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八百六十一話 唯一問題があるとしたら
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「別の大陸か~~~~……良いね、気になるね!!!」
ゴルドスへ向かう道中、シクラスと話した会話内容を伝えると、海を越えて別の大陸へ行ってみたいという話にガルーレが食いついた。
「だろ。とはいえ、もっと先の話になると思うけどな」
「海を越えた先にある、別の大陸か…………ガルーレと同じく気になるけど、やっぱり危険が多いよね」
「えぇ~~~。スティームはファルに乗って飛んでいけるじゃん」
「それは…………ん~~~、どうなんだろうね」
ファルにも休息が必要だよ、と口に仕掛けたところで、一旦冷静になって考え込むと……絶対に無理とは言えなかった。
何故なら、第一にファルの飛行速度は当然ながら非常に速く、体力も並以上にある。
加えて、スティームは現在自分たちが活動している大陸から、別の大陸に到着するまで、どれぐらいの距離があるのか知らない。
「でも、それだと三人一緒に行けないよね。そうなると、やっぱり船に乗るのが一番かな」
「船か……海に関しては本当に詳しくないから、なんとも言えないな」
アラッドは、クロなら水面を駆けて移動することが出来るんじゃないか? と思った。
ただ、仮にそれが可能だとしても、普段とは全く違う移動方法による負担や……では、仮にそれが上手くいったとしても、ガルーレとヴァジュラはどうする? という問題が浮かぶ。
「湖や海は、そこに生息しているモンスターたちにとって、まさに独壇場と言える戦場だ。俺たちやクロたちがどれだけ地上では強くても……水中では半減するだろうな」
「半減!!?? そんなに弱くなっちゃう?」
「いや、半減は言い過ぎたかもしれないな。慣れによっても変わってくると思うが……慣れるまでにも時間が掛かる」
「それはまぁ、そうかもね……でも、行けるなら行ってみたいわね」
「そうだな……海に生息してるモンスターが、全員クロたちの存在にビビってくれれば楽なんだけどな」
海に生息しているモンスターとも戦ってみたい。
その気持ちはあるものの、どうしても地上に生息する強敵と比べて、海中に生息している強敵との戦闘をイメージすると……敗北のイメージが強く浮かぶ。
「そういえばさ、アラッドって錬金術のスキル持ってるんだったよね」
「あぁ、そうだな。それがどうかしたか?」
「錬金術で、人間が空を飛べるような……何か造れないの?」
「ガルーレ……錬金術っていうのは、そんな万能な技術ではないんだよ」
「そうなの? アラッドなら、頑張れば造れそうな感じするけど」
褒めてくれるのは嬉しいが、アラッドの本業は冒険者。
今でも腕を鈍らせない様にポーションを造ったり、特に頼まれてはいないがキャバリオンを製作している。
それでも、アラッドの総合的な錬金術の腕前は、中堅よりやや上と言ったところである。
「……どうだろうな」
「アラッド、実際問題造ろうと思ったら、どうなのかな」
「……………………とりあえず、冒険者活動に集中出来ない期間が続くだろうな。というか、そもそもどういった素材があれば、そういったマジックアイテムを造れるのか解らない。そこが大きな問題だ」
一定レベルの腕前が必要。中々に手に入らない稀少な素材が必要……といった、なんとか出来る可能性がある問題ではない。
そもそも答えはあるのか、腕前云々以前に必要な答えを探さなければならない。
「冒険者活動に集中出来ないのはちょっとあれね」
「造るのに必要かもしれない素材を探すのも、また冒険になるかもしれないよ」
正直なところ、スティームもアラッドならもしかしたらと期待してる部分があり、もしそういったスタイルの冒険者生活にシフトチェンジするのも面白そうだと思っていた。
「……ともかく、俺はそこまで力を入れようとは思わないかな。頼むなら、俺じゃなく弟のアッシュに頼んだ方が良い。あいつが将来、どういう道に進むのかは解らないが、仮に錬金術師以外にも興味を持ったとしても、その興味を持ったことが副業で、本業が錬金術師になる筈だ」
アラッドとは逆で、何かしらの職が副業で、錬金術師が本業。
兄であるアラッドは、アッシュにとってそれが一番良い道だと思っており、アッシュ自身も悪くはないと考えていた。
「アラッドより錬金術にハマってるって考えると、確かに可能性は……あるのかな?」
「さぁな。戦闘だけじゃなくて、錬金術師の才能もあるとは思うが、正直なところ、それと空を飛べるマジックアイテムってのは別問題の筈だ」
「…………私、難しいことは解んないけど、アッシュ君なら可能性があるってことだよね」
「ないとは言わないな」
「だったら、アッシュ君に頼んだら良いんじゃない? お兄ちゃんこういうマジックアイテムが欲しいから……えっと……あれよ。お金出すから頑張ってって」
「それは……それは…………そうだな。ナシではないか」
アッシュのスポンサーになる。
錬金術師の中には、そういった資金援助を受けて既存のマジックアイテムを造るだけではなく、新たなマジックアイテムを造るために研究を重ねている者もいる。
(スポンサーとして金を大量に消費しても、問題はない。ただ……唯一問題があるとすれば、シルフィーが不満を爆発させないか否か、だな)
