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四百八十二話 良いテーマ
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「スティーム、調子はどうだ?」
「悪くないね。とりあえず……目標はアラッドと戦うまで負けないことだね」
仲間から向けられる熱い闘志に、無意識に笑みを浮かべるアラッド。
朝食を食べ終え、体を軽く動かした二人は時間前にトーナメントが開催される闘技場へ到着。
「アラッドさんとスティームさんですね」
出場の確認が終了後、二人は別の待機室へと案内される。
「「「「「「ッ!!!」」」」」」
(まっ、こうなるよな)
待機室に入ると、予選の勝ち残り戦に参加する戦闘者たちは、一斉にアラッドへと視線を向ける。
こうなるだろうと事前に予想していたこともあり、一ミリも動揺する姿を見せず、空いていたスペースに腰を下ろし、従業員が選手たちを呼びに来るのを待つ。
(と、とりあえず声をかけるべきか?)
(あいつが噂の……確かにしっかり鍛えた体してやがるな)
(途中まで彼と一緒に戦うというのは、多分向こうにメリットがないよね)
(スカした野郎だな……まずはあいつから叩き潰してやる)
全員考えることは、意外にも一緒ではなかった。
出来ればアラッドと友好を結びたい者や、予選が始まれば真っ先に潰したいと考える者もいる。
ただ……全員、頭の中で共通してることがあった。
どれだけ自身の力を振り絞っても、一人でアラッドに勝てる気がしない。
(そうするしかないのか? でも、それは男として……)
(勝ち残るためには、そうするしかなさそうだね)
多くの者が自分たちが力を合わせ、まずアラッドという怪物を除外しないことには始まらない。
本選に参加出来る者は二人や三人ではなく、たった一人。
彼らが考える通り、途中で起きるかもしれない裏切りを考慮しても、まずアラッドを潰すことが超優先事項。
(そんなに視線をずっと向けるなよ……何を考えてるか丸解かりだぞ)
彼の視線には微かな闘志、敵意が混じっている。
幼い頃から森でモンスターとバチバチに戦っていたアラッドには丸解かりであり、同時に何を考えて実行しようと考えているのも解っていた。
(速攻で終わらせるか、それともじっくり終わらせるか……闘技場の従業員から何も言われてないけど、ささっと終わらせるのはやっぱり良くないか)
そんな事を考えている間に予選開始の時刻が迫り、選手たちはリングへと案内される。
(ふっふっふ、全員隠さなくなってきたな)
戦場であるリングに近づくにつれて、選手たちは明確な戦意をアラッドにぶつけ始める。
遂に抑えきれなくなったアラッドは……リングに登ると同時に、薄っすら小さな笑みを浮かべてしまった。
「殺しはご法度だ。それ以外の縛りはない……悔いなく戦え、始めぇえええええっ!!!!!」
審判の男性が開始の合図を行うと同時に、誰一人余ることなくアラッドに襲い掛かる。
(考えてることは全員同じだったみたいだが……息はピッタリじゃないみたいだな)
誰が同じ勝ち残り戦に参加するのか、それは本日まで誰一人として選手たちは知らなかった。
故に、まず最優先事項としてアラッドを潰す為の準備を行う時間がなかった。
「おらっ!!!!!!」
「っぶねっ! もうちょい、周り見ろっての!!!」
「うるせぇええええ!!! このスカした野郎は、俺が倒す!!!!!」
とはいえ、参加者たちの息が合わないのは、主に戦斧を振り回す大柄な青年のせいだった。
(ん~~~~……邪魔だな)
個人には期待してないため、アラッドは大柄な青年の腕を掴むと、背負い投げの容量でリング外へと投げ飛ばした。
「あっ……まっ、大丈夫か」
背後から迫る攻撃を躱しながら、おそらく大柄な青年は生きているだろうと信じ、他の参加者たちに意識を向ける。
(うん、やっぱりあの大柄な参加者が連携を大幅に乱してたな)
事前に打ち合わせがなかったとはいえ、そこは今回の大会に予選参加する権利を得た戦闘者たち。
即席ではあるものの、連携と呼べる攻撃を仕掛け、まずはアラッドを潰すことに専念。
(理想は、武器を伸ばしても、リングに付かない高さ、だな)
考えが纏まり、伸びる迫る武器を潜り抜けて腕を掴み……高さと速さだけを気にし、後は無造作にぶん投げる。
「ハッ!!!!」
当然ながら投げるという行為は、一対多数では大きな隙を見せることになる。
(なんで、軌道が逸れて……)
その大きな隙をカバーするのがアラッドの糸。
鉄製の糸を側面から事前に高速で放ち、参加者の攻撃を見事に回避。
立体感知のスキルを有しているからこその離れ業。
「っしゃ! どんどんいくぞ!!」
「「「「ッ!!!」」」」
二回連続で投げたことから、今日のアラッドは投げといった基本的に使われることのない技で攻めるのだと把握。
そうなれば、当然アラッドを狙う参加者たちは投の動きを警戒しながら動く。
(うん、これはこれで好都合だな)
客がそれなりに楽しめる戦いが今回のテーマ。
投げを意識しながら、投げを警戒する参加者たちの防御や攻撃を突破し、意地でも投げで勝ち残り戦を生き残る。
そう決めたアラッドの意地は凄まじく、本当に予選の戦いは投げだけで全員場外に飛ばしてしまった。
「悪くないね。とりあえず……目標はアラッドと戦うまで負けないことだね」
仲間から向けられる熱い闘志に、無意識に笑みを浮かべるアラッド。
朝食を食べ終え、体を軽く動かした二人は時間前にトーナメントが開催される闘技場へ到着。
「アラッドさんとスティームさんですね」
出場の確認が終了後、二人は別の待機室へと案内される。
「「「「「「ッ!!!」」」」」」
(まっ、こうなるよな)
待機室に入ると、予選の勝ち残り戦に参加する戦闘者たちは、一斉にアラッドへと視線を向ける。
こうなるだろうと事前に予想していたこともあり、一ミリも動揺する姿を見せず、空いていたスペースに腰を下ろし、従業員が選手たちを呼びに来るのを待つ。
(と、とりあえず声をかけるべきか?)
