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第106話 日に日に大きく
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「なんて言うか、結構がたがたな感じだったな」
記録に残していた結果を見ると……特定の誰かがボロ負けしたという記録はない。
ただ、どの戦いも金が取れるレベル、とは言えなかった。
「なぁ~~、イシュド~~~。タッグ戦なんて、やる意味合ったのか?」
「そこのバカと同じ感想ですわ」
(はっはっは!!! やっぱりそこはバチバチすることになったか)
イシュドが予想していた通り、フィリップとミシェラのペアはかなりあっさりと負けてしまった。
「意味ならあるぞ。後何日かしたら実戦に移る。お前らは他の同世代連中と比べれば頭一つか二つ抜けてるけど、うちの領地周辺に生息してるモンスターたちも、同じ個体であっても他の地域で生息してる奴らより強い」
「イシュド君、それは本当なのですか」
「マジの大マジだ。学園に入学して、休みの日とかはガルフたちと狩りを行ってたから、間違いなと断言出来る」
「それは、この領地周辺に生息してるモンスターだからでしょうか」
「まぁ、そうだろうな。ここら辺は生息しているモンスターの数が多いから、単純にその中での生存競争に勝ち残って、勝手に強くなってるからかもしれねぇ」
「なるほど……そうなると、イシュド君が選んでくれた場所であっても、私たちが協力して挑まなければならないモンスターと何度も遭遇しそうですね」
「そういうこった。会長パイセンは理解が早くて助かるぜ」
クリスティールとイブキ、この二人はどの面子であってもタッグパートナーの動きに合わせるのが上手かった。
職業上、そういった動きが重いと思われるフィリップとガルフは……悪くはない、程度。
(下手くそとは言わねぇけど、ダスティンパイセンとデカパイはん~~~って感じだったな)
因みにレグラ家双子、ヴァルツは……リュネとのタッグであれば全く問題無いが、これまでのタッグ戦ではヴァルツの事を一番解っている言っても過言ではないリュネが組んでいたからこそ完璧なコンビネーションを行っている様に見えていた。
しかし、ヴァルツはガルフたちとのタッグになるとそう簡単に上手くはいかず、逆にリュネはこれまでの訓練や実戦でヴァルツをサポートする局面が多かったため、ガルフたちと組んでもそのサポート力を遺憾なく発揮していた。
「そんじゃ、とりあえず飯食うか」
疲労感はあれど、ある程度筋肉痛は和らいでいる為、食堂までの移動は問題無かった。
「……ねぇ、イシュド」
「なんだ?」
「タッグで戦う時って、どういう事を考えるのが重要?」
タッグ戦で試合を行う。
そのトレーニングに関して疑問はなかったが、あまりタッグで戦うことに関して知識がなく、正直なところ探り探りで戦うのが精一杯だったガルフ。
「……………………どういう事を考えるのが重要なんだろうな」
「えっ」
ガチの「えっ」という声が零れた。
「いや、俺はこれまで大体一人で戦ってきたからさ」
「そ、そうなんだよ」
「つっても……まぁ、タッグで戦うこともあるにはあったか? でも何かを意識して戦ってた訳じゃないからな」
と言いつつも、珍しく行っていたタッグ戦で、何を気を付けていたのかを必死で思い出す。
「……あれだな。周囲の状況を把握するのが、大事かもな」
「誰が何処にいるのか、っていうこと?」
「それだ! 仲間はどの位置にいて、何をやろうとしているのか。そんで対峙してる敵は何をやろうとしてるのか。そういうのが瞬時に把握出来れば問題なく戦えると思うぞ」
「では、イシュド。あなたはそういった感覚を、どのようにして手に入れましたか」
「どうやってと言われてもな…………一対多数で戦う戦闘もあったから、その時に周囲の状況を速攻で把握する感覚が養われたんじゃないか?」
「なるほど……理解は出来ます」
イブキの周囲に、同じ事を言っていた人物がいたため、イシュドの感覚が誰にも解ってもらえない感覚ではないことは解る。
(つまり、実戦あるのみということですね)
(イシュド……それ、答えになってますの?)
