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少年期[227]二段構え

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向かって来る魔物に対して容赦なく相手を吹き飛ばす、ぶちのめす姿は修羅その物。
相手の力量差に臆することなく襲い掛かって来る魔物さえ、少し躊躇している。

だが、向かって来る魔物も下層の中で今まで生き抜いてきた魔物、ランクが低くても考える頭を持っていた。

「む、遠距離主体に変えてきたか」

魔物達は持っている武器、大きな岩等を一斉に投げつけるのではなく、ルウナへの着弾をずらして投擲を行う。

(なるほど。私に着弾する瞬間をずらして投擲し、私が前に進めないようにするつもりか。魔物にしては頭が良いな。もしかすると指揮系統が上手く執れる上位種がいるのか? それとも下層で生き残って来て得た知識か・・・・・・おそらく後者だろうな。武器だけならまだしも直ぐにそこら辺にある石、岩を投げるという判断はもはや習慣に近い物を感じる)

魔物達の行動に移す速さにルウナは感嘆しながらも、全ての武器や岩等を躱すか拳や足で弾き飛ばすなどして、一切のダメージを負っていない。
息も切れておらず、余裕の表情を浮かべていた。

(ただ・・・・・・これで終わりと言う事はないだろう。何かしらの大きな攻撃が来るはずだ。ふふ、それはそれで楽しみだな)

魔物から威力の高い攻撃が飛んでくるかもしれないというのに、ルウナはそれを寧ろ楽しみに待っていた。
まさに戦闘狂・・・・・・といよりは単なるバカ。

(おそらくはメイジ系の魔物の魔法が飛んでくるのだろう。いや、剣術スキルや槍術スキルの中に、攻撃を繰り出すのに時間が掛かる技があったかもしれないな)

ルウナの予想通り、隙間のない投擲は十秒程で終わり、魔物達が左右に退くとそこから魔法が放たれた。

「なっ! ・・・・・・少し予想外、だな!!」

ルウナに向けて放たれた魔法は中級クラスのロックキャノンだった。

(まさか中級の魔法が飛んでくるとはな。ただのメイジじゃ無いのか?)

魔法を放ってきた魔物がどんな魔物なのかを想像しつつ、迎撃態勢をとった。

「ハアアアアア!!!!」

ルウナは魔力を円錐状に拳に纏い、更にそれを回転させてドリルの様にしながらロックキャノンを殴りつける。

殴りつけられたロックキャノンは爆散した。
そして爆散した岩の破片がかなりの勢いで飛び散り、ランクの低い魔物はやられはしなかったものの、ダメージは受けていた。

「・・・・・・なるほど、ハイ・メイジだったか」

ルウナの言葉通り、ロックキャノンを放った魔物はオークの上位種のオークハイ・メイジだった。
メイジのさらに上位種であるハイ・メイジは、メイジと比べ使う魔法のレベルが高く、全体的なステータスも高くなっている。

(ハイ・メイジだったら納得は出来るな。見たところまだ魔力量に余裕はある。だが・・・・・・魔物達の様子が何んだか変だな。こういった事があっても怯えないという事は分かっていたが、何故オーク共がニヤニヤしている? まるで私が既に罠にはまっているような・・・・・・まさか!?)

ルウナは直ぐに周囲から上に意識を向ける。
そこには大剣を持ったオークが、勢いよく大剣を振り下ろしていた。
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