アラッドにとってアッシュは大切な弟だが、シルフィーも大切な妹であり、まりにも片方だけを贔屓してしまうのは非常に心苦しかった。
ゴルドスへ向かう道中、シクラスと話した会話内容を伝えると、海を越えて別の大陸へ行ってみたいという話にガルーレが食いついた。
「だろ。とはいえ、もっと先の話になると思うけどな」
「海を越えた先にある、別の大陸か…………ガルーレと同じく気になるけど、やっぱり危険が多いよね」
「えぇ~~~。スティームはファルに乗って飛んでいけるじゃん」
「それは…………ん~~~、どうなんだろうね」
ファルにも休息が必要だよ、と口に仕掛けたところで、一旦冷静になって考え込むと……絶対に無理とは言えなかった。
何故なら、第一にファルの飛行速度は当然ながら非常に速く、体力も並以上にある。
加えて、スティームは現在自分たちが活動している大陸から、別の大陸に到着するまで、どれぐらいの距離があるのか知らない。
「でも、それだと三人一緒に行けないよね。そうなると、やっぱり船に乗るのが一番かな」
「船か……海に関しては本当に詳しくないから、なんとも言えないな」
アラッドは、クロなら水面を駆けて移動することが出来るんじゃないか? と思った。
ただ、仮にそれが可能だとしても、普段とは全く違う移動方法による負担や……では、仮にそれが上手くいったとしても、ガルーレとヴァジュラはどうする? という問題が浮かぶ。
「湖や海は、そこに生息しているモンスターたちにとって、まさに独壇場と言える戦場だ。俺たちやクロたちがどれだけ地上では強くても……水中では半減するだろうな」
「半減!!?? そんなに弱くなっちゃう?」
「いや、半減は言い過ぎたかもしれないな。慣れによっても変わってくると思うが……慣れるまでにも時間が掛かる」
「それはまぁ、そうかもね……でも、行けるなら行ってみたいわね」
「そうだな……海に生息してるモンスターが、全員クロたちの存在にビビってくれれば楽なんだけどな」
海に生息しているモンスターとも戦ってみたい。
その気持ちはあるものの、どうしても地上に生息する強敵と比べて、海中に生息している強敵との戦闘をイメージすると……敗北のイメージが強く浮かぶ。
「そういえばさ、アラッドって錬金術のスキル持ってるんだったよね」
「あぁ、そうだな。それがどうかしたか?」
「錬金術で、人間が空を飛べるような……何か造れないの?」
「ガルーレ……錬金術っていうのは、そんな万能な技術ではないんだよ」
「そうなの? アラッドなら、頑張れば造れそうな感じするけど」
褒めてくれるのは嬉しいが、アラッドの本業は冒険者。
今でも腕を鈍らせない様にポーションを造ったり、特に頼まれてはいないがキャバリオンを製作している。
それでも、アラッドの総合的な錬金術の腕前は、中堅よりやや上と言ったところである。
「……どうだろうな」
「アラッド、実際問題造ろうと思ったら、どうなのかな」
「……………………とりあえず、冒険者活動に集中出来ない期間が続くだろうな。というか、そもそもどういった素材があれば、そういったマジックアイテムを造れるのか解らない。そこが大きな問題だ」
一定レベルの腕前が必要。中々に手に入らない稀少な素材が必要……といった、なんとか出来る可能性がある問題ではない。
そもそも答えはあるのか、腕前云々以前に必要な答えを探さなければならない。
「冒険者活動に集中出来ないのはちょっとあれね」
「造るのに必要かもしれない素材を探すのも、また冒険になるかもしれないよ」
正直なところ、スティームもアラッドならもしかしたらと期待してる部分があり、もしそういったスタイルの冒険者生活にシフトチェンジするのも面白そうだと思っていた。
「……ともかく、俺はそこまで力を入れようとは思わないかな。頼むなら、俺じゃなく弟のアッシュに頼んだ方が良い。あいつが将来、どういう道に進むのかは解らないが、仮に錬金術師以外にも興味を持ったとしても、その興味を持ったことが副業で、本業が錬金術師になる筈だ」
アラッドとは逆で、何かしらの職が副業で、錬金術師が本業。
兄であるアラッドは、アッシュにとってそれが一番良い道だと思っており、アッシュ自身も悪くはないと考えていた。
「アラッドより錬金術にハマってるって考えると、確かに可能性は……あるのかな?」
「さぁな。戦闘だけじゃなくて、錬金術師の才能もあるとは思うが、正直なところ、それと空を飛べるマジックアイテムってのは別問題の筈だ」
「…………私、難しいことは解んないけど、アッシュ君なら可能性があるってことだよね」
「ないとは言わないな」
「だったら、アッシュ君に頼んだら良いんじゃない? お兄ちゃんこういうマジックアイテムが欲しいから……えっと……あれよ。お金出すから頑張ってって」
「それは……それは…………そうだな。ナシではないか」
アッシュのスポンサーになる。
錬金術師の中には、そういった資金援助を受けて既存のマジックアイテムを造るだけではなく、新たなマジックアイテムを造るために研究を重ねている者もいる。
(スポンサーとして金を大量に消費しても、問題はない。ただ……唯一問題があるとすれば、シルフィーが不満を爆発させないか否か、だな)
アラッドにとってアッシュは大切な弟だが、シルフィーも大切な妹であり、まりにも片方だけを贔屓してしまうのは非常に心苦しかった。
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