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九百四十一話 金が掛かる
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「それじゃ、飯にするか」
そう言いながら、アラッドは酒場……ではなく、高級レストランなどがある場所へと向かうおうとする。
「ちょ、ちょっと待て!」
「ん? どうしたんだよ、ソル。お前も腹減ってるだろ」
「そ、それはそうだが、どうしてレストラン街の方へ向かう!!」
「なんでって……折角大金が入ったんだ。パーッと上手い飯食いたいだろ」
アラッドが何を言っているのか……解らないことはない。
ただ、上等なレストランでパーッと食事をした場合、今回の闇竜と黒色モンスターズの討伐戦で得た金が消えてしまう。
「そんなところで食事をすれば、金が消し飛んでしまうだろ!」
ソルは今回戦ったモンスターの素材を一部貰い、新しい大剣を造ってもらおうと考えていた。
素材を自分で用意すれば、素材費に関しては支払う必要がない。
だが、鍛冶師に対して、キッチリ技術料に関しては支払わなければならない。
腕の良い職人に頼めば、それだけ持っていかれる。
であれば……フローレンスには申し訳ないが、酒場で夕食を食べるというのも、ソルとしてはありだった。
それはソルだけではなく、ルーナたちも同じ考えだった。
彼女たちは騎士団に戻れば一応依頼を達成したとして、騎士団から成功報酬を受け取れる。
それでも、今腹がぎゅるぎゅるとなっている状態で店に向かえば、高いと解っていてもガッツリ食べるのを抑えられる気がしなかった。
「……? 何言ってるんだ。金はギルドマスターから貰った特別報酬金を使うに決まってるだろ」
「「「「「「っ!!!???」」」」」」
アラッドの発言にソルたち以外のメンバーも驚きを隠せず、唯一フローレンスだけが普段通りの表情を浮かべていた。
ソルたちは直ぐにアラッドとパーティーを組んでいるスティームとガルーレの方に顔を向ける。
アラッドがパーティーのリーダーだとしても、横暴と思える発現。
それを耳にしている筈の二人の顔を見るが……二人共、全く怒っていなかった。
「が、ガルーレ。アラッドがこう言ってるけど……あんた、良いのかい?」
「うん、勿論よ! だって、アラッドが受付嬢に説明してた通り、フローレンスたちと一緒じゃなかったら、割とリスクがあったのは間違いなかったと思うんだよね。ねっ、スティーム」
「そうだね、ガルーレの言う通りだと思う。それに、今回の戦いで一番大きい戦果を上げたのはアラッドだと思うから、色んな意味で僕はアラッドの判断に異論はないよ」
「そ、そうなのか…………」
ぶっちゃけ、それはそれで嬉しいという話ではある。
だが、隊のリーダーは自分ではないため、ソルはゆくりフローレンスの方に顔を向けた。
「ふふ、では……また会う機会があれば、今度は私たちが何かご馳走しますね」
「別にそれはいいんだが……とりあえず、行くってことで良いんだな」
既に夕食の時間ではあるが、お値段が高い店の席はそう簡単に埋まることはなく、店はあっさりと決まった。
大人数での来客ということもあり、従業員もニコニコでアラッドたちを個室に案内。
「んじゃ、適当にどんどん頼んでいこうか」
全員何を食べたいのかメニュー表を見て決めると、直ぐに従業員を呼び、大量に注文。
「ねぇねぇ、皆の戦いを聞かせてよ!」
「受付嬢に説明する際に、ざっと話してただろ?」
「もっと詳しく!! まず、スティームはどうだった」
「僕かい? 僕は…………対戦相手の黒色リザードマンに対して、とても上手いと感じたかな」
「っ、私も同じですね。私も対戦相手である黒色のグレータースケルトンは、とても戦い方が上手いと……私たちにとって、厄介な技術を持っていると感じました」
スティーム、フローレンスが戦ったモンスターは人型のモンスターであり、技術を得ようという意欲があった。
「後、僕が戦った黒色リザードマンは、人の言葉を喋れたよ」
「そう、それ超驚いた! Bランクのドラゴンが人の言葉を喋るのはこう……なんとなく解るけど、正直リザードマンまで喋るなんてね~~」
ガルーレの言葉に、同じことを考えていたソルは何度も頷いた。
「僕としては……あのリザードマンは、存在自体が既にCランクからBランクに上がってたんじゃないかって思った」
「ふ~~~ん? …………けど、確かに人の言葉を喋ってたのはスティームが戦った黒色リザードマンだけっぽいし、リザードマンの時から普通じゃなかったって可能性はありそうね」
「でしょ。それで、ガルーレが戦った頭を三つ持つオルトロスはどうだったんだい」
当然、他の人たちだけ話し、ガルーレは自身の戦いについて話さないという選択肢はない。
「なんて言うか……予行練習? って感じだったわね」
「予行練習?」
「そう! いつかケルベロスと戦う時の予行練習」
頭が三つある狼など、もはやケルベロスという考えは間違っておらず、アラッドも同じような事を思っていた。
「勿論、超強かったけどね。やっぱ三つも頭があると鬱陶しいね。前足も使うから、手数が多い」
「サイドに回っても、視界に入ってるから上手く対処されてしまう、か」
「そうそう!! だから、マジでかなり私にしては丁寧に慎重に? 戦った感じかな」
「なるほど。でも、火だけじゃなく雷と闇、三つの属性を持つオルトロスを相手に勝利できたのを考えると、いざケルベロス戦る時、逆に物足りなさを感じるんじゃないか?」
ケルベロスは基本的に火属性しか使えない。
亜種や希少種となれば話は別だが、火属性しか使えない通常種であれば、アラッドの言う通り黒色オルトロス亜種との激闘を乗り越えたガルーレにとっては、やや物足りない戦いになるかもしれない。
