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八百四十八話 狙う基準
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「ッ!!!!」
「ウキャキャッ!!!!」
ギルドの上の人間にもしかしたらという予想を含めた内容を記した手紙を送ってから数日間が経過。
まだ風竜の手掛かりが掴めておらず、ワイバーンにも襲撃されないという事態が続いていた。
そんな中、現在ヴァジュラが巨大クワガタ系のモンスター、シザーススタッグと戦っている。
シザーススタッグはBランクのモンスターということもあり、ヴァジュラとしても闘争本能が燃え上がる強敵。
既に戦闘が始まって数分が経過しているが、シザーススタッグも一切逃げる素振りを見せず、果敢に攻め続けている。
「ねぇ、アラッド。ここまで風竜どころか、ワイバーンとすら遭遇してないのは……やっぱり風竜のせいかな」
「そうだな。またちらほら戦略を使うワイバーンによる被害は耳にしてるのに、俺たちが一度も遭遇しないのはな……」
現在、ハヌマーンことヴァジュラがガルーレの従魔になったことで、更にパーティーの戦力が増した。
クロは姿をブラックウルフに変え、戦力を偽装することが出来るが、ファルとヴァジュラはそういった小技を持っていない。
そのため、一部のモンスターから逃げられてしまうことはある。
とはいえ、通常のワイバーンであれば逃げるとは考えられない。
「高い戦闘力を持つ個体には、手を出すなという指示が出されてるのかもしれないな」
「……それをワイバーンが納得して受け入れるのかと疑問に思ってしまうけど、例のワイバーンたちのバッグに風竜が本当にいるなら、納得させてるんだろうね」
「…………予想が全て当たっていれば、本当に厄介な個体だな」
モンスターに策略を伝えることが出来る。
加えて、プライドに障った結果反撃したとしても、それを捻じ伏せることが出来るだけの力を持っている。
(同族に知恵を与えて成長させることが出来て、尚且つ頭が回るだけではなく、生意気な者を叩き伏せられるだけの力も持っている……としたら、中々に理想的なリーダー個体だな)
仮定ではあるが、もし予想通り実在するならば、改めて優秀な個体だと思った。
「明らかに敵わないであろう冒険者は襲撃せず、狩れそうなパーティーだけを狙ってるのかな」
「……………………そうだな。狩れそう、もしくは……勝率が五割から七割ほどのパーティーを狙っていそうだ」
偶々被害を受けたパーティーの会話を耳にしたとき、アラッドはそのパーティーに鑑定を使用しなかったが、ほんの数秒ほどではあるが、本気で観察した。
その結果、襲撃されたパーティーの中には、メンバーの中にBランクの冒険者がいるパーティーもあった。
「それって、間違いなく強くなる為に、だよね」
「そうだろうな……本当に、勘弁してほしいものだ」
ガルーレ程ではないにしろ、強者との戦闘を好むアラッド。
Bランククラスの実力を得たワイバーンとの戦闘も、驚き恐怖するどころか、寧ろワクワクを感じる戦い。
ただ……本来はCランクであるにもかかわらず、レベルが上昇したことでBランク並みの実力を持つ個体がわんさか増えると思うと……さすがに珍しいこともあるものだと笑ってられない。
因みに、アラッドとスティームの二人が、何故自分たちがワイバーンに襲撃されないのか、遭遇しないのかについて話してる間、ガルーレはずっとシザーススタッグと戦っているヴァジュラを応援していた。
「ホッ、キャッ!!!!!」
「っ!!??」
「ゥオキャッ!!!!!!」
「っ!!!???」
ヴァジュラはシザーススタッグのハサミを利用した斬撃を躱し、二連続で頑強な棒を叩きつけ、シザーススタッグ最大の武器であるギロチンをへし折ることに成功。
基本的に感情を持たない虫モンスターであるシザーススタッグも、この事態には動揺を隠せなかった。
「ウキャッ!!!!!」
そして、その隙を見逃すほど甘くないヴァジュラは棒の先を思いっきり叩きつける。
「っ!!!!!! っ、ッ!!! ッ……ッ…………ッ!!! っ……」
頭部を潰せば討伐成功とはならないのが虫モンスターの厄介な点だが、これまでの経験からヴァジュラはある程度こいつらは全員、そういう感じなんだと理解していた。
故に、頭部に極太の突きをかました後、羽を使って動かれない様に息絶えるまで押し潰し続けた。
(ヴァジュラの奴……虫系のモンスターが、頭部を潰しただけでは直ぐに死なないと知っていたのか……学習能力も高いんだな)
スティームとあれこれ話し合いながらも、シザーススタッグ戦を観ていたアラッド。
最後まで油断せず倒す姿に、改めてヴァジュラの強さを感じ取った。
「余裕の勝利、だったかな?」
「余裕ではないんじゃないか? それなりに傷を負ったみたいだからな……でも、結局最後までスティームとの戦いで使った金色の炎は使わなかったな」
「あっ、そういえばそうだったね」
使えなかったのか、それとも使う必要がなかったのか……どちらにしろ、今の戦いで完全にシザーススタッグよりもスティームの方が強いと証明されたと思ったアラッド。
「さっすが!!! 良い戦いだったね、ヴァジュラ!!」
「ウキャッキャッキャ!!」
主人から褒められ、非常にご満悦な表情を浮かべるヴァジュラだった。
「ウキャキャッ!!!!」
ギルドの上の人間にもしかしたらという予想を含めた内容を記した手紙を送ってから数日間が経過。
まだ風竜の手掛かりが掴めておらず、ワイバーンにも襲撃されないという事態が続いていた。
そんな中、現在ヴァジュラが巨大クワガタ系のモンスター、シザーススタッグと戦っている。
シザーススタッグはBランクのモンスターということもあり、ヴァジュラとしても闘争本能が燃え上がる強敵。
既に戦闘が始まって数分が経過しているが、シザーススタッグも一切逃げる素振りを見せず、果敢に攻め続けている。
「ねぇ、アラッド。ここまで風竜どころか、ワイバーンとすら遭遇してないのは……やっぱり風竜のせいかな」
「そうだな。またちらほら戦略を使うワイバーンによる被害は耳にしてるのに、俺たちが一度も遭遇しないのはな……」
現在、ハヌマーンことヴァジュラがガルーレの従魔になったことで、更にパーティーの戦力が増した。
クロは姿をブラックウルフに変え、戦力を偽装することが出来るが、ファルとヴァジュラはそういった小技を持っていない。
そのため、一部のモンスターから逃げられてしまうことはある。
とはいえ、通常のワイバーンであれば逃げるとは考えられない。
「高い戦闘力を持つ個体には、手を出すなという指示が出されてるのかもしれないな」
「……それをワイバーンが納得して受け入れるのかと疑問に思ってしまうけど、例のワイバーンたちのバッグに風竜が本当にいるなら、納得させてるんだろうね」
「…………予想が全て当たっていれば、本当に厄介な個体だな」
モンスターに策略を伝えることが出来る。
加えて、プライドに障った結果反撃したとしても、それを捻じ伏せることが出来るだけの力を持っている。
(同族に知恵を与えて成長させることが出来て、尚且つ頭が回るだけではなく、生意気な者を叩き伏せられるだけの力も持っている……としたら、中々に理想的なリーダー個体だな)
仮定ではあるが、もし予想通り実在するならば、改めて優秀な個体だと思った。
「明らかに敵わないであろう冒険者は襲撃せず、狩れそうなパーティーだけを狙ってるのかな」
「……………………そうだな。狩れそう、もしくは……勝率が五割から七割ほどのパーティーを狙っていそうだ」
偶々被害を受けたパーティーの会話を耳にしたとき、アラッドはそのパーティーに鑑定を使用しなかったが、ほんの数秒ほどではあるが、本気で観察した。
その結果、襲撃されたパーティーの中には、メンバーの中にBランクの冒険者がいるパーティーもあった。
「それって、間違いなく強くなる為に、だよね」
「そうだろうな……本当に、勘弁してほしいものだ」
ガルーレ程ではないにしろ、強者との戦闘を好むアラッド。
Bランククラスの実力を得たワイバーンとの戦闘も、驚き恐怖するどころか、寧ろワクワクを感じる戦い。
ただ……本来はCランクであるにもかかわらず、レベルが上昇したことでBランク並みの実力を持つ個体がわんさか増えると思うと……さすがに珍しいこともあるものだと笑ってられない。
因みに、アラッドとスティームの二人が、何故自分たちがワイバーンに襲撃されないのか、遭遇しないのかについて話してる間、ガルーレはずっとシザーススタッグと戦っているヴァジュラを応援していた。
「ホッ、キャッ!!!!!」
「っ!!??」
「ゥオキャッ!!!!!!」
「っ!!!???」
ヴァジュラはシザーススタッグのハサミを利用した斬撃を躱し、二連続で頑強な棒を叩きつけ、シザーススタッグ最大の武器であるギロチンをへし折ることに成功。
基本的に感情を持たない虫モンスターであるシザーススタッグも、この事態には動揺を隠せなかった。
「ウキャッ!!!!!」
そして、その隙を見逃すほど甘くないヴァジュラは棒の先を思いっきり叩きつける。
「っ!!!!!! っ、ッ!!! ッ……ッ…………ッ!!! っ……」
頭部を潰せば討伐成功とはならないのが虫モンスターの厄介な点だが、これまでの経験からヴァジュラはある程度こいつらは全員、そういう感じなんだと理解していた。
故に、頭部に極太の突きをかました後、羽を使って動かれない様に息絶えるまで押し潰し続けた。
(ヴァジュラの奴……虫系のモンスターが、頭部を潰しただけでは直ぐに死なないと知っていたのか……学習能力も高いんだな)
スティームとあれこれ話し合いながらも、シザーススタッグ戦を観ていたアラッド。
最後まで油断せず倒す姿に、改めてヴァジュラの強さを感じ取った。
「余裕の勝利、だったかな?」
「余裕ではないんじゃないか? それなりに傷を負ったみたいだからな……でも、結局最後までスティームとの戦いで使った金色の炎は使わなかったな」
「あっ、そういえばそうだったね」
使えなかったのか、それとも使う必要がなかったのか……どちらにしろ、今の戦いで完全にシザーススタッグよりもスティームの方が強いと証明されたと思ったアラッド。
「さっすが!!! 良い戦いだったね、ヴァジュラ!!」
「ウキャッキャッキャ!!」
主人から褒められ、非常にご満悦な表情を浮かべるヴァジュラだった。
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