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九百十八話 三種一体
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剛柔がガルーレに教えた対処法は……大胆に、全力で斬撃波を飛ばすことだった。
「疾ッ!! 破ッ!!! ぬぅありゃああッ!!!!」
幸いにも、ガルーレが放つ攻撃の方がワンテンポ速かった。
先程とは違い、オルトロス亜種はたとえ同じ闇の力を持つ者に当たって殺してしまっても、後で闇竜から罰を下されたとしても……目の前の人間を殺すと、躊躇しなかった。
火、雷、闇。
三つの属性が合わさった三種一体となったブレス。
その火力は、並みのBランクモンスターを一撃で倒し、Aランクモンスターが放つ攻撃力に近かった。
ガルーレが本来出せる火力では、対処しようがない……だからこそ、斬った。
「「「ッ!!!!!!!!!!!!!!」」」
放つ。
放って放って、放ち続ける。
自分の役目は目の前の人間を殺すことなのだと理解したからこそ、オルトロス亜種は躊躇うことなくそのブレスに全てを注いだ。
普段のガルーレであれば、全力で避ける。
あっ、こいつ今からブレスを放つ。そう解った瞬間に駆け出し、なんとかブレスを躱して接近し、全力で打撃をぶちかます。
だが……現在ガルーレの背に居るのはアラッドやスティーム、フローレンスではない。
ソルたちをバカにしてる訳ではないが、それでも……アラッドたちの様に、今回のレベルの戦場で背中を預けられるかと言うと……悩む。
だからこそ、ガルーレは守った。
「まだまだまだまだまだまだまだまだまだまだーーーーーーーーッ!!!!!!」
ガルーレの攻撃力だけなら、打ち破れない超高火力の三種一体のブレス。
しかし、剛柔が持つ攻撃力、切れ味は……それこそAランクモンスターたちの牙や爪に負けない。
当然……斬撃刃を放つたびにガルーレから魔力を持っていってしまうが、今のガルーレはランナーズハイの状態に近かった。
一刀、一刀……最高の斬撃波が放てている。
それは剛柔という名剣があるからこそだと、そんな事はガルーレも理解している。
それでも……今、自分が最高の斬撃波を放ち続けられていることに、ガルーレの気分は最高潮に達していた。
「「「ッ!!??」」」
そして遂に、幾重もの斬撃波を飲み込んできた三種一体のブレスを越え……オルトロス亜種に直撃。
斬撃波が届くイコール、ブレスが止まるのと同意。
最高のチャンスが訪れた。
直ぐに駆け出し、その首を斬り裂こうとするも……ここで、大量の魔力を消費した疲れがガルーレを襲った。
(クっ、ソ!!!!!!)
体勢が崩れた。
転がりながらも負けだすのか、それともなんとか立て直して再び斬撃波を放つのが正解なのか。
(……本当に、良いの、ねッ!!!!!!!)
剛柔が導いてくれた攻撃は……斬撃波ではなく、刺突でもない。
なんとか体勢を立て直した上で放つ、全力の投擲。
メイン武器は徒手格闘であるものの、アマゾネスの集落で生活を送っていた際、石ころなどを投げて投擲を行うのは得意だった。
投擲とは、物を投げる行為。
その効果は当然、石ころや使い捨てナイフなどの物に縛られることはない。
「逝っ、けぇえええええエエエエエエエエッ!!!!!!!!!」
英雄の剣と、アマゾネスのお転婆娘が放った投擲は……見事、オルトロス亜種の胴体に刺さった。
それだけでは終わらず、剛柔はオルトロス亜種の心臓がある部分まで辿り着いた。
チェックメイトである。
ここでオルトロス亜種が奇跡的に再生のスキルを獲得したとしても、復活は不可能。
だからこそ……オルトロス亜種が取った行動は、再度……ブレスを放つことだった。
(やる、じゃん!!!)
