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第75話 斬り結びたい
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「ところでバイロン先生、あの雰囲気がある生徒は、いったいどういう子なんですか?」
「先程も話した通り、普通ではない子だ」
レグラ家という家系にどういった人間が多いのが、先日行われた激闘祭の特別試合でどういった試合内容が繰り広げられたのかを軽く伝えたバイロン。
「各学年の優勝者を纏めて…………なるほど。それは、あれだけ自信満々なのも頷けますね」
「あいつの場合は、ただ自身があるから挑んだだけではないと思いますが……」
「それにしても彼、刀を持っていましたよね……もしかして、そういうタイプの職業に就いてるんですか?」
異国の地の者であっても、自分たちと同じ道に進む者がいる。
それはそれでシドウとしてはつい頬が緩んでしまう。
しかし、実際のところイシュドが就いている職業は狂戦士。
侍関連の職業ではないのだが……ただの狂戦士ではない。
「いや、あの荒々しい雰囲気通り、狂戦士です。しかし、普通の狂戦士ではありません……だからこそ、刀という武器も平均以上の腕前は持っているかと」
「狂戦士でありながら、バイロン先生にそこまで言わせる程の戦闘力と技術を持っているとは…………彼、本当に学生ですか?」
「残念ながら、まだ高等部の一年生です」
二人があれこれ話している間に、使われていない訓練場に到着。
「イシュド、少し体を動かすか?」
「勿論動かしますよ。準備運動なしで勝てる相手じゃないんで」
「……そうか」
イシュドは自分の刀技の腕前を本番前まで見せたくないのか、柔軟運動後は体技のシャドーを始めた。
(………………狂戦士の類、なんだよね?)
シドウもイシュドがただの学生ではないと解っているので準備運動を行うが……偶にチラッと見るイシュドのシャドーが、とても狂戦士の者とは思えなかった。
「なぁ、ガルフ」
「な、何かな」
殆ど話したことがないクラスメートに話しかけられ、少し構えるガルフだが、話しかけた男子生徒はイシュドの友人に対して、今更バカなことを考えて実行するほど愚かではなかった。
「あいつさ……マジで何なんだ?」
「イシュドの事?」
「そうだよ。だって……あいつって狂戦士なんだろ」
「うん、そうだね」
正確には変革の狂戦士であり、通常の狂戦士とは色々と違うところがある。
「なのにさ……なんであんな素手のシャドーがキレてるんだよ」
ガルフに声を掛けた男子生徒は二次職が拳士。
体技専門の職に就いているにもかかわらず……体技の技術でイシュドに負けていると感じてしまった。
「イシュドは自分が接近戦タイプの職業に就いてるから、どうせなら武器が弾き飛ばされても戦える様にって考えから、素手の戦闘技術も磨き始めたって……言ってたかな?」
「……メインの武器に集中しようって、普通考えねぇか?」
「イシュドからすれば、武器を弾き飛ばされたからといって、敵から逃げるのが……背を向けるのが嫌なんじゃないかな」
「………………はぁ~~~。マジで蛮族とか言えねぇな」
(多分、そんな事を言ってた気がするんだよね)
実際のところ……そういった気持ちがゼロという訳ではないが、イシュドは思いっきり殴って蹴って敵を倒す感覚も悪くない、寧ろ気持ちいという思いから体技にハマった。
「ふぅ~~~~……っし」
「準備は良いか、イシュド」
「うっす。あっ、バイロン先生。これ」
「……確かに受け取った……………………イシュド、一応訊いておくが、考え直すつもりはないんだな」
回復アイテムの中では最上級のポーション、エリクサー。
欠損部位の再生も簡単に行える超優れものであり、出来ることなら万が一に備えてバイロンすら欲しいと思う超万能アイテム。
