118 / 1,049
連載
少年期[279]再会
しおりを挟む
「・・・・・・子爵家だけあって、俺の家よりは断然大きいな」
「そうか? 私としてはそんな驚くほど大きくは感じないが」
辿り着いた子爵家の家を見てゼルートは自分の家よりも大きいため驚いていたが、ルウナにとっては特に驚くほど大きくは無いと感じた。
(そりゃ・・・・・・お前が王女だったからだろ。王族と一貴族の家の大きさを比べるなっつーーーーの)
ちらっとゼルートが隣を見ると、アレナもルウナ同様に特に驚いてはいなかった。
「アレナは過去に貴族の依頼を受ける時に依頼主の家も見ているから、目の前の家を見てもそんな驚かないってところか」
「そうよ。Aランクになってから貴族からの依頼を受けるのも多かったからね」
アレナの冒険者時代の過去聞き、ゼルートは改めて高ランクの冒険者にはならない方が良さそうだと思った。
屋敷の中へと入ったゼルートは実家との違いに多少驚くが、王都へのパーティーへ向かった時の王城の内装を思い出すと自然と気分が落ち着いた。
そして歩く事数分、子爵家の使用人達から物珍しい物を見る視線を浴びながらゼルート達はゲイルとラームのいる部屋へと案内される。
ドアをノックしてゼルート達を連れて来た事を仕える主人に伝える。
「旦那様、ゼルート様達をお連れ致しました」
「ご苦労だ。中へと入れてくれ」
「かしこまりました。さぁ、中へと入ってください」
兵士がドアを開けてゼルート達に中へ入る様に促す。
ゼルート達と同じDランクの冒険者ならば一瞬でも中へ入るのを躊躇ってしまう場面だが、ゼルートも貴族の子息であり、尚且つ今回の一件に関して自身に非が無いため一切の遠慮は無い。
ゼルート達が子爵家の当主が中にいる部屋へ入ると、そこには人間の姿をしているゲイルとラーム、そして子爵家の当主と思われる三十代程の外見を持つ男性。
そしてその横に少女が一人と後ろにゼルートより数歳ほど年上の少年にメイドが一人。
「座ってくれたまえ」
「分かりました。・・・・・・おい、別に後ろに立つ必要は」
「私はここで構わないわ」
「私も同じだ」
ソファーに座ろうとしない二人にゼルートは声を掛けるが、アレナとルウナは座る事を拒否した。
二人の目を見て自分が何を言っても聞かないだろうと判断したゼルートは一息ついて諦める。
「ふぅーーー・・・・・・好きにしろ。取りあえず、久しぶりだなゲイルにラーム」
「お久しぶりです。とは言っても私は前回の戦いでご一緒したのであまり時間が空いた訳ではありませんが」
「久しぶりだねゼルート様!!! 何かお土産なんてありますか?」
ラームの余りにも軽い調子にゲイルは溜息をついて軽く頭を小突く。
「いた、何するんですかゲイルさん!」
「お前はもう少し空気というのを読め、今はそういった雰囲気ではないだろう」
二人のやり取りを見て苦笑いになりながらも、ゼルートはラームに買った訳では無いが十分にお土産と呼べる物があると伝える。
「そう言えばオークキングの肉があったな・・・・・・後で食べるかラーム?」
「はい!!! 後で絶対に食べたいです」
「分かった。それなら少しの間大人しくしていてくれ」
「分かりました!! 大人しくしています!!!」
ラームはゼルートに言われた通り口を閉じて背筋を伸ばし大人しくなった。
そんなラームにアレナとルウナは小さく笑い、ゲイルはもう一度溜息をつく。
「すみません、少し時間を無駄にしてしまって」
「いや、久しぶりの仲間との再会だ。積もる話も有るというものだ。さて・・・・・・まずは本題に入る前に自己紹介をしておこう。私はアグローザ・ノーザス。ノーザス子爵家の現当主だ。そしてこっちが娘のリサーナだ・・・・・・はぁ~~、全く。すまない、普段なら客人には必ず挨拶するんだが」
「あ~~・・・・・・俺はその辺りは気にしないんで大丈夫ですよ」
笑顔で対応するゼルートだが、本音としては今回の問題である原因が真面な対応を取らない事にイラついていた。
その原因であるリサーナはそっぽを向き、時折り敵意が宿っている目でゼルートを見ている。
「そして後ろにいるのが娘の護衛であるバレス・ナクルだ」
バレス・ナクルと呼ばれた少年はゼルート一礼する。
その目には子爵家の娘の様に敵意は無かった。
「俺はゼルート・ゲインルートです。一応男爵家の次男ですが、現在はDランクの冒険者として活動しています。後ろにいる人族の女性はアレナ、獣人族の女性はルウナです」
ゼルートに名を呼ばれた二人はバレスと同様にアグローザに一礼する。
そして互いに自己紹介が終わったところでメイドから紅茶を貰い、一口飲んだところで話の本題に入る。
第十二回ファンタジー大賞に応募します。
是非投票をお願いします!
