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八百十三話 そうなれば、一直線に、最奥まで
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雪山の主、雪竜グレイスに挨拶を済ませた後……アラッドたちはそのままクロとファルの背に乗って次の目的地に向かっていた。
「あれだね~~、解ってはいたけど、起こるかもしれない戦争に向けて出来る事は限られてるね」
「そうだな……よくよく考えてみれば、当然の話だ」
アラッドたちはグレイスから教えてもらった情報を頼りに、人間に迷惑を掛けるタイプ……もしくは人間に迷惑を掛けることを屁とも思っていないタイプのドラゴンの元へ向かっていた。
そんな中でも、今回討伐しようと思っているドラゴンは……風属性のドラゴン。
他にも気になるドラゴンは何体かいたものの、ウィラーナの雪原で起こった件を考慮すれば、やはりゴリディア帝国との戦争が起こる可能性は非常に高い。
三人としては、ゴリディア帝国に利用される可能性が高い。
その為、可能性のある風竜は一体でも多く討伐しておきたい。
ただ……かつてフールにソロ討伐された暴風竜ボレアスの子、暴風竜ボレアスの強さに敬意を抱いていた風竜たち全てが、アルバース王国にいるとは限らない。
アラッドの頭に入っているだけでも、ゴリディア帝国とナルターク王国、ホットル王国といった国土の広さに関してはそこまで大きな差はない国々が存在する。
「でも、本当に始まってしまう前に、一体でも多く倒したいね」
「そうだな…………まぁ、さすがにゴリディア帝国の連中も侵略戦争を仕掛けてこないだろうから、可能なら他国に行って討伐するのもありだな」
侵略戦争が始まってしまうと、それは権利や金などの奪い合いではなく……国土の奪い合いとなる。
アラッドの甘い幻想などではなく、先にゴリディア帝国がそれを始めてしまうと、当然ながらアルバース王国もただ守るという選択肢を取る……だけでは済まない。
仮にゴリディア帝国が侵略戦争を仕掛けて来れば、申し訳ないと思いつつも、アラッドはスティームとガルーレを置いていく。
そしてキャバリオン、赤龍帝を持つフールと共に一直線に駆け抜け……全てを斬り倒しながら王都を攻め落とす。
さすがに無理が過ぎると思われるかもしれないが、全体の指揮官トップが許可を出し、一定以上の実力を持つ強者たちの部隊を分散して出動させれば……ゴリディア帝国も猛者たちを王都だけに集中させることは出来ない。
「ねぇ、仮に向こうがそれを仕掛けてきたらどうするの?」
「……最悪の結果になるだろうな。ただ、俺はなるべく早く終わらせたい」
「それは、一直線に本陣? まで突き進んで大将首を取るってことかしら」
「そうなるな…………俺は、強者と戦うことに楽しさを感じるタイプだが、それでも……殺し合いをしたい訳じゃない」
「……そうだったね。前にも同じ事言ってた」
国に仕える騎士、魔術師たちはそういう時こそ前線に立って戦うのが役目。
だが、それを目指した者たちが……全員他国の戦闘者たちとの殺し合いを求めていたのか?
答えは……否である。
誇りやそういった家系に生まれたから、憧れを持ってしまったから。
理由は様々ではあるが、多くの者たちは……何かを守りたいという気持ちを持って騎士に、魔術師になった。
可能であれば、アラッドはそういった者たちを斬り殺したくはなかった。
(一直線に進んで、大将がいる場所まで向かう、か……………………まだ、立ててない。それを、現実として受け入れないとね)
チラッと友人の顔を……眼を見て、スティームはアラッドの考えの中に、自分やガルーレが入ってないことに気付いていた。
(重要な場所には、当然実力者たちがいる。それこそ……冒険者で例えるなら、BランクやAランク並みの冒険者たちが複数いてもおかしくない)
今のところ、スティームの切り札はランク八の武器である万雷と、色の付いた魔力……赤雷。
ウィラーナでの活動時、ブリザードパンサーなどのBランクモンスターをファルと共に討伐、ソロで戦った経験もあり、レベルアップして着実に魔力量は増えた。
伯爵家の令息であり、ガッツリ魔法もいけるタイプというわけではないが、魔力量は割と多い方であり……赤雷を使う上で雀の涙以上は上昇している。
しかし、現状の魔力量では一分以上赤雷を纏い続けて戦うのは厳しい。
(うん、仕方ない…………というか、そもそもゴリディア帝国が侵略戦争を仕掛けてくるかは、まだ分からない。でも…………そうだね。もう少し焦った方が良さそうだね)
自然、少し……落ちない様にファルを掴んでいた力が強まる。
「けど、私たちで裏の人間を潰したんだし、ビビッてそういう考えがなくなれば良いのだけどね」
「だな。上には上の人たちの考えがあるのだろうが、俺たち冒険者からすれば、基本的に良い迷惑だ」
「割と血の気の多いって言うか、そういう功績も手に入れられたらって考える人も多いんじゃないの?」
「いるにはいるだろうな。ただ……戦争だぞ? 向こうの戦力……というか、こっちの戦力もそこまで詳しくは知らないが、圧倒的な差があるならそもそも仕掛けてこないだろ。それを考えれば、ある程度実力がある人でも……それこそ、Aランクの冒険者であっても死ぬときは死ぬはずだ」
アラッドからすれば、冒険者としての功績をそこで見い出そうとする者の考えは全く理解出来なかった。
「あれだね~~、解ってはいたけど、起こるかもしれない戦争に向けて出来る事は限られてるね」
「そうだな……よくよく考えてみれば、当然の話だ」
アラッドたちはグレイスから教えてもらった情報を頼りに、人間に迷惑を掛けるタイプ……もしくは人間に迷惑を掛けることを屁とも思っていないタイプのドラゴンの元へ向かっていた。
そんな中でも、今回討伐しようと思っているドラゴンは……風属性のドラゴン。
他にも気になるドラゴンは何体かいたものの、ウィラーナの雪原で起こった件を考慮すれば、やはりゴリディア帝国との戦争が起こる可能性は非常に高い。
三人としては、ゴリディア帝国に利用される可能性が高い。
その為、可能性のある風竜は一体でも多く討伐しておきたい。
ただ……かつてフールにソロ討伐された暴風竜ボレアスの子、暴風竜ボレアスの強さに敬意を抱いていた風竜たち全てが、アルバース王国にいるとは限らない。
アラッドの頭に入っているだけでも、ゴリディア帝国とナルターク王国、ホットル王国といった国土の広さに関してはそこまで大きな差はない国々が存在する。
「でも、本当に始まってしまう前に、一体でも多く倒したいね」
「そうだな…………まぁ、さすがにゴリディア帝国の連中も侵略戦争を仕掛けてこないだろうから、可能なら他国に行って討伐するのもありだな」
侵略戦争が始まってしまうと、それは権利や金などの奪い合いではなく……国土の奪い合いとなる。
アラッドの甘い幻想などではなく、先にゴリディア帝国がそれを始めてしまうと、当然ながらアルバース王国もただ守るという選択肢を取る……だけでは済まない。
仮にゴリディア帝国が侵略戦争を仕掛けて来れば、申し訳ないと思いつつも、アラッドはスティームとガルーレを置いていく。
そしてキャバリオン、赤龍帝を持つフールと共に一直線に駆け抜け……全てを斬り倒しながら王都を攻め落とす。
さすがに無理が過ぎると思われるかもしれないが、全体の指揮官トップが許可を出し、一定以上の実力を持つ強者たちの部隊を分散して出動させれば……ゴリディア帝国も猛者たちを王都だけに集中させることは出来ない。
「ねぇ、仮に向こうがそれを仕掛けてきたらどうするの?」
「……最悪の結果になるだろうな。ただ、俺はなるべく早く終わらせたい」
「それは、一直線に本陣? まで突き進んで大将首を取るってことかしら」
「そうなるな…………俺は、強者と戦うことに楽しさを感じるタイプだが、それでも……殺し合いをしたい訳じゃない」
「……そうだったね。前にも同じ事言ってた」
国に仕える騎士、魔術師たちはそういう時こそ前線に立って戦うのが役目。
だが、それを目指した者たちが……全員他国の戦闘者たちとの殺し合いを求めていたのか?
答えは……否である。
誇りやそういった家系に生まれたから、憧れを持ってしまったから。
理由は様々ではあるが、多くの者たちは……何かを守りたいという気持ちを持って騎士に、魔術師になった。
可能であれば、アラッドはそういった者たちを斬り殺したくはなかった。
(一直線に進んで、大将がいる場所まで向かう、か……………………まだ、立ててない。それを、現実として受け入れないとね)
チラッと友人の顔を……眼を見て、スティームはアラッドの考えの中に、自分やガルーレが入ってないことに気付いていた。
(重要な場所には、当然実力者たちがいる。それこそ……冒険者で例えるなら、BランクやAランク並みの冒険者たちが複数いてもおかしくない)
今のところ、スティームの切り札はランク八の武器である万雷と、色の付いた魔力……赤雷。
ウィラーナでの活動時、ブリザードパンサーなどのBランクモンスターをファルと共に討伐、ソロで戦った経験もあり、レベルアップして着実に魔力量は増えた。
伯爵家の令息であり、ガッツリ魔法もいけるタイプというわけではないが、魔力量は割と多い方であり……赤雷を使う上で雀の涙以上は上昇している。
しかし、現状の魔力量では一分以上赤雷を纏い続けて戦うのは厳しい。
(うん、仕方ない…………というか、そもそもゴリディア帝国が侵略戦争を仕掛けてくるかは、まだ分からない。でも…………そうだね。もう少し焦った方が良さそうだね)
自然、少し……落ちない様にファルを掴んでいた力が強まる。
「けど、私たちで裏の人間を潰したんだし、ビビッてそういう考えがなくなれば良いのだけどね」
「だな。上には上の人たちの考えがあるのだろうが、俺たち冒険者からすれば、基本的に良い迷惑だ」
「割と血の気の多いって言うか、そういう功績も手に入れられたらって考える人も多いんじゃないの?」
「いるにはいるだろうな。ただ……戦争だぞ? 向こうの戦力……というか、こっちの戦力もそこまで詳しくは知らないが、圧倒的な差があるならそもそも仕掛けてこないだろ。それを考えれば、ある程度実力がある人でも……それこそ、Aランクの冒険者であっても死ぬときは死ぬはずだ」
アラッドからすれば、冒険者としての功績をそこで見い出そうとする者の考えは全く理解出来なかった。
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