「当たり前じゃないっすか~~~。ガチの超強いザ・侍と本気で戦えるなんて絶好のチャンス、逃すわけないじゃないっすか」
「…………そうか。では、その絶好のチャンスを無駄にするよ」
「うっす!!!!!」
元気良く……狂気的ね笑みを浮かべながら返事をし、亜空間から刀を……名刀を取り出した。
(っ、なるほどなるほど。狂戦士らしい武器ではなく、わざわざ刀を使って俺に挑もうとする度胸に納得だ。構えた瞬間……狂気的笑みを直ぐに引っ込めた)
既に開始線に立ったイシュドとシドウ。
この死合いに開始の合図はなく……二人はまだ、柄に手を添えているだけで、動こうとしない。
「……っ」
誰かが唾を飲み込んだ。
その小さな音が響くほど、訓練場は静寂に包みこまれていた。
もっと言うと……二人の緊迫する圧が離れた観客席にまで伝わり、呼吸し辛い環境になっていた。
(……………………悪くねぇ。寧ろ最高だ……けど、俺がやりてぇのは、睨み合いじゃねぇんだ)
痺れを切らした? 違う。
隙が無いなら、自らこじ開け、隙を生み出すのみ。
「シッ!!!!!!!!!」
「ッ、刃ッ!!!!!!!!」
イシュドが放つは雷光一閃。
一瞬で距離を潰すに来た斬撃刃に対し、シドウは慌てることなく居合斬りで対処。
しかし雷の斬撃刃が霧散した瞬間には……既にイシュドが間合いに入り込んでいた。
「「ッ!!!!!!!!!!」」
「「「「「「「「「「っ!!!???」」」」」」」」」」
名刀と名刀がぶつかり合い、金属音が訓練場中に響き渡る。
(っ!!!! ったり前だが、押し込め、ないか!!!!!!!)
(強い強いと解ってはいたけども、こいつは桁違いだ!!!!!!!)
互いにこれ以上は無駄だと即座に判断し、その場から離れて距離を取った。
だが、それもほんの一瞬の話。
自分から動き、隙を生み出さなければならないと判断したイシュドは止まることなく、再び前進。
斬撃刃と斬撃を交え、果敢に攻めつつも……受け流せない攻撃は全て避ける。
刀という美しい人斬り包丁の性質上、敵の攻撃を受け止めることには向いていない。
イシュドは……本当に狂戦士らしくなく、敵の光景を受け流す技術も身に付けているが、シドウレベルの猛者が放つ攻撃であれば……全てを受け流すのはまず不可能。
攻めつつも、躱さなければならない攻撃は全力で躱さなければならない。
究極に矛盾してるように思える考えだが……イシュドはその矛盾をじりじりと……焦ることなく実行し続ける。
「先程も話した通り、普通ではない子だ」
レグラ家という家系にどういった人間が多いのが、先日行われた激闘祭の特別試合でどういった試合内容が繰り広げられたのかを軽く伝えたバイロン。
「各学年の優勝者を纏めて…………なるほど。それは、あれだけ自信満々なのも頷けますね」
「あいつの場合は、ただ自身があるから挑んだだけではないと思いますが……」
「それにしても彼、刀を持っていましたよね……もしかして、そういうタイプの職業に就いてるんですか?」
異国の地の者であっても、自分たちと同じ道に進む者がいる。
それはそれでシドウとしてはつい頬が緩んでしまう。
しかし、実際のところイシュドが就いている職業は狂戦士。
侍関連の職業ではないのだが……ただの狂戦士ではない。
「いや、あの荒々しい雰囲気通り、狂戦士です。しかし、普通の狂戦士ではありません……だからこそ、刀という武器も平均以上の腕前は持っているかと」
「狂戦士でありながら、バイロン先生にそこまで言わせる程の戦闘力と技術を持っているとは…………彼、本当に学生ですか?」
「残念ながら、まだ高等部の一年生です」
二人があれこれ話している間に、使われていない訓練場に到着。
「イシュド、少し体を動かすか?」
「勿論動かしますよ。準備運動なしで勝てる相手じゃないんで」
「……そうか」
イシュドは自分の刀技の腕前を本番前まで見せたくないのか、柔軟運動後は体技のシャドーを始めた。
(………………狂戦士の類、なんだよね?)