(ふっふっふ、数日後には実戦か……燃え上がるものがあるな)
約一名、気が早い人物がいるものの、本日の訓練は変わらずタッグ戦。
「どうせなら、試合を行う前に、全員で自分は何が得意なのかとか、話し合っといたらどうだ」
昼食後、イシュドは何かを思い付いたかのように、事前に話し合っといたらどうだとガルフたちに伝えた。
(…………そうですね。互いの連携度を高めたいなら、そうするしかないですね)
全員で話し合えば……全員の頭に、自分以外の得意な動き、やりたい事などがインプットされる。
そうなれば、互いが互いにやりたいことを読み合い、膠着状態が生まれるかもしれない。
(それを解ってない、イシュド君ではないでしょう)
ニヤニヤと笑みを零れているのが丸見えであった。
本当に強くなりたいなら、その膠着状態を破ってみろと言わんばかりのニヤけ面である。
「時間だな。それじゃあ、頑張れよ~~」
(なんか……昨日よりちょっと大きくなってる?)
(絶対に日に日にデカくなってるだろ)
(絶対に大きくなってますわ)
ガルフたちが試合を行っている間、イシュドは変わらず筋トレを行い続けており……扱う筋トレグッズは、日に日に大きくなっていた。
だが、そんな変化を気にしている余裕はなく、直ぐに目の前の試合に集中する。
(全員、良い顔つきだな~~~~。それに、ヴァルツの奴……デカパイたちにそういう感覚を持ち始めたから、あいつらとの試合、もしくは組んで戦う時に支障が出るんじゃないかとちょっと心配してたが、さすがに心配し過ぎだったみたいだな)
柔軟運動中や食事中、リュネから注意されない程度に意識が三人に向いていた。
兄としては、弟が性に目覚めたことは……嬉しいか嬉しくないかで言えば、嬉しかった。
(こりゃあ、ヴァルツがメイドたちの中から相手を選ぶ日も近いか。いや、どうせなら………………うん、さすがに駄目だろうな。どれだけ金を積んでも、無理なもんは無理だろうな)
咄嗟に浮かんでしまった考えをかき消す、彼らの試合に意識を向けた。
記録に残していた結果を見ると……特定の誰かがボロ負けしたという記録はない。
ただ、どの戦いも金が取れるレベル、とは言えなかった。
「なぁ~~、イシュド~~~。タッグ戦なんて、やる意味合ったのか?」
「そこのバカと同じ感想ですわ」
(はっはっは!!! やっぱりそこはバチバチすることになったか)
イシュドが予想していた通り、フィリップとミシェラのペアはかなりあっさりと負けてしまった。
「意味ならあるぞ。後何日かしたら実戦に移る。お前らは他の同世代連中と比べれば頭一つか二つ抜けてるけど、うちの領地周辺に生息してるモンスターたちも、同じ個体であっても他の地域で生息してる奴らより強い」
「イシュド君、それは本当なのですか」
「マジの大マジだ。学園に入学して、休みの日とかはガルフたちと狩りを行ってたから、間違いなと断言出来る」
「それは、この領地周辺に生息してるモンスターだからでしょうか」
「まぁ、そうだろうな。ここら辺は生息しているモンスターの数が多いから、単純にその中での生存競争に勝ち残って、勝手に強くなってるからかもしれねぇ」
「なるほど……そうなると、イシュド君が選んでくれた場所であっても、私たちが協力して挑まなければならないモンスターと何度も遭遇しそうですね」
「そういうこった。会長パイセンは理解が早くて助かるぜ」
クリスティールとイブキ、この二人はどの面子であってもタッグパートナーの動きに合わせるのが上手かった。
職業上、そういった動きが重いと思われるフィリップとガルフは……悪くはない、程度。
(下手くそとは言わねぇけど、ダスティンパイセンとデカパイはん~~~って感じだったな)
因みにレグラ家双子、ヴァルツは……リュネとのタッグであれば全く問題無いが、これまでのタッグ戦ではヴァルツの事を一番解っている言っても過言ではないリュネが組んでいたからこそ完璧なコンビネーションを行っている様に見えていた。
