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少年期[275]少しづつでも変える

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「ゼルート、今までの大変世話になった。おそらく私は他の貴族立と比べて最高のサポートをしてもらった筈だ。ゼルート、ルウナ、アレナさん、ラルがいたからこそ私は試練を乗り越える事が出来た」

朝食を食べ終え、街の外でゼルート達と向かい合っているセフィーレは腰を深く曲げて礼の言葉を述べた。
何時もならセフィーレに顔を上げる様に伝えるゼルートだが、今回は素直に感謝の言葉を受け取る。

「セフィーレ様の言う通りだ。短い間だったけど世話になった。ゼルート君達がいなかったら俺達が何回死んでいたか分からないぜ。俺は基本的に探索が専門分野だが、これからゼルートを見習って何でもある程度のラインまでこなせる様に頑張るよ」

戦闘が出来ない訳では無い。それでも今回のダンジョン攻略で力不足を感じたソブルは戦闘面だけでなく、他の部分でも仲間の力になる事を決める。

「今回のバーコスまでの道中、ダンジョン攻略で多くの事を学ばせて貰いました。本当に感謝の言葉しかありません」

今までは豪快な一撃と大剣によるガードが自分の武器だったカネルは、自分の強みを高めるのは勿論の事、魔力による身体強化の制度や無駄に体力を消費しない為の小技を覚えていこうと考えている。

「ゼルートさん、今回の魔物達との戦いで少しづつですが前に進む勇気が出ました。これから努力を怠る事無く、戦いでセフィーレ様達の足を引っ張らない様に精進します!!」

ボス戦ではセフィーレ様の支援に回っていたリシアだが、オークの上位種の脳天をメイスで叩き潰した事で少しでも接近戦を出来る様になりたいという思いが強くなっていた。

「っと・・・・・・俺としては、冒険者である自身の仕事を達成しようと頑張っただけです。ただ、それが皆さんの励みになったのなら自分としても嬉しい限りです」

「そうか・・・・・・ゼルート、私は公爵家の人間と言えど次女だ。大した権力は持っていない。ただ! これからあのようなバカが出ない様に少しづつでも貴族の考えを変えていく」

本来なら公爵の娘であるセフィーレが周囲に人が殆どいないとはいえ、口に出して良い内容では無い。
しかし今回の出来事でセフィーレの中で何かが変わった。

勿論無茶な行動はしない。だが、着実に黒に染まり貴族という名の権力に縋る害虫を、平民だから冒険者だからと努力を積み重ねて目標へ向かう者達の道を平気で潰そうとする屑を着実に潰す。

「はは、俺としては物凄く賛同出来る考えです。ただ、俺が言える事では無いですけど、あまり無茶はしないでください。それと何か戦力で困った事があれば是非呼んでください。仕事を受けていない時であれば直ぐに駆けつけるので」

「それは頼もしいな。困った事があれば是非頼らせて貰おう」

お互いに伝えたい言葉を伝えられたゼルート達とセフィーレ達はそれぞれの目的地へと向かった。



「セフィーレ様、害でしかない屑共を排除するのには賛成ですが一体どの様にして事を勧めて行くのですか?」

「ゼルートに言われた通り無茶な行動はしない。ただ、今は信用出来る仲間が必要だ。その後の事も考えているが、まずは貴族の中で私の考えに賛同してくれる者を集めるのが優先だ」

今のセフィーレ自身が有する戦力では圧倒的に人手が足りない。
なので最優先で信頼を置ける仲間が必要だった。

「だがその前に欲しいマジックアイテムがある。というか、それが無ければ途中まで事が上手く進んでも綻びが生まれる可能性がある。それを防ぐためのマジックアイテムが必要だ。その為に帰ったらそのマジックアイテムについて情報を集める」

今後の活動について話し終えたセフィーレの目にはやる気の炎で溢れていた。



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