてみたいという気持ちはある。
だが、いくら次の機会にゼルートへ飯を奢ると約束していても、自分達の稼ぎでは絶対と言っていいほど食べる事が出来ないオークキングの肉を食べる気にはならなかった。
「別にそんな気にしなくてもいいぞ。こいつ結構大きかったから肉もそこそこ多いんだよ。それにそんなしょっちゅう食べる物じゃないから減るのも遅いし」
ゼルートは二人の逃げ道がなくなる様にオークキングの肉を焼き始める。
焼き始めると今まで焼いてきた肉の中で一番食欲を刺そう香りが二人の鼻を刺激する。
少量とはいえ、そこそこ多くの肉を食べて来たデックとソンの腹はあと少し食べれなお腹いっぱいといった状態だった。
しかし漂って来る香が食欲を猛刺激したため、長めの腹音が鳴ってしまった。
「ほい、焼きあがりましたよ」
ゼルートから差し出されたオークキングの焼肉を二人は反射的に受け取ってしまう。
そして只でここまで上等な肉を食べるのはゼルートに悪いと思っていた罪悪感が吹き飛び、デックとソンは思いっきり焼肉に齧り付いた。
今まで食べて来た肉との格差が明らかに解る味に二人は感動した。
そして直ぐには飲み込まずに何度も肉を噛み続ける。
最後にオークキングの焼肉を飲み込んだ二人は声を揃えて美味いと唸った。
それから約二十分間、会話をしながらも二人はこの先食べる事が無いかもしれない肉を噛みしめながらゼルートに感謝していた。
「・・・・・・うん、マジで美味かった。いやぁーーーー、あれだな。なんて言葉にして良いのか解らん美味さだった」
「それには物凄く同意出来る。俺達のランクでの稼ぎじゃ絶対に倒す事は勿論、食べる事も出来ないからな」
二人は最近ギルド内で現れた実力がランク不相応な実力を持ったルーキーに対し、嫉妬の感情は無かった訳では無い。
だが、そういう奴いても可笑しくは無いと割り切っていた。
同業所からルーキーが活躍した話を聞き、そいつと話してみたい。出来れば友人という立場に成れれば良いなという願望はあった。
勿論その気持ちの中には打算が無かったいえば嘘になるが、オークキングを単身で倒したルーキーに対する興味が殆ど。
そして運良く友達とはいかずとも知り合いになる事が出来、一緒に依頼を受ける事が確定した。
今回ゼルートを誘ったのは受ける依頼についての話などを含め、お互いの事を知れたらと二人は考えていた・・・・・・筈だった。
現にその目的自体は達成していた。
だが二人は今そんな事よりも、今日ゼルートを誘った自分達自身に感謝している。
「・・・・・・ゼルート、今度一緒に娼館へ行こうぜ! 良い店知ってるからよ。勿論俺が奢るぜ!!」
「うむ、自分の今度美味い穴場の店を紹介しよう。デックと同じく自分の奢りだ」
二人からの誘いにゼルートは素直に嬉しく感じた。
リルやスレン達とはまた違った友人。
そんな存在が出来た事が嬉しくてたまらない。
ただ、ソンからの誘いには絶対に行こうと思った。
しかしソンからの誘いはやはり男としては嬉しい。自身の息子がピクリと反応してしまった。
だがその時に大人への一歩が踏み出せる自信があるかはゼルートすら分らない。
取り出された肉の種類を教えて貰ったデックとソンは今まで上がっていたテンションが一気にリセットされ、通常時に戻った。
「ちょ、ちょっと待てゼルート、流石にその肉は・・・・・・なぁ、ソン」