後、新作の万分の一の確率でパートナーが見つかる、そんな事あるか? も是非読んでください!!
「そうか? 私としてはそんな驚くほど大きくは感じないが」
辿り着いた子爵家の家を見てゼルートは自分の家よりも大きいため驚いていたが、ルウナにとっては特に驚くほど大きくは無いと感じた。
(そりゃ・・・・・・お前が王女だったからだろ。王族と一貴族の家の大きさを比べるなっつーーーーの)
ちらっとゼルートが隣を見ると、アレナもルウナ同様に特に驚いてはいなかった。
「アレナは過去に貴族の依頼を受ける時に依頼主の家も見ているから、目の前の家を見てもそんな驚かないってところか」
「そうよ。Aランクになってから貴族からの依頼を受けるのも多かったからね」
アレナの冒険者時代の過去聞き、ゼルートは改めて高ランクの冒険者にはならない方が良さそうだと思った。
屋敷の中へと入ったゼルートは実家との違いに多少驚くが、王都へのパーティーへ向かった時の王城の内装を思い出すと自然と気分が落ち着いた。
そして歩く事数分、子爵家の使用人達から物珍しい物を見る視線を浴びながらゼルート達はゲイルとラームのいる部屋へと案内される。
ドアをノックしてゼルート達を連れて来た事を仕える主人に伝える。
「旦那様、ゼルート様達をお連れ致しました」
「ご苦労だ。中へと入れてくれ」
「かしこまりました。さぁ、中へと入ってください」
兵士がドアを開けてゼルート達に中へ入る様に促す。
ゼルート達と同じDランクの冒険者ならば一瞬でも中へ入るのを躊躇ってしまう場面だが、ゼルートも貴族の子息であり、尚且つ今回の一件に関して自身に非が無いため一切の遠慮は無い。
ゼルート達が子爵家の当主が中にいる部屋へ入ると、そこには人間の姿をしているゲイルとラーム、そして子爵家の当主と思われる三十代程の外見を持つ男性。
そしてその横に少女が一人と後ろにゼルートより数歳ほど年上の少年にメイドが一人。
「座ってくれたまえ」
「分かりました。・・・・・・おい、別に後ろに立つ必要は」
「私はここで構わないわ」
「私も同じだ」
ソファーに座ろうとしない二人にゼルートは声を掛けるが、アレナとルウナは座る事を拒否した。
二人の目を見て自分が何を言っても聞かないだろうと判断したゼルートは一息ついて諦める。
「ふぅーーー・・・・・・好きにしろ。取りあえず、久しぶりだなゲイルにラーム」
「お久しぶりです。とは言っても私は前回の戦いでご一緒したのであまり時間が空いた訳ではありませんが」
「久しぶりだねゼルート様!!! 何かお土産なんてありますか?」
ラームの余りにも軽い調子にゲイルは溜息をついて軽く頭を小突く。
「いた、何するんですかゲイルさん!」
「お前はもう少し空気というのを読め、今はそういった雰囲気ではないだろう」
二人のやり取りを見て苦笑いになりながらも、ゼルートはラームに買った訳では無いが十分にお土産と呼べる物があると伝える。
「そう言えばオークキングの肉があったな・・・・・・後で食べるかラーム?」
「はい!!! 後で絶対に食べたいです」
「分かった。それなら少しの間大人しくしていてくれ」
「分かりました!! 大人しくしています!!!」
ラームはゼルートに言われた通り口を閉じて背筋を伸ばし大人しくなった。
そんなラームにアレナとルウナは小さく笑い、ゲイルはもう一度溜息をつく。
「すみません、少し時間を無駄にしてしまって」
「いや、久しぶりの仲間との再会だ。積もる話も有るというものだ。さて・・・・・・まずは本題に入る前に自己紹介をしておこう。私はアグローザ・ノーザス。ノーザス子爵家の現当主だ。そしてこっちが娘のリサーナだ・・・・・・はぁ~~、全く。すまない、普段なら客人には必ず挨拶するんだが」
「あ~~・・・・・・俺はその辺りは気にしないんで大丈夫ですよ」
笑顔で対応するゼルートだが、本音としては今回の問題である原因が真面な対応を取らない事にイラついていた。
その原因であるリサーナはそっぽを向き、時折り敵意が宿っている目でゼルートを見ている。
「そして後ろにいるのが娘の護衛であるバレス・ナクルだ」
バレス・ナクルと呼ばれた少年はゼルート一礼する。
その目には子爵家の娘の様に敵意は無かった。
「俺はゼルート・ゲインルートです。一応男爵家の次男ですが、現在はDランクの冒険者として活動しています。後ろにいる人族の女性はアレナ、獣人族の女性はルウナです」
ゼルートに名を呼ばれた二人はバレスと同様にアグローザに一礼する。
そして互いに自己紹介が終わったところでメイドから紅茶を貰い、一口飲んだところで話の本題に入る。
第十二回ファンタジー大賞に応募します。
是非投票をお願いします!
