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九百六十話 それで許す
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「ここだな」
門兵から聞いていた場所に向かい、冒険者ギルドの前に到着。
クロたちは表で待っててもらい、三人は中に入った。
(……? 暗い……という訳ではないが、そこまで明るくもない、な)
冒険者ギルドの中に入った三人には、ロビーにいる同業者や受付嬢たちから視線を向けられるも、アラッドはそれらの視線よりロビー内のなんとも言えない空気が気になった。
「……ちょっと暗い、って感じで合ってるかな」
「そうだな。葬式の様な空気ではないが、それでも明るいとは言い難いだろう」
アラッドだけではなく、スティームもあまり普通ではない空気を察していた。
「面倒なモンスターが現れたとか?」
「面倒、か…………蜘蛛系のモンスターか、ワーム系のモンスターか」
「あれじゃない、もしかしたらスティームが一回逃げられた白蛇の……ソルヴァイパーみたいなモンスターが現れたとか?」
「なるほど。そういう可能性もあるか」
強い。しかし、逃げる時は速攻で逃げるため、追い詰めても中々討伐出来ない。
そんなモンスターは、確かにソルヴァイパー以外にも存在する。
「まっ、クエストボードを見れば何か分かるでしょ」
三人は冒険者にとって一番解り易い情報源、クエストボードの前へと向かう。
すると……三人の視線は、一枚の張り紙に吸い寄せられた。
「……意外と、あっさり張られてるものだな」
「そう、だね」
三人の視線を吸い寄せた張り紙には、虎竜への懸賞金が記されていた。
「白金貨……五十枚、か。中々太っ腹な額だな」
「……多分、これは本当に虎竜が存在するのか否か、そこの真偽を判明させた点に関しても報酬が支払われるんじゃないかな」
「なるほど。確かに、未知のモンスターだからこそ、そういった部分の判明にも金が支払われるか」
「…………はぁ~~~~~~~~~~」
アラッドとスティームがあれこれ話している中、ガルーレが急に大きなため息を吐いた。
「? どうした、ガルーレ」
「こんな多額の懸賞金を掛けられたモンスターと戦えるクロが羨ましいな~~って思っただけよ」
先程、確かに順番的には仕方ないよね、と……今回の強敵、虎竜と戦う面子はクロと決定したことに、ガルーレは異論はなかった。
とはいえ、ただ強いだろうと予想出来る個体に加えて、非常に珍しい存在……殆どの戦闘者たちが見たことがない個体との戦いとなれば、どうしても戦闘欲が刺激されてしまう。
「……それなら、虎竜以外の強敵、Bランクモンスターと遭遇したら、まずはお前が戦るか、ガルーレ」
「っ! 良いの!!??」
「メインディッシュ以外なら、俺たちの誰かが戦っても構わないだろう」
ガルーレが我儘を言ったとしても、メインディッシュの相手をクロ以外に後退させるつもりはない。
だが、それ以外の相手であれば、話しは別である。
「ぃよし!!」
虎竜以外の強敵と遭遇出来れば、自分が戦える。
それだけ確約されただけでも、ガルーレとしては嬉しい限りだった。
「おいお前ら、随分面白い話してんな」
「? えぇ、そうかもしれませんね」
背後から話しかけてきた人物に対し、アラッドは振り返り……特に喧嘩腰になることなく、態度を変えずに答えた。
「実は、俺たち全員従魔がいるんですよ」
「あん?」
質問されてもいない事を口にし始めた青年に対し、大きな体格を持つ二十代半ばの男性冒険者は首を傾げる。
「言ってしまえば、六人パーティーで行動してる様なもので……外に行けば、待機してる従魔たちの姿が見れますよ」
そんなアラッドの言葉を耳にした男性冒険者の友人が、忍び足で移動しながらギルドの外へと向かった。
そして十秒も経たない内に慌てて戻って来た。
「や、やべぇってバルンガっ!!!」
「おいおい、なんだよみっともねぇ顔して」
自分をバカにする様な態度を無視し、戻って来た男は慌てて大柄な男、バルンガを掴んで少し離れた場所に連れて行き、ギルドの外で見たものを伝える。
「はっ!? そ、それってよ」
「多分……だろうな」
「………………」
外の従魔三体を確認した男から報告と推察を聞いたバルンガは、みるみるうちに顔が青くなっていき……それでも、その場からダッシュで逃げだす様な真似はせず、フラフラとした足取りでアラッドたちの方へ戻って来た。
「も、申し訳ありませんでした!!!!!!!」
「「「……」」」
清々しい程勢い良く土下座をかました。
バルンガはまだ、目の前の青年の一人があのアラッドであるとは確認していない。
それでも、最近ちょいちょい耳にする噂から、従魔の面子……パーティーの面子から、あのアラッドだと確信せざるを得なかった。
「ふふ、とりあえず頭を上げてくれ」
「し、しかし」
「これでも、もう冒険者として活動を始めて一年は経っている。冒険者がどういった行動を取ってしまうのかというのも理解している」
「………………」
「いきなり殴りかかってきた、侮辱してきたのであればともかく、あなたはただ絡んできただけだ。だから、とりあえず頭を上げてくれ。そして、もし知っていることがあれば、虎竜にかんして色々と教えてほしい」
「も、勿論です!!!」