「あ、ああ。その肉は流石に金を払わずに食べようという気にはならない」
勿論二人の心の中にはオークキングの肉を食べてみたいという気持ちはある。
だが、いくら次の機会にゼルートへ飯を奢ると約束していても、自分達の稼ぎでは絶対と言っていいほど食べる事が出来ないオークキングの肉を食べる気にはならなかった。
「別にそんな気にしなくてもいいぞ。こいつ結構大きかったから肉もそこそこ多いんだよ。それにそんなしょっちゅう食べる物じゃないから減るのも遅いし」
ゼルートは二人の逃げ道がなくなる様にオークキングの肉を焼き始める。
焼き始めると今まで焼いてきた肉の中で一番食欲を刺そう香りが二人の鼻を刺激する。
少量とはいえ、そこそこ多くの肉を食べて来たデックとソンの腹はあと少し食べれなお腹いっぱいといった状態だった。
しかし漂って来る香が食欲を猛刺激したため、長めの腹音が鳴ってしまった。
「ほい、焼きあがりましたよ」
ゼルートから差し出されたオークキングの焼肉を二人は反射的に受け取ってしまう。
そして只でここまで上等な肉を食べるのはゼルートに悪いと思っていた罪悪感が吹き飛び、デックとソンは思いっきり焼肉に齧り付いた。
今まで食べて来た肉との格差が明らかに解る味に二人は感動した。
そして直ぐには飲み込まずに何度も肉を噛み続ける。
最後にオークキングの焼肉を飲み込んだ二人は声を揃えて美味いと唸った。
それから約二十分間、会話をしながらも二人はこの先食べる事が無いかもしれない肉を噛みしめながらゼルートに感謝していた。
「・・・・・・うん、マジで美味かった。いやぁーーーー、あれだな。なんて言葉にして良いのか解らん美味さだった」
「それには物凄く同意出来る。俺達のランクでの稼ぎじゃ絶対に倒す事は勿論、食べる事も出来ないからな」
二人は最近ギルド内で現れた実力がランク不相応な実力を持ったルーキーに対し、嫉妬の感情は無かった訳では無い。
だが、そういう奴いても可笑しくは無いと割り切っていた。
同業所からルーキーが活躍した話を聞き、そいつと話してみたい。出来れば友人という立場に成れれば良いなという願望はあった。
勿論その気持ちの中には打算が無かったいえば嘘になるが、オークキングを単身で倒したルーキーに対する興味が殆ど。
そして運良く友達とはいかずとも知り合いになる事が出来、一緒に依頼を受ける事が確定した。
今回ゼルートを誘ったのは受ける依頼についての話などを含め、お互いの事を知れたらと二人は考えていた・・・・・・筈だった。
現にその目的自体は達成していた。
だが二人は今そんな事よりも、今日ゼルートを誘った自分達自身に感謝している。
「・・・・・・ゼルート、今度一緒に娼館へ行こうぜ! 良い店知ってるからよ。勿論俺が奢るぜ!!」
「うむ、自分の今度美味い穴場の店を紹介しよう。デックと同じく自分の奢りだ」
二人からの誘いにゼルートは素直に嬉しく感じた。
リルやスレン達とはまた違った友人。
そんな存在が出来た事が嬉しくてたまらない。
ただ、ソンからの誘いには絶対に行こうと思った。
しかしソンからの誘いはやはり男としては嬉しい。自身の息子がピクリと反応してしまった。
だがその時に大人への一歩が踏み出せる自信があるかはゼルートすら分らない。
76
お気に入りに追加
9,025
あなたにおすすめの小説
穀潰しの無能は家から出ていけ?いや、この家の収入は全て私が稼いでいるんですけど?