しかし、ヴァルツはガルフたちとのタッグになるとそう簡単に上手くはいかず、逆にリュネはこれまでの訓練や実戦でヴァルツをサポートする局面が多かったため、ガルフたちと組んでもそのサポート力を遺憾なく発揮していた。
「そんじゃ、とりあえず飯食うか」
疲労感はあれど、ある程度筋肉痛は和らいでいる為、食堂までの移動は問題無かった。
「……ねぇ、イシュド」
「なんだ?」
「タッグで戦う時って、どういう事を考えるのが重要?」
タッグ戦で試合を行う。
そのトレーニングに関して疑問はなかったが、あまりタッグで戦うことに関して知識がなく、正直なところ探り探りで戦うのが精一杯だったガルフ。
「……………………どういう事を考えるのが重要なんだろうな」
「えっ」
ガチの「えっ」という声が零れた。
「いや、俺はこれまで大体一人で戦ってきたからさ」
「そ、そうなんだよ」
「つっても……まぁ、タッグで戦うこともあるにはあったか? でも何かを意識して戦ってた訳じゃないからな」
と言いつつも、珍しく行っていたタッグ戦で、何を気を付けていたのかを必死で思い出す。
「……あれだな。周囲の状況を把握するのが、大事かもな」
「誰が何処にいるのか、っていうこと?」
「それだ! 仲間はどの位置にいて、何をやろうとしているのか。そんで対峙してる敵は何をやろうとしてるのか。そういうのが瞬時に把握出来れば問題なく戦えると思うぞ」
「では、イシュド。あなたはそういった感覚を、どのようにして手に入れましたか」
「どうやってと言われてもな…………一対多数で戦う戦闘もあったから、その時に周囲の状況を速攻で把握する感覚が養われたんじゃないか?」
「なるほど……理解は出来ます」
イブキの周囲に、同じ事を言っていた人物がいたため、イシュドの感覚が誰にも解ってもらえない感覚ではないことは解る。
(つまり、実戦あるのみということですね)
(イシュド……それ、答えになってますの?)
(ふっふっふ、数日後には実戦か……燃え上がるものがあるな)
約一名、気が早い人物がいるものの、本日の訓練は変わらずタッグ戦。
「どうせなら、試合を行う前に、全員で自分は何が得意なのかとか、話し合っといたらどうだ」
昼食後、イシュドは何かを思い付いたかのように、事前に話し合っといたらどうだとガルフたちに伝えた。
(…………そうですね。互いの連携度を高めたいなら、そうするしかないですね)
全員で話し合えば……全員の頭に、自分以外の得意な動き、やりたい事などがインプットされる。
そうなれば、互いが互いにやりたいことを読み合い、膠着状態が生まれるかもしれない。
(それを解ってない、イシュド君ではないでしょう)
ニヤニヤと笑みを零れているのが丸見えであった。
本当に強くなりたいなら、その膠着状態を破ってみろと言わんばかりのニヤけ面である。
「時間だな。それじゃあ、頑張れよ~~」
(なんか……昨日よりちょっと大きくなってる?)
(絶対に日に日にデカくなってるだろ)
(絶対に大きくなってますわ)
ガルフたちが試合を行っている間、イシュドは変わらず筋トレを行い続けており……扱う筋トレグッズは、日に日に大きくなっていた。
だが、そんな変化を気にしている余裕はなく、直ぐに目の前の試合に集中する。
(全員、良い顔つきだな~~~~。それに、ヴァルツの奴……デカパイたちにそういう感覚を持ち始めたから、あいつらとの試合、もしくは組んで戦う時に支障が出るんじゃないかとちょっと心配してたが、さすがに心配し過ぎだったみたいだな)
柔軟運動中や食事中、リュネから注意されない程度に意識が三人に向いていた。
兄としては、弟が性に目覚めたことは……嬉しいか嬉しくないかで言えば、嬉しかった。
(こりゃあ、ヴァルツがメイドたちの中から相手を選ぶ日も近いか。いや、どうせなら………………うん、さすがに駄目だろうな。どれだけ金を積んでも、無理なもんは無理だろうな)
咄嗟に浮かんでしまった考えをかき消す、彼らの試合に意識を向けた。
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