そう言いながら、アラッドは酒場……ではなく、高級レストランなどがある場所へと向かうおうとする。
「ちょ、ちょっと待て!」
「ん? どうしたんだよ、ソル。お前も腹減ってるだろ」
「そ、それはそうだが、どうしてレストラン街の方へ向かう!!」
「なんでって……折角大金が入ったんだ。パーッと上手い飯食いたいだろ」
アラッドが何を言っているのか……解らないことはない。
ただ、上等なレストランでパーッと食事をした場合、今回の闇竜と黒色モンスターズの討伐戦で得た金が消えてしまう。
「そんなところで食事をすれば、金が消し飛んでしまうだろ!」
ソルは今回戦ったモンスターの素材を一部貰い、新しい大剣を造ってもらおうと考えていた。
素材を自分で用意すれば、素材費に関しては支払う必要がない。
だが、鍛冶師に対して、キッチリ技術料に関しては支払わなければならない。
腕の良い職人に頼めば、それだけ持っていかれる。
であれば……フローレンスには申し訳ないが、酒場で夕食を食べるというのも、ソルとしてはありだった。
それはソルだけではなく、ルーナたちも同じ考えだった。
彼女たちは騎士団に戻れば一応依頼を達成したとして、騎士団から成功報酬を受け取れる。
それでも、今腹がぎゅるぎゅるとなっている状態で店に向かえば、高いと解っていてもガッツリ食べるのを抑えられる気がしなかった。
「……? 何言ってるんだ。金はギルドマスターから貰った特別報酬金を使うに決まってるだろ」
「「「「「「っ!!!???」」」」」」
アラッドの発言にソルたち以外のメンバーも驚きを隠せず、唯一フローレンスだけが普段通りの表情を浮かべていた。
ソルたちは直ぐにアラッドとパーティーを組んでいるスティームとガルーレの方に顔を向ける。
アラッドがパーティーのリーダーだとしても、横暴と思える発現。
それを耳にしている筈の二人の顔を見るが……二人共、全く怒っていなかった。
「が、ガルーレ。アラッドがこう言ってるけど……あんた、良いのかい?」
「うん、勿論よ! だって、アラッドが受付嬢に説明してた通り、フローレンスたちと一緒じゃなかったら、割とリスクがあったのは間違いなかったと思うんだよね。ねっ、スティーム」
「そうだね、ガルーレの言う通りだと思う。それに、今回の戦いで一番大きい戦果を上げたのはアラッドだと思うから、色んな意味で僕はアラッドの判断に異論はないよ」
「そ、そうなのか…………」
ぶっちゃけ、それはそれで嬉しいという話ではある。
だが、隊のリーダーは自分ではないため、ソルはゆくりフローレンスの方に顔を向けた。
「ふふ、では……また会う機会があれば、今度は私たちが何かご馳走しますね」
「別にそれはいいんだが……とりあえず、行くってことで良いんだな」
既に夕食の時間ではあるが、お値段が高い店の席はそう簡単に埋まることはなく、店はあっさりと決まった。
大人数での来客ということもあり、従業員もニコニコでアラッドたちを個室に案内。
「んじゃ、適当にどんどん頼んでいこうか」
全員何を食べたいのかメニュー表を見て決めると、直ぐに従業員を呼び、大量に注文。
「ねぇねぇ、皆の戦いを聞かせてよ!」
「受付嬢に説明する際に、ざっと話してただろ?」
「もっと詳しく!! まず、スティームはどうだった」
「僕かい? 僕は…………対戦相手の黒色リザードマンに対して、とても上手いと感じたかな」
「っ、私も同じですね。私も対戦相手である黒色のグレータースケルトンは、とても戦い方が上手いと……私たちにとって、厄介な技術を持っていると感じました」
スティーム、フローレンスが戦ったモンスターは人型のモンスターであり、技術を得ようという意欲があった。
「後、僕が戦った黒色リザードマンは、人の言葉を喋れたよ」
「そう、それ超驚いた! Bランクのドラゴンが人の言葉を喋るのはこう……なんとなく解るけど、正直リザードマンまで喋るなんてね~~」
ガルーレの言葉に、同じことを考えていたソルは何度も頷いた。
「僕としては……あのリザードマンは、存在自体が既にCランクからBランクに上がってたんじゃないかって思った」
「ふ~~~ん? …………けど、確かに人の言葉を喋ってたのはスティームが戦った黒色リザードマンだけっぽいし、リザードマンの時から普通じゃなかったって可能性はありそうね」
「でしょ。それで、ガルーレが戦った頭を三つ持つオルトロスはどうだったんだい」
当然、他の人たちだけ話し、ガルーレは自身の戦いについて話さないという選択肢はない。
「なんて言うか……予行練習? って感じだったわね」
「予行練習?」
「そう! いつかケルベロスと戦う時の予行練習」
頭が三つある狼など、もはやケルベロスという考えは間違っておらず、アラッドも同じような事を思っていた。
「勿論、超強かったけどね。やっぱ三つも頭があると鬱陶しいね。前足も使うから、手数が多い」
「サイドに回っても、視界に入ってるから上手く対処されてしまう、か」
「そうそう!! だから、マジでかなり私にしては丁寧に慎重に? 戦った感じかな」
「なるほど。でも、火だけじゃなく雷と闇、三つの属性を持つオルトロスを相手に勝利できたのを考えると、いざケルベロス戦る時、逆に物足りなさを感じるんじゃないか?」
ケルベロスは基本的に火属性しか使えない。
亜種や希少種となれば話は別だが、火属性しか使えない通常種であれば、アラッドの言う通り黒色オルトロス亜種との激闘を乗り越えたガルーレにとっては、やや物足りない戦いになるかもしれない。
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