水垣するめ
恋愛
私の名前はサラ・ウィルキンソン。伯爵令嬢だ。
私には両親と二人の兄がいる。
家族四人の仲はとても良かった。
しかし四人とも、私のことを嫌っていた。
ある日のこと。
私はいつも通り部屋で用事をこなしていた。
すると突然、部屋の扉が開かれた。
そして家族四人がゾロゾロと部屋へ入ってくる。
「サラ、無能なお前を家から追放する」
「……は?」
私は何を言われたのか分からなかった。
何故私が追放されなければならないのだろう。
「お前のような穀潰しは家に置くだけでも気分が悪くなるからな。害虫駆除だ、さっさと出ていけ」
「……本当にいいんですね?」
私はため息を吐きながら確認した。
「もちろん。お前なんかいても邪魔なだけだからな」
ジェームズがその太った腹をさすりながら答える。
私はそこで、完全にこの家族を見捨てることにした。
「そうですか。それでは私は失礼します」
私は椅子から立ち上がり、颯爽と部屋から出ていった。
四人はあっさりとしたその様子に唖然としていた。
もしかして私が醜く「追い出さないで!」と懇願すると思ったのだろうか。
まさか。
そんなことをする訳がない。
なぜなら。
私はこの家の財産。
当主の座。
土地。
商会。
その全てを所有しているからだ。
「私を追い出すなら、覚悟しておいてくださいね?」
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
聖女の紋章 転生?少女は女神の加護と前世の知識で無双する わたしは聖女ではありません。公爵令嬢です!
幸之丞
ファンタジー
2023/11/22~11/23 女性向けホットランキング1位
2023/11/24 10:00 ファンタジーランキング1位 ありがとうございます。
「うわ~ 私を捨てないでー!」
声を出して私を捨てようとする父さんに叫ぼうとしました・・・
でも私は意識がはっきりしているけれど、体はまだ、生れて1週間くらいしか経っていないので
「ばぶ ばぶうう ばぶ だああ」
くらいにしか聞こえていないのね?
と思っていたけど ササッと 捨てられてしまいました~
誰か拾って~
私は、陽菜。数ヶ月前まで、日本で女子高生をしていました。
将来の為に良い大学に入学しようと塾にいっています。
塾の帰り道、車の事故に巻き込まれて、気づいてみたら何故か新しいお母さんのお腹の中。隣には姉妹もいる。そう双子なの。
私達が生まれたその後、私は魔力が少ないから、伯爵の娘として恥ずかしいとかで、捨てられた・・・
↑ここ冒頭
けれども、公爵家に拾われた。ああ 良かった・・・
そしてこれから私は捨てられないように、前世の記憶を使って知識チートで家族のため、公爵領にする人のために領地を豊かにします。
「この子ちょっとおかしいこと言ってるぞ」 と言われても、必殺 「女神様のお告げです。昨夜夢にでてきました」で大丈夫。
だって私には、愛と豊穣の女神様に愛されている証、聖女の紋章があるのです。
この物語は、魔法と剣の世界で主人公のエルーシアは魔法チートと知識チートで領地を豊かにするためにスライムや古竜と仲良くなって、お力をちょっと借りたりもします。
果たして、エルーシアは捨てられた本当の理由を知ることが出来るのか?
さあ! 物語が始まります。
幼女からスタートした侯爵令嬢は騎士団参謀に溺愛される~神獣は私を選んだようです~
桜もふ
恋愛
家族を事故で亡くしたルルナ・エメルロ侯爵令嬢は男爵家である叔父家族に引き取られたが、何をするにも平手打ちやムチ打ち、物を投げつけられる暴力・暴言の【虐待】だ。衣服も与えて貰えず、食事は食べ残しの少ないスープと一欠片のパンだけだった。私の味方はお兄様の従魔であった女神様の眷属の【マロン】だけだが、そのマロンは私の従魔に。
そして5歳になり、スキル鑑定でゴミ以下のスキルだと判断された私は王宮の広間で大勢の貴族連中に笑われ罵倒の嵐の中、男爵家の叔父夫婦に【侯爵家】を乗っ取られ私は、縁切りされ平民へと堕とされた。
頭空っぽアホ第2王子には婚約破棄された挙句に、国王に【無一文】で国外追放を命じられ、放り出された後、頭を打った衝撃で前世(地球)の記憶が蘇り【賢者】【草集め】【特殊想像生成】のスキルを使い国境を目指すが、ある日たどり着いた街で、優しい人達に出会い。ギルマスの養女になり、私が3人組に誘拐された時に神獣のスオウに再開することに! そして、今日も周りのみんなから溺愛されながら、日銭を稼ぐ為に頑張ります!