シドウもイシュドがただの学生ではないと解っているので準備運動を行うが……偶にチラッと見るイシュドのシャドーが、とても狂戦士の者とは思えなかった。
「なぁ、ガルフ」
「な、何かな」
殆ど話したことがないクラスメートに話しかけられ、少し構えるガルフだが、話しかけた男子生徒はイシュドの友人に対して、今更バカなことを考えて実行するほど愚かではなかった。
「あいつさ……マジで何なんだ?」
「イシュドの事?」
「そうだよ。だって……あいつって狂戦士なんだろ」
「うん、そうだね」
正確には変革の狂戦士であり、通常の狂戦士とは色々と違うところがある。
「なのにさ……なんであんな素手のシャドーがキレてるんだよ」
ガルフに声を掛けた男子生徒は二次職が拳士。
体技専門の職に就いているにもかかわらず……体技の技術でイシュドに負けていると感じてしまった。
「イシュドは自分が接近戦タイプの職業に就いてるから、どうせなら武器が弾き飛ばされても戦える様にって考えから、素手の戦闘技術も磨き始めたって……言ってたかな?」
「……メインの武器に集中しようって、普通考えねぇか?」
「イシュドからすれば、武器を弾き飛ばされたからといって、敵から逃げるのが……背を向けるのが嫌なんじゃないかな」
「………………はぁ~~~。マジで蛮族とか言えねぇな」
(多分、そんな事を言ってた気がするんだよね)
実際のところ……そういった気持ちがゼロという訳ではないが、イシュドは思いっきり殴って蹴って敵を倒す感覚も悪くない、寧ろ気持ちいという思いから体技にハマった。
「ふぅ~~~~……っし」
「準備は良いか、イシュド」
「うっす。あっ、バイロン先生。これ」
「……確かに受け取った……………………イシュド、一応訊いておくが、考え直すつもりはないんだな」
回復アイテムの中では最上級のポーション、エリクサー。
欠損部位の再生も簡単に行える超優れものであり、出来ることなら万が一に備えてバイロンすら欲しいと思う超万能アイテム。
「当たり前じゃないっすか~~~。ガチの超強いザ・侍と本気で戦えるなんて絶好のチャンス、逃すわけないじゃないっすか」
「…………そうか。では、その絶好のチャンスを無駄にするよ」
「うっす!!!!!」
元気良く……狂気的ね笑みを浮かべながら返事をし、亜空間から刀を……名刀を取り出した。
(っ、なるほどなるほど。狂戦士らしい武器ではなく、わざわざ刀を使って俺に挑もうとする度胸に納得だ。構えた瞬間……狂気的笑みを直ぐに引っ込めた)
既に開始線に立ったイシュドとシドウ。
この死合いに開始の合図はなく……二人はまだ、柄に手を添えているだけで、動こうとしない。
「……っ」
誰かが唾を飲み込んだ。
その小さな音が響くほど、訓練場は静寂に包みこまれていた。
もっと言うと……二人の緊迫する圧が離れた観客席にまで伝わり、呼吸し辛い環境になっていた。
(……………………悪くねぇ。寧ろ最高だ……けど、俺がやりてぇのは、睨み合いじゃねぇんだ)
痺れを切らした? 違う。
隙が無いなら、自らこじ開け、隙を生み出すのみ。
「シッ!!!!!!!!!」
「ッ、刃ッ!!!!!!!!」
イシュドが放つは雷光一閃。
一瞬で距離を潰すに来た斬撃刃に対し、シドウは慌てることなく居合斬りで対処。
しかし雷の斬撃刃が霧散した瞬間には……既にイシュドが間合いに入り込んでいた。
「「ッ!!!!!!!!!!」」
「「「「「「「「「「っ!!!???」」」」」」」」」」
名刀と名刀がぶつかり合い、金属音が訓練場中に響き渡る。
(っ!!!! ったり前だが、押し込め、ないか!!!!!!!)
(強い強いと解ってはいたけども、こいつは桁違いだ!!!!!!!)
互いにこれ以上は無駄だと即座に判断し、その場から離れて距離を取った。
だが、それもほんの一瞬の話。
自分から動き、隙を生み出さなければならないと判断したイシュドは止まることなく、再び前進。
斬撃刃と斬撃を交え、果敢に攻めつつも……受け流せない攻撃は全て避ける。
刀という美しい人斬り包丁の性質上、敵の攻撃を受け止めることには向いていない。
イシュドは……本当に狂戦士らしくなく、敵の光景を受け流す技術も身に付けているが、シドウレベルの猛者が放つ攻撃であれば……全てを受け流すのはまず不可能。
攻めつつも、躱さなければならない攻撃は全力で躱さなければならない。
究極に矛盾してるように思える考えだが……イシュドはその矛盾をじりじりと……焦ることなく実行し続ける。
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