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少年期[291]何を見て

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「確かに俺に好意を持ってくれる女の人が現れるかもしれない。ただ、問題はその人が俺の何を見て好意を持ったのかだ」

ゼルートには金がある。本気を出せば権力をも捻り潰す力がある。
さて、そんなゼルートを見て女性はどの部分に惹かれて好意を持つのか。

自身の未来を想像したゼルートは、自分の中身を見て好きになってくれる人は殆どいないと思っている。
ゼルートも男なのでハーレムに興味が無い訳では無いが、それでも自身の中身を見ていない大勢の女を囲いたいとは思わない。

「あぁ~~~・・・・・・なるほどね。ゼルートの言いたい事は何となく分かったわ」

「ゼルートの何を見て・・・・・・そういう事か。なるほど、私も過去にそういう経験があった気がするな」

アレナはゼルートの考えが直ぐに理解出来、それを考えると安易に恋人なんて作れないなと思った。
ルウナもまだ自分が王族だった時の思い出し、ゼルートが予想する嫌な未来が解った。

ゲイル達従魔はゼルートの考えが今一解らず首を傾げている。

「まっ、そういう事だから恋人が出来るなんてまだまだ先の話だよ」

「あれね、灰色の青春ってやつね」

「いや、別に俺お前らがいるから灰色って訳じゃないからな!?」

ゼルートは心外だと、少し声を大きくしてツッコむ。
アレナもそれはそうだと思い自然と笑ってしまう。

その後も他愛もない会話をしながら宿に戻った。



「ゼルート・・・・・・あんた寝癖酷いわよ」

「うん。確かにボサボサになっているぞ。爆発魔法でも喰らったのか思うぐらいボサボサだ」

「そんな喰らったらボサボサどころかアフロになると思うんだけど。ふぁ~~~・・・・・・やっぱり朝早く起きるのは面倒だな」

元々前世でも朝が弱かったゼルートは転生してもそこは変わらなかった。
そのお陰で学校の一限も爆睡してしまう事も少なくなかった。

「普通の冒険者の朝はもっと早いのよ。私達の何時もの朝が遅すぎるだけ」

「・・・・・・まぁ、周りにこれだけ朝食を食ってる人が少なかったら何となく分かるよ」

三人は朝食を軽く食べ、ゲイル達のいる従魔用の厩舎へ向かう。

「よう、朝食はどうだった三人とも」

「不味くはありませんでした。どちらかと言えば美味しかったでしょう」

「それでも量はそれ程多くなかったので少し物足りないですね」

「ゼルートさま~~、何か追加の朝ごはん無いんですか?」

人よりも食べる量が多いゲイル達にとって、出された朝食は味はともかく量が全く足りなかった。
それを予想していたゼルートはアイテムバッグの中からリザードマンのとオークの焼肉を取り出し、その上に香辛料を振りかける。

「ほれ、取りあえずこれでも食べといてくれ」

ゲイル達はゼルートから受け取った焼肉に勢いよく齧り付く。
九人前ほどあったリザードマンとオークの焼肉はものの数分で消えてしまった。

「よし、お前らも腹が膨れた事だし早速ギルドに行くぞ!!」

ゼルート達が宿を出発してからギルドまでそう時間は掛からないが、それまで多くの視線を集める事に変わりは無かった。

「さて、ゲイル達はここら辺でちょっと待っていてくれ。あっ、お前らにちょっかいかけようとしてに来たには死なない程度に吹っ飛ばしていいからな」

「かしこまりました」

ゲイルはゼルートに了解という意味を込めて頷き、ラルの尻尾は左右に揺れている。そしてラームはプルプルボディから二本の触手を伸ばしてストレートとジャブを繰り返している。

(・・・・・・うん、死なないとは思うけど完全に重傷は負うだろうな)

雷竜のラルまでいるのだからそんなアホは現れないだろうと思い、ゼルート達はギルドの中へと入り依頼書が張られてあるボードまで向かう。
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