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少年期[326]懐かしい戦い

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夕食を終えたゼルート達は部屋に戻り寝るまでの時間をのんびりと過ごしている。

「・・・・・・もしかすると、あいつらが入った学校の先輩なのか?」

何気なく呟いた一言。
だがアレナとルウナがそれを聞き逃すはず無く、直ぐに興味を持った。

「あいつらって、もしかしてゼルートの友達の事?」

「おう。まだ実家で暮らしていた時に出来た四人の友達が今王都の冒険者学校に入学してるんだよ。それでデックが話していた内容がその四人と合致するんだ」

正確な人数は聞いてないものの、今年入学したという事は自身と同年代であり、四人の実力は本格的に戦いを学んでいない者より何歩も先に進んだ実力を持っている。

確定ではないが、やって来る生徒が四人の先輩たちという可能性はある。

「なるほど。その四人はゼルートとは勿論仲が良かったのだろう」

「あーーーー・・・・・・ん~~~。四人の内、三人とは仲が良かったと思う。けど、残りの一人とはどうだろうなぁ」

「喧嘩でもしたの? 男の子同士ならそういうのってしょっちゅうあると思うけど、少し経てば仲直りするものじゃないのかしら?」

「何だろうな・・・・・・別に喧嘩した訳じゃないんだよ。多分」

ゼルートとしては思った事をそのまま言っただけ。
ただ、前世では色々な意味で強くは無かったゼルートだが、この世界に来て神様から貰った力に自分で得た訳では無い魔法の才能。
それらを当時完全に自分の努力で得た力だと思っており、実力が低い者が自分より実力が上の者から何かを言われた時にどう感じるのかを完全に忘れていた。

そして・・・・・・相手がまだ前世の自分の最終年齢より低い事も忘れていた。

「とりあえずその子、男の子で良いのよね。とはあまり良い仲では無いって事ね」

「まぁ、そうだな。理由は幾つか思い当たるのがある」

(一つは俺の言い方が悪かったのが大半の理由だと思う。ただ、もう一つの理由に関して俺は悪くない筈・・・・・・だと思いたい)

四人の中の女子二人の内の一人であるリルはゼルートに完全に好意を抱いている、とまではいかないが尊敬の感情は確かに向いている。

それはゼルート自身も気付いていた。

「難しいもんだよな。人の感情ってさ」

「人の感情か・・・・・・もしかして子供ながらに濃い恋愛でもしていたのか?」

「なんだよ濃い恋愛って。まぁ遠いけど遠すぎないって感じだ」

「あら、小さい時からゼルートはモテモテだったのね」

小さい時も今もモテモテでは無いとゼルートは断言出来る。
そもそもの話、ゼルートは大して付き合いが無い相手から好意を持たれても嬉しくないと言えば嘘だが、そこまで良くも思っていない。

「別にそんな事は無いよ。ただ、俺も今より年齢が低かったからあまり遠慮って気遣いが無かったし、向こうもまだあまり感情を抑える事が出来なかった。そんでとある一件からそいつとは少し距離が開いたんだ」

「ある一件ねぇ。どんな事があったの? 摸擬戦でもしてボコボコにしたの?」

「遠からず正解だな。俺の従魔にオーガの亜種がいるのは知ってるよな」

ゼルートが初めて出会った明らかに自分より実力が上のモンスターがブラットオーガのブラッソだった。
初めてブラッソと出会ったゼルートは絶対にこいつには敵わないと思い、なんとか生きたいと思い頭をフル回転させてその状況を打開した。

「ええ、ブラッソって名前のオーガの亜種よね。今はゼルートの実家にいるのでしょ」

「おう。楽しく父さんや母さんと摸擬戦してる筈だ」

そこまで過剰に戦いを求める性格ではないが、強い者と戦える状況ならば進んで戦う。

「そのブラッソと摸擬戦をしてボコボコにされたという訳か。というか、それが当たり前の結果だと思うのだが」

「ああ、勿論四人がかりで挑んだけど負けたよ。ただなぁ・・・・・・その戦いの中でも色々と解った事があったんだよ」

懐かしい記憶を思い出すようにゼルートはゆっくりと目を閉じる。
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