上 下
126 / 1,043
連載

少年期[287]生かされると思うな

しおりを挟む
「俺達に結果を売って来た割には随分と弱いな」

ゼルートの我前には地面に手を付き、我をガチガチと震わせながら失禁している盗賊の頭目がいた。

ドーウルスへ戻る道中で二十数人の盗賊がゼルート達を襲った。
本来ならゲイル達はモンスターの状態なのだが、気分転換という事で人化のスキルを使って人の容姿になっていた。

本来なら盗賊達も通常のリザードマンとは明らかに違うゲイルや、小型とはいえドラゴンのラルを見れば襲う事を中止するかもしれないが、丁度ゲイル達が人の姿をしていたタイミングでゼルート達を発見してしまい、殺せる筈だと思い襲い掛かった。

結果は惨敗・・・・・・というより全員殺された。
最後に生き残った一人もアジトの場所を吐かなければ殺すと、ゼルートの殺気をプラスされた発言に死にたくないと本能が叫び、ゼルートが聞いていない事まで知っている内容を全て話した。
そして男が話し終えた直後、男の首はゼルートの長剣によって両断される。

盗賊は奴隷として売ればある程度のお金にはなるのだが、そういった小銭を稼ぐ必要が無いゼルートにとって、盗賊は生かしておく意味は無い。

アジトの情報を聞き出した後全員でアジトの中へ殴り込み、五分と経たずに盗賊団は頭目一人を残して全滅した。

「ま、待ってくれ。た、たたた頼むから殺さないでくれ!! こ、これからはもう人殺しとか他人の物を奪うとかしねぇからよ。な、な!!」

ゼルートに手も足も出ず、ひふの傷を付ける事さえ出来ずに骨を折られ、睾丸も片方潰された頭目は恥もプライドも捨てて泣きながらゼルートに頭を下げる。

しかしその姿を見たゼルートの怒りは更に高まる。頭目が取った行動は結果的にゼルートの怒りのボルテージを高めるだけに終わった。

「・・・・・・お前は助けてくれと懇願した冒険者や商人を見逃したのか? そんなわけねぇよな。仮にそうだとしても、それがお前を生かす理由にはならねいんだよ」

ここで見逃せばいずれ罪も無い人が傷つき、命を落とすかもしれない。
そんな火種を見逃すほどゼルートは甘くなく、アジトの情報を吐いた男と同様に真横に首を撥ねる。

「盗賊なんて相手の命を奪う事をやってるんだったら、逆に命を奪われる覚悟ぐらいしてろっつーーーの」

「そっちは終わったみたいね」

「ああ、正直全く歯応えが無かった。精々冒険者で例えればDランク程度の強さだな。そういえば捕まっている女の人とかはいなかったか?」

「ええ、捕まっている女性や子供はいなかったわ。それらしき死体もね」

「そうか。ならこいつらの死体を燃やした後に、こいつらがため込んでいたお宝を貰ってから出よう」

もし盗賊達に捕まった女性などがいればケアはアレナ達に任せ、移動の手段は土魔法によって造られたトラックがあるので問題は無かった。
しかしそれでもドーウルスに戻れば目立つ要因が増えるのでいなければいないで良かったゼルートは思う。

(もしそんな乱暴にされた女性を見ればもっと苦しませてから殺せば良かったと後悔するだけだからな)

ダンジョンの一件を機に、ゼルートは今一度拷問用の闇魔法の開発を行っている。
相手を苦しめるにも情報を引き出すにも有効な手段なため、多種多様な拷問内容を考えておいて損はなかった。

「・・・・・・・・・・・・ふぅーーー。まっ、盗賊の頭の強さから考えて大して良い物は無いと思っていたが、予想通りの結果だな」

金に関しては白金貨数枚ほどまでため込まれていたが、ゼルートが目を引くようなマジックアイテムは無かった。その代わり業物は無いが武器の数は多く、酒もダースごとに分けられている箱が数箱あり、決して利益が無い訳では無かった。
しおりを挟む
感想 680

あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件

フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。 だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!? 体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。

転生令嬢の食いしん坊万罪!

ねこたま本店
ファンタジー
   訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。  そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。  プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。  しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。  プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。  これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。  こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。  今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。 ※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。 ※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?

Gai
ファンタジー
鉄柱が頭にぶつかって死んでしまった少年は神様からもう異世界へ転生させて貰う。 貴族の四男として生まれ変わった少年、ライルは属性魔法の適性が全くなかった。 貴族として生まれた子にとっては珍しいケースであり、ラガスは周りから憐みの目で見られる事が多かった。 ただ、ライルには属性魔法なんて比べものにならない魔法を持っていた。 「はぁーー・・・・・・属性魔法を持っている、それってそんなに凄い事なのか?」 基本気だるげなライルは基本目立ちたくはないが、売られた値段は良い値で買う男。 さてさて、プライドをへし折られる犠牲者はどれだけ出るのか・・・・・・ タイトルに書いてあるパートナーは序盤にはあまり出てきません。

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。 父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。 わー、凄いテンプレ展開ですね! ふふふ、私はこの時を待っていた! いざ行かん、正義の旅へ! え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。 でも……美味しいは正義、ですよね? 2021/02/19 第一部完結 2021/02/21 第二部連載開始 2021/05/05 第二部完結

全能で楽しく公爵家!!

山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。 未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう! 転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。 スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。 ※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。 ※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。