(あいつが噂の……確かにしっかり鍛えた体してやがるな)
(途中まで彼と一緒に戦うというのは、多分向こうにメリットがないよね)
(スカした野郎だな……まずはあいつから叩き潰してやる)
全員考えることは、意外にも一緒ではなかった。
出来ればアラッドと友好を結びたい者や、予選が始まれば真っ先に潰したいと考える者もいる。
ただ……全員、頭の中で共通してることがあった。
どれだけ自身の力を振り絞っても、一人でアラッドに勝てる気がしない。
(そうするしかないのか? でも、それは男として……)
(勝ち残るためには、そうするしかなさそうだね)
多くの者が自分たちが力を合わせ、まずアラッドという怪物を除外しないことには始まらない。
本選に参加出来る者は二人や三人ではなく、たった一人。
彼らが考える通り、途中で起きるかもしれない裏切りを考慮しても、まずアラッドを潰すことが超優先事項。
(そんなに視線をずっと向けるなよ……何を考えてるか丸解かりだぞ)
彼の視線には微かな闘志、敵意が混じっている。
幼い頃から森でモンスターとバチバチに戦っていたアラッドには丸解かりであり、同時に何を考えて実行しようと考えているのも解っていた。
(速攻で終わらせるか、それともじっくり終わらせるか……闘技場の従業員から何も言われてないけど、ささっと終わらせるのはやっぱり良くないか)
そんな事を考えている間に予選開始の時刻が迫り、選手たちはリングへと案内される。
(ふっふっふ、全員隠さなくなってきたな)
戦場であるリングに近づくにつれて、選手たちは明確な戦意をアラッドにぶつけ始める。
遂に抑えきれなくなったアラッドは……リングに登ると同時に、薄っすら小さな笑みを浮かべてしまった。
「殺しはご法度だ。それ以外の縛りはない……悔いなく戦え、始めぇえええええっ!!!!!」
審判の男性が開始の合図を行うと同時に、誰一人余ることなくアラッドに襲い掛かる。
(考えてることは全員同じだったみたいだが……息はピッタリじゃないみたいだな)
誰が同じ勝ち残り戦に参加するのか、それは本日まで誰一人として選手たちは知らなかった。
故に、まず最優先事項としてアラッドを潰す為の準備を行う時間がなかった。
「おらっ!!!!!!」
「っぶねっ! もうちょい、周り見ろっての!!!」
「うるせぇええええ!!! このスカした野郎は、俺が倒す!!!!!」
とはいえ、参加者たちの息が合わないのは、主に戦斧を振り回す大柄な青年のせいだった。
(ん~~~~……邪魔だな)
個人には期待してないため、アラッドは大柄な青年の腕を掴むと、背負い投げの容量でリング外へと投げ飛ばした。
「あっ……まっ、大丈夫か」
背後から迫る攻撃を躱しながら、おそらく大柄な青年は生きているだろうと信じ、他の参加者たちに意識を向ける。
(うん、やっぱりあの大柄な参加者が連携を大幅に乱してたな)
事前に打ち合わせがなかったとはいえ、そこは今回の大会に予選参加する権利を得た戦闘者たち。
即席ではあるものの、連携と呼べる攻撃を仕掛け、まずはアラッドを潰すことに専念。
(理想は、武器を伸ばしても、リングに付かない高さ、だな)
考えが纏まり、伸びる迫る武器を潜り抜けて腕を掴み……高さと速さだけを気にし、後は無造作にぶん投げる。
「ハッ!!!!」
当然ながら投げるという行為は、一対多数では大きな隙を見せることになる。
(なんで、軌道が逸れて……)
その大きな隙をカバーするのがアラッドの糸。
鉄製の糸を側面から事前に高速で放ち、参加者の攻撃を見事に回避。
立体感知のスキルを有しているからこその離れ業。
「っしゃ! どんどんいくぞ!!」
「「「「ッ!!!」」」」
二回連続で投げたことから、今日のアラッドは投げといった基本的に使われることのない技で攻めるのだと把握。
そうなれば、当然アラッドを狙う参加者たちは投の動きを警戒しながら動く。
(うん、これはこれで好都合だな)
客がそれなりに楽しめる戦いが今回のテーマ。
投げを意識しながら、投げを警戒する参加者たちの防御や攻撃を突破し、意地でも投げで勝ち残り戦を生き残る。
そう決めたアラッドの意地は凄まじく、本当に予選の戦いは投げだけで全員場外に飛ばしてしまった。
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