エメルロ一族には重大な秘密があり……。
そして、隣国の騎士団参謀(元ローバル国の第1王子)との甘々な恋愛は至福のひとときなのです。ギルマス(パパ)に邪魔されながら楽しい日々を過ごします。
やがて神Sランクとなる無能召喚士の黙示録~追放された僕は唯一無二の最強スキルを覚醒。つきましては、反撃ついでに世界も救えたらいいなと~
きょろ
ファンタジー
♢簡単あらすじ
追放された召喚士が唯一無二の最強スキルでざまぁ、無双、青春、成り上がりをして全てを手に入れる物語。
♢長めあらすじ
100年前、突如出現した“ダンジョンとアーティファクト”によってこの世界は一変する。
ダンジョンはモンスターが溢れ返る危険な場所であると同時に、人々は天まで聳えるダンジョンへの探求心とダンジョンで得られる装備…アーティファクトに未知なる夢を見たのだ。
ダンジョン攻略は何時しか人々の当たり前となり、更にそれを生業とする「ハンター」という職業が誕生した。
主人公のアーサーもそんなハンターに憧れる少年。
しかし彼が授かった『召喚士』スキルは最弱のスライムすら召喚出来ない無能スキル。そしてそのスキルのせいで彼はギルドを追放された。
しかし。その無能スキルは無能スキルではない。
それは誰も知る事のない、アーサーだけが世界で唯一“アーティファクトを召喚出来る”という最強の召喚スキルであった。
ここから覚醒したアーサーの無双反撃が始まる――。
無能な悪役王子に転生した俺、推しの為に暗躍していたら主人公がキレているようです。どうやら主人公も転生者らしい~
そらら
ファンタジー
【ファンタジー小説大賞の投票お待ちしております!】
大人気ゲーム「剣と魔法のファンタジー」の悪役王子に転生した俺。
王族という血統でありながら、何も努力しない怠惰な第一王子。
中盤で主人公に暗殺されるざまぁ対象。
俺はそんな破滅的な運命を変える為に、魔法を極めて強くなる。
そんで推しの為に暗躍してたら、主人公がキレて来たんだが?
「お前なんかにヒロインと王位は渡さないぞ!?」
「俺は別に王位はいらないぞ? 推しの為に暗躍中だ」
「ふざけんな! 原作をぶっ壊しやがって、殺してやる」
「申し訳ないが、もう俺は主人公より強いぞ?」
※ カクヨム様にて、異世界ファンタジージャンル総合週間ランキング50位入り。1300スター、3500フォロワーを達成!
侯爵夫人は子育て要員でした。
シンさん
ファンタジー
継母にいじめられる伯爵令嬢ルーナは、初恋のトーマ・ラッセンにプロポーズされて結婚した。
楽しい暮らしがまっていると思ったのに、結婚した理由は愛人の妊娠と出産を私でごまかすため。
初恋も一瞬でさめたわ。
まぁ、伯爵邸にいるよりましだし、そのうち離縁すればすむ事だからいいけどね。
離縁するために子育てを頑張る夫人と、その夫との恋愛ストーリー。
神の使いでのんびり異世界旅行〜チート能力は、あくまで自由に生きる為に〜
和玄
ファンタジー
連日遅くまで働いていた男は、転倒事故によりあっけなくその一生を終えた。しかし死後、ある女神からの誘いで使徒として異世界で旅をすることになる。
与えられたのは並外れた身体能力を備えた体と、卓越した魔法の才能。
だが骨の髄まで小市民である彼は思った。とにかく自由を第一に異世界を楽しもうと。
地道に進む予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。