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少年期[279]再会

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「・・・・・・子爵家だけあって、俺の家よりは断然大きいな」

「そうか? 私としてはそんな驚くほど大きくは感じないが」

辿り着いた子爵家の家を見てゼルートは自分の家よりも大きいため驚いていたが、ルウナにとっては特に驚くほど大きくは無いと感じた。

(そりゃ・・・・・・お前が王女だったからだろ。王族と一貴族の家の大きさを比べるなっつーーーーの)

ちらっとゼルートが隣を見ると、アレナもルウナ同様に特に驚いてはいなかった。

「アレナは過去に貴族の依頼を受ける時に依頼主の家も見ているから、目の前の家を見てもそんな驚かないってところか」

「そうよ。Aランクになってから貴族からの依頼を受けるのも多かったからね」

アレナの冒険者時代の過去聞き、ゼルートは改めて高ランクの冒険者にはならない方が良さそうだと思った。

屋敷の中へと入ったゼルートは実家との違いに多少驚くが、王都へのパーティーへ向かった時の王城の内装を思い出すと自然と気分が落ち着いた。

そして歩く事数分、子爵家の使用人達から物珍しい物を見る視線を浴びながらゼルート達はゲイルとラームのいる部屋へと案内される。

ドアをノックしてゼルート達を連れて来た事を仕える主人に伝える。

「旦那様、ゼルート様達をお連れ致しました」

「ご苦労だ。中へと入れてくれ」

「かしこまりました。さぁ、中へと入ってください」

兵士がドアを開けてゼルート達に中へ入る様に促す。

ゼルート達と同じDランクの冒険者ならば一瞬でも中へ入るのを躊躇ってしまう場面だが、ゼルートも貴族の子息であり、尚且つ今回の一件に関して自身に非が無いため一切の遠慮は無い。

ゼルート達が子爵家の当主が中にいる部屋へ入ると、そこには人間の姿をしているゲイルとラーム、そして子爵家の当主と思われる三十代程の外見を持つ男性。
そしてその横に少女が一人と後ろにゼルートより数歳ほど年上の少年にメイドが一人。

「座ってくれたまえ」

「分かりました。・・・・・・おい、別に後ろに立つ必要は」

「私はここで構わないわ」

「私も同じだ」

ソファーに座ろうとしない二人にゼルートは声を掛けるが、アレナとルウナは座る事を拒否した。
二人の目を見て自分が何を言っても聞かないだろうと判断したゼルートは一息ついて諦める。

「ふぅーーー・・・・・・好きにしろ。取りあえず、久しぶりだなゲイルにラーム」

「お久しぶりです。とは言っても私は前回の戦いでご一緒したのであまり時間が空いた訳ではありませんが」

「久しぶりだねゼルート様!!! 何かお土産なんてありますか?」

ラームの余りにも軽い調子にゲイルは溜息をついて軽く頭を小突く。

「いた、何するんですかゲイルさん!」

「お前はもう少し空気というのを読め、今はそういった雰囲気ではないだろう」

二人のやり取りを見て苦笑いになりながらも、ゼルートはラームに買った訳では無いが十分にお土産と呼べる物があると伝える。

「そう言えばオークキングの肉があったな・・・・・・後で食べるかラーム?」

「はい!!! 後で絶対に食べたいです」

「分かった。それなら少しの間大人しくしていてくれ」

「分かりました!! 大人しくしています!!!」

ラームはゼルートに言われた通り口を閉じて背筋を伸ばし大人しくなった。
そんなラームにアレナとルウナは小さく笑い、ゲイルはもう一度溜息をつく。

「すみません、少し時間を無駄にしてしまって」

「いや、久しぶりの仲間との再会だ。積もる話も有るというものだ。さて・・・・・・まずは本題に入る前に自己紹介をしておこう。私はアグローザ・ノーザス。ノーザス子爵家の現当主だ。そしてこっちが娘のリサーナだ・・・・・・はぁ~~、全く。すまない、普段なら客人には必ず挨拶するんだが」

「あ~~・・・・・・俺はその辺りは気にしないんで大丈夫ですよ」

笑顔で対応するゼルートだが、本音としては今回の問題である原因が真面な対応を取らない事にイラついていた。
その原因であるリサーナはそっぽを向き、時折り敵意が宿っている目でゼルートを見ている。

「そして後ろにいるのが娘の護衛であるバレス・ナクルだ」

バレス・ナクルと呼ばれた少年はゼルート一礼する。
その目には子爵家の娘の様に敵意は無かった。

「俺はゼルート・ゲインルートです。一応男爵家の次男ですが、現在はDランクの冒険者として活動しています。後ろにいる人族の女性はアレナ、獣人族の女性はルウナです」

ゼルートに名を呼ばれた二人はバレスと同様にアグローザに一礼する。
そして互いに自己紹介が終わったところでメイドから紅茶を貰い、一口飲んだところで話の本題に入る。



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