今度は、自分の拳で弾き飛ばしてやる。
そんな無謀とも言える覚悟を持ちながらも、笑みを絶やさず構えるガルーレ。
「「「ッ、ガ、ァ…………」」」
しかし、最後にこぼれたのはほんの僅かな火と雷と闇。
それらがガルーレに届くことはなく、途中で地面に落ちた。
「……ふふ。どうやら、ちゃんと誇りはあったみたいね」
途中で盛大にオルトロス亜種を煽ったガルーレではあるが、最後の最後で勝利への執着を見せた強敵に対し、ちゃんと誇りは持っていたと認めた。
(でも、今回が剛柔がなかったら、結構ヤバかったよね~~。ペイル・サーベルスを使わずに勝つってなると……どうにかこうにかして懐に入って、心臓がある位置を思いっ切り殴れれば一番だったけど、相手が相手だったしな~~~~)
盛大に煽りはしていたが、素の自分であれば勝率は決して戦うはなかったことを、ガルーレはしっかい自覚していた。
(……割と大きかったし、口から入って、喉を突き破る……いや、さすがにそれが出来るほど大きくはなかったか。というか、実際やるにしてもあの……オルトロス亜種? の場合、三回やらないといけないのよね…………はぁ~~~~、もっともっと強くならないとな~~)
そう思いながら投げ飛ばした剛柔を回収し、付いてしまった血を拭ってから鞘にしまおうとした……その瞬間、ガルーレはそのまましまうことなく、再度構えた。
明確な理由は解らない。
ただ……久しぶりに悪寒を感じた。
先程、名剣に頼らずとも自分の力でと考えていたガルーレが名剣に頼ろうとする理由は、それで十分だった。
「疾ッ!! 破ッ!!! ぬぅありゃああッ!!!!」
幸いにも、ガルーレが放つ攻撃の方がワンテンポ速かった。
先程とは違い、オルトロス亜種はたとえ同じ闇の力を持つ者に当たって殺してしまっても、後で闇竜から罰を下されたとしても……目の前の人間を殺すと、躊躇しなかった。
火、雷、闇。
三つの属性が合わさった三種一体となったブレス。
その火力は、並みのBランクモンスターを一撃で倒し、Aランクモンスターが放つ攻撃力に近かった。
ガルーレが本来出せる火力では、対処しようがない……だからこそ、斬った。
「「「ッ!!!!!!!!!!!!!!」」」
放つ。
放って放って、放ち続ける。
自分の役目は目の前の人間を殺すことなのだと理解したからこそ、オルトロス亜種は躊躇うことなくそのブレスに全てを注いだ。
普段のガルーレであれば、全力で避ける。
あっ、こいつ今からブレスを放つ。そう解った瞬間に駆け出し、なんとかブレスを躱して接近し、全力で打撃をぶちかます。
だが……現在ガルーレの背に居るのはアラッドやスティーム、フローレンスではない。
ソルたちをバカにしてる訳ではないが、それでも……アラッドたちの様に、今回のレベルの戦場で背中を預けられるかと言うと……悩む。
だからこそ、ガルーレは守った。
「まだまだまだまだまだまだまだまだまだまだーーーーーーーーッ!!!!!!」
ガルーレの攻撃力だけなら、打ち破れない超高火力の三種一体のブレス。
しかし、剛柔が持つ攻撃力、切れ味は……それこそAランクモンスターたちの牙や爪に負けない。
当然……斬撃刃を放つたびにガルーレから魔力を持っていってしまうが、今のガルーレはランナーズハイの状態に近かった。
一刀、一刀……最高の斬撃波が放てている。
それは剛柔という名剣があるからこそだと、そんな事はガルーレも理解している。
それでも……今、自分が最高の斬撃波を放ち続けられていることに、ガルーレの気分は最高潮に達していた。
「「「ッ!!??」」」
そして遂に、幾重もの斬撃波を飲み込んできた三種一体のブレスを越え……オルトロス亜種に直撃。
斬撃波が届くイコール、ブレスが止まるのと同意。
最高のチャンスが訪れた。
直ぐに駆け出し、その首を斬り裂こうとするも……ここで、大量の魔力を消費した疲れがガルーレを襲った。
(クっ、ソ!!!!!!)
体勢が崩れた。
転がりながらも負けだすのか、それともなんとか立て直して再び斬撃波を放つのが正解なのか。
(……本当に、良いの、ねッ!!!!!!!)
剛柔が導いてくれた攻撃は……斬撃波ではなく、刺突でもない。
なんとか体勢を立て直した上で放つ、全力の投擲。
メイン武器は徒手格闘であるものの、アマゾネスの集落で生活を送っていた際、石ころなどを投げて投擲を行うのは得意だった。
投擲とは、物を投げる行為。
その効果は当然、石ころや使い捨てナイフなどの物に縛られることはない。
「逝っ、けぇえええええエエエエエエエエッ!!!!!!!!!」
英雄の剣と、アマゾネスのお転婆娘が放った投擲は……見事、オルトロス亜種の胴体に刺さった。
それだけでは終わらず、剛柔はオルトロス亜種の心臓がある部分まで辿り着いた。
チェックメイトである。
ここでオルトロス亜種が奇跡的に再生のスキルを獲得したとしても、復活は不可能。
だからこそ……オルトロス亜種が取った行動は、再度……ブレスを放つことだった。
(やる、じゃん!!!)
今度は、自分の拳で弾き飛ばしてやる。
そんな無謀とも言える覚悟を持ちながらも、笑みを絶やさず構えるガルーレ。
「「「ッ、ガ、ァ…………」」」
しかし、最後にこぼれたのはほんの僅かな火と雷と闇。
それらがガルーレに届くことはなく、途中で地面に落ちた。
「……ふふ。どうやら、ちゃんと誇りはあったみたいね」
途中で盛大にオルトロス亜種を煽ったガルーレではあるが、最後の最後で勝利への執着を見せた強敵に対し、ちゃんと誇りは持っていたと認めた。
(でも、今回が剛柔がなかったら、結構ヤバかったよね~~。ペイル・サーベルスを使わずに勝つってなると……どうにかこうにかして懐に入って、心臓がある位置を思いっ切り殴れれば一番だったけど、相手が相手だったしな~~~~)
盛大に煽りはしていたが、素の自分であれば勝率は決して戦うはなかったことを、ガルーレはしっかい自覚していた。
(……割と大きかったし、口から入って、喉を突き破る……いや、さすがにそれが出来るほど大きくはなかったか。というか、実際やるにしてもあの……オルトロス亜種? の場合、三回やらないといけないのよね…………はぁ~~~~、もっともっと強くならないとな~~)
そう思いながら投げ飛ばした剛柔を回収し、付いてしまった血を拭ってから鞘にしまおうとした……その瞬間、ガルーレはそのまましまうことなく、再度構えた。
明確な理由は解らない。
ただ……久しぶりに悪寒を感じた。
先程、名剣に頼らずとも自分の力でと考えていたガルーレが名剣に頼ろうとする理由は、それで十分だった。
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