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九百七十九話 ある意味チャンス
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「当たり前だけど、そう簡単に見つからなかったね~~~」
グレーターマンティス戦後、結局ガルーレが満足出来るようなモンスターと遭遇することはなく……当然、目当てのモンスターである虎竜の姿も見つからなかった。
「そうだな。次は、もう少し探索範囲を広げても良さそうだな」
「…………」
「どうした、スティーム?」
「やっぱり、もしかしたらちょっと思ってね」
何をやっぱり、もしかしたらと考えたのか、アラッドとガルーレは直ぐに察した。
「スティーム~、まだ一日目だよ」
「うん、解ってるよ。まだ虎竜の性格とかがそこまで詳しく解ってないって言うのもあるけど……自分より格上の相手だとしても挑むタイプなら、逆に探索初日にでも遭遇してもおかしくないかなって思ってて」
強い相手と戦い。
であれば、アラッドたちは中々に良い面子が揃っている。
アラッドたち冒険者だけではなく、クロたち従魔組も並以上の力を有している。
「けど、今日探索してた限り、それらしい視線すら感じなかったからさ」
「……そうだな。狙ってくる視線だけで、観察する様な視線を薄っすらと感じることはなかったな」
アラッドたちだけではなく、視線に関してはクロたちもそれらしい視線を感じていなかった。
「偶々だよ。今日は、どっか別の場所で戦ってたんじゃない。もしくは、ここから少し離れた場所で、丁度良い相手を見つけてしまったとか」
「モンスターのスタミナを考えれば、無理じゃない話だな」
ハプターラで何度か虎竜の目撃情報はあるが、一定期間……周辺の森で気配すら全く感じられない時もある。
「……仮にそうなら、早めに戻ってきて欲しいね」
「そうね~~。残りが虎竜だけって訳じゃないもんね」
雪竜、グレイスから教えてもらった情報の中には、まだ複数のドラゴンやドラゴン以外のモンスターがいる。
現在アラッドたち討伐したモンスターは風竜ルストと、闇竜デネブ。
この情報に関しては国王に知らせているため、騎士団たちも動いて討伐を行っている。
そのため、グレイスから教えてもらった要注意モンスターたちを全てアラッドたちだけで討伐する必要はない。
ただ……この先起こるであろう大戦の事を考えれば……少しでも早く、不安要素を減らしておきたい。
「……もしかしてだけださ、他のモンスターたちが虎竜の存在を隠してる……とか、あるのかな」
「虎竜の存在を隠す? それは…………モンスターたちが、虎竜に対して敬意を持ってるから、かい?」
スティームの言葉に、ガルーレは杯に残っていたエールを呑み干し、頷いた。
「私は二人よりもモンスターの事なんて知らないけど、虎竜……ドラゴンってモンスターは、こう……他の種族からぅ恐れられたり敬われたりしそうじゃん」
そう言いながら、店員にエールのおかわりを注文。
「「………………」」
虎竜と遭遇出来なかった理由に関して、まさかの方向から理由を思い付いたガルーレに対し、アラッドとスティームは食事の手だけは動かしながら考え込んだ。
「…………ガルーレ。仮にそうだとしたら、どういう理由で他のモンスターたちはそう動こうとするんだ」
「敬意とか恐怖とかじゃなくて、もっと深い理由ってこと?」
「あぁ、そうだ」
「ん~~~~~…………虎竜の性格……を知ってたら、そんな事しないか。ん~~っと…………あっ、もしかしさ、もしかしてだけどさ……出来ちゃったからかな」
ガルーレは自分たちの周りで食事をしている者たちに聞こえないよう、小さな声でもっと深い理由を告げた。
「っ!!!! …………」
あり得ない、とは断言出来ない理由を聞き、思わず食事の手が止まってしまったアラッド。
「…………………ふぅーーーーーー。恐ろしいな」
溜めに溜めて一言、アラッドは呟いた。
「そう、だね……恐ろしいね。仮に……本当にそうなってたら、どんなモンスターと……そうなったんだろうね」
「……ドラゴンか、虎系のモンスターじゃない?」
「そうなるか……ふぅ~~、本当に恐ろしいな」
アラッドたちも、人の事は言えない。
貴族や王族こそ、品種改良を繰り返してきた存在と言っても過言ではない。
だが……だが、アラッドたちからすれば、まず竜と虎が混ざった時点で、恐ろしい品種改良が誕生した。
そこに、竜か虎とはいえ、どちらかと再度交わった…………というのを想像するだけで、ぶるりと震える。
「でもさ、アラッド。これって、本当にガルーレの推察が当たっていれば、チャンスではあるよね」
「チャンス…………そう、か。そうだな……」
生物的に、人間的にあまりよろしくない事を考えている自覚はある。
それでも……超強敵を討伐する上で、対象が妊娠しているというのは……討伐者である冒険者たちからすれば、間違いなくチャンスである。
「まぁあれだよ、私がもしかしたらそうかなって勝手に思ってるだけだよ」
「それはそうなんだが……そうなると、今日遭遇したモンスターたちが躊躇なく襲ってきたのに理由が付く」
グレーターマンティスの様なCランクモンスターであればまだしも、Dランク以下のモンスターになると、複数でなければ襲って来ないことが多い。
しかし、本日アラッドたちが遭遇したDランク以下のモンスターは……奇襲ではあるものの、一体であっても襲い掛かってきた。
(…………一応、ディーナさんに伝えておいた方が良さそうだな)
同じ得物を狙うライバルではあるが、三人ともディーナには可能性の一つとして伝えておこうと思った。
グレーターマンティス戦後、結局ガルーレが満足出来るようなモンスターと遭遇することはなく……当然、目当てのモンスターである虎竜の姿も見つからなかった。
「そうだな。次は、もう少し探索範囲を広げても良さそうだな」
「…………」
「どうした、スティーム?」
「やっぱり、もしかしたらちょっと思ってね」
何をやっぱり、もしかしたらと考えたのか、アラッドとガルーレは直ぐに察した。
「スティーム~、まだ一日目だよ」
「うん、解ってるよ。まだ虎竜の性格とかがそこまで詳しく解ってないって言うのもあるけど……自分より格上の相手だとしても挑むタイプなら、逆に探索初日にでも遭遇してもおかしくないかなって思ってて」
強い相手と戦い。
であれば、アラッドたちは中々に良い面子が揃っている。
アラッドたち冒険者だけではなく、クロたち従魔組も並以上の力を有している。
「けど、今日探索してた限り、それらしい視線すら感じなかったからさ」
「……そうだな。狙ってくる視線だけで、観察する様な視線を薄っすらと感じることはなかったな」
アラッドたちだけではなく、視線に関してはクロたちもそれらしい視線を感じていなかった。
「偶々だよ。今日は、どっか別の場所で戦ってたんじゃない。もしくは、ここから少し離れた場所で、丁度良い相手を見つけてしまったとか」
「モンスターのスタミナを考えれば、無理じゃない話だな」
ハプターラで何度か虎竜の目撃情報はあるが、一定期間……周辺の森で気配すら全く感じられない時もある。
「……仮にそうなら、早めに戻ってきて欲しいね」
「そうね~~。残りが虎竜だけって訳じゃないもんね」
雪竜、グレイスから教えてもらった情報の中には、まだ複数のドラゴンやドラゴン以外のモンスターがいる。
現在アラッドたち討伐したモンスターは風竜ルストと、闇竜デネブ。
この情報に関しては国王に知らせているため、騎士団たちも動いて討伐を行っている。
そのため、グレイスから教えてもらった要注意モンスターたちを全てアラッドたちだけで討伐する必要はない。
ただ……この先起こるであろう大戦の事を考えれば……少しでも早く、不安要素を減らしておきたい。
「……もしかしてだけださ、他のモンスターたちが虎竜の存在を隠してる……とか、あるのかな」
「虎竜の存在を隠す? それは…………モンスターたちが、虎竜に対して敬意を持ってるから、かい?」
スティームの言葉に、ガルーレは杯に残っていたエールを呑み干し、頷いた。
「私は二人よりもモンスターの事なんて知らないけど、虎竜……ドラゴンってモンスターは、こう……他の種族からぅ恐れられたり敬われたりしそうじゃん」
そう言いながら、店員にエールのおかわりを注文。
「「………………」」
虎竜と遭遇出来なかった理由に関して、まさかの方向から理由を思い付いたガルーレに対し、アラッドとスティームは食事の手だけは動かしながら考え込んだ。
「…………ガルーレ。仮にそうだとしたら、どういう理由で他のモンスターたちはそう動こうとするんだ」
「敬意とか恐怖とかじゃなくて、もっと深い理由ってこと?」
「あぁ、そうだ」
「ん~~~~~…………虎竜の性格……を知ってたら、そんな事しないか。ん~~っと…………あっ、もしかしさ、もしかしてだけどさ……出来ちゃったからかな」
ガルーレは自分たちの周りで食事をしている者たちに聞こえないよう、小さな声でもっと深い理由を告げた。
「っ!!!! …………」
あり得ない、とは断言出来ない理由を聞き、思わず食事の手が止まってしまったアラッド。
「…………………ふぅーーーーーー。恐ろしいな」
溜めに溜めて一言、アラッドは呟いた。
「そう、だね……恐ろしいね。仮に……本当にそうなってたら、どんなモンスターと……そうなったんだろうね」
「……ドラゴンか、虎系のモンスターじゃない?」
「そうなるか……ふぅ~~、本当に恐ろしいな」
アラッドたちも、人の事は言えない。
貴族や王族こそ、品種改良を繰り返してきた存在と言っても過言ではない。
だが……だが、アラッドたちからすれば、まず竜と虎が混ざった時点で、恐ろしい品種改良が誕生した。
そこに、竜か虎とはいえ、どちらかと再度交わった…………というのを想像するだけで、ぶるりと震える。
「でもさ、アラッド。これって、本当にガルーレの推察が当たっていれば、チャンスではあるよね」
「チャンス…………そう、か。そうだな……」
生物的に、人間的にあまりよろしくない事を考えている自覚はある。
それでも……超強敵を討伐する上で、対象が妊娠しているというのは……討伐者である冒険者たちからすれば、間違いなくチャンスである。
「まぁあれだよ、私がもしかしたらそうかなって勝手に思ってるだけだよ」
「それはそうなんだが……そうなると、今日遭遇したモンスターたちが躊躇なく襲ってきたのに理由が付く」
グレーターマンティスの様なCランクモンスターであればまだしも、Dランク以下のモンスターになると、複数でなければ襲って来ないことが多い。
しかし、本日アラッドたちが遭遇したDランク以下のモンスターは……奇襲ではあるものの、一体であっても襲い掛かってきた。
(…………一応、ディーナさんに伝えておいた方が良さそうだな)
同じ得物を狙うライバルではあるが、三人ともディーナには可能性の一つとして伝えておこうと思った。
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