後、新作の万分の一の確率でパートナーが見つかる、そんな事あるか? も是非読んでください!!
77
お気に入りに追加
9,024
あなたにおすすめの小説
世の中は意外と魔術で何とかなる
ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。
神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。
『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』
平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。
またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。
朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。
婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。
だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。
リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。
「なろう」「カクヨム」に投稿しています。
称号は神を土下座させた男。
春志乃
ファンタジー
「真尋くん! その人、そんなんだけど一応神様だよ! 偉い人なんだよ!」
「知るか。俺は常識を持ち合わせないクズにかける慈悲を持ち合わせてない。それにどうやら俺は死んだらしいのだから、刑務所も警察も法も無い。今ここでこいつを殺そうが生かそうが俺の自由だ。あいつが居ないなら地獄に落ちても同じだ。なあ、そうだろう? ティーンクトゥス」
「す、す、す、す、す、すみませんでしたあぁあああああああ!」
これは、馬鹿だけど憎み切れない神様ティーンクトゥスの為に剣と魔法、そして魔獣たちの息づくアーテル王国でチートが過ぎる男子高校生・水無月真尋が無自覚チートの親友・鈴木一路と共に神様の為と言いながら好き勝手に生きていく物語。
主人公は一途に幼馴染(女性)を想い続けます。話はゆっくり進んでいきます。
※教会、神父、などが出てきますが実在するものとは一切関係ありません。
※対応できない可能性がありますので、誤字脱字報告は不要です。
※無断転載は厳に禁じます
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~
樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。
無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。
そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。
そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。
色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。
※この作品はカクヨム様でも掲載しています。
殿下、恋はデスゲームの後でお願いします
真鳥カノ
ファンタジー
気付けば乙女ゲームの悪役令嬢「レア=ハイラ子爵令嬢」に転生していた!
いずれゲーム本編である王位継承権争いに巻き込まれ、破滅しかない未来へと突き進むことがわかっていたレア。
自らの持つ『祝福の手』によって人々に幸運を分け与え、どうにか破滅の未来を回避しようと奮闘していた。
そんな彼女の元ヘ、聞いたこともない名の王子がやってきて、求婚した――!!
王位継承権争いを勝ち抜くには、レアの『幸運』が必要だと言っていて……!?
短編なのでさらっと読んで頂けます!
いつか長編にリメイクします!
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
記憶喪失の転生幼女、ギルドで保護されたら最強冒険者に溺愛される
マー子
ファンタジー
ある日魔の森で異常が見られ、調査に来ていた冒険者ルーク。
そこで木の影で眠る幼女を見つけた。
自分の名前しか記憶がなく、両親やこの国の事も知らないというアイリは、冒険者ギルドで保護されることに。
実はある事情で記憶を失って転生した幼女だけど、異世界で最強冒険者に溺愛されて、第二の人生楽しんでいきます。
・初のファンタジー物です
・ある程度内容纏まってからの更新になる為、進みは遅めになると思います
・長編予定ですが、最後まで気力が持たない場合は短編になるかもしれません⋯
どうか温かく見守ってください♪
☆感謝☆
HOTランキング1位になりました。偏にご覧下さる皆様のお陰です。この場を借りて、感謝の気持ちを⋯
そしてなんと、人気ランキングの方にもちゃっかり載っておりました。
本当にありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。