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三百二十四話 治療が終わるまで我慢

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(あぁ~~~~~、駄目だ。ぶっ倒れそう)

鼓膜が破れそうになると思っていた大歓声と拍手を浴び、アラッドは悪くない気分を堪能した……ただ、失った体力や魔力は直ぐに戻ってこない。

日頃から鍛えに鍛えているアラッドが、今回は本当にギリギリのバトルだっため、正直なところ……床にへたり込みたい気分。

「「「「「「アラッドっ!!!!」」」」」」

「皆……って、おいおい!」

通路からリオたちの方に戻ろうとしていると、リオたちの方からダッシュでアラッドの元にやって来た。
ただ……六人はそのままアラッドにダイブ。

「ふっ、ぬぅおおおお、お」

限界ギリギリな状態とはいえ、そこはレベル三十超えの身体能力。
六人のハグに対し、背中を反りながらも耐えた。

「気持ちは、嬉しいが、潰れ、る」

息絶え絶えなアラッドの状態に改めて気付き、レイたちは慌てて離れた。

「そうだ、アラッド。これ」

「おっ、良いのか?」

「勿論!」

ベルから渡されたマジックポーションを受け取り、それなりに回復。
これで、魔力切れで意識がぶっ飛ぶ可能性はなくなった。

とはいえ、体力は完全に回復していない。
相変わらず無茶できない状態が続く。

「やっぱり、私たちには見せてない手札を持ってましたのね」

「奥の手は、最後まで隠してこそ奥の手。そう簡単に、おいそれとは見せられないさ」

狂化を使用した時の自分の様子は知っている。
友人たちにはまり見せたくない……と思っている部分があった。

しかし、狂化を使用しながら戦う姿を見たレイたちは、その姿に全く恐ろしさを感じていなかった。

寧ろかっこいいとすら感じており、全員にとって良い刺激材料となった。

「「お疲れ、アラッド!!!!!」」

医務室に入ると、そこには……ここに来るだろうと予想していた、フールとアリサが待っていた。

直ぐにでも激闘を制した息子を思いっきりハグしたい二人だったが、一先ずアラッドの治療が終わるまで我慢。
そしてそれが終わった後、二人は骨に罅が入らない程度に息子を抱きしめた。

二人に、褒めに褒められたアラッドは、いつも通り恥ずかしさを感じながらも……二人からの称賛を、素直に受け取った。

「表彰か……」

もう学園の寮に戻って、ベッドにダイブしようと考えていたアラッドだったが、大会はまだ終わっていない。

個人戦とタッグ戦のベストフォー、準優勝者、優勝者の表彰を行う。

「おめでとう。素晴らしい……本当に胸が熱くなる戦いだったよ」

「ありがとうございます」

大会運営のお偉いさんからお褒めの言葉とトロフィーを貰い、大会は幕を閉じた。

さぁ、これで寮のベッドにダイブ……と思いきや、王城のとある場所に行くように、担任のアレクから伝えられた。
そして優勝をお祝いされたタイミングで渡された正装を身に纏い、同じく正装に着替えたレイたちと合流。

(時間がそれなりに開いていたのが救いだったな)

寝る……ことは出来ないが、それなりに休息は取れた。

「相変わらずダークな色が似合うな」

「そうか? まっ、好みの色ではあるからな」

フールとアイナもそれを理解しており、このパーティーの為の正装を用意した。

「にしても、大会が終わった後にパーティーって……ハード過ぎないか?」

「偶に参加出来ない人もいるし、確かにハードかもね。でも、アラッドが好きな美味しい料理がたくさんあるらしいよ」

「……なら、気張るしかないな」

美味しい料理が待っていると言われれば、気合を入れて行くしかない。

そして王城に到着したアラッドたちは、王城に勤務する騎士たちに案内され、パーティーが開催される部屋へと案内される。

中に入ると、既に多くの生徒がおり、準決勝でアラッドが潰したジャン・セイバーも正装姿で友人たちと話していた。
ただ……パーティー会場にいるのは生徒だけではなく、現役の騎士や関係者も多く、アラッドが食事に専念するのは難しい雰囲気だった。
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