バルンガは慌てて立ち上がり、三人を併設されている酒場の席へと案内した。
門兵から聞いていた場所に向かい、冒険者ギルドの前に到着。
クロたちは表で待っててもらい、三人は中に入った。
(……? 暗い……という訳ではないが、そこまで明るくもない、な)
冒険者ギルドの中に入った三人には、ロビーにいる同業者や受付嬢たちから視線を向けられるも、アラッドはそれらの視線よりロビー内のなんとも言えない空気が気になった。
「……ちょっと暗い、って感じで合ってるかな」
「そうだな。葬式の様な空気ではないが、それでも明るいとは言い難いだろう」
アラッドだけではなく、スティームもあまり普通ではない空気を察していた。
「面倒なモンスターが現れたとか?」
「面倒、か…………蜘蛛系のモンスターか、ワーム系のモンスターか」
「あれじゃない、もしかしたらスティームが一回逃げられた白蛇の……ソルヴァイパーみたいなモンスターが現れたとか?」
「なるほど。そういう可能性もあるか」
強い。しかし、逃げる時は速攻で逃げるため、追い詰めても中々討伐出来ない。
そんなモンスターは、確かにソルヴァイパー以外にも存在する。
「まっ、クエストボードを見れば何か分かるでしょ」
三人は冒険者にとって一番解り易い情報源、クエストボードの前へと向かう。
すると……三人の視線は、一枚の張り紙に吸い寄せられた。
「……意外と、あっさり張られてるものだな」
「そう、だね」
三人の視線を吸い寄せた張り紙には、虎竜への懸賞金が記されていた。
「白金貨……五十枚、か。中々太っ腹な額だな」
「……多分、これは本当に虎竜が存在するのか否か、そこの真偽を判明させた点に関しても報酬が支払われるんじゃないかな」
「なるほど。確かに、未知のモンスターだからこそ、そういった部分の判明にも金が支払われるか」
「…………はぁ~~~~~~~~~~」
アラッドとスティームがあれこれ話している中、ガルーレが急に大きなため息を吐いた。
「? どうした、ガルーレ」
「こんな多額の懸賞金を掛けられたモンスターと戦えるクロが羨ましいな~~って思っただけよ」
先程、確かに順番的には仕方ないよね、と……今回の強敵、虎竜と戦う面子はクロと決定したことに、ガルーレは異論はなかった。
とはいえ、ただ強いだろうと予想出来る個体に加えて、非常に珍しい存在……殆どの戦闘者たちが見たことがない個体との戦いとなれば、どうしても戦闘欲が刺激されてしまう。
「……それなら、虎竜以外の強敵、Bランクモンスターと遭遇したら、まずはお前が戦るか、ガルーレ」
「っ! 良いの!!??」
「メインディッシュ以外なら、俺たちの誰かが戦っても構わないだろう」
ガルーレが我儘を言ったとしても、メインディッシュの相手をクロ以外に後退させるつもりはない。
だが、それ以外の相手であれば、話しは別である。
「ぃよし!!」
虎竜以外の強敵と遭遇出来れば、自分が戦える。
それだけ確約されただけでも、ガルーレとしては嬉しい限りだった。
「おいお前ら、随分面白い話してんな」
「? えぇ、そうかもしれませんね」
背後から話しかけてきた人物に対し、アラッドは振り返り……特に喧嘩腰になることなく、態度を変えずに答えた。
「実は、俺たち全員従魔がいるんですよ」
「あん?」
質問されてもいない事を口にし始めた青年に対し、大きな体格を持つ二十代半ばの男性冒険者は首を傾げる。
「言ってしまえば、六人パーティーで行動してる様なもので……外に行けば、待機してる従魔たちの姿が見れますよ」
そんなアラッドの言葉を耳にした男性冒険者の友人が、忍び足で移動しながらギルドの外へと向かった。
そして十秒も経たない内に慌てて戻って来た。
「や、やべぇってバルンガっ!!!」
「おいおい、なんだよみっともねぇ顔して」
自分をバカにする様な態度を無視し、戻って来た男は慌てて大柄な男、バルンガを掴んで少し離れた場所に連れて行き、ギルドの外で見たものを伝える。
「はっ!? そ、それってよ」
「多分……だろうな」
「………………」
外の従魔三体を確認した男から報告と推察を聞いたバルンガは、みるみるうちに顔が青くなっていき……それでも、その場からダッシュで逃げだす様な真似はせず、フラフラとした足取りでアラッドたちの方へ戻って来た。
「も、申し訳ありませんでした!!!!!!!」
「「「……」」」
清々しい程勢い良く土下座をかました。
バルンガはまだ、目の前の青年の一人があのアラッドであるとは確認していない。
それでも、最近ちょいちょい耳にする噂から、従魔の面子……パーティーの面子から、あのアラッドだと確信せざるを得なかった。
「ふふ、とりあえず頭を上げてくれ」
「し、しかし」
「これでも、もう冒険者として活動を始めて一年は経っている。冒険者がどういった行動を取ってしまうのかというのも理解している」
「………………」
「いきなり殴りかかってきた、侮辱してきたのであればともかく、あなたはただ絡んできただけだ。だから、とりあえず頭を上げてくれ。そして、もし知っていることがあれば、虎竜にかんして色々と教えてほしい」
「も、勿論です!!!」
バルンガは慌てて立ち上がり、三人を併設されている酒場の席へと案内した。
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