282 / 1,019
二百八十二話 皆よく食べる
しおりを挟む
アイガスとの試合もあっさり終えたアラッド。
ここまで全戦全勝を更新中。
まだ全ての校内戦は終了していないが、それでもアラッドが公式の場で結果を残し始めたことで、周囲の見る目が徐々に変わってきた。
勿論、あまり好意的な思いを持つ者は増えていない。
しかし……アラッドの実力に関しては、認めなければならない。
そう認識する者たちが増えた。
加えて、アラッドは毎日のように授業が終われば、レイたちとの訓練を行っている。
当然その訓練光景を見ている者もいるので、才能だけで暴れ回っているクソ野郎……という印象も消えた。
「俺たちからすれば、今更かよって感じだけどな」
「仕方ないでしょう。アラッドさんは今まで公式の場に出ることは殆どありませんでしたし」
「そうだね。アラッドが過去に公式の場で実力を示したのは……あれだねロンバーとの喧嘩ぐらいかな」
ベルの言葉を聞き、アラッドは過去にその人物と社交場やりあったのを思い出した。
「そういえば、そんな事あったな。すっかり忘れてた」
「マジかよ。俺は超しっかり覚えてるぜ。だって、あの戦いでアラッドは結局糸だけで勝ったんだしよ」
「ロンバーのズボンを解体しちゃったしね」
「あの光景には、本当に驚いたよ」
ルーンたち三人は、社交場でアラッドがロンバーに行った恐ろしい攻撃方法を、一度も忘れたことがない。
「うむ……あれは恐ろしかった」
「え、えぇ。そうですわね」
「アラッドも、よくあんな攻撃方法を思い付きましたわよね」
「……うん、凄かった」
女性陣もあの時の光景は覚えており、ヴェーラ以外の三人は過去の光景を思い出し、若干頬が赤くなっていた。
「それで、アラッド。大会でも使うのか?」
「いや、さすがに使わない……って訳にはいかないだろうな。高い実力を持っている相手なら、普通に切ったり捕縛したりって感じで使うな」
さすがにアラッドも、貴族の令息や令嬢を大観衆の前ですっぽんぽんにしよう……とは、一応考えていない。
そう……今のところ、一応実行しようとは思っていない。
「必要になるまでは剣技と体技をメイン……後は、場合によってはちょっと魔法を使ったりするかもな」
「接近戦メインの大会でも、激しく動きながら攻撃魔法を使ってくる人もいるからね」
「仮に相手がそうしてきたら、俺も全力で対抗するだけだ……さて、今日も満腹になるまで食うか」
自主練終わりのアラッドたちが訪れた場所は、当然食堂。
現在七時だが、まだまだ夕食を食べている学生や職員がチラホラといる。
食堂に来ればしょっちゅう多数の視線に囲まれていたアラッドだが、今ではその数もだいぶ減った。
「……その体のどこに、そんなに入るのか不思議ですわ」
アラッドが頼んだ料理の量は一人前ではなく、三人前近くある。
身長は百八十を超え、それなりに筋肉も付いているが……それでも細マッチョ程度の体格。
巨漢……といえるほどの体ではなく、エリザからしらアラッドの前に置かれている料理が、どこに入るのか不思議でたまらない。
「腹が減ってるからな。これぐらい普通だろ。なっ、リオ」
「あぁ、だな」
リオもがっつり体を動かしているので、毎日アラッドに負けず劣らずの量を食べている。
「というか、エリザだって一人前以上は頼んでるだろ」
「うっ」
風魔法の才を持つ遠距離タイプのエリザだが、アラッドと出会ってから短剣や鞭などの武器にも手を出し始めた。
ルーンやヴェーラもエリザと同じ様に、弱点を放っておかずに努力しているため、ひょろっとした見た目以上に毎日夕食を食べている。
「まっ、腹が減ったら飯を食べるのは当然だし……何も気にする事はないだろ」
食べ過ぎると太るぞ、なんてアホな発言はせずに目の前の高級料理を平らげていくアラッド。
そしてアラッドがもう少しで食べ終わるといったタイミングで、一人の教師が声を掛けてきた。
ここまで全戦全勝を更新中。
まだ全ての校内戦は終了していないが、それでもアラッドが公式の場で結果を残し始めたことで、周囲の見る目が徐々に変わってきた。
勿論、あまり好意的な思いを持つ者は増えていない。
しかし……アラッドの実力に関しては、認めなければならない。
そう認識する者たちが増えた。
加えて、アラッドは毎日のように授業が終われば、レイたちとの訓練を行っている。
当然その訓練光景を見ている者もいるので、才能だけで暴れ回っているクソ野郎……という印象も消えた。
「俺たちからすれば、今更かよって感じだけどな」
「仕方ないでしょう。アラッドさんは今まで公式の場に出ることは殆どありませんでしたし」
「そうだね。アラッドが過去に公式の場で実力を示したのは……あれだねロンバーとの喧嘩ぐらいかな」
ベルの言葉を聞き、アラッドは過去にその人物と社交場やりあったのを思い出した。
「そういえば、そんな事あったな。すっかり忘れてた」
「マジかよ。俺は超しっかり覚えてるぜ。だって、あの戦いでアラッドは結局糸だけで勝ったんだしよ」
「ロンバーのズボンを解体しちゃったしね」
「あの光景には、本当に驚いたよ」
ルーンたち三人は、社交場でアラッドがロンバーに行った恐ろしい攻撃方法を、一度も忘れたことがない。
「うむ……あれは恐ろしかった」
「え、えぇ。そうですわね」
「アラッドも、よくあんな攻撃方法を思い付きましたわよね」
「……うん、凄かった」
女性陣もあの時の光景は覚えており、ヴェーラ以外の三人は過去の光景を思い出し、若干頬が赤くなっていた。
「それで、アラッド。大会でも使うのか?」
「いや、さすがに使わない……って訳にはいかないだろうな。高い実力を持っている相手なら、普通に切ったり捕縛したりって感じで使うな」
さすがにアラッドも、貴族の令息や令嬢を大観衆の前ですっぽんぽんにしよう……とは、一応考えていない。
そう……今のところ、一応実行しようとは思っていない。
「必要になるまでは剣技と体技をメイン……後は、場合によってはちょっと魔法を使ったりするかもな」
「接近戦メインの大会でも、激しく動きながら攻撃魔法を使ってくる人もいるからね」
「仮に相手がそうしてきたら、俺も全力で対抗するだけだ……さて、今日も満腹になるまで食うか」
自主練終わりのアラッドたちが訪れた場所は、当然食堂。
現在七時だが、まだまだ夕食を食べている学生や職員がチラホラといる。
食堂に来ればしょっちゅう多数の視線に囲まれていたアラッドだが、今ではその数もだいぶ減った。
「……その体のどこに、そんなに入るのか不思議ですわ」
アラッドが頼んだ料理の量は一人前ではなく、三人前近くある。
身長は百八十を超え、それなりに筋肉も付いているが……それでも細マッチョ程度の体格。
巨漢……といえるほどの体ではなく、エリザからしらアラッドの前に置かれている料理が、どこに入るのか不思議でたまらない。
「腹が減ってるからな。これぐらい普通だろ。なっ、リオ」
「あぁ、だな」
リオもがっつり体を動かしているので、毎日アラッドに負けず劣らずの量を食べている。
「というか、エリザだって一人前以上は頼んでるだろ」
「うっ」
風魔法の才を持つ遠距離タイプのエリザだが、アラッドと出会ってから短剣や鞭などの武器にも手を出し始めた。
ルーンやヴェーラもエリザと同じ様に、弱点を放っておかずに努力しているため、ひょろっとした見た目以上に毎日夕食を食べている。
「まっ、腹が減ったら飯を食べるのは当然だし……何も気にする事はないだろ」
食べ過ぎると太るぞ、なんてアホな発言はせずに目の前の高級料理を平らげていくアラッド。
そしてアラッドがもう少しで食べ終わるといったタイミングで、一人の教師が声を掛けてきた。
226
お気に入りに追加
6,107
あなたにおすすめの小説
またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。
朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。
婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。
だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。
リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。
「なろう」「カクヨム」に投稿しています。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜
霞杏檎
ファンタジー
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」
回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。
フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。
しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを……
途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。
フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。
フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった……
これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である!
(160話で完結予定)
元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」
元聖女だった少女は我が道を往く
春の小径
ファンタジー
突然入ってきた王子や取り巻きたちに聖室を荒らされた。
彼らは先代聖女様の棺を蹴り倒し、聖石まで蹴り倒した。
「聖女は必要がない」と言われた新たな聖女になるはずだったわたし。
その言葉は取り返しのつかない事態を招く。
でも、もうわたしには関係ない。
だって神に見捨てられたこの世界に聖女は二度と現れない。
わたしが聖女となることもない。
─── それは誓約だったから
☆これは聖女物ではありません
☆他社でも公開はじめました
【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。
なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!
冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。
ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。
そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
ペット(老猫)と異世界転生
童貞騎士
ファンタジー
老いた飼猫と暮らす独りの会社員が神の手違いで…なんて事はなく災害に巻き込まれてこの世を去る。そして天界で神様と会い、世知辛い神様事情を聞かされて、なんとなく飼猫と共に異世界転生。使命もなく、ノルマの無い異世界転生に平凡を望む彼はほのぼののんびりと異世界を飼猫と共に楽しんでいく。なお、ペットの猫が龍とタメ張れる程のバケモノになっていることは知らない模様。
異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~
樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。
無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。
そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。
そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。
色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。
※この作品はカクヨム様でも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる