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第108話 完璧
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「っし、米の方も炊きあがったみたいだな」
茶碗に米をよそい、簡単な夜食が出来上がった。
「ちょっと朝食っぽいけど、まぁそんなに量はないし、別に良いよな」
「あ、はい……」
「あっ! そういえば味噌汁も作ろうと思えば作れたな。悪ぃな、イブキ」
「い、いえ! そんな…………あ、あの。味噌汁であれば、今度私が作ります」
「おっ、良いのか? んじゃ、楽しみにしてるわ」
自分に色恋なんて当分縁がねぇよな~と思いながら学園生活を送っていたイシュドだが、女子の手料理が食べられるのは、それはそれで嬉しいものである。
(………………っ!!!!)
軽い夕食を食べ始めたイブキは、少し前に自分が口にした言葉を思い出し、急に顔が真っ赤になった。
(い、イシュドは故郷の大和について、知識が豊富ですが……い、言い回しまで、解るのでしょうか?)
言葉を発したイブキ自身も、そのつもりは一切ない。
その気は一切無く、ただ単純に作ってもらってばかりではあれだという思いから、味噌汁は自分が作ると口にしたが……後々になって、変な意味で捉えられてないかと心配になる。
「うん、我ながら上手く出来たな、この玉子焼き。どうよ、イブキ……イブキ? なんか顔赤いぞ」
「っ!!! だ、大丈夫です……その、本当に大丈夫、です」
「? そっか」
特に深くは検索せず、夜食を食べ進めるイシュド。
イシュドも……何故イブキの顔が急に赤くなったのか、理由を聞けば「あぁ~~~~~~、はいはいなるほど」とはなるが、今ここで思い出すことはなかった。
「っ、お、美味しいです」
「はは、そりゃ良かった」
「料理が出来るというのは聞いていましたが、一流の料理人と遜色ないのではありませんか?」
「玉子焼きだけでそこまで褒められるのは嬉しいな。つっても、趣味みたいなもんだからな……特に今後、料理でどうこうするつもりはないしな」
イブキは大和で生活していたからこそ、何度も玉子焼きを食べたことがあるからこそ解る。
今イシュドが作ってくれた玉子焼きのレベルは、素人のものではなかった。
大和では、武士の道を進んでいたとしても、いずれは家庭に入る。
その際に……当然だが女性は夫がいない間、家の主となって家事全般を行う。
イブキはアカツキ家の意向もあって、一通りの家事方法は叩き込まれており、当然料理も出来る。
そもそも料理などしたことがないデカパイやクリスティールと比べれば、文字通り天と地の差がある。
だが、割と自信があったからこそ、男性であるイシュドがここまで料理が出来る事に、驚愕せざるを得なかった。
「それでも、趣味だから息抜きで作ることもあるだろうな」
「……菓子、とかも作るのですか?」
「おぅ、作る作る。でもさ、そっちの……和菓子ってのは、まだなんか上手くいってなくてなぁ……やっぱいつか、大和に行ってみるべきか」
「っ……それなら、来年の夏は大和に来ますか」
イブキからの誘いに、イシュドは満面の笑みを浮かべながら確認する。
「良いのか! イブキ!!」
「え、えぇ。私としても、異国の地でできた友人を家族に紹介したいですし」
特に他意はない。
そう……本当に、特に他意はない誘いである。
「オッケーオッケー、そんじゃ来年の夏はガルフたちと一緒に大和に行くから、案内してくれよ」
「えぇ、勿論です」
二人じゃないのか、というがっかり感は一ミリもない。
本当にガルフたちも紹介したかったため、寧ろ嬉しい確約である。
「大丈夫ですのイブキ!!!!!!」
「…………おい、デカパイ。そんなに深夜にぶるんぶるん揺らして求愛のつもりか?」
「ばっ!!!! な、何を言ってるんですの!!!!!」
「そりゃこっちのセリフだ、アホたれ。何いきなりダッシュで厨房に駆けこんで来てんだよ」
「それはあなたとイブキが二人っきりで何処かに消えてしまったと聞い、て……」
確かに、ミシェラがイシュドとイブキが二人で何処かに消えてしまったという話を聞いた。
ただ……しっかりと確認して見れば、ただ二人はこっそり夕食を食べてただけである。
「……あぁ~~~厭らしい厭らしい。ったく、この頭の中が真っピンクなデカパイは何を考えてんだか。このムッツリデカパイ」
「な、な、なっ!!!!!!!!」
先程イブキの顔が真っ赤になった光景とは比にならないほど顔が赤くなり、今にも頭上から蒸気が溢れ出しそうなミシェラ。
「ダッシュし過ぎだっての、ミシェラ。どうせ特に何もしてねぇだろ……ほれ見ろ、デカパイ」
「おぅ、フィリップ。お前らもどうしたんだ?」
「いや、イシュドとイブキが二人揃ってどっかに消えたって聞いて、こいつが勝手に暴走したんだよ」
「あぁ~~~、なるほどね~~。容易に想像出来るわ。まっ、せっかく来たんだ。追加で米炊いてやるからちょっと待っとけ」
「わ、私は食べるとは一言も!!!! …………」
一言も食べるとは言ってない、と言い終える前に、ミシェラのお腹から非常に可愛い音が聞こえた。
ちなみに、音の長さはちょっと可愛くなかった。
「フィリップ、今の音は?」
「ぶっ、ふっふっふ……」
「ど、どうしたの、フィリップ?」
「だ……ダメだ。も、もうこいつ……本当に、面白過ぎる」
既に時間は夜。
寝ている者もおり、しかも場所は厨房。
いきなり厨房から超大きな笑い声が聞こえてきたとなれば、何事かと兵士や騎士たちが駆け付けて、迷惑を掛けてしまうかもしれない。
友人の家ということもあり、そこら辺のマナーは弁えているフィリップだが……地面にくるまって口を抑えてないと、笑い声が零れてしまいそうなほど、一連の流れに爆笑していた。
「…………オッケー、ミシェラ。次からお前のあだ名はデカパイ芸人な」
「な、なんですのその芸人とは!!!!」
「いいからいいから、大人しく座って待ってろ」
明らかにバカにしてる様にしか思えず、再度文句を口に出そうとするが、到着したクリスティールによって既に夜だという事を伝えられ、ようやく大人しくなった。
(もうなんか……あれだよな。あのデカパイは色々と持ってるよな)
あまりにも綺麗な流れで腹の音がなるという光景を見てしまい……イシュドはもう、それだけでミシェラと関わった意味があったのだと思えた。
茶碗に米をよそい、簡単な夜食が出来上がった。
「ちょっと朝食っぽいけど、まぁそんなに量はないし、別に良いよな」
「あ、はい……」
「あっ! そういえば味噌汁も作ろうと思えば作れたな。悪ぃな、イブキ」
「い、いえ! そんな…………あ、あの。味噌汁であれば、今度私が作ります」
「おっ、良いのか? んじゃ、楽しみにしてるわ」
自分に色恋なんて当分縁がねぇよな~と思いながら学園生活を送っていたイシュドだが、女子の手料理が食べられるのは、それはそれで嬉しいものである。
(………………っ!!!!)
軽い夕食を食べ始めたイブキは、少し前に自分が口にした言葉を思い出し、急に顔が真っ赤になった。
(い、イシュドは故郷の大和について、知識が豊富ですが……い、言い回しまで、解るのでしょうか?)
言葉を発したイブキ自身も、そのつもりは一切ない。
その気は一切無く、ただ単純に作ってもらってばかりではあれだという思いから、味噌汁は自分が作ると口にしたが……後々になって、変な意味で捉えられてないかと心配になる。
「うん、我ながら上手く出来たな、この玉子焼き。どうよ、イブキ……イブキ? なんか顔赤いぞ」
「っ!!! だ、大丈夫です……その、本当に大丈夫、です」
「? そっか」
特に深くは検索せず、夜食を食べ進めるイシュド。
イシュドも……何故イブキの顔が急に赤くなったのか、理由を聞けば「あぁ~~~~~~、はいはいなるほど」とはなるが、今ここで思い出すことはなかった。
「っ、お、美味しいです」
「はは、そりゃ良かった」
「料理が出来るというのは聞いていましたが、一流の料理人と遜色ないのではありませんか?」
「玉子焼きだけでそこまで褒められるのは嬉しいな。つっても、趣味みたいなもんだからな……特に今後、料理でどうこうするつもりはないしな」
イブキは大和で生活していたからこそ、何度も玉子焼きを食べたことがあるからこそ解る。
今イシュドが作ってくれた玉子焼きのレベルは、素人のものではなかった。
大和では、武士の道を進んでいたとしても、いずれは家庭に入る。
その際に……当然だが女性は夫がいない間、家の主となって家事全般を行う。
イブキはアカツキ家の意向もあって、一通りの家事方法は叩き込まれており、当然料理も出来る。
そもそも料理などしたことがないデカパイやクリスティールと比べれば、文字通り天と地の差がある。
だが、割と自信があったからこそ、男性であるイシュドがここまで料理が出来る事に、驚愕せざるを得なかった。
「それでも、趣味だから息抜きで作ることもあるだろうな」
「……菓子、とかも作るのですか?」
「おぅ、作る作る。でもさ、そっちの……和菓子ってのは、まだなんか上手くいってなくてなぁ……やっぱいつか、大和に行ってみるべきか」
「っ……それなら、来年の夏は大和に来ますか」
イブキからの誘いに、イシュドは満面の笑みを浮かべながら確認する。
「良いのか! イブキ!!」
「え、えぇ。私としても、異国の地でできた友人を家族に紹介したいですし」
特に他意はない。
そう……本当に、特に他意はない誘いである。
「オッケーオッケー、そんじゃ来年の夏はガルフたちと一緒に大和に行くから、案内してくれよ」
「えぇ、勿論です」
二人じゃないのか、というがっかり感は一ミリもない。
本当にガルフたちも紹介したかったため、寧ろ嬉しい確約である。
「大丈夫ですのイブキ!!!!!!」
「…………おい、デカパイ。そんなに深夜にぶるんぶるん揺らして求愛のつもりか?」
「ばっ!!!! な、何を言ってるんですの!!!!!」
「そりゃこっちのセリフだ、アホたれ。何いきなりダッシュで厨房に駆けこんで来てんだよ」
「それはあなたとイブキが二人っきりで何処かに消えてしまったと聞い、て……」
確かに、ミシェラがイシュドとイブキが二人で何処かに消えてしまったという話を聞いた。
ただ……しっかりと確認して見れば、ただ二人はこっそり夕食を食べてただけである。
「……あぁ~~~厭らしい厭らしい。ったく、この頭の中が真っピンクなデカパイは何を考えてんだか。このムッツリデカパイ」
「な、な、なっ!!!!!!!!」
先程イブキの顔が真っ赤になった光景とは比にならないほど顔が赤くなり、今にも頭上から蒸気が溢れ出しそうなミシェラ。
「ダッシュし過ぎだっての、ミシェラ。どうせ特に何もしてねぇだろ……ほれ見ろ、デカパイ」
「おぅ、フィリップ。お前らもどうしたんだ?」
「いや、イシュドとイブキが二人揃ってどっかに消えたって聞いて、こいつが勝手に暴走したんだよ」
「あぁ~~~、なるほどね~~。容易に想像出来るわ。まっ、せっかく来たんだ。追加で米炊いてやるからちょっと待っとけ」
「わ、私は食べるとは一言も!!!! …………」
一言も食べるとは言ってない、と言い終える前に、ミシェラのお腹から非常に可愛い音が聞こえた。
ちなみに、音の長さはちょっと可愛くなかった。
「フィリップ、今の音は?」
「ぶっ、ふっふっふ……」
「ど、どうしたの、フィリップ?」
「だ……ダメだ。も、もうこいつ……本当に、面白過ぎる」
既に時間は夜。
寝ている者もおり、しかも場所は厨房。
いきなり厨房から超大きな笑い声が聞こえてきたとなれば、何事かと兵士や騎士たちが駆け付けて、迷惑を掛けてしまうかもしれない。
友人の家ということもあり、そこら辺のマナーは弁えているフィリップだが……地面にくるまって口を抑えてないと、笑い声が零れてしまいそうなほど、一連の流れに爆笑していた。
「…………オッケー、ミシェラ。次からお前のあだ名はデカパイ芸人な」
「な、なんですのその芸人とは!!!!」
「いいからいいから、大人しく座って待ってろ」
明らかにバカにしてる様にしか思えず、再度文句を口に出そうとするが、到着したクリスティールによって既に夜だという事を伝えられ、ようやく大人しくなった。
(もうなんか……あれだよな。あのデカパイは色々と持ってるよな)
あまりにも綺麗な流れで腹の音がなるという光景を見てしまい……イシュドはもう、それだけでミシェラと関わった意味があったのだと思えた。
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