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少年期[285]改めて誓う

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決闘が終わり報酬を貰った後、ゼルート達はアグローザから夕食をご馳走になっていた。
普段を使わないような食材を使われており、ゼルートも満足できる味だったため口と料理を取るための手が止まらない時間が十分程続いた。

それはゼルートだけでなく、ルウナも同じであり二人で十数人前の量を食べてしまった。
勿論貴族との食事の場という事もあり、行儀が悪い訳では無い。
寧ろ行儀よく食べているのだが、口の噛む速度と料理を口に入れる速度があまりにも速く、アグローザやリサーナにアレナ達もゼルートとルウナの喰いっぷりに驚いていた。

そしてようやく腹六文目となった二人はフォークとナイフを一旦置く。

「いやぁ~~~~美味かった!!! 食材も良いものを使っているんだろうけど、これを作った料理人も良い腕を持っている人なんだろうな」

「ゼルートと同じ意見だ。つい我を忘れて食べ続けてしまった。

二人の食べる速度と食べる量に驚かされていたアグローザだが、自分の家で料理人として働いてくれている者達を褒められれば嬉しいためか、自然と笑みを浮かべていた。

「それは嬉しい感想だ。是非後で伝えておこう。それで、今後はどうする予定なんだい?」

「一応拠点にしている街へ戻るつもりです。元々ゲイル達とは目的が別だったんで別々に行動してたんですけど、これから一緒に行動しようかと思ってます」

言葉にこそ出していないが、ゼルートがそういう決断にいたったのは今回の事が原因だった。
アグローザもそれを何となくだが察していたため追及する事は無い。

「それでなゲイル、俺取りあえずあまり目立たない様にするってのを止めるからさ、俺達と一緒にいても案外良い戦いが出来るかもしれないぞ」

「っ!!! そ、そうなのですか? それは私としても嬉しいですが、目立つ事は避けられないと思いますが本当に良いのですか?」

ゲイルにとってゼルートからの言葉は有難いものではあった。ただ、なるべく一般的な冒険者生活を送りたいと願っていたゼルートがそれを止める事に少し罪悪感を感じた。自分達のせいで無理をしているのではないのかと。

「それはまぁ・・・・・・仕方ない事だよ。どうせ今のまま冒険者としての生活を送っていても目立つ事には変わりない。確かにゲイル達と一緒に行動すれば今よりも目立つのは必然だろうな。でもぶっちゃけそんなのは関係ない」

冒険者のランクを必死こいて上げるつもりはない、でも強い奴とは戦いたい。
そんな気持ちは大なり小なりゼルートの心の中にある。

「それに俺達に絡んで、ちょっかいをかけて、喧嘩を売ってくる奴らは全員ぶっ潰す。まぁ、それは元々決めていた事だけどな。高ランクの冒険者であろうが、豪商と呼ばれる大商人であろうが、公爵や侯爵に伯爵だろうが纏めて叩きのめす。ただ王族が俺に喧嘩売ってくるって事は無いと思うんだよな」

自身が三バカ貴族と決闘をした時に国王陛下がいた事は覚えているため、国王自身が自分に喧嘩を売ってくる事は無いと信じたかった。

「ただ、第何王子とか第何王女が俺に敵対した場合も容赦しない。ここにもう一度宣言するよ。俺の家族や仲間、友達に危害を加えようとする奴は全員返り討ちにして、二度とバカな気を起こさない様にぶちのめす。俺はこれからも我を通し続けるよ。だから、俺と一緒に冒険してくれるか?」

「・・・・・・勿論です!! これからもずっと付いて行きます!!!!」

「私も、ゼルート様の命が尽きるまでお供させていただきます」

「僕もゼルート様にずーーーーーっと付いて行くよ!!!」

ゲイル達の即答にゼルートは思わず頬を緩めてしまう。

その様子を見ていたアレナは溜息を一つ吐きながらも嬉しそうな表情をしている。
ルウナも改めてゼルートが自分の主になってくれて良かったと思い、口端を吊り上げて獰猛な笑みを浮かべる。

そんなゼルート一行の様子アグローザは改めてゼルート達の・・・・・・正確にはゼルートの思考がぶっ飛んでいるのか理解した。

(は、はっはっは。普通は男爵家の次男、今は一介の冒険者か。そんな人物が口に出す様な内容では無いんだけどな。だが、まだ五歳という年齢で格上の貴族の子息三人を圧倒。今回の戦いで見せた実力もほんの一端に過ぎない筈だ。ゼルート君なら本当に相手がどんな権力を持っていようとも叩きのめしてしまいそうだな)

ちなみにリサーナもゼルートが口に出した内容がどれだけ馬鹿げた事なのかを理解しているため、自分はなんて相手に無茶を押し付けようとしたんだと後悔の念が漏れ出し始めた。
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