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少年期[241]八割方自分の為に

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アレナ達の所へ戻って来たゼルート達に六人組の冒険者達は一斉に二人と一体に頭を下げて感謝の言葉を述べた。

自身より明らかに年上の冒険者六人に頭を下げられる。
その状況に、確かに彼らを助けなければという思いもあったがそれは二割程度であり、残りの八割は単純に魔物の集団と・・・・・・モンスターパーティーと戦ってみたかったからなのであまり感謝されるような事は無いとゼルートは考えていた。

ラルとルウナも殆ど自分の為に戦っていたので、どう対応していいのか困っていた。

ゼルート達に是非何かお礼をさせてくれないかと六人は言ってきたが、ゼルートは現時点で特に欲しい物は無い。
そして左右に目を向け、ラルとルウナが首を振ったのを確認してから特にお礼は要らないと伝える。

その言葉に六人組は驚き、石のように固まってしまった。

モンスターパーティーに遭遇したら基本的に命は無い、逃げ切る事は出来ない。
仮に他の冒険者に押し付けて地上へ戻れたとしても、擦り付けたのがバレれば同業者には永遠に白い目で見られ続ける。

選択肢は二つ、どちらを選んでも最悪の未来しかない。
そして今回はリザードマンナイト、ロックパンサー、アイアンゴーレム、三体のヒポグリフ。六人が万全の状態であっても勝てる確率がゼロの相手が複数いた。

そんな相手を倒したのにも関わらず、自分達に礼は要らないと言い切った。

我に返り言葉の意味を理解した六人の冒険者は食い下がろうとしたが、ゼルートがそれならば俺が困っている時に力になって欲しいと伝え、貸し一つの状態にすると決めた。

こういった時にこの手が一番だとゼルートは考えており、読み通りに六人はそれなら・・・・・・と引き下がった。

六人の冒険者と別れを済ませた後、セフィーレ達はゼルート達に声を掛ける。

「怪我は・・・・・・無さそうだな」

「ええ、特に決定打を喰らった訳でも無いですからね。まぁ・・・・・・俺の場合は少し熱かったですけどね。ルウナはどうだった?」

「私も特に怪我は無いぞ。ただ、中々緊張感があって良い戦いだった」

そこは聞いていないんだがとゼルートは思ったが敢えてツッコまなかった。
二人の感想にソブルは両手を上げて苦笑いしながら首を横に振る。真剣にゼルート達の戦いを見ていた為、額にはうっすらと汗が浮かんでいた。

「ははっ、まったく・・・・・・あれだけの相手と戦ったのにも関わらず、感想が少し熱かったと良い戦いだった、か。本当に規格外だな。小さなドラゴンさんも含めて」

ゼルート達と同じような強さを手に入れるのは無理だが、それでも自身の主を守れるように、そして・・・・・・ゼルートの様に恩に着せないようなセリフ言ってみたいものだと思い、実行に移そうと誓う。

「規格外なのは分かっていたが、流石に今回は心配したぞ。まぁ、終わってみれば全員無傷なんだがな」

セフィーレの表情を見て、本当に自分達の事を心配していたんだと分かったゼルートは安心させるような笑みでドンッと胸を叩く。

「大丈夫ですよ。戦う前も言った通り、俺が前に出るときは何も心配せずに待っていてください」

小さな胸を張ってなんとか頼りになりそうに見せるゼルートの姿はどこか微笑ましいものがあった。
しかしセフィーレだけは受け取り方が違い、頬をほんのりと赤く染める

「そ、そうか・・・・・・それなら今度は何も心配せずに待っておこう」

頬が少し赤くなる以外はポーカーフェイスだったため、セフィーレの心情に殆ど気づく者はいなかったが、一人の女が勘付く。

「・・・・・・へぇーー。もしかすると、もしかするかもしれないわね。でも・・・・・・ゼルートも罪な男ね」

ふふ、っと小さくアレナは呟きながらこの先の展開が楽しみだと思った。
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