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第146話 帰省
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SIDE ガルフ
イシュドの実家、レグラ家で充実した夏休みを送れたガルフ。
最後の期間は予定通り……イシュドがこっそり配備した護衛たちのお陰で、無事に故郷へ帰省することが出来た。
「「「「「「「「「「お帰り、ガルフ!!!」」」」」」」」」」
「ただいま!!」
大勢の村人たちがガルフの帰省を歓迎。
両親から付き合いのある村人たち、彼を慕う子供たち。
多くの者たちがガルフの帰省を喜び、入学した学園でどういった生活を送っていたのかを尋ねる。
「イシュドって言う……親友に、出会えたんだ」
第一に、家族や親交のある者たちにそれを伝えたかった。
多くの貴族がいる学園では、自分が予想してた以上に厳しい現実が待ち受けていたことも話しつつ、その中で出会えた光について話し始めた。
「彼も貴族の子供なんだけど、他の貴族の子供たちとは全然違うんだ」
平民の立場で入学した自分に理不尽な怒りをぶつけてきた生徒がいた。
その生徒に対し、上手く状況をつくり……遠慮なく蹴りを入れた。
そして入学初日であるにもかかわらず、実家の評判もあっていきなり喧嘩を売られるも、上手く事を運ばせ……一対二という数だけみれば不利な状況だったが、圧倒的な格の差を見せ付けて勝利を収めた。
「ガルフ兄ちゃんよりも強いの、その人」
「勿論だよ。いや……強いなんてものじゃないね」
村の子供たちからすれば、平民という立場でありながら貴族が通う学園に入学出来たガルフに強い憧れを持っていた。
だからこそ、ガルフ本人が自分よりも強いと断言したことに驚きを隠せなかった。
「そんなに驚くことじゃないよ。世界は広いって言うだろ。本当に……その通りだったんだよ」
貴族の中にも平民のガルフと仲良くしてくれる変わった人は一人だけ、ということもなかった。
そして学園での生活を話し続け……ようやく、親友であるイシュドがどれだけ強いのかを話すメインイベントが来た。
「トーナメントが終わった後に、エキシビションマッチ……トーナメントとは関係無い、特別試合が行われたんだ」
「もしかして、そこで親友のイシュド君が登場するのか?」
「その通りだよ、父さん。一年生、二年生、三年生の優勝者三人対、イシュドの三対一の特別試合だよ」
優勝者。
実際の彼らの戦いを観ておらずとも、その言葉だけでその三人が強いという事が解る。
「さ、三対一の状況でそのイシュド君は戦ったのかい?」
「そうだよ。しかも、イシュドの本来の武器は戦斧を二振り持つスタイルなんだけど、その特別試合では素手で戦ったんだ」
戦いそのものに興味がなくとも、明らかにイシュドという学生が手加減してることが窺える。
「ね、ねぇガルフ兄ちゃん。もしかして……その人が、一人で勝っちゃったの?」
「もしかしなくても、その通りだよ。イシュドは、メインの武器だけじゃなくて、スキルも使わずに勝ってしまったんだ」
衝撃の内容に……話を聞いていた村人たちは、全員固まってしまった。
大人であろうと、子供であろうと関係無い。
信じられない、そんなまさかという思いが湧き上がるが、村人たちはガルフの実力を知っている。
ガルフが帰省する前に、学園から一通の手紙が送られ、彼は元気に学園生活を送っている……それ以外にも、四つの学園が一つになって開催する一年生のトーナメントで、ベストエイトにまで上り詰めた事を知っていた。
しかも、ベストエイトで負けたのではなく、相打ちにという結果。
その結果を知っているため、実は一年生の優勝者が弱いのでは? という疑問は浮かばない。
当然、細かい事情を知らずとも、二年生と三年生……一年生よりも経験があるもう二人の優勝者が実は弱い、運が良かっただけとも考えられない。
「そ、そんなにイシュド君は強いのかい?」
「そうだよ。本当に強いんだ……そんな彼に色々と教えてもらったから、三回戦目まで進むことが出来たんだ」
基礎的な能力が向上したからこそ、一回戦目の試合を圧勝出来た。
向上した基礎的な能力に加えて、イシュドからのアドバイスもあって、最後の一撃を読んで決定打を与えることに成功し、二回戦目も勝利を収めることが出来た。
「最終的にその試合では片腕を使えなくなったけど、その怪我もわざわざ三人が放った合わせ技に対して、真正面から対応しなければ負うこともなかったし……うん、とにかくイシュドはとんでもなく強いんだ」
「そんな人がガルフの味方に、友人になってくれたのね。貴族の学園に通うことに対して本当に不安だったけど……本当に、心配しなくても大丈夫そうね」
「そうだね……本当に、イシュドが友達になってくれたから、だね」
何故イシュドが自分の友達になってくれたのか、なんてことを今更考えることはない。
生粋、かつイレギュラーな狂戦士であるイシュド。
そんなイシュドが自分を友として認めてくれたのか、付き合いはまだ半年ない程度ではあるが、もう完全に解っていた。
「それに、他にも友達になってくれた人がいるんだ」
いつも共に行動しているもう一人の男友達、フィリップ。
彼もまた変わった貴族の一人であり、気さくに話せる親しい友人。
そして貴族らしくはあるが、それでもそれなりに柔軟な考えを持っている女友達、ミシェラ。
もう一人、異国の地からやって来た留学生、イブキ。
学園に入学して出来た友人が一人だけではないと知り、ガルフの両親は本当にホッと一安心だった。
(……そのイシュドという青年に出会い、強くなれたというのは……本当なのだろうな)
そんな中、戦闘に関して村の中でリーダー的な存在であり、ガルフや同世代の子供たちに指導を行っていた男は、ガルフの内に有する強さ、身に纏う雰囲気の微かな変化に内心驚愕していた。
(俺も、イシュドという青年に深く感謝しなければな)
その後もガルフの思い出話は続き、子供たちは普段なら寝る時間になっても聞き続け、その日だけは大人達もそれを咎めることはなかった。
イシュドの実家、レグラ家で充実した夏休みを送れたガルフ。
最後の期間は予定通り……イシュドがこっそり配備した護衛たちのお陰で、無事に故郷へ帰省することが出来た。
「「「「「「「「「「お帰り、ガルフ!!!」」」」」」」」」」
「ただいま!!」
大勢の村人たちがガルフの帰省を歓迎。
両親から付き合いのある村人たち、彼を慕う子供たち。
多くの者たちがガルフの帰省を喜び、入学した学園でどういった生活を送っていたのかを尋ねる。
「イシュドって言う……親友に、出会えたんだ」
第一に、家族や親交のある者たちにそれを伝えたかった。
多くの貴族がいる学園では、自分が予想してた以上に厳しい現実が待ち受けていたことも話しつつ、その中で出会えた光について話し始めた。
「彼も貴族の子供なんだけど、他の貴族の子供たちとは全然違うんだ」
平民の立場で入学した自分に理不尽な怒りをぶつけてきた生徒がいた。
その生徒に対し、上手く状況をつくり……遠慮なく蹴りを入れた。
そして入学初日であるにもかかわらず、実家の評判もあっていきなり喧嘩を売られるも、上手く事を運ばせ……一対二という数だけみれば不利な状況だったが、圧倒的な格の差を見せ付けて勝利を収めた。
「ガルフ兄ちゃんよりも強いの、その人」
「勿論だよ。いや……強いなんてものじゃないね」
村の子供たちからすれば、平民という立場でありながら貴族が通う学園に入学出来たガルフに強い憧れを持っていた。
だからこそ、ガルフ本人が自分よりも強いと断言したことに驚きを隠せなかった。
「そんなに驚くことじゃないよ。世界は広いって言うだろ。本当に……その通りだったんだよ」
貴族の中にも平民のガルフと仲良くしてくれる変わった人は一人だけ、ということもなかった。
そして学園での生活を話し続け……ようやく、親友であるイシュドがどれだけ強いのかを話すメインイベントが来た。
「トーナメントが終わった後に、エキシビションマッチ……トーナメントとは関係無い、特別試合が行われたんだ」
「もしかして、そこで親友のイシュド君が登場するのか?」
「その通りだよ、父さん。一年生、二年生、三年生の優勝者三人対、イシュドの三対一の特別試合だよ」
優勝者。
実際の彼らの戦いを観ておらずとも、その言葉だけでその三人が強いという事が解る。
「さ、三対一の状況でそのイシュド君は戦ったのかい?」
「そうだよ。しかも、イシュドの本来の武器は戦斧を二振り持つスタイルなんだけど、その特別試合では素手で戦ったんだ」
戦いそのものに興味がなくとも、明らかにイシュドという学生が手加減してることが窺える。
「ね、ねぇガルフ兄ちゃん。もしかして……その人が、一人で勝っちゃったの?」
「もしかしなくても、その通りだよ。イシュドは、メインの武器だけじゃなくて、スキルも使わずに勝ってしまったんだ」
衝撃の内容に……話を聞いていた村人たちは、全員固まってしまった。
大人であろうと、子供であろうと関係無い。
信じられない、そんなまさかという思いが湧き上がるが、村人たちはガルフの実力を知っている。
ガルフが帰省する前に、学園から一通の手紙が送られ、彼は元気に学園生活を送っている……それ以外にも、四つの学園が一つになって開催する一年生のトーナメントで、ベストエイトにまで上り詰めた事を知っていた。
しかも、ベストエイトで負けたのではなく、相打ちにという結果。
その結果を知っているため、実は一年生の優勝者が弱いのでは? という疑問は浮かばない。
当然、細かい事情を知らずとも、二年生と三年生……一年生よりも経験があるもう二人の優勝者が実は弱い、運が良かっただけとも考えられない。
「そ、そんなにイシュド君は強いのかい?」
「そうだよ。本当に強いんだ……そんな彼に色々と教えてもらったから、三回戦目まで進むことが出来たんだ」
基礎的な能力が向上したからこそ、一回戦目の試合を圧勝出来た。
向上した基礎的な能力に加えて、イシュドからのアドバイスもあって、最後の一撃を読んで決定打を与えることに成功し、二回戦目も勝利を収めることが出来た。
「最終的にその試合では片腕を使えなくなったけど、その怪我もわざわざ三人が放った合わせ技に対して、真正面から対応しなければ負うこともなかったし……うん、とにかくイシュドはとんでもなく強いんだ」
「そんな人がガルフの味方に、友人になってくれたのね。貴族の学園に通うことに対して本当に不安だったけど……本当に、心配しなくても大丈夫そうね」
「そうだね……本当に、イシュドが友達になってくれたから、だね」
何故イシュドが自分の友達になってくれたのか、なんてことを今更考えることはない。
生粋、かつイレギュラーな狂戦士であるイシュド。
そんなイシュドが自分を友として認めてくれたのか、付き合いはまだ半年ない程度ではあるが、もう完全に解っていた。
「それに、他にも友達になってくれた人がいるんだ」
いつも共に行動しているもう一人の男友達、フィリップ。
彼もまた変わった貴族の一人であり、気さくに話せる親しい友人。
そして貴族らしくはあるが、それでもそれなりに柔軟な考えを持っている女友達、ミシェラ。
もう一人、異国の地からやって来た留学生、イブキ。
学園に入学して出来た友人が一人だけではないと知り、ガルフの両親は本当にホッと一安心だった。
(……そのイシュドという青年に出会い、強くなれたというのは……本当なのだろうな)
そんな中、戦闘に関して村の中でリーダー的な存在であり、ガルフや同世代の子供たちに指導を行っていた男は、ガルフの内に有する強さ、身に纏う雰囲気の微かな変化に内心驚愕していた。
(俺も、イシュドという青年に深く感謝しなければな)
その後もガルフの思い出話は続き、子供たちは普段なら寝る時間になっても聞き続け、その日だけは大人達もそれを咎